引越し見積もりのやり方は、従来の「訪問見積もり」に加え、ネットで完結する見積もりやリモートでできる見積もりを選ぶ人が増えています。
- 訪問見積もりは、引越し業者が自宅に訪れて、荷物量や建物を調べるやり方です。
- ネットで完結する見積もりは、自分で必要な情報を入力して、自宅訪問なしで正確な複数の見積もりが取れます。
- リモートでできる見積もりは、スマホでビデオ通話を使った方法です。
初めて見積もりを依頼する人にもわかりやすいように、7種類ある引越し見積もりの具体的なやり方と流れ、費用を安く抑えるポイントについて解説します。
引越し見積もりのやり方は7種類
引越し見積もりは、複数の引越し業者を比較できる「ネット一括見積もり」と、1社に料金を出してもらう「引越し業者見積もり」にわかれます。
ネット一括見積もりは「訪問あり」と「訪問なし」の2種類、引越し業者見積もりは「訪問見積もり、ネット見積もり、リモート、電話、メール」の5種類です。
訪問ありの見積もりは、見積もり料金の正確性はありますが、他社との値引き前提で高めの見積もりを提示されたり、自宅内を細かく見られたりすることがデメリットです。
訪問なしの見積もりは、引越し業者が自宅に訪問する煩わしさはありませんが、正確に入力する手間があるため、荷物の少ない単身者のほうが適しています。
引越し見積もりのやり方次第で所要時間や料金の正確性が変わりますし、引越し業者からの営業電話や勧誘メールの有無も異なります。
やり方 | 一括・業者 | 自宅訪問 | 対象世帯 | 所要時間 | 料金の正確性 | 営業電話 | 勧誘メール |
ネット一括見積もり(訪問あり) | ネット一括 | あり | 単身・家族 | 5~15分+訪問 | 〇 | △基本あり | △基本あり |
ネット一括見積もり(訪問なし) | ネット一括 | なし | 単身・家族 | 5~15分 | 〇入力項目による | 〇なし | 〇なし |
訪問見積もり | 引越し業者 | あり | 単身・家族 | 30分~1時間 | 〇 | ✕あり | 〇なし |
ネット見積もり | 引越し業者 | なし | 単身 | 10~30分 | 〇入力項目による | △業者による | △業者による |
リモート見積もり(ビデオ通話見積もり) | 引越し業者 | なし | 単身・家族 | 30~45分 | 〇 | 〇なし | △基本あり |
電話見積もり | 引越し業者 | なし | 単身 | 30分前後 | △家族は難しい | ✕あり | 〇なし |
メール見積もり | 引越し業者 | なし | 単身 | 20~30分 | △家族は難しい | △業者による | ✕あり |
1. ネット一括見積もり(訪問あり)
複数の引越し業者が登録されているサイトを通して、1度に数社~十数社の相見積もりを取るやり方です。荷物量や引越し日時といった必要な情報を入力すると、登録した電話番号やメールアドレス宛てに複数の引越し業者から連絡が来ます。その際に提示された見積もり額は概算であり、あらためて訪問見積もりをすることが多いです。
ネット一括見積もり(訪問あり)のやり方
- 一括見積もりサイトで荷物量、建物、引越し日時などを入力する
- 電話番号やメールアドレスに、複数の引越し業者から連絡が来る
- 自分の条件に合う数社と現地見積もりの予定日を決める
- 訪問見積もり後に、正確な見積書を受け取る
- 各社の見積書を比較して、1社と契約する
サービスによっては複数の業者から「訪問後に正確な料金がわかります」と言われるのみで、料金をすぐに教えてもらえないことがあります。頻繁に営業電話や勧誘メールが届く可能性も注意しなければなりません。実際に利用する際はサイトの評判をチェックしましょう。
2. ネット一括見積もり(訪問なし)
入力作業が5~15分で完了するうえ、1回の入力にてWeb上で複数の見積もりを受け取れます。各引越し業者に個別に連絡する手間が省けます。
例えば、ミツモアではスマホやパソコンで簡単な質問に答えるだけで、すぐに条件に合った最大5件の引越し業者から見積もりを閲覧できることがメリットです。営業電話や勧誘メールが送られてこない仕組みのため、気軽に引越し業者の料金や口コミを比較できます。
ネット一括見積もり(訪問なし)のやり方
- ネット完結型の一括見積もりサイトで荷物量や建物の状況などを入力する
- メールアドレスやLINEに、複数の引越し業者から見積もりが届く
- 自分に最適な引越し業者を選んで、日時の候補日を指定する
- 引越し業者の承諾後、気になることはチャットでやり取りする
3. 訪問見積もり
訪問見積もりは引越し業者の営業担当者が自宅に訪れ、大型家具と家電、必要なダンボールの個数、引越し元と引越し先の環境を確認しながら、正確に見積もりをするやり方です。
荷物量に対する引越し料金に抜け漏れがなく、不明点や困ったことがあれば、その場で気軽に相談できる点がメリットです。サカイ引越センターやアリさんマークの引越社など、数多くの引越し業者が訪問見積もりサービスを提供しています。
訪問見積もりのやり方
- 引越し業者の公式サイトや電話にて、訪問見積もりの予約をする。
- 予約日に担当者が自宅へ訪問し、大型家財や荷物量をチェックする。
- 引越しの作業内容について、担当者から説明を受ける。
- 当日または後日、引越し料金の見積書を受け取る。
- 見積書の内容で問題なく、他社と比較しない場合は契約する。
訪問見積もりにかかる時間は30分以上であり、引越し業者とのスケジュール調整を含めると1時間ほどです。訪問日は必ず立ち会わないといけません。具体的には訪問見積もり当日の流れと注意点で解説します。
また「引越し業者に家の中をいろいろ見られたくない」や「部屋に知らない人が入るのは抵抗がある」という人は、抵抗を感じるケースも多いです。
その場合、単身者はWeb完結一括見積もりを利用しましょう。家族の引越しではビデオ通話見積もり(リモート見積もり)が人気であり、訪問なしで見積もりを取れます。
4. ネット見積もり(引越し業者)
引越し業者が運営しているネット見積もりサービスを通して、直接見積もりを依頼するやり方です。家財一式、住所、引越し日などの情報を入力するため、自分の荷物量をある程度把握していれば10~30分で入力が完了し、基本的に即時で料金がわかります。
ネット見積もり(引越し業者)のやり方
- 引越し業者のネット見積もりサービスで家財一式、住所、引越し日を入力する
- 引越し料金の見積もりがWeb上ですぐに表示される
- 見積もり内容で問題なければ、そのまま契約する
料金確認から契約までネット上で完結できるサービスを提供している引越し業者は、次の5社です。訪問見積もりはもちろん、電話によるやり取りも必要ありません。
引越し業者「ネット見積もり」 | 特徴 |
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ヤマトホームコンビニエンス「わたしの引越」 |
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日本通運「引越し単身パックL」 |
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サカイ引越センター「ササッと予約」 |
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アート引越センター「単身引越スイスイ!お見積り」 |
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アップル引越センター「ラクニコス」 |
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デメリットとしては、引越し業者によっては荷物が少ない単身者のみを対象としていたり、対象外の地域が多いといった利用制限があります。
また、複数の引越し業者から同時に見積もりを取れるわけではないため、料金を比べたい人は1社ずつ申し込む手間がかかります。
5. リモート見積もり(ビデオ通話見積もり)
ZoomやLINE、Google Meetをはじめとしたビデオ通話を使って、引越し業者のオペレーターに見積もりをしてもらうやり方です。一般的には「リモート見積もり」という名称でサービス提供している場合が多いです。
リモート見積もり(ビデオ通話見積もり)のやり方
- 引越し業者のリモート見積もりフォームで予約を取る
- 入力したメールアドレスにURL付きの予約情報が送られてくる
- 予約当日にURLを開いて、画面越しに部屋の様子を見せながら通話する
- 引越し業者の説明を受ける
- 当日あるいは後日に見積もりが送られてくる
引越し業者の営業担当を自宅に入れることなく、依頼主の都合に合わせて見積もりを受け取れます。訪問見積もりのように営業担当による勧誘が続いたり、電話やメールが何度も来るケースも少ないです。
リモート通話見積もりで有名な引越し業者のサービスは、次の3社です。日本通運などは原則リモート見積もりで料金を算出しています。
引越し業者「リモート見積もり」 | 特徴 |
アート引越センター「ミライ」 |
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日本通運「リモミ®」 |
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サカイ引越センター「まリモ」 |
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単身者だけではなく家族引越しの見積もりも利用できます。ビデオ通話アプリのインストールは基本的に不要で、設定は音声やカメラをオンにする程度です。
デメリットはビデオ通話見積もりを利用するために予約が必須なこと、Web上で30分程度部屋の様子を見せるため、本人が荷物を映し忘れると抜け漏れが発生します。見積もりは基本即時に提案してもらえますが、翌日になることもあります。
また、引越し業者によっては荷物量が多すぎたり、ネット接続が悪くて荷物量がわからなかったりすると、訪問見積もりが必要になります。
6. 電話見積もり
引越し業者のフリーダイヤルに電話をして、そのまま見積もりに進むやり方です。30分前後かけて口頭で荷物量を伝えて、引越し日を調整していきます。
訪問見積もりでは事前予約が必要でしたが、電話見積もりでは電話をかけたタイミングで対応してもらえるスピード感がメリットです。また部屋の中を見られる心配はありません。
電話見積もりのやり方
- 引越し業者の公式サイトでフリーダイヤルを確認し、電話をかける
- 口頭で荷物量やサイズを伝えて、引越しの希望日時などの質問にも答える
- 当日詳細な見積もりがわかる
大手ではアート引越センターやアーク引越センターが対応しています。ただ、すべての情報を口頭で伝えるため、対象者は「単身者」である点に注意しましょう。荷物量が多い家族は誤差が発生しやすく、訪問見積もりが必要となることが多いです。
また、電話をかけるときは固定電話ではなくスマホにし、手元にメジャーを用意しておくと、荷物量を確認しやすくスムーズに完了します。
7. メール見積もり
メールで引越し業者に見積もりを依頼するやり方です。見積もりフォームに指定の情報を20〜30分程度で入力するだけで済みます。返信は早ければ1時間後、通常は1営業日後にメールで引越しの見積もり料金が届きます。24時間いつでも申し込めるので、思い立ったらすぐに依頼できることがメリットです。
メール見積もりのやり方
- 引越し業者のWebサイトでメールによる問い合わせフォームを探す
- 荷物量や引越し予定日などを正確に記載する
- 引越し業者から見積もりの返信が届く
メール見積もりでは、荷物量の細かい情報を伝えにくかったり、質問しにくい場合もあるので注意しましょう。対象者は主に単身者で、荷物の多い家族引越しは訪問見積もりとなるケースが多いです。
主にケーエー引越センターやアート引越センターといった引越し業者がメール見積もりに対応しています。
引越し見積もりの準備から完了までの4ステップ
引越し業者に見積もりを依頼する際は、次の手順で進めましょう。
1. 見積もりを取るための準備をする
引越しの見積もりを取る際は、事前に荷物量だけでなく建物や建物周辺の情報が必要です。正確な見積もりを得るために、次の情報を把握しておきましょう。
- 引越し日(第1~3希望日)
- 引越し時間帯(早朝・午前・午後・夕方・夜間)
- 新居と旧居の住所
- 新居と旧居の階数
- エレベーターの有無
- トラックが止められる場所の距離
- 大型家具・家電の数量
- おおよそ必要なダンボール数
- オプションサービス(梱包やエアコン着脱など)
訪問見積もりをせずに、Web完結や電話で見積もりを済ます場合、新居に運ぶ荷物の伝え漏れがないように気を付けます。当日急に荷物量が増えると、追加料金が発生したり、2回に分けて運ぶ可能性があります。
訪問見積もりをする場合、基本的には引越し業者が荷物量を調べてくれますが、自分でもどの程度の荷物量になるかを予想しておくと、契約前の確認がスムーズです。
2. 引越し日の1カ月前を目安に見積もりする
見積もりの準備ができたら、引越し予定日の1カ月前までを目標に「引越し見積もりのやり方は7種類」で紹介した方法で見積もりを依頼しましょう。特に3月~4月の繁忙期に引越しを予定している人は、引越し業者の空き枠が埋まらないよう2カ月以上前に依頼すると安心です。
ミツモアの利用者に実施したアンケートによると、引越し業者に見積もりを依頼したタイミングは「2週間前~1カ月前」が最も多く、単身世帯では36.3%、家族世帯では43.3%を占めました。
引越し業者の相見積もりでは、Web完結一括見積もりサービスがおすすめです。短時間で複数の見積もりを比較できて、割安な引越し業者が見つかります。
3. 引越し業者を1社に絞る
引越し業者の絞り方は見積もりのやり方で異なります。
- Web完結一括見積もりをした場合、オンライン上で料金や口コミを比較して、そのまま1社に絞ることができます。そのまま自分好みの引越し業者を指定しましょう。
- ビデオ通話や電話、メールで見積もりをして、引越し料金が高いと感じた場合、他の引越し業者にも同じように見積もりをもらって、あらためて料金を比べてみましょう。
- 訪問見積もりをした場合、「訪問見積もり当日の流れと注意点」を確認し、見積書を受け取りましょう。結果、料金が高かったときは、別の引越し業者に相見積もりを取りつつ、値下げ交渉をすることが一般的です。
4. 引越し業者と日時調整をして契約する
最終的に1社の引越し業者と日時調整をすることになります。見積もり日から引越し日が近いほど、引越し業者の空き枠は埋まっているため、3つ程度の候補日を伝えましょう。
時間帯は午前中が人気です。特に土曜日は夕方や夜間しか空いていない場合もあり、早めの見積もりと予約がおすすめです。
訪問見積もり当日の流れと注意点
引越しの訪問見積もりでは、正確に荷物量を算出してくれます。引越し当日のトラブル例である「事前に伝えた荷物量より多くなって、追加料金が発生した」や「荷物が大きくてベランダからしか搬入できず、吊り上げ搬入代がかかった」などを防ぐことができます。
ただし、その分訪問見積もりには30分~1時間かかってしまいます。訪問見積もり当日の具体的な流れを知り、効率的に進めていきましょう。
訪問見積もり当日の流れと注意点
1. 訪問見積もりの前に部屋を片付ける
訪問見積もりを行う際、部屋が散らかっていると荷物量を正確に把握できません。荷物量は多いほうに換算されたり、不用品やゴミが荷物に含まれたりして見積もり額は高めになります。
引越し業者が自宅に訪問する時間までに部屋の荷物を整理し、大きなゴミは捨てておくか、引越し対象から明確に外すようにどけておきましょう。
すべての荷物量を手際よく確認してもらうために、押し入れやクローゼットは開けられるようにしておきます。収納ケースの引き出しは閉じたままで大丈夫です。
箱にしまうことができずに見られたくない荷物は、浴室に置いておくなどして、営業担当が来た際に口頭で伝えるとよいでしょう。
2. 一緒に荷物量や周辺環境を確認する
営業担当者は運搬する荷物量をチェックしていきます。家具・家電の種類、衣装ケースやダンボールの数、照明器具、エアコンの着脱など、基本的に抜け漏れはありません。
引越し時の作業内容も合わせて確認していきます。運び出すときに使うエレベーターの有無や、トラックが搬入できる道路の幅といった周辺環境も確認対象です。
大型のベッドやソファは、マンションのエレベーターで運べないケースもありますし、戸建てでは2階からの吊り下ろし作業をすることもあります。
また、観葉植物や楽器といった運搬するときに技術が必要な荷物は、念のために事前に伝えておきましょう。さらに引越しの日程やオプションサービスの質問にも答えていきます。
3. 見積書の料金と作業内容で判断する
引越し当日の作業内容について担当者が説明してくれます。その後、基本的には当日もしくは後日、見積書を受け取れます。金額と作業内容を確認し、問題がなければ契約しましょう。
見積書は国土交通省が定める「標準引越運送約款」に準拠しています。もし料金や作業内容に不安があるときは、他の引越し業者の見積書と比べることも一般的です。
引越し見積もりで費用を安く抑える3つのポイント
引越し業者に見積もりを依頼する際、少しでも費用を安く抑えたい人は次のポイントを意識しましょう。
1. 引越しの料金相場を事前に確認する
引越し見積もりを依頼するときは、平均料金を把握しておきましょう。引越しサービスには定価がないため、荷物量、距離、引越し月で大幅に変動しますし、各引越し業者で料金は異なります。
※ ミツモアにおける引越し依頼への応募価格から算出しています。(2023年5月1日~2024年3月20日)
2. 荷物量をできる限り減らす
引越し料金は荷物量で変動します。当日使用するトラックのサイズや作業スタッフの人数が料金に直結するため、新居に持っていく荷物量を減らせば、料金を安く抑えられます。
不用品は通常ゴミや粗大ゴミで捨てたりする以外に、リサイクルショップやフリマアプリ、不用品買取サービスを使うことで引越し資金の足しにできます。
リサイクルショップは出張買取ができる店を選ぶと、自宅まで買取に来てもらえて便利です。フリマアプリは小物類が売れやすいため、早い段階で出品してみましょう。
また、不用品回収業者は地域のルールや日程に縛られず依頼した日に回収してくれますし、引越し業者のオプションで不用品回収をしているケースもあります。
3. 引越し料金の値引きを交渉してみる
引越し業者によっては料金の値引き交渉ができます。特に複数の業者から相見積もりを取得して、他社の料金を提示することが効果的です。
1社目の見積もりでも他社と相見積もりをすることを伝えておくと、その場で安い見積もり料金を提示することもあり、お得になります。
ネット一括見積もりで最適な引越し業者を選ぼう
引越し見積もりを依頼するときは、ネット完結型の一括見積もりサービスを利用して、割安で評判の良い引越し業者を選ぶことがおすすめです。料金や口コミを比較できるため、お得感が高まるでしょう。
明朗会計で丁寧に説明してもらえる引越し業者を選び、スムーズに引越しの準備を進めましょう。