地デジが受信できる室内用アンテナは、設置工事の手間がなく、外からアンテナが見えないのが魅力。ただし室内で電波を受信できるかどうかは地域の電波強度や窓の方角などの条件に左右されます。
この記事では、自宅で室内アンテナが使えるのか確認する方法や室内アンテナの選び方、おすすめ製品まで紹介します。
地デジ用室内アンテナの特徴
室内アンテナのメリット
室内アンテナは屋外タイプの八木式アンテナと比べて、家の美観を損ねにくいのが魅力です。形やデザインの種類も豊富なので、部屋の雰囲気に合わせたアイテムを選びやすいでしょう。
屋外に設置するタイプは強風や大雪などの悪天候で落ちたり劣化したりするリスクがありますが、部屋の中に設置するタイプなら外の環境に影響されません。
取り付けが簡単なのも人気の理由で、屋外設置型のような工事は必要ありません。よって室内アンテナは屋外アンテナよりも安価にすむこともメリットのひとつです。アンテナ本体も室内用は価格が低いです。
室内アンテナのデメリット
室内アンテナの弱みは、屋外タイプのアンテナよりも電波を受信する感度が低いことです。
地域によって室内アンテナでは受信ができないうえ、家の建材も電波の受信状況に大きく影響します。例えば、ソーラーパネルのある家で室内アンテナは使えないので注意してください。
室内アンテナを設置できる?自宅の電界強度・方角の調べ方
室内アンテナは屋外に設置するアンテナと比べて受信性能は劣ります。環境によって、室内アンテナでは正常に電波を受信できない地域もあるのです。
室内アンテナを設置するためには、以下の条件がそろう必要があります。
- 住んでいる地域の電波強度が高い
- 電波塔の方角に窓があり、あいだに障害物がない
その地域の電波強度は、強電界地域・中電界地域・弱電界地域と区分けされることが多いです。地域によって適切なアンテナの種類は異なるので、室内アンテナを買う前に、一度ご自宅の電波強度を確認しましょう。
具体的には次のような方法で調べることができます。
Webサイトで電波塔の位置を確認する
「一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)」は、Webサイト上で電波塔の位置情報を公開しています。お住まいの住所や郵便番号を入力すると、自宅がどの電波塔のエリアに入っているかが分かります。
ここでチェックしておきたいのは「自宅と電波塔との距離」と「自宅から見た電波塔の方角」。
一般的には電波塔との距離が近いほど電波強度が強いです。ただし、あいだに高層建築物などの障害物があると電波が遮られてしまうこともあるので、1つの目安として考えましょう。
自宅から見て電波塔のある方角に窓がついているかどうかも重要です。電波塔の方角に外壁があると、室内までは電波が届かない可能性が高いです。
周りの住宅のアンテナの種類を観察する
電波強度は電波塔との距離だけでなく、周りの住宅についているアンテナの種類や仕様をチェックすることでも推測できます。
屋外アンテナの代表的な種類は「八木式アンテナ」と「デザイン(平面)アンテナ」。八木式アンテナのほうが本体の受信性能が優れています。デザインアンテナを見かけず、ほとんどが八木式アンテナであれば、その地域は電波があまり強くないといえるでしょう。
さらに八木式アンテナ本体の大きさも指標になります。全長が大きく、魚の骨のような部品(素子)がたくさんついているほど、受信性能が高いことを示します。つまり、このような強力なアンテナばかりが立っている地域は、飛んでくる電波が弱いと推測できるのです。
ケータイのワンセグが受信できるか確認する
地デジとワンセグの電波は同じ電波塔から受け取るので、手持ちのワンセグ視聴ができるケータイやスマートフォンで電波の受信強度を調べることができます。
目安として、家の中のどこへ移動してもワンセグを受信できるのであれば、電波が強い地域(強電界地域)であると考えられます。逆に中電界~弱電界地域の場合は、限られた場所でしか映らないか、ほとんど受信することができません。
電波が強くない地域なら屋外設置のアンテナがおすすめ
強電界地域から外れてしまうエリアでは、室内アンテナによる電波受信は難しいです。屋外にアンテナを設置したほうが、安定してテレビ視聴を楽しめるでしょう。電波強度ごとにおすすめのアンテナの種類・電波受信方法を紹介します。
屋外にアンテナを設置する場合の費用は、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
【中電界地域】デザインアンテナの設置が可能
地デジのアンテナには「デザインアンテナ(平面アンテナ)」という、室内アンテナよりも受信感度の高い種類のアンテナもあります。
デザインアンテナは、ベランダなど部屋の外に設置する状況も想定して作られている製品が多く、屋外・屋内兼用として使えます。八木式アンテナと比べてモダンな見た目でカラーバリエーションも豊富なので、家の外観にこだわりたい方でも比較的取り入れやすいでしょう。
ただしデザインアンテナは外壁やベランダに穴を開けたり金具を取り付けたりして設置する必要があります。自力では難しい作業なので、機器の設置に慣れていない方はアンテナ工事業者に依頼しましょう。
【弱電界地域】八木式アンテナやケーブルテレビを推奨
山間部や近くに障害物が多い場所は電波が届きづらいです。テレビを安定して視聴するためには、室内アンテナやデザインアンテナでは受信強度が足りない可能性が高いでしょう。
あまりにも自宅付近の電波が弱いようなら、受信性能が最も良い八木式アンテナを立てるのが確実です。ブースターが内蔵された弱電界用のアンテナもおすすめです。
また、アンテナでの受信がそもそも難しいエリアでは、有線でテレビの電波を受け取るケーブルテレビを契約するという手段もあります。
室内アンテナの選び方!確認すべきポイント
アンテナを実際に選ぼうと思ったとき、商品情報にはいろいろな用語や数字が書いてありますよね。
ここでは、アンテナ関連の用語が何を指しているのかや、amazonなどのECサイトで購入する際の注意点を紹介するので、商品を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
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受信感度の高さは十分か
不具合なくテレビを見るには電波を受信する性能が重要です。アンテナの受信感度は「動作利得(ゲイン)」と「素子数」という2つの指標によって表されています。室内アンテナには、動作利得のみが書かれていることも多いです。
動作利得 単位:dB(デシベル)
数字が大きいほど受信感度は高くなりますが、大きすぎるとノイズまで拾いやすいので、地域の電波強度に合わせて適切な数値の製品を選びましょう。
必要な動作利得の目安は強電界で5dB程度、中電界では5〜10dB以上、弱電界では10dB以上とされています。
素子数
素子とは八木式アンテナの「魚の骨のような部品の数」のことを言います。この数が多いほど受信感度がよくなるのです。
デザインアンテナの場合、骨の数では表せないので「○○素子相当」という表現がされます。必要な素子数の目安は強電界で4以上、中電界では14以上といわれています。
ブースターが内蔵されているか
電界強度が弱い場合はブースターが内蔵されているタイプを選びましょう。ブースターとは、アンテナがキャッチした電波を増幅させる機器です。
設置してからブースターを別に買って付けるより、内蔵されたものを購入する方が安く済む場合もあります。
また複数のテレビを使っている家庭では分配器によって電波が弱くなってしまうため、強電界の地域でもブースターが必要になるケースもあるでしょう。
2台以上のテレビがあって映りが悪いと感じることが多いなら、ブースターを内蔵しているタイプを選んだ方が安心です。
ケーブルの長さが十分か
意外に見落としがちなのが、室内アンテナのケーブルの長さ。アンテナとテレビの設置場所がどれくらい離れているかによって必要なケーブルの長さが変わります。
テレビのすぐ近くにアンテナを置くのであれば3m以下で十分ですが、窓の反対側にテレビがあるなど、離れている場合は4~5m程度はほしいところです。
製品ごとに長さが異なるので、自宅ではテレビと室内アンテナがどれくらいの距離になりそうかチェックしておきましょう。
設置場所に合った形状はどれか【卓上型・ペーパー型】
室内アンテナには、大きく分けて「卓上型」と「ペーパー型」の2種類があります。どちらもテレビにケーブルでつなぐだけで簡単にセッティングが終わるため、初心者でも簡単に設定することができます。
この2つに自体、種類による性能の違いはありません。デザインの好みや、アンテナを室内のどこに設置したいかによって選ぶとよいでしょう。
卓上型
卓上型アンテナは平らな場所があればどこでも置くことができます。テレビボードや、近くのテーブル・棚の上に置いて使いたいときにおすすめです。
比較的コンパクトでデザイン性の高い製品が多く、インテリアを乱しません。
ペーパー型
ペーパー型は厚さが1cm以下ととても薄く、窓や壁に貼り付けて設置するタイプです。棚やテーブルになるべくモノを置きたくない方や、窓際にちょうど良い置き場所がない方におすすめです。
「UHF(地デジ)」対応の記載があるか
アンテナの商品情報に「UHF対応」「UHF/VHF対応」と書いてあることがありますよね。
「UHF」とは、地デジ放送に使われている電波のことです。「UHF対応」と書いてある場合「地デジ放送が視聴できます」という意味になります。
ちなみに「VHF」というのはアナログ放送に使われていた電波のことで、(めったにありませんが)VHFにしか対応していないアンテナでは、地デジ放送を見ることができません。
ただし、中古品ではまれにUHF対応でないものが販売されていたり、知人から古い室内アンテナを譲ってもらった場合に地デジ非対応だったりするケースがあります。購入・設置する前に、地デジ(UHF)対応の製品かどうか忘れずにチェックしましょう。
評価を偽装している製品には注意!
AmazonなどのECサイトで商品を買う際、気にするのが星評価や口コミですよね。中には「星5をつけると景品がもらえる」というキャンペーンをして、高評価の口コミが投稿されるように誘導し、ECサイト上での評価を故意に良く見せようとする企業もあるようです。
購入する際には、口コミに怪しい点がないかを念入りに見たり、製造元が信頼できる企業かどうかを調べるなど、慎重に選ぶことをおすすめします。
おすすめの室内アンテナ6選
家電量販店やネットではさまざまな種類の室内アンテナが販売されていますので、どれを選べばよいのか悩む人も多いでしょう。ここでは性能に優れたおすすめの室内アンテナ6選をご紹介します。
卓上タイプ
室内アンテナの代表的なタイプである卓上アンテナ。各社から多くの種類が出ており、見た目もさまざまです。
画像をクリックすると商品ページに飛びます。
DXアンテナ「US120AW」
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色:ブラック・ホワイト
動作利得:15~20dB(※ブースター利得) ブースター内蔵:〇
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日本アンテナ「ARBL1」 |
色:ブラック・ホワイト
動作利得:11〜17dB(※ブースター利得) ブースター内蔵:〇(atrendia)
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マスプロ電工 「UDF2A」 |
色:画像のカラーのみ
動作利得:13~20dB(※ブースター利得) ブースター内蔵:〇
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N NEWKOIN「室内アンテナ HDTV」 |
色:ブラック・ホワイト
動作利得:11〜17dB(※ブースター利得) ブースター内蔵:〇
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ペーパータイプ
壁や窓に貼り付けられる極薄タイプのアンテナ。卓上アンテナよりもやや製品バリエーションは少なめですが、高性能モデルも多く販売されています。
画像をクリックすると商品ページに飛びます。
ROBINER「室内アンテナ」 |
色:ブラック・ホワイト
ブースター内蔵:〇 受信範囲:最大240㎞
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iNNOVY 「地上デジタルアンテナ」 |
色:ブラックのみ
ブースター内蔵:〇 受信範囲:最大120㎞
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室内アンテナで電波をうまく受信するコツ
室内アンテナを設置する前に取り付け環境を確認しておかないと、環境によっては性能が落ちてしまう場合があります。自分で判断するのが難しいと感じたら、業者に相談するのがおすすめです。
テレビが映らない場合はこちらの記事をご覧ください。
窓際に置く
室内ではどうしても、電波が弱くなってしまいます。設置はできるだけ屋外に近い窓の近くがベストです。窓際であっても高層ビルや背の高い樹木がすぐ近くにあると、うまく電波を受け取れません。
外と室内は壁で仕切られているため、アンテナ周囲には隔たりになるものを置かないようにしてください。少しでも電波の感度をよくするために設置場所を工夫しましょう。
建物の素材によっても受信感度は変わります。ガラス素材は最も電波が通りやすく、コンクリートは電波を通しにくい建材です。
電化製品・金属・水からなるべく遠ざける
電力機器が近くにあると、電波に干渉してしまう可能性があります。
エアコン、ドライヤー、電子レンジなど、大きな電力を消費する機器からできるだけ遠ざけて設置するようにしましょう。
また金属は電波を跳ね返し、水は吸収してしまうため、アンテナ近くに金属製品や水の入った容器を置かないようにしましょう。
業者に相談するとより安心
電波塔から離れている場所に住んでいたり周辺に高い建物が多く建っていたりする場合は、設置前に業者に相談した方が安心です。電波環境を確認せずに室内アンテナを設置しても、実際に使えないケースがよくあります。
プロに確認を頼めば自宅の電波環境に合ったアンテナを購入できて、無駄がありません。アンテナを設置しても電波が不安定な場合は、同時にブースターの取り付けも依頼できるため自力で作業するより確実です。
業者に依頼するならミツモアがおすすめ
室内アンテナは屋外アンテナと違って場所を取らず、家の外観に影響を与えにくいのがメリットです。自力でアンテナを選定・設置するのが難しければ、専門知識を持つ業者に依頼して地デジの環境を整えましょう。
また室内アンテナの設置が難しい場合は、業者に依頼して屋外にアンテナを設置しなければなりません。
「ミツモア」ならいくつかの質問に答えるだけで複数の業者の見積もりを得ることができます。またプロにチャットで直接相談できるため安心できます。自分で調べる手間を省けて事前に見積もりとサービス内容が明確になるため非常に便利です。
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