「テレビが突然映らなくなった!」「エラー表示が出た!」
そんなとき、原因のひとつとして考えられるのが電波障害です。
本記事では、電波障害とは何なのか、どんなときに起こってしまうのか、どこに相談したらよいのかを解説していきます。
テレビの電波障害とは?
テレビにおける電波障害とは、障害物や他の電波などの影響で正常に電波が受信できなくなることです。
ビルやマンションなどの建築物にさえぎられたり、アマチュア無線などの電波が干渉したりして、電波塔から発信されたテレビ放送の電波がアンテナにうまく届かなくなったり、テレビ放送ではない電波を間違って受信してしまったりするのです。
電波障害が起こった場合、特定の家庭だけでなく周辺地域一帯のテレビ視聴に影響が出ます。
電波障害によってテレビにあらわれる症状
電波障害が発生すると、その地域ではテレビが正常に視聴できなくなってしまいます。具体的には、以下のような症状が多く見られます。
- ブロックノイズが発生する
- 画面が真っ暗になり、E202エラーが表示される
- 画面がフリーズする
それぞれ画面がどんな状態になるのか見ていきましょう。
ブロックノイズがあらわれる
テレビの映像の一部または全部が乱れ、四角いブロック状のモザイクになってしまう。映像のみ乱れる場合、映像と音声どちらも乱れる場合がある。 地デジ放送において発生するのはほぼすべてブロックノイズ。 |
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画面が真っ暗になり、E202エラーが表示される
急に映像が映らなくなり、エラーメッセージが出る。 E202は電波がうまく受信できていないときに表示されるエラーコード。 |
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画面がフリーズする
映像が固まってしまう。 |
ちなみにアナログ放送時代には以下のようなノイズ現象がよく発生していましたが、デジタル放送に完全移行した現在では見られなくなりました。
- ゴースト・・・映像に残像があらわれる。
- ビート・・・映像に縞模様のノイズが入る。
- スノーノイズ・・・映像にざらざらした斑点状のノイズが入る。砂嵐とも呼ばれる。
E202エラー、ブロックノイズについては以下の記事でも詳しく解説しています。電波障害かどうかわからないけれどこのような症状が出たという場合は、こちらも参考にしてみてください。
デジタル放送になってから電波障害は減っている
地デジ放送はアナログ放送と比べて電波が強く、映像の送信技術も向上したため、電波障害は格段に起きにくくなりました。
特に障害物に電波が反射してしまう「反射障害」は、デジタル放送においてはほとんど起きません。一方で障害物を通過することで電波が弱まってしまう「遮蔽(しゃへい)障害」はまだ発生することがあります。
建築物が原因で電波障害が発生した場合は、基本的に建築主の責任で共同アンテナの設置やケーブルテレビ線の開設などの電波障害対策を行うことになります。
電波障害かどうかを見分ける方法
テレビが映らない原因は、電波障害だけではありません。
アンテナの不具合の場合もあれば、テレビ自体の不具合の場合もあります。
原因が違えば対処方法も違ってきますので、まずは電波障害かどうかを見分ける方法をご紹介します。
また、エラーコードや、映像・音声の状態からテレビ不調の原因を判断する方法はこちらの記事に記載しています。
アンテナレベルを確認
テレビにブロックノイズが発生したり、エラーが出て映らなくなってしまった場合は、テレビの設定画面からアンテナレベルを確認してみましょう。
アンテナレベルは電波の受信強度を示す数値で、これが低くなっているとうまく電波が受信できていないことを意味します。
SHARPのAQUOSを例に挙げて、アンテナレベルを確認する方法を紹介します。
アンテナレベルの確認方法
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他メーカーのアンテナレベルの確認方法や数値の目安については、以下の記事を参考にしてみてください。
テレビが映らない範囲を確認
電波障害は、範囲の差はあれど基本的に近隣の地域一帯でテレビが映らなくなります。1つのテレビでノイズやエラーが出てしまった場合は、まず自宅の他のテレビや周りの家のテレビが映るか確認し、影響範囲を確かめてみましょう。
①家にある他のテレビは映る場合:電波障害ではない
同じ家にテレビが複数台あり、どれかひとつだけが映らないのであれば電波障害ではありません。
アンテナや映らないテレビ本体、配線に問題があるはずです。
室内のテレビ本体やケーブルの接続状況に異常がなさそうな場合は、アンテナ工事業者に調査を依頼しましょう。
③同じ建物内のテレビは全て映らないが近隣の家のテレビは映る場合:電波障害ではない
マンションなどの集合住宅の場合、1つの共同アンテナで受信した電波を各部屋に分配していることが多いです。そのマンション内のテレビのみが映らないときは、共同アンテナやその配線に異常が疑われます。
共用部の設備については管理会社に相談しましょう。
②近隣地域もテレビが映らない:電波障害
近隣地域一帯でテレビの映りが悪くなっているのなら、電波障害の可能性が高いです。
近所に住んでいる人にも、テレビが映らないかどうかを確認してみましょう。
電波障害の際の相談窓口については電波障害はどこに問い合わせたらいいの?をお読みください。
テレビで電波障害が起きる原因
電波障害が起こる原因は、主に以下の通りです。
- 近くに建物や木などの障害物がある
- 近くに強い電波の発信源がある
- 携帯電話の700MHz帯電波がテレビ電波に干渉している
- 大雨や大雪などの悪天候
それぞれの原因について、なぜ障害が起きるのか解説します。
近くに電波をさえぎる障害物がある
中高層の建物や工事のクレーン車、山、木などの障害物に電波がさえぎられると、アンテナに届く電波信号が弱くなり、安定してテレビが視聴できなくなります。
テレビの電波は直進する性質を持っています。電波塔からアンテナまでの進路に物理的な障害物があると、通過するときに電波が弱まる「遮蔽(しゃへい)障害」が起きるのです。
アナログ放送時代の電波は障害物にぶつかって跳ね返る「反射障害」が発生することがありましたが、現在のデジタル放送の電波ではあまり起こりません。
近くに強い電波の発信源がある
アンテナの周囲にテレビ放送以外の強い電波の発信源があると、電波が混線して正しいテレビの電波が受信できなくなってしまうことがあります。
具体的には、アマチュア無線の電波、自衛隊などの基地から発信される電波、飛行機やヘリコプターが地上と通信する電波などです。
また送電線の故障が原因で、電波障害が起きている場合もあります。高電圧送電線がショートした際の放電によって、電波が発信されてしまうこともあるのです。
さらに、家電などのモーター類から発生する電波も電波障害の原因の一部となる場合があります。
700MHz電波障害の影響を受ける地域である
一部の地域では、スマートフォンや携帯電話の電波がテレビの電波に干渉する「700MHz電波障害」が発生する可能性があります。
アナログ放送からデジタル放送へ移行したことで、それまで使っていた一部の電波帯(700MHz帯)に空きが出ました。スマートフォンの普及に伴いデータ通信量が増加したことから、現在は空いた電波帯がスマホや携帯電話の通信に利用されています。
この700MHz帯は地デジ放送で使われている電波帯に近いため、携帯電話基地局の近隣にある建物では、テレビのブースター(電波を増幅する装置)が地デジ以外の電波も増幅してしまい、電波障害が起こることがあるのです。
テレビの受信障害の原因が700MHz帯の電波の干渉だった場合、一般社団法人700MHz利用推進協会というところが無料でテレビ受信障害対策を実施してくれます。
電話番号:0120-700-012
受付時間:9:00~22:00 (年中無休)
大雨や大雪で電波が反射・吸収される
大雨や大雪の影響を受けて電波の受信がうまくできなくなることもあります。
特に衛星放送(BS/CS放送)の電波は、雨や雪に吸収・反射されやすい性質があり、悪天候のときには映りが悪くなる確率が高いです。
また台風などの激しい悪天候のときには、電波障害以外にも、強風や飛来物によってアンテナがずれたり故障したりしてしまう可能性があります。
テレビで電波障害が発生しやすい地域
電波障害は特定の地形や都道府県で発生しやすい傾向があります。
テレビの電波障害が疑われる自分の住んでいる地域は電波障害が起きやすい場所なのかどうか、確認してみましょう。
盆地や山岳部は電波障害が発生しやすい
電波の送受信を邪魔するのは、高い建造物だけではありません。放送局とアンテナの間に高い樹木が立っている場合なども、電波障害が起きる恐れがあります。
近くに背の高い木がなくとも、そもそも住んでいる地域が山岳部や盆地であれば、電波は周囲の山や木に邪魔され、届きにくくなるのです。
テレビ設置後に電波障害が見られるようであれば、設置されているアンテナの高さを変える、受信する力がより強いアンテナへと取り替えるなどで対処しましょう。
沖縄県には電波障害が多い!
電波障害が多いエリアといわれているのが沖縄県です。その理由は、飛行機やヘリコプターが米軍基地周辺を頻繁に飛び回るためです。
飛行機などから発信される通信電波がテレビの電波を妨害してしまうため、
実際に防衛局が受信状況を調査したところ、特定の建造物・区域で電波障害が発生し、画面が乱れたり黒くなったりしていたそうです。
電波障害はどこに問い合わせたらいいの?
「この状況はきっと電波障害だろう」そう思っても、どこに報告・相談したらよいかわからないと迷ってしまうかもしれません。
電波障害は、その原因や状況によって相談先が異なります。
- 工事や障害物が原因:自治体の建築課などの窓口
- 700MHz電波障害が原因:一般社団法人 700MHz利用推進協会
- テレビ以外の電波の干渉が原因:NHK受信相談窓口や総合通信局
それぞれの連絡先を紹介します。
工事や障害物が原因:自治体の窓口
近隣の工事や、新しく建設された建物などの障害物が原因でテレビに電波障害が発生した場合は、自治体の建築指導課に相談して調査を依頼しましょう。
連絡先情報はお住まいの自治体のホームページに載っていることが多いです。「○○市 建築指導課」などと検索してみてください。
700MHz電波障害が原因:(一社) 700MHz利用推進協会
スマホや携帯電話の電波が干渉してしまう700MHz電波障害が原因でテレビの視聴に影響が出た場合、700MHz利用推進協会に問い合わせると、無料でテレビ受信障害対策を実施してくれます。
主に干渉電波を遮断するフィルターの取り付けや、テレビの電波だけを増幅する仕様のブースターへの交換といった方法がとられます。
電話番号:0120-700-012(9:00~22:00/年中無休)
Web問い合わせフォーム:テレビ受信障害ご相談受付 |
その他の電波干渉が原因:NHK受信相談窓口や総合通信局
アマチュア無線や飛行機、ヘリコプターなどの電波が干渉してテレビ視聴に支障が出ている場合は、NHKの相談窓口や総務省管轄の各地の総合通信局に相談してみましょう。
NHKを視聴している場合は、NHKの受信相談窓口を利用することができます。
東北にお住まいの方なら東北総合通信局、関東にお住まいの方なら関東総合通信局のように、地方によって問い合わせ先が異なります。各地の総務省通信局でも電波障害の状況の把握や改善を行っています。
下記の総務省電波利用ホームページから、お住まいの地域の通信局「受信障害(テレビ・ラジオ)」のダイヤルに問い合わせてみてください。
NHK | ナビダイヤル:0570-00-3434
受付時間:9:00~18:00 (年末年始を除く土日・祝日も可) |
総合通信局 | 総務省電波利用ホームページ 総合通信局の管轄地域と所在地(お問い合わせ先) |
電波障害の影響を防いで快適にテレビを見るために
ケーブルテレビ・光回線を契約する
近隣の建物や地形の影響で電波を受信しにくい場合は、ケーブルテレビ回線や光回線に切り替えることがおすすめです。
これらのサービスは電波状況の安定した場所で、性能の高いアンテナを使って電波を受信し、ケーブルを使って各家庭に電波を送信しています。
そのため、各家庭のアンテナに比べて障害物や妨害電波の影響を受けにくいのです。
アンテナを受信性能の高いものに交換する
受信側の環境が不安定だと、少し電波が乱れただけでテレビの視聴に影響を及ぼす可能性があります。
アンテナが劣化していたり、受信性能の高くないアンテナを使用したりしている場合は、新しく性能の高いものに交換しておくと安心です。