「テレビをつけたら、突然画面が乱れてノイズが入る」といった症状、困りますよね。その不具合は近隣の建物や天候、ほかの電波からの干渉などによる電波障害が原因の可能性があります。


ただし原因が自宅のアンテナやテレビか、地域全体の問題なのか、自分で判断するのは難しいです。テレビの電波障害が発生したらどうすればいいのか、見分け方や問い合わせ先を含めて必要な応急措置や対処法を確認しましょう。
テレビの電波障害が発生した場合の応急措置4選
テレビの「電波障害」は、ビルなどの障害物や他の電波からの干渉によって、テレビ局から送られてくる電波をアンテナで正常に受信できなくなる状態のことです。
電波障害が原因で映りが悪くなったり、全く映らなくなったりした場合、専門業者に相談する前に以下の応急措置を行いましょう。
1.テレビやレコーダー本体を再起動する
テレビの電波障害で画面が暗くなって映らないとき、以下の手順でテレビ、またはレコーダー本体の再起動を試してみましょう。
- テレビ本体の主電源を切る
- 電源コンセントを抜いて2分~3分間待つ
- ブルーレイレコーダーなども同様に行う
- 再度コンセントを差して電源を入れる
特に原因が特定できない軽微な不具合に有効で、コンセントを抜いてすぐに差し戻すのではなく、内部の電気がリセットされるまで2分〜3分間待つことが大切です。
2.B-CASカードの接触不良を解消する
地上デジタル放送の視聴に必要な「B-CASカード」が正しく認識されていないと、「E100」などのエラーコードが表示され、テレビは映りません。以下の手順に従って、B-CASカードの状態を確認してみましょう。
- テレビの電源を切り、カードの場所を確認する
- B-CASカードをゆっくりと引き抜く
- ICチップの汚れを優しく拭き取る
- 正しい向きで、奥までしっかりと差し込む
B-CASカードを抜き差しする際、ICチップ部分を素手で触ったり、傷つけたりしないよう、取り扱いには十分注意が必要です。
3.アンテナケーブルの抜けや緩みなどがないか確認する
アンテナケーブルはどこか一か所でも接続が甘かったり、抜けかかっていたりすると、信号が正しく届かず、テレビは映りません。特に下記の接続箇所で緩みや抜けがないか確認しましょう。
- テレビ本体のアンテナ入力端子
- 壁のテレビ端子
- レコーダーの入出力端子
- 分配器やブースターの接続部分
ケーブルが接続できているように見えても、内部の芯線が折れて接触不良を起こしている場合もあります。一度ケーブルを抜き、芯線の状態を確かめてみるのも有効です。
4.チャンネルの再設定を実行する
地域の放送局が送信所のメンテナンスを行ったり、中継局の周波数を変更したりした場合、テレビ側でその変更を反映させる「チャンネルの再設定」が必要です。リモコンを使って、下記の作業を行いましょう。
- リモコンの「設定」または「メニュー」ボタンを押す
- 「放送受信設定」や「チャンネル設定」の項目を選ぶ
- 「地上デジタル自動設定」や「チャンネルスキャン」を探して実行
メーカーや機種によってメニューの名称や操作手順が異なります。テレビの取扱説明書で操作方法を確認しましょう。
応急措置後も電波障害が解消できないときの対処法4選
基本的な応急措置を行っても、テレビの電波障害が改善しないとき、アンテナ本体やその周辺機器に問題がある可能性があります。アンテナ設備に焦点を当てて、下記の対処法を行いましょう。
1.アンテナレベルを参考にアンテナの向きを微調整する
台風や地震などの自然災害の影響で、屋根の上などで設置したアンテナの向きが数ミリから数センチメートルずれてしまうことがあります。わずかなズレでも、ブロックノイズやエラーが発生することがあるので、下記のような手順でアンテナの向きを調整しましょう。
- テレビの電源をつけて設定画面でアンテナレベルの受信状況をチェックする
- 1人がアンテナを動かし、もう1人がアンテナレベルを確認する
- アンテナを上下左右に数ミリずつ動かす
- テレビの画面でアンテナレベルの基準値になったところでアンテナを固定させる
ただし、屋根の上といった安全が確保できない場所での作業は、危険を伴います。少しでも不安を感じる場合は、アンテナ専門の工事業者に依頼しましょう。主要メーカーにおけるアンテナレベルの基準値は、下記のとおりです。
| テレビメーカー | 地デジ放送のアンテナレベルの受信(目安) | BS/CS放送のアンテナレベルの受信(目安) |
|---|---|---|
| Panasonic/VIERA(ビエラ) | 44以上 | 50以上(4K放送は54以上) |
| SONY/BRAVIA(ブラビア) | 良好(緑色表示) | 良好(緑色表示) |
| SHARP/AQUOS(アクオス) | 60以上 | 60以上 |
| TOSHIBA/REGZA(レグザ) | 43以上 | 50以上 |
表示された数値が、お使いのテレビメーカーの推奨する基準値を下回っている場合、電波の受信状況に何らかの問題が発生していると判断できます。
2.ブースターの電源や利得調整が適切か確認する
お住まいの地域が電波の弱いエリア(弱電界地域)であったり、複数の部屋でテレビを視聴していたりする場合、アンテナとテレビの間に「ブースター(増幅器)」が設置されていることがあります。
正しく作動しないとテレビの映りが悪くなる原因になるので、以下のポイントを確認しましょう。
- パイロットランプが点灯しているか
- 利得(ゲイン)調整ツマミが「最小」になっていないか
- テレビへ向かうケーブルが出力に正しく接続されているか
ただし、利得調整ツマミはむやみに最大にすれば良いというわけではありません。電波を増幅しすぎると信号が歪んでしまい、かえって画質が劣化することもあるので注意が必要です。
3.分配器の接続台数を減らしてみる
分配器は、電波を分ける数が増えるほど、一台あたりの電波が弱くなる性質があります。受信レベルがぎりぎりの状態で多くのテレビに電波を分配していると、電波不足で全てのテレビの映りが悪くなる場合があるので、以下の作業を行いましょう。
- 分配器の出力を1つだけに絞る
- テレビの映りを確認する
テレビの台数を増やした途端に全体の映りが悪くなった場合、分配による電波の減衰が受信レベルの許容量を超えてしまった可能性が高いです。より性能の良い分配器に交換するか、前述のブースターを設置して、分配による減衰を補いましょう。
4.地デジアンテナを受信性能の高いものに交換する
地デジアンテナ本体の「経年劣化」や、お住まいのエリアの電波強度に対して「アンテナの受信性能が不足している」場合、電波の受信性能が高いアンテナの交換も検討する必要があります。
主な地デジアンテナの種類は、下記のとおりです。
| 地デジアンテナの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 八木式アンテナ | ・魚の骨のような形状で、受信性能が高いのが特徴 ・電波の弱い地域でも安定した受信が期待できる |
| デザインアンテナ | ・建物の外観を損なわないスタイリッシュな形状 ・電波の強い地域への使用が向いている |
| ユニコーンアンテナ | ・ポール状の新しいタイプのアンテナ ・デザイン性と受信性能のバランスが優れている |
電波の弱い地域に住んでいる場合や、アンテナ自体が10年以上経過して劣化したときは、受信性能の高いアンテナに交換するのが最適です。ただし専門知識やスキルが必要なため、アンテナ専門の工事業者に電波状況を測定したうえで、最適なアンテナを提案してもらいましょう。
自力でテレビの電波障害が解消できないときの問い合わせ先
自分で対処法を試しても改善しない場合は専門の窓口、またはアンテナ工事の専門業者に相談しましょう。原因によって相談先が下記のように変わります。
| 問い合わせ先 | 該当する原因 |
|---|---|
| 自治体の窓口(建築指導課など) | 近所の工事や新しい建物が原因 |
| (一社)700MHz利用推進協会 | 「700MHz電波障害」のチラシが投函されていた |
| 総務省総合通信局 | 原因不明の電波干渉(無線など)が疑われる場合 |
| アンテナ工事の専門業者 | 自宅のアンテナ設備が原因 |
1.自治体の窓口(建築指導課など)
近所で高層マンションの建設やクレーンを使った工事が始まってからテレビの映りが悪くなった場合、工事による「遮蔽障害」が原因の可能性があります。市区町村の担当窓口に相談して調査を依頼しましょう。
主な担当部署は建築指導課や都市計画課などです。
連絡先情報はお住まいの自治体のホームページに載っていることが多いです。
2.(一社)700MHz利用推進協会
スマホや携帯電話の電波が干渉してしまう700MHz電波障害が原因でテレビの視聴に影響が出るケースがあります。一般社団法人「700MHz利用推進協会」に問い合わせると、無料でテレビ受信障害対策を実施してもらえるでしょう。
主に行う作業は、干渉電波を遮断するフィルターの取り付けや、テレビの電波だけを増幅する仕様のブースターへの交換などです。
電波発信が始まる前に対象エリアの家庭に向けて、対策作業について案内するチラシが配られます。チラシが見当たらない場合でも、公式サイトで対象エリアの確認や問い合わせが可能なので利用しましょう。
3.総務省総合通信局
アマチュア無線や飛行機、ヘリコプターなどの電波が干渉してテレビ視聴に支障が出ている場合は、総務省管轄の各地の総合通信局に相談しましょう。
不法に開設された無線局(違法無線)の取り締まりやテレビ、ラジオの受信に関する電波障害の調査やアドバイスを行っています。
4.アンテナ工事の専門業者
自宅のアンテナや配線が原因でテレビの電波障害が発生している場合、アンテナ工事の専門業者に調査と修理を依頼しましょう。調査や修理費用は作業内容によって異なり、相場は下記のとおりです。
| 作業内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 八木式アンテナの取り外し・交換 | 33,100円~42,500円 |
| デザインアンテナの取り外し・交換 | 38,500円~46,300円 |
| アンテナの点検・角度調整 | 11,600円~16,500円 |
| アンテナ点検+地デジブースターの設置 | 18,000円~26,300円 |
※ミツモアにおける地デジアンテナの修理工事費用の見積もり価格を参考(2024年1月~12月)
テレビアンテナの設置場所によっては、3,000円〜12,600円の追加費用がかかる業者があります。必ず複数の業者から見積もりを取って、料金や作業内容を比較したうえで選びましょう。
テレビの電波障害が改善できないときはプロへ相談しよう

テレビの電波障害は、携帯電話の電波や他の電波の干渉などの要因で発生します。原因が特定できれば、自治体や総合通信局などへ問い合わせることで解消できる一方で、高層の建物や樹木などによって電波が遮られているときは、アンテナの向きや高さの調整が必要です。
ミツモアなら、豊富な経験や知識を持ったアンテナ工事業者が数多く登録しており、簡単な質問に回答するだけで、最大5つの業者から見積もりが届きます。料金や口コミで比較できるだけでなく、不明な点などはチャットで相談できるので、安心して最適な業者が見つかるでしょう。
