「エアコンの中からゴキブリが出てきた」という体験を実際にした人や、その体験談を聞いて震えあがっている人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、確率は高くありませんがゴキブリはエアコンの中に潜むことがあります。高温多湿な環境、そして暗くて狭い環境はゴキブリにとって居心地がよいのです。
この記事ではエアコンにゴキブリが侵入する原因や経路、そして対策方法まで詳しく解説します。
エアコン内部にゴキブリが侵入する原因は?
エアコン内部は「高温多湿」「水分豊富」「暗くて狭い」という条件がそろっているので、ゴキブリにとって住み心地がよいのです。
原因1.高温多湿
夏になるとゴキブリを見かけることが多くなるのは、ゴキブリが活発に活動しやすい条件が整うからです。ゴキブリは気温18℃を超えると徐々に活発になりはじめ、気温25℃を超えると繁殖に最適な環境になります。
エアコン内部はゴキブリが好む高温多湿な環境になりやすいのです。夏に冷房を使い終わったあとだけでなく、冬の暖房を使うときにも注意が必要です。
冷房の稼働中はエアコン内部も冷えていますが、運転を切ると温度が上がります。冷房や除湿を使ったあとは結露によって発生した水滴がつき、エアコン内部をジメジメとさせ高温多湿な環境を作ります。
原因2.水分豊富
ゴキブリといえば、エサを求めてキッチンなどに現れやすいイメージがありますよね。もちろん油汚れや野菜などの生ゴミのニオイにつられてゴキブリはやってきますが、たとえエサが無くても「水分」があればゴキブリは活動できます。
ゴキブリは水を1滴飲むだけで3日間ものあいだ生存できるとも言われています。エアコン内部では、冷房や除湿を使ったあとに水滴が出てくるので、ゴキブリが水分を求めて侵入するのです。
またエアコンフィルターにたまったホコリや汚れなどを食べている可能性もあります。ゴキブリは雑食性なので、ホコリでさえもエサになるのです。
原因3.暗くて狭い
ゴキブリは夜行性なので、昼間は暗くて暖かい場所に潜んでいます。その隠れ家として、エアコン内部の空間はとても居心地がいい場所になります。
またエアコンから室外機付近につながる「ドレンホース」という排水管のなかも、水分豊富なうえ暗くて狭い場所なので、ゴキブリが身を隠しやすい箇所です。
ちなみにエアコンのほかにも、冷蔵庫の裏、家具の下、排水溝付近などはゴキブリが昼間隠れている可能性が高いと言われています。
エアコンのどこからゴキブリが入ってくる?
ゴキブリが室外から侵入するときの経路になりやすいのは、「ドレンホース」「配管穴(スリーブ穴)」の2箇所。もしくは別の場所から侵入したゴキブリが、部屋の中からエアコン内部に侵入する可能性もあります。
エアコンのドレンホースから侵入
エアコンには「ドレンホース」という排水管があります。冷房・除湿を使ったときに内部で発生した水を、室外に排出する役割です。
ドレンホースは室外機のそばに設置されています。そのためベランダや庭にいたゴキブリがドレンホースに入り、エアコン本体までのぼって侵入してくるのです。
配管穴(スリーブ穴)から侵入
エアコン本体の横から伸びている太い配管は、壁にあいている配管穴をとおって室外に出されています。この配管穴を埋めるために、粘土状の「パテ」と呼ばれる素材が使われていますが、経年劣化やひび割れによって小さい隙間ができてしまいます。ここがゴキブリの侵入経路となるのです。
ゴキブリの成虫は、5mm程度の隙間があればすり抜けることができます。幼虫であれば、0.5mmもあれば侵入できてしまうので、穴を見つけたら修理するのが得策です。
室内からエアコンに侵入
外にあるドレンホースからエアコンに直接侵入しなくても、室内のゴキブリがエアコンの吹き出し口から入り込む可能性があります。
壁づたいにエアコン上部から侵入したり、風向ルーバーの隙間から侵入したりと、エアコン本体にも侵入経路はたくさんあります。
そもそもエアコン以外の場所からゴキブリが侵入している場合は、侵入経路を特定することが大切です。窓や網戸の隙間、シンク下や洗面台下にある配管の隙間などはチェックしてみましょう。
エアコン周辺でできるゴキブリ対策方法6つ
エアコン周辺でゴキブリ対策する方法は、おもに以下の6つあります。
- ドレンホースの先端に防虫キャップをつける
- ドレンホースや配管穴(クリーブ穴)の周辺に防虫剤をまいておく
- ドレンホースを地面から離す
- 配管穴(クリーブ穴)の隙間は「パテ」で埋める
- 窓や網戸、玄関などのゴキブリ対策を徹底する
- こまめにエアコンや部屋の掃除をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.ドレンホースの先端に防虫キャップをつける
ドレンホースにぴったりハマる製品を選ぶ必要があるので、排出口の内径と外径を測っておきましょう。
ただし防虫キャップをつけても、アリやタカラダニのような小さい虫はすり抜けてしまう可能性があるので、防虫剤も併用するのがオススメ。
また防虫キャップを買わなくても、排水口ネットやストッキングなどを輪ゴムで括りつければ代用できます。
2.ドレンホースや配管穴(スリーブ穴)周辺に防虫剤をまいておく
上画像の「ゴキファイター」のように、「即効性のある殺虫効果」「待ち伏せ」の機能が合わさったスプレーが便利です。普段はゴキブリの侵入経路になりそうな場所に散布し、部屋にゴキブリが現れたら直接スプレーできます。
ほかにも屋外用の「ブラックキャップ」など、置き型タイプの殺虫剤もあるので、用途や使用場所にあわせて最適な製品を使ってみましょう。
3.ドレンホースを地面から離す
ドレンホースが長すぎて地面に接していると、ゴキブリが侵入しやすくなります。ゴキブリや害虫の侵入を防ぐには、地面から5cmほど浮かせた位置にドレンホースを設置するのが理想です。
ドレンホースの蛇腹部分は、ハサミやカッターで簡単に切ることができます。
ただし引越しなど移設する可能性がある方は、ドレンホースを延長するための必要な余白を残すために、50cmごとに設置されているつなぎ目の部分をカットし、調整しましょう。
4.配管穴(スリーブ穴)の隙間は「パテ」で埋める
エアコンの配管穴を埋めるには、専用の「パテ」を使います。粘土と同じようにしっかりとこねて、柔らかくしたあとで隙間にくっつけるだけです。
上から塗り重ねるだけだと不格好になるので、既存のパテを剥がしてから再施工するのがオススメ。ただし賃貸物件の場合は自分で施工する前に、大家さんや管理会社に状況を相談してみましょう。
5.窓や網戸、玄関などのゴキブリが侵入しそうな場所を徹底対策する
とくに窓や網戸、玄関などには隙間が生まれやすいので要注意。「隙間テープ」や「モヘアシール(毛で隙間を埋める)」などを使って埋めるのがオススメです。
また玄関の外やベランダなどに、あらかじめ防虫効果のある駆除スプレーをまいておくのもよいでしょう。
6.こまめにエアコンや部屋の掃除をする
部屋を掃除していないと人の髪の毛やホコリ、食べ物のカスなどが放置されてしまい、ゴキブリのエサになります。
また床にモノが散乱していると、ゴキブリが隠れる隙間がたくさんあるので、繁殖を招くことに。エアコン周辺とあわせて、部屋の掃除もこまめに行いましょう。
エアコン掃除は、1~2週間に1回はフィルター掃除をしましょう。フィルターにたまるホコリがゴキブリのエサになります。
また冷房や除湿を使用した後は、送風機能でエアコン内部を乾燥させるのも有効です。ゴキブリが好む湿気をなくすことで、ゴキブリが生活しづらい環境を作れます。
エアコン内部にゴキブリがいるか確認する方法
自宅のエアコン内部にゴキブリがいるかどうかを見極めるチェックポイントを紹介します。ただし実際にゴキブリを目視するまでは、カナブンやコバエなど別の虫が入っている可能性もあるので注意しましょう。
ガサガサ音がする
エアコンの中から「ガサガサ」と音がしたら、ゴキブリがいるかもしれません。エアコンをつけたときに驚いたゴキブリが出てくることがあるので、エアコン運転時には注意して音を聞いてみましょう。
ゴキブリのフンがある
エアコンの真下の床やエアコン内部にフン(ゴミのようにコロコロとした見た目)があれば、ゴキブリが住んでいる可能性があります。ゴキブリのフンの大きさは1.0〜2.5mmと小さく、ニオイはなく茶色や黒色です。
ちなみにゴキブリのフンにはフェロモンが含まれていて、別のゴキブリを呼び寄せてしまう可能性がありますので、早めに処分しましょう。
ゴキブリの卵がある
エアコン内部に1.2cmほどのゴミを見つけたら、それはゴキブリの卵かもしれません。ゴキブリの卵は俵(たわら)のように太く長いのが特徴です。
卵を発見した場合は、そのままゴミ箱に捨てないようにしましょう。ゴミ箱の中で卵からふ化して、ゴキブリが発生する原因になります。
手袋やティッシュの上から卵をつぶし、ビニール袋で密閉してから捨てるようにしましょう。また他にも卵がないか、周囲をしっかり確認することも大切です。
ゴキブリは1度の産卵数が多いため、1つ見つかったら他の卵がある可能性が高くなります。
エアコンに侵入したゴキブリの駆除方法
エアコンから侵入したゴキブリを駆除するには、1度エアコンの外に追い出してから殺虫スプレーなどをかけましょう。ここでは、ゴキブリ駆除する際の注意点について解説します。
エアコン内部のゴキブリは外に出してから退治
エアコン内部にゴキブリがいても、殺虫スプレーを直接エアコンにかけないようにしましょう。噴射した殺虫剤がエアコン内部に入り込み、冷暖房の風から吸い込んでしまう恐れがあります。
またエアコンは精密機器なので、本体の電飾部分やコンセントプラグなどに液体がかかると故障する恐れもあります。
丸めた新聞紙や雑誌でエアコン付近をたたき、ゴキブリが出てくるのを待ちましょう。安全な場所までゴキブリを誘導できたら、殺虫スプレーを噴射してください。
殺虫スプレーを使うのが不安であれば、冷凍タイプのスプレーがオススメです。
【殺虫剤(殺虫スプレー)を使うコツ】
スプレーするときはゴキブリの進行方向に向かって、少し手前側に噴射するのがコツ。背中に薬剤が当たっても効果は薄いので、ゴキブリの正面に殺虫成分が当たるよう意識しましょう。 |
部屋全体のゴキブリ退治なら、くん煙剤
またゴキブリの卵には「卵鞘(らんしょう)」という殻がついているので、殺虫効果が届きません。すでに室内で繁殖していると思われる場合には、2週間ほど間隔を空けて、もう1回くん煙剤を使うのがオススメです。
手間をかけたくないなら毒エサ(ベイト剤)
エアコンからの出入りが気になる場合は、エアコンの真下の隙間や、床のフチなどに毒エサを設置してみましょう。
ちなみに「ホウ酸団子」と呼ばれる毒エサもあります。「ホウ酸」という成分は人間にとって害はありませんが、ゴキブリやシロアリなどの虫にとっては毒です。自作することもできるので、気になる方は以下の記事を参考にしてみてください。
徹底的にゴキブリ駆除するならプロの専門業者に依頼
ゴキブリは繁殖力が高い昆虫です。日本でよく見かける「黒ゴキブリ」や「チャバネゴキブリ」は、1か月のあいだに40~50個もの卵を産みます。
1度侵入を許してしまうと、ゴキブリ被害はエアコンだけにとどまりません。キッチンやお風呂などの水場に潜み、夜になると活動を始めて、快適な生活をおびやかす存在になるでしょう。
ゴキブリ駆除にかかる費用相場は、施工する場所の広さによって変わります。1R~1LDKなら約1万~3万円、2LDKなら約2万~5万円ほどです。
ゴキブリ予防にもつながるエアコンの使い方
エアコンにゴキブリが寄りつきにくい環境にしましょう。ポイントは以下の3つです。
- こまめに換気しながらエアコンを運転
- 冷房・除湿のあとは内部乾燥
- 定期的にエアコンフィルター掃除&エアコンクリーニング
それぞれについて詳しく解説します。
こまめに換気しながらエアコンを運転
窓を開け、15分を目安に換気しながらエアコンを運転しましょう。
エアコンは室内の空気を取り込んでいるので、空気中に舞ったホコリはフィルターにたまっていきます。換気することで室内のホコリを外に逃がします。結果、ゴキブリのエサとなるホコリがフィルターにたまりにくくなるのです。
また換気しながらの運転は、エアコン内部のカビ予防にも効果的。カビもまた湿気とホコリが豊富な場所に発生します。
冷房、除湿のあとは内部乾燥
冷房や除湿を使うと、エアコン内部で冷やされた空気から水滴が発生します。ゴキブリのエサになってしまうので、運転後は内部乾燥させておきましょう。
エアコンの内部乾燥をするには、「内部クリーン」か「送風」機能を使います。こちらもゴキブリだけでなく、カビ予防にもつながる対策です。
内部クリーンの設定をONにしておくと、運転後に自動で「送風」「弱暖房」を1~2時間ほどかけて、エアコン内の水分を飛ばしてくれます。
また内部クリーンがない場合には、送風モードで1~2時間ほど運転することで同様の効果が得られます。
定期的にエアコンフィルター掃除&エアコンクリーニング
対策方法のなかでも紹介しましたが、定期的にエアコン掃除をすることで、ゴキブリのエサとなるホコリやゴミを無くしましょう。
またフィルターより奥にたまった汚れやゴミは、プロのエアコンクリーニング業者に内部洗浄を依頼してキレイにするのがオススメ。
もしエアコン周辺でゴキブリを見かけたなら、エアコン内部にフンや卵が散乱している可能性もあるので、精神的にも衛生的にも良くありません。
エアコンクリーニング業者への依頼は壁掛けタイプエアコン(お掃除機能なし)で8,000~12,000円です。壁掛けタイプエアコン(お掃除機能付き)の場合は13,000~18,000円が相場です。
ゴキブリの侵入・繁殖を防ぐ室内環境にしておこう
ゴキブリが侵入しても、居心地が悪い場所なら住みつかなくなります。もちろんエアコン周辺の隙間対策は大事ですが、侵入されてもゴキブリが住みにくい環境にしておくことが大切です。
家全体を清潔に保つ
リビング・寝室などの床にモノが散乱していると、ゴキブリにとって多くの隠れ家ができてしまうだけでなく、ホコリや髪の毛などもたまりやすくなります。また衣類や雑誌類は保温性が高いので、床に放置していると絶好の産卵場所になってしまいます。
もちろんキッチンも要注意です。常温保存している野菜が、床に置かれているとニオイにつられてゴキブリがやってきます。とくにタマネギは大好物です。キッチンの食材は密閉容器に入れておくようにしましょう。
また生ゴミはビニール袋で密閉してから、フタ付きのゴミ箱に捨てるのがゴキブリ対策になります。三角コーナーのゴミも放置せず、その日のうちに処理しましょう。
ゴキブリが嫌いなハーブやアロマを使う
ゴキブリにとっては嫌なニオイになる成分があります。おもに「ハッカ」「クローブ」などのハーブ類や、アロマオイルなどのニオイです。
置き型の芳香剤として設置したり、スプレーにして部屋の隅にかけたりすることで、ゴキブリ予防につながります。
ただしペットを飼っている場合、犬や猫にとってもハッカやアロマは刺激が強く、中毒症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
またアロマオイルを使う場合、甘い香りだと逆効果になり、ゴキブリが寄ってきてしまう可能性も。防虫効果を意識するなら、使用する種類に注意しましょう。
不要なダンボールを放置しない
ネットショッピングなどで届いたダンボールには、ゴキブリの卵が付着する可能性があります。ダンボールの内側は高温多湿で密閉されているので、ゴキブリにとって最適な繁殖スポットです。
またダンボールにはコーンスターチが含まれており、でんぷん質を好むゴキブリのエサにもなります。
ダンボールに引き寄せられて家に棲みついたゴキブリがエアコン内部に移動して、さらに繁殖すると考えるだけで恐ろしいですよね。繁殖の原因になる段ボールは必要最低限にとどめ、不要ならば早めに処分しましょう。
エアコン内部にいるゴキブリ、放っておくとどうなる?
繁殖力の高いゴキブリはいったん棲みつくと、エアコン内部のみならず家の中で様々な問題が発生します。放っておくと、ゴキブリの菌と卵が増殖する他に衛生状態にも悪影響を及ぼしかねません。
エアコン内部がゴキブリの巣と卵の温床になっているかも?
エアコンからゴキブリが出てきたら、内部がゴキブリの巣になっている可能性が高いです。ゴキブリは1度の産卵で約25匹もの卵を産むため、一気に増殖することが考えられます。
また卵は卵鞘(らんしょう)という固い殻に包まれているので、卵を殺すことは難しいのです。卵鞘は小さくて軽いため、エアコンの風によって部屋中に撒き散らされる危険性も。
エアコン内部にゴキブリの巣があると疑われる場合は早急な対処が必要になります。
ゴキブリは放っておくと危険!健康被害のリスク
ゴキブリが運ぶ菌から食中毒を引き起こす恐れがあります。ゴキブリは基本的には汚れた場所を好んで生息する習性があります。そのためゴキブリの体には「サルモネラ菌」が付着しており、家中を徘徊することで菌が散布されるのです。
またゴキブリのフンも衛生的によくありません。ゴキブリのフンは、アレルギー症状を引き起こすアレルゲンになることがあります。
アレルギー症状はくしゃみや鼻水などの軽いものから、気管支炎などの重度な症状まで考えられるので注意しましょう。
ミツモアでエアコンクリーニングの無料見積もりができます
ゴキブリの侵入を防ぐにはエアコン内部を清潔にしておくことが大切です。自分でできるフィルター掃除は1~2週間に1回、1~2年に1回はプロのエアコンクリーニング業者へ依頼するのがオススメ。
ミツモアなら簡単な質問に答えていくだけで、無料で最大5件の見積もりを比較することが可能です。レビューや実績も確認して、自分に合ったプロのエアコンクリーニング業者を選ぶことができますよ。
気になった業者とはチャットで相談することができます。チャットなら時間や場所を気にせずに相談ができるので忙しい人にもぴったりです。