エアコンを新しく買ったときや、引っ越し先に移設するとき、正しい取り付け場所について気になりませんか?
実はエアコンを取り付けることが出来る場所には、条件があります。
この条件を満たさないと、エアコンの冷暖房運転が非効率的になってしまったり、うまく排水できず故障の原因になったり、という事態につながるのです。
この記事では、室内機の正しい取り付け場所、また室外機の置き場所について解説。故障を防ぎ、効率的に冷暖房が効くような場所にエアコンを設置しましょう。
初めに結論!理想的なエアコンの取り付け位置・高さ
初めに結論を述べると、エアコンの取り付け位置は、「窓の上」に設置するのがおすすめです。
窓の上が理想的な理由
- 冷暖房の効率が高まる床面から1.8~2.4mの高さの場所になる
- 室温を変化させやすい窓まわりの空気を、すぐに取り込むことができる
- エアコンに臭いがこもってきたときなどは、窓を開けることで効率的に換気もできる
また、最もエアコンの設置率が高い位置も、窓の上だと言われています。
しかしながら、配管穴や専用コンセントの位置、部屋全体に風がいきわたる壁面など、様々な状況・条件の兼ね合いを考慮することが必要です。「確実にこの場所にすべき」というルールもありません。
ここからは、さらに詳しくエアコン取り付けの位置について解説しますので、気になる点をチェックしてみてください。
※もし自分でエアコンを取り付ける予定の方は、以下の記事も参考にできるかと思います。
効率的に冷暖房運転するために!エアコン室内機の取り付け位置の理想条件9つ
エアコンを取り付ける位置を抑えることで、効率的な冷暖房を運転を行うことができます。
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それぞれの条件について、簡単に解説します。
床面から1.8~2.4mの高さに取り付ける
取り付ける高さに関しては、床面から1.8~2.4mのあたりにしましょう。マンションなどの天井は2.4~2.5mほどの高さが一般的なので、なるべく上の位置にエアコンを取り付けるのがよいということになります。※建築基準法で定められている居室の天井高は「2100mm以上(2.1m以上)」です。
【POINT】
1.8mよりも低いところにエアコンを設置すると、以下のようなトラブルが発生します。
- 風が体に直接あたって、必要以上に寒い/暑い
- 部屋全体に風が循環せず、非効率的になる
天井・壁それぞれから5cm以上離して取り付ける
室内機の周辺は、天井・壁それぞれから5cm以上離れている箇所に取り付けしましょう。
【POINT】
天井・壁から近い位置に設置すると、天井・壁とある程度の隙間がないと、空気の取り込みがうまくいかず冷暖房効率が下がります。
エアコン取り付け位置は、高ければ高いほどいいわけではない」という点には注意しましょう。
エアコン専用コンセントの近くに取り付ける
エアコンを稼働させるには、エアコン専用のコンセントを使用します。もしも専用コンセントが無い場所にエアコンを取り付けたいなら、業者に依頼して専用の電源を引いてもらう必要があります。
エアコンを取り付けたい位置があったとしても、その近くに専用コンセントが無いと、稼働することができません。
【POINT】
- エアコンはコンセントの形状が、一般的な家電製品のものとは違っている製品がほとんど
- 使用電力が多いため、普通のコンセントでは電気供給量が不十分
ちなみに…
- エアコン専用コンセントは、ブレーカーから直接、エアコンだけのために電線を引いている
- 途中で電力を分岐させないため、稼働に十分な電気量を供給できるという仕組み
- 家庭の契約電流(家全体で同時に使用できる電流)が30A以下の場合、エアコンを快適に使用できない可能性が高い
- 40A以上の電気容量契約に更新したほうがよい可能性もあり
配管穴より高い位置に取り付ける
エアコンを取り付けるときには、室内機(本体)と室外機を繋ぐ配管や、ドレンホースが通っている配管穴よりも高い位置に取り付けなければなりません。すでに穴があるときには、エアコンを設置する位置との兼ね合いを忘れないようにしましょう。
【POINT】
- エアコンの位置が配管穴よりも低いと、ドレンホースを通じた水や汚れの排水機能が低下して機器内部の滞留・逆流が生じる
- 水が逆流してしまうと、エアコンの送風口から流れ出してしまいます。
できるだけ窓に近い位置に取り付ける
エアコンはできるだけ窓に近い位置に取り付けるようにしましょう。ただし配管穴の位置や、専用コンセントが近いことなど、これまで紹介してきた条件もあわせて確認することが必要です。
【POINT】
窓の上がよい理由①日差しなどの影響で、窓から熱が入りやすい
- エアコンは周辺の空気を取り込んで熱調整をして、再び吐き出すという仕組みで稼働する
- そのため窓のすぐ近くに設置した方が、室温を変化させやすい窓まわりの空気を、すぐに取り込むことができる
窓の上がよい理由②換気の効率が上がる
- エアコンに臭いがこもってきたときなどは、窓を開けて換気しながら冷暖房運転することができる
- エアコンが窓の上にあることで、より効率よく空気を取り込めるように
室外機との距離が近づくように取り付ける
室内機(エアコン本体)と室外機との距離が近いことで、エアコンの稼働効率が上がります。エアコン取り付けの標準工事でも、配管の距離は4mまでとされているのが一般的です。家庭用のエアコンの場合15m程度までは問題ないとされていることも多いですが、効率よく冷暖房を稼働させるなら、できるだけ近い方が良いでしょう。
【POINT】
- エアコンで取り込んだ空気は室内機と室外機とのあいだを循環する
- 部屋から送風される空気は、室外機で温度調整をした空気
- 室外機からの距離が近いほど、調整した温度のまま吐き出すことができる
- 逆に配管が長いと、外部の影響で温度が変化してしまうことに
※標準工事の内容については、以下の記事が参考になります。
関連記事:エアコン取り付け工事の費用相場はいくら?追加料金と標準工事との違いをおさえよう【工事費込みの場合も解説】 | ミツモア
吹き出し口付近に障害物がないところに取り付ける
エアコンから送風するとき、吹き出し口の真下に障害物がないか確認しましょう。せっかく冷房/暖房をしていても、風が障害物に当たってしまうと、室内全体を循環することが出来なくなってしまいます。
【POINT】
- さらに、障害物でふさがれたエアコン付近だけが冷えたり温まったりすると、設定温度に達したと認識されてしまう可能性も
- そうなると、部屋全体は冷え切っていない/温まりきっていないのに、冷暖房が弱まってしまうことに
- 観葉植物や本棚など、障害物になりそうなものを置く予定がないところに取り付けを
短辺の壁面に取り付ける
上の画像を見てみると分かりやすいと思いますが、長方形の間取りでは、辺の長さが短いほうの壁面に室内機を設置しましょう。エアコンの冷暖房を効率よく部屋全体に届けるために、ベストな壁面はどこか考えてみてください。
【POINT】
- 左の図の場合、部屋全体まで風を行きわたらせることが可能に(写真では中央に室内機を置いていますが、左右どちらかに設置した場合でも、部屋の奥まで風が届くという意味では変わらない)
- 一方で、右の図の場合、たとえ室内機の位置を中央などにずらしたとしても、風が広がる範囲は非常に限定される
フィルター掃除などがしやすい高さ・場所に取り付ける
エアコンの冷暖房を効率よく使うためには、定期的なフィルター掃除が必要です。
たとえば室内機のすぐ下に食卓が設置されていると、フィルター掃除のときにいちいちテーブルを動かさなくてはいけません。またイスや脚立に乗っても届かないくらい高い位置だと、そもそも自分の力ではフィルター掃除が出来ないことも。
定期的なメンテナンスを視野にいれて、エアコンの取り付け位置を決めるとよいでしょう。
【POINT】
- フィルター掃除の目安としては冷房なら2週間、暖房なら1カ月に1回程度
- フィルターを取り外してホコリを取り除き、水洗いをするとより丁寧です
- わりと頻繁に行うので、「フィルター掃除のしやすさ」という観点でも、エアコンの高さ・場所に気をつける必要があります。
ちなみに2~3年に1回は業者に依頼してクリーニングをしてもらうことで、臭いなどの不調を防ぐことができます。詳しくは以下を参考にしてください。
関連記事:安心して依頼したい!失敗しないエアコンクリーニング業者の選び方【よくあるトラブルも紹介】
消防法の規定も注意!エアコン取り付け位置は火災報知器から1.5m以上離そう
エアコンは火災報知機から離れた場所に設置する必要があります。
現在は消防法によって、全ての家庭に火災報知器の設置が義務付けられています。
熱や煙を検知して知らせる機器なので、エアコンから出る風が当たっていると、火災が起こった際に正しく動作しない恐れがあるのです。
そのため火災報知機とエアコンの吹き出し口との距離は、1.5m以上開ける必要があります。
消防法に規定されている決まりなので、必ず守るようにしましょう。
エアコン取り付け位置でよくあるトラブル・疑問
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この見出しでは、上記のようなトラブル例や、よく浮かぶ疑問について解説します。
とくに窓やカーテンレール、クローゼットとぶつかってしまうトラブルは起こりがちなので、要チェックです。
窓やカーテンレールにぶつかるトラブル
エアコンの取り付け位置は、窓の上がおすすめです。
しかし無理やりその位置に設置しようとして、窓サッシやカーテンレールとぶつかってしまう可能性があります。
一般的には、エアコンの縦幅は30cm前後ありますが、窓上から天井までの高さは40cmほどであることが多いのです。
そのためエアコン周囲に5cmのスペースを空けるとなると、かなりギリギリで設置するパターンが多くなります。
事前にエアコンの縦幅と窓上の高さを確認し、取り付け工事の前に事業者と打ち合わせをしておきましょう。
場合によっては窓を小さくするなど、追加工事を検討してもよいかもしれません。
クローゼットやドアにぶつかるトラブル
クローゼットやドアを開けたとき、扉がエアコンとぶつかってしまうのもよくあるトラブルです。
せめて扉が開ききればよいですが、エアコンが邪魔になってクローゼットが開ききらないパターンはかなりストレスが溜まります。
エアコン単体のベストな位置だけでなく、まわりの環境と影響しあわないか、事前に確認しておきましょう。
筋交い(すじかい)と干渉するトラブル
筋交い(すじかい)とは、家の内部につくられる補強材です。
柱と柱のあいだに斜めに入れて「N」や「X」のような形で配置されています。柱とともに家屋を支える重要な建材です。
エアコンの設置では、配管パイプを通すために壁に穴を開けます。このときに筋交いを傷つけないよう、入念に確認する必要があるのです。
家の設計図を用意するなど、事前の準備をしておきましょう。素人判断はかなり危険なので、専門業者に確認してもらうのがおすすめです。
もし筋交いとぶつかってしまう危険があれば、諦めて別の位置にエアコンを設置しましょう。
マンションと新築戸建てで違いはある?
マンションと新築戸建ての場合、大きく違うのは「すでに配管穴があるか無いか」です。
新築戸建ての場合は、「筋交い(すじかい)」などの部分さえ避ければ、比較的自由に位置を決められます。記事前半で紹介したようなポイントをおさえておけば、快適に過ごせるでしょう。
一方でマンションの場合は、配管穴がすでに開いているケースがほとんどです。そのためエアコンを設置する場所が限られます。
また限られた位置に設置するため、エアコンのサイズが収まるかどうかも確認しなくてはなりません。
自費で取り付け工事をする場合には、くれぐれも気を付けましょう。
吹き抜けの場合、エアコン取り付け位置はどこがベスト?
リビングが吹き抜けなどの場合、通常の部屋よりも広い空間なので、冷暖房の効き方は通常と異なります。
よくあるのは、1階部分と2階部分に2台エアコンを設置するというもの。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまるので、夏は2階のエアコンで冷房をかけ冬は1階のエアコンで暖房をかけます。
しかし最近では、1階と2階の中間地点に設置する人もいるようです。
風向きをコントロールできたり、人感センサーが付いていたりと、近年のエアコンはとても高機能。
そのため、1階と2階のほどよい高さに1台エアコンがあるだけで、十分な冷暖房効果が得られる場合があるのです。
設計士や専門業者と相談するとき、1階と2階の中間に取り付けることを提案してみてもよいかもしれません。
壁によい設置場所がないとき、窓エアコンという選択肢も
どうしても壁によい設置スペースがないとき、また室外機を置くベランダやスペースがないときには、窓用エアコンという選択肢もあります。
窓用エアコンとは、その名の通り窓枠に設置するタイプで「室内機と室外機が一体化」していると考えると分かりやすいです。
冷暖房の効きも十分にパワフルで、狭い部屋なら問題なく使用できます。
ただ、運転音がうるさいなどのデメリットもあるので、検討するときには専門業者などから詳しい話を聞いてみましょう。
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エアコンの室内機の効率的な取り付け場所について、また室外機の置き場所について解説しました。
専用のコンセントが近くにあることや、火災報知器から1.5m離れていること、室外機との距離が近いことなど、すくなくとも「必須条件」と言えるものは必ずチェックしましょう。
室外機も安定した水平な場所で、できるだけ直射日光が当たらない場所に設置することが大事です。
またエアコン取り付け工事は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。「真空引き」など、専門的な内容は素人には難しく、費用も時間もかかります。
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