同軸ケーブルとは、電気通信に使われるケーブルの一種です。
テレビの周辺機器の接続にも使われるアイテムですが、実は多くの種類があることをご存じでしょうか?テレビのノイズや映りの悪さなどのトラブルに悩まされている方は、もしかしたら適切な同軸ケーブルで接続していないことが理由かもしれません。
同軸ケーブルの構造や種類、テレビの配線にあたって同軸ケーブルを選ぶときのポイントを分かりやすく解説します。
同軸ケーブルとは?構造や種類を解説
家電量販店などで「同軸ケーブル」という商品を見ることがあると思いますが、どんなケーブルで、何に使うかを把握するのは意外と難しいものです。同軸ケーブルの概要や用途について説明していきます。
同軸ケーブルは通信ケーブルの一種
同軸ケーブルとは、高周波の電気信号を送信するための通信ケーブルの一種です。信号を伝える銅線を軸に、その周りを複数の材質の管が覆うつくりをしており、断面は同心円を何層にも重ねたように見えます。
特徴として挙げられるのは、ケーブルが柔軟である点、電磁波が外に漏れにくい点などです。
同軸ケーブルの構造
同軸ケーブルは、軸である内部導体(銅線)をポリエチレン等でできた絶縁体、アルミ箔やメッシュ状の銅線である外部導体(シールド)、塩化ビニルの被膜が取り囲む構造です。
絶縁体や外部導体の材質や層の数の違いによって、多くの種類に分かれています。
同軸ケーブルの種類
同軸ケーブルはテレビの接続や無線通信をはじめとして、電気通信に幅広く用いられていますが、用途によって種類を使い分ける必要があります。
- インピーダンス
- ケーブルの太さ
- 内部の材質
インピーダンスとは交流回路における電流の流れにくさを表す数値で、Ω(オーム)という単位であらわされ、主に無線通信に使われる50Ωと、主にテレビ機器の接続に使われる75Ωの2種類があります。
無線用で主に使われる50Ωの同軸ケーブルは、防災無線として災害時に出番が多くなります。このほか耐熱用、漏洩用、監視カメラ用、電力線の搬送用などさまざまな場面で使われています。
同軸ケーブルの品番表記の見方
同軸ケーブルは、アルファベットと数字を組み合わせた品番で規格が表現されています。
それぞれの文字に意味があり、知っていると規格を見ればそのケーブルの性能がある程度判別できて便利です。
①対応周波数 | BS/CS放送対応であれば「S」がつき、非対応であれば何もつかない |
②ケーブルの太さ | 3C:直径約5.4mm、4C :直径約6mm、5C:直径約7.7mm |
③ケーブルのインピーダンス | C:75Ω(テレビ用)、D:50Ω(無線用) |
④絶縁体の種類 | 2:ポリエチレン、F:発泡ポリエチレン、HF:高発泡ポリエチレン |
⑤編組線の種類 | B:アルミ箔テープ付編組線、V:一重編組、W:二重編組、T:三重編組 |
ケーブルを通す場所やケーブルの長さによって適切な太さが変わります。詳しくは3C、4C、5C・・・適切な太さ・長さのケーブルを選ぶをご覧ください(ページ内にジャンプします)。
二重編組とは、外部導体である編組が二重(二層)になっていることです。一般的に層が増えるとノイズが軽減されます。
テレビ用同軸ケーブルの選び方!4つのチェックポイント
テレビ用に同軸ケーブルの購入を検討する場合、どのように選べばよいのかいまいちわからないという方もいるのではないでしょうか。
自宅のテレビの仕様や電波の受信環境に適した同軸ケーブルを選ぶポイントをお伝えします。
インピーダンスは「75Ω」がテレビ用
アンテナとテレビをつなぐ同軸ケーブルを選ぶ際には、特性インピーダンスが「75Ω」もしくは「テレビ用」と表記されているものを選ぶようにしましょう。
「S-5C-FB」と書かれている商品ならば「C」の部分が75Ωであることを表します。
層が多いほどノイズが少ない
同軸ケーブルの断面図を見ると、四つの層からできているのが分かります。内側から順に内部導体・絶縁体・外部導体・保護被覆となっています。
ただし中には、外部導体の層が増えた5層のもの、6層のものも販売されており、これらの製品はノイズが軽減されるのが特徴です。理由は、層が増えた分、外部のノイズから中心軸が守られるためです。
ほかにもアルミ箔が巻かれている商品などもあり、漏洩が少なくなるなどのメリットがあります。
3C、4C、5C・・・適切な太さ・長さのケーブルを選ぶ
同軸ケーブルの太さにはさまざまな種類があり、「3C」「4C」「5C」といった表記で表されます。直径が大きい、つまり太いほど外側の保護層が厚く、ケーブルを通るときに電波が弱まるのを防ぐことができる一方で、曲がりにくく扱いづらいです。機器をつなぐ距離に応じて使い分けるとよいでしょう。以下の表の太字部分は一般家庭でのテレビ機器の接続によく使われる規格です。
ケーブルの直径 | 適切なケーブルの長さ | 推奨用途 |
3C | 3m以下 | アンテナ部品やチューナー間の接続など、短距離の接続 |
4C | 10m以下 | コンセント~機器間など、テレビ配線におけるメイン使用 |
5C | 10~20m | 一戸建てのアンテナ~コンセント、部屋間の接続 |
7C | 20~50m | ビル、集合住宅などの共用配線 |
10C | 50m以上 | 建物間の配線、共聴用架線 |
視聴したい放送(地デジ、BS/CS、4K・8K)に合ったものを選ぶ
地デジやBS/CSといった放送の種類、アンテナ、ケーブルテレビといった電波の受信方法それぞれに対応した同軸ケーブルがあるので、視聴する放送や自宅の電波受信方法に合ったケーブルを選ばなくてはいけません。
また自宅のテレビで4K・8K放送を視聴している場合は、4K・8K放送に対応している同軸ケーブルを選びましょう。
4K・8K放送の配信にはこれまでよりも高周波の帯域が利用されていますが、周波数が高くなればなるほど、電気信号の減衰が起きやすくなるため、4K・8K非対応の同軸ケーブルではうまく受信できない可能性があります。
大抵の場合はパッケージに書いてありますので、購入前にチェックしましょう。
コネクタの種類にも注意
今までは「ケーブル」の材質や太さの違いの話をしてきましたが、ケーブルは「コネクタ」とセットで使われます。快適な受信環境を実現するためには、ケーブルだけでなくコネクタも正しいものを選ばなくてはなりません。コネクタも製品により多くの種類があり、間違った形のものを買ってしまうと接続できないので注意しましょう。
同軸コネクタとは
同軸ケーブルと家電などをつなぐパーツが同軸コネクタです。主な役割は、高周波の信号を少ない損失で送受信することです。
何につなげて使用するかによって、必要なコネクタの形が異なります。しかしそれぞれの形状は国際規格で決まっているので、違うメーカーのものでも使うことができます。
ケーブル以上に、同軸コネクタは精密な部品です。取り扱いには細心の注意が必要ですし、経年劣化も発生するため見落とさないように気を付けなければいけません。
製品によって多様な種類がある
同軸コネクタは、接続先に応じていくつかある種類の中から使い分けていきます。
たとえば、AV機器に接続するときは「BNCコネクタ」という形状のものをよく用います。ほかの種類よりも小さめです。
無線機器に使われ、防水機能を有しているのは「Nコネクタ」です。サイズは大きく、N型とも呼ばれます。
ラジオやトランシーバーには、「SMAコネクタ」が使われます。
似た形状でテレビによく使われるものに「F型コネクタ」もありますが、直径が僅かに違うので注意です。
ほかにも多くの同軸コネクタがあり、衝撃に強いものや耐電力性のあるものなど特徴もさまざまです。
テレビで使われるのはF型が多い
現在のテレビにおいて、F型コネクタのケーブルや端子は「アンテナ線」「アンテナ入力」「アンテナ端子」と呼ばれることもあります。テレビとアンテナをつなぐコネクタです。
価格の安さが魅力的ですが、防水仕様のものとそうでないものがあり、屋外で使用する際は防水のものを選ばないと劣化が早まる恐れがあります。
また、同軸ケーブルと同軸コネクタを別々に購入する場合は、ケーブルと同じ太さのF型コネクタを選ぶ必要があります。5C同軸ケーブルには、5C用のF型コネクタでなければ使用できません。
差し込む場所に合わせたプラグの形状を選ぼう
「NBCコネクタ」「F型コネクタ」などコネクタの種類がわかったら、次はプラグの形状を見てみましょう。
※コネクタとプラグの違いって何?
「プラグ」はケーブルの差す側のことです。差し込み口の側は「ジャック」といいます。プラグとジャックを合わせた、ケーブルと機材をつなぐ部分全体を「コネクタ」と呼ぶのです。 |
同軸ケーブルのプラグの形状は主に3種類あります。接続する装置の場所や向きによって、適切な形状が異なります。
L字型プラグは、差込口がテレビの横など垂直面についている場合に適しています。
ストレートプラグは、差込口が下に向いている場合などに使われます。
ネジ式プラグは、差込口がネジ切りになっている場合に使える形で、抜けにくくすることができます。
用途に適した同軸ケーブルを選ぼう
同軸ケーブルには多くの種類がありますが、規格が何を意味しているかや何の目的で使うかを把握していれば、正しい商品を選ぶことができるでしょう。
同軸コネクタも併せて購入し、テレビなどを視聴する際にノイズが入りにくい環境を整えることで、快適な暮らしを送ることができます。
テレビの配線に困ったらプロに依頼を
同軸ケーブルは多くの種類があり、自宅の環境に合ったものを選んでテレビの配線・設置を行うのは難しく感じるかもしれません。
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