1990年代までテレビ番組は地上アナログ放送が主流で、その視聴に必要なVHFアンテナが各家庭に設置されていました。地上アナログ放送が終了した今、VHFアンテナに使い道はあるのでしょうか?
これからのVHFアンテナの取り扱いについて紹介します。
VHFアンテナとUHFアンテナの違い【用途と見た目】
写真のように、屋根の上によくついているテレビを受信するアンテナには、VHFアンテナとUHFアンテナがあります。
昔はVHFアンテナが主流でしたが、現在はUHFアンテナが使われています。
VHFアンテナとUHFアンテナはどう違うのでしょうか?
地上アナログ放送用のVHFアンテナ
VHFアンテナは「地上アナログ放送」の電子信号を受信するために設置されていました。同じアンテナでも現在主流の「地上波デジタル放送」は、VHFアンテナでは視聴できません。
VHFとは「Very High Frequency」の略で、周波数30MHz~300MHzの電波を受信します。
地上デジタル放送で使われている周波数帯はこれとは異なるため、VHFアンテナでは地デジは視聴できません。
地デジに対応したUHFアンテナ
現在主に使用されているアンテナは「UHFアンテナ」です。
UHFとは「Ultra High Frequency」の略で、VHFよりもさらに短い極超短波の電波を受け取ります。
受信する電波の周波数は300MHz~3GHzで、地デジではこの周波数帯が使われています。
極超短波は無線や携帯電話などの短い距離間で通信できるものにも使われ、電波の波長が短いことからアンテナを小型化できるのがメリットです。
地デジを視聴するためのUHFアンテナには「八木式アンテナ」「平面アンテナ」「室内アンテナ」の3種類があり、電波環境やデザイン性で選べます。VHFアンテナは屋外設置が基本でしたが、平面アンテナや室内アンテナといったUHFアンテナは室内に設置しても電波の受信が可能です。
UHFアンテナの機能や設置方法をざっくりと知りたい方はこちら▽
八木式アンテナ・平面アンテナ・室内アンテナそれぞれの違いや選び方を知りたい方はこちら▽
UHFアンテナとVHFアンテナの見分け方
VHFアンテナもUHFアンテナも棒状の形をしているため、一目見ただけでは違いがよくわからないかもしれません。
違いとしてはVHFアンテナのほうが幅があり、電波を受信する「素子」の長さが均一ではありません。
また、UHFアンテナはシャープで矢印のような形をしています。
魚の骨で例えるとVHFアンテナはヒラメで、UHFアンテナはサンマのような形です。
UHFアンテナ | VHFアンテナ | |
写真 | ||
特徴 |
VHFアンテナに使い道はある?
VHFアンテナで受信できる地上アナログ放送用電波がなくなり、テレビの受信はUHFアンテナに取って代わられました。では、もうVHFアンテナに使い道はないのでしょうか?
ここでは、VHFアンテナをテレビ視聴以外に利用できる方法を紹介します。
FMラジオのアンテナに代用可能
テレビ用電波は受信できませんが、VHFアンテナはFMラジオの視聴環境を改善するのに使えます。FMラジオの電波はVHFアンテナが受信できる電波の周波数帯であるため、VHFアンテナはラジオアンテナの代用として使用可能なのです。
本来はテレビとつないでいたVHFアンテナを、FMラジオにつなげばノイズが入りにくくクリアに視聴できます。ラジオ用のアンテナを購入するのもよいですが、もし自宅にVHFアンテナがある場合は再利用するといいでしょう。
ただし、VHFアンテナが屋根の上に設置されたまま残っている場合、アンテナはテレビ局の方向に向いています。視聴したいラジオ局の方向に向け直さないと電波がうまく受信できないため、利用前にはアンテナの向きの調整する必要があります。
使わなくなったVHFアンテナを放置するのは危険!
地上波デジタル放送に完全移行する際、何らかの事情で屋根にVHFアンテナを残したままUHFアンテナを設置した家庭も見られます。VHFアンテナがあっても地デジを見るのに問題はありませんが、残したままだと予期せぬ危険が発生するかもしれません。
今ご家庭にあるVHFアンテナが役目を終えたのは、少なくとも地デジ放送に完全移行した2011年よりも前ということになります。
アンテナの寿命は約10~15年といわれているため、屋外に設置したままだと老朽化して暴風雨や地震などで折れたり落下したりする恐れがあるのです。
折れたアンテナは、近隣住宅に直撃する可能性もあり、損害賠償にもつながりかねません。
また、アンテナのサビが屋根についたり雨とともに外壁をつたって流れたりと、外観を汚してしまう危険もあります。
とくに使う目的がないのであれば、安全のためにもVHFアンテナは撤去しましょう。
アンテナ撤去はプロに頼もう
アンテナの撤去は高所での作業となるうえ、素人が配線を扱うのは難しいです。アンテナ撤去のために業者の力に頼るメリットと、アンテナを撤去するのにかかる費用はどのくらいか見てみましょう。
個人で撤去するのは難しい!
重たいアンテナを高所で取り外すのは、非常に困難な作業です。
VHFアンテナは軽いもので1㎏程度、重いものになると5㎏以上にもなります。
屋根の上でこの重量のアンテナを取り外すのは大変危険といえます。
費用はかかりますが、VHFアンテナの撤去は業者に任せる方が安心です。
アンテナ撤去作業の流れ
アンテナを撤去する際、業者が行う作業内容はどんなものなのでしょうか。
あらかじめ作業手順を知っておいた方が、業者に相談する際や業者を選ぶ際に便利ですよね。
ここではおおまかなアンテナ撤去の流れをご紹介します。
【手順】
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撤去・新規設置にかかる費用の目安
業者にVHFアンテナの撤去を依頼した場合、
- アンテナ撤去だけだと6,600円程度
- アンテナの処分費や高所作業費なども含むと、合計10,000〜15,000円程度
が相場です。
VHFアンテナを撤去したあとに新たなアンテナを設置する場合は、新しいアンテナの本体代と取り付け工事の費用もかかります。八木式アンテナの場合は工事費込みで15,000~30,000円程度、デザインアンテナだと少し高く20,000~35,000円程度です。
詳しい費用相場については以下の記事も参考にしてみてください。
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