エアコン取り付け工事に資格は必要?
基本的にエアコン取り付け工事は資格なしでも可能です。ただし室外機までの距離が遠いと電線の延長が必要となり、その場合は電気工事士の資格が必要です。そのほかコンセント交換やアース工事にも資格が必要となります。
エアコン取り付けを自分でやる費用は?
エアコン取り付けを自分でやるときは工具代と部材費がかかります。道具を1から揃える場合は1万円以上かかってしまうので、業者に依頼する費用とそこまで差がありません。
基本的にエアコン取り付け工事は資格なしでも可能です。ただし室外機までの距離が遠いと電線の延長が必要となり、その場合は電気工事士の資格が必要です。そのほかコンセント交換やアース工事にも資格が必要となります。
エアコン取り付けを自分でやるときは工具代と部材費がかかります。道具を1から揃える場合は1万円以上かかってしまうので、業者に依頼する費用とそこまで差がありません。
見出し
エアコンを取り付ける場合、基本的には業者に依頼するのがおすすめです。設置工事には「真空引き」や「穴あけ工事」などの難易度が高い作業が含まれるうえ、1から道具を用意する場合には業者に依頼するのとほぼ変わらない費用がかかってしまいます。
とはいえ「絶対にできない」ということはないので、どんな場合にはエアコン取り付け工事が比較的やりやすいか、逆に自分でやらないほうがいいのはどんな場合かについて解説します。
エアコン取り付け工事を自分でDIYすることができるかもしれないのは、おもに以下のような条件に当てはまるときです。
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1つでも当てはまらないものがあれば、自分でエアコン取り付け工事をするのは避けるのが無難です。とくにコンセントや電圧の工事が必要な場合には、「電気工事士」という資格が必要になります。
室内機は10kg、室外機は30~50kgほどの重さがあるので、とくに室外機はそもそも1人で運搬するのが難しい場合があります。2人以上いれば、室外機も持ち運ぶことができるでしょう。
室内機についている「銅管」「電線」「ドレンホース」などの配管類を、壁の穴から室外に出す必要があります。前につかっていたエアコンの配管穴が残っていれば、比較的作業がラクです。
しかし自分で壁に穴あけ工事をするとなると、作業が大変なだけでなく、住宅にとって重要な「柱」「梁(はり)」などを損傷してしまう危険性があります。
エアコンには専用コンセントが必要です。もし新しいエアコンが既存のコンセントに対応していない場合は工事しなくてはいけませんが、この工事には電気工事士の資格が必要です。
室外機を設置できる場所が一般的であれば、自分で取り付けする難易度はそこまで高くないでしょう。庭や地面に「大地置き」、もしくは「ベランダ置き」なら、エアコン取り付けを自分でやることを検討してもよいかもしれません。
金具を使って軒下に設置する「天吊り」や、同じく金具を壁に設置する「壁掛け」、また「屋根置き」などは難易度も危険性も高いので業者に依頼するのがよいでしょう。
基本的にエアコン取り付け工事をDIYするのはオススメしませんが、そのなかでもとくに避けたほうがいいのは以下のようなパターンです。
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資格が必要だったり、間違えると住宅に重大な損傷を与えたりするので注意しましょう。
エアコン取り付け工事のなかでコンセント交換が必要になるときは、プラグの形だけでなく電圧切り替えも付随します。
またアース工事や分岐ブレーカー交換などが必要になるケースもありますが、いずれも電気工事士の資格がないと工事できません。
エアコンの配管類を壁内に隠す配管方法を、「隠ぺい配管」と言います。これをDIYでやるのは素人ができる範ちゅうを超えているので、やめておきましょう。
そもそも隠ぺい配管は新築時に行うことが多く、配管専用のスペースが設けられている場合に施工できます。
室外機は1階のバルコニーや庭に置き、2階の室内機とつなぎたいという場合は、配管類の延長が必要となります。銅管やドレンホースなら部材を買えば対応できますが、電線の延長(電線同士の接続)には電気工事士の資格が必要です。
エアコン取り付け工事の工程には、自分でやるのは不可能ではないものの、難易度が高い作業がいくつかあります。ガス漏れなどの重大な事故につながる恐れもある、というリスクを知っておきましょう。
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失敗するとエアコンが機能しなくなったり、故障したりする可能性もあるので注意が必要です。
エアコン配管用の穴がない場合は、壁に穴あけ工事をする必要があります。木造の場合は「柱」や「筋交い」などに当たらないよう、壁内写真を確認するか穴を開けてから確認しなくてはいけません。「コアドリル」という道具をレンタルして自分で穴あけできますが、失敗すると不要に穴が出来てしまいます。
またコンクリートの壁では「振動ドリル」や「ハンマードリル」などを使うことになります。道具はレンタルできますが、失敗すると無駄に穴を開けて住宅を傷つけてしまうので避けましょう。
エアコンが室外機とのあいだで熱を循環させている「銅管」というパイプがありますが、この銅管を正確に接続するために「フレア加工」が必要です。
フレア加工の工程だけでも、「チューブカッターで銅管をカット」「リーマーでバリを取る」「フレアツールで銅管を変形させる」といった専門的な作業が必要になります。
うまくフレア加工ができないと銅管の接続部が緩むので、内部を循環する冷媒ガスが漏れてしまいます。冷媒ガスが漏れると冷暖房が効かなくなり、環境にも悪影響です。
真空引き(エアパージ)とは、室内機側と室外機側との銅管をつなげたあとに、銅管のなかを真空状態にする工程です。「真空ポンプ」と「ゲージマニホールド」という専門道具を使って、圧力を計測しながら作業します。
真空引きをしないままでいたり真空引きに失敗したりすると、もともとエアコン内部に付着していた水分やゴミが凍ってしまい不純物に変化します。
銅管内部にそういう不純物があることで、冷暖房の機器が悪くなるだけでなく、室外機のコンプレッサーが故障するなどのリスクがあります。
銅管を配管穴から室外に出すときは、壁の向きにピタッと沿うように曲げ加工する必要があります。銅管は手曲げするか、もしくは「チューブベンダー」という道具を使ってキレイに曲げなくてはいけません。
銅管にシワができてしまう施工不良や、力を入れすぎて折れてしまうといったミスが起こりやすく、コツが必要な作業です。もし銅管が折れたことに気づかずにエアコンを使用すると、ガス漏れして冷暖房の効きが悪くなります。
エアコンの取り付け工事を自分でDIYしたい方にとって、おもな目的は「費用を安く済ませたいから」ではないでしょうか。しかし実際には自分で道具をそろえると費用が高額になり、なおかつ失敗するリスクも高いです。
DIY | 専門業者 | |
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費用 | 15,000~20,000円 | 15,000~20,000円 |
作業時間 | 3~5時間 | 1.5~2時間 |
保証 | なし | 1年間 |
新品のエアコンを1台取り付ける場合は、DIYでも業者に依頼してもほとんど費用が変わりません。DIYは人件費がかからない代わりに、道具や部材を用意する必要があるからです。
DIYの方がお得になるのは「必要な道具をあらかた所持している場合」や「エアコンを2台以上取り付ける場合」です。
ドライバー類や六角レンチなどを所持していれば、あとはエアコン取り付けの専用工具のレンタル代3,000~5,000円ほどと、必要な部材費5,000~6,000円ほどで済みます。
またエアコンを2台以上取り付ける場合は、業者だと単純に費用が約2倍です。(※複数台割引プランがある場合も、1,000~2,000円割引が目安)
一方で自分で取り付けるなら、道具のレンタル代と購入費だけで済むので、2台以上を取り付けるなら安くなります。
費用面で比べると確かにDIYのほうが安く済みますが、それでもエアコン取り付け工事はプロに依頼するのがオススメです。
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自分でエアコン取り付けをおこなうと、「配管の長さが足りない」「室外機の台を買い忘れた」など不測の事態が起こりがちですが、プロに任せることで安心できます。
エアコン取り付け工事が高額になる理由のひとつは、「追加工事」が多くなることです。たとえば配管カバーの取り付け、配管類の延長、1階の室外機と2階のエアコンの接続、などはオプション料金になります。
しかしこれらのオプション料金が発生するのは、それだけ作業量が増えたり、難易度が上がったりするということです。
いざ自分でエアコンを取り付けようとして、あとから部材が足りなかったり、難易度が高くて途中であきらめたりすると2度手間になります。そのため少々高額になるかもしれませんが、プロへの依頼がオススメです。
たとえば「銅管が折れてしまった」「エアコンが少し傾いている」「銅管の接続がうまくいっていない」などの施工不良があると、エアコンの寿命を縮めることになります。
銅管が折れたりうまく接続できていなかったりするとガス漏れするので、いつまでも冷房・暖房が効かないままフルパワーで稼働してしまい、エアコンに負荷がかかります。
またエアコンが傾いている状態だと、内部にたまった結露水がうまく流れずに詰まったり、室内に水漏れしたりする原因に。
エアコンは10年以上使えるように設計されている機器なので、長く使うためにも施工不良のリスクを減らしたほうがよいのです。
エアコン工事業者は、取り付けから1年間の保証期間を設けていることが多いです。万がいち施工不良があった場合は、無料で対応してもらうことができます。
自分で取り付け工事をすると、施工ミスがあったときには自分で原因を探して対応するか、結局は業者に直してもらうかの2択です。配管工事などが必要になると結局1万円以上かかるケースが多くなります。
エアコンや室外機は重いので、落として破損を招いてしまうリスクも一定あります。また壁や床に工具をぶつけて傷がついてしまうケースも。
そんな予期せぬトラブルがあったとき、損害賠償責任保険に加入している業者であればきちんと補償してもらえる可能性が高いです。
ただしすべての業者が加入しているとは限らないので、見積もり時に確認してみましょう。
エアコンをDIYで取り付けるときの手順と、各工程で使用する道具をまとめてみました。
手順 | 使う道具 |
①部屋を養生する | 養生シート、マット、毛布 |
②室外機を設置する(2階以上は場所を要確認) | プラブロック |
③配管用の穴を空ける | コアドリル、貫通スリーブ |
④据付板を取り付ける | ドライバー、ネジ、ボードアンカー |
⑤室内機取り付け前に銅管・配線の準備 | ニッパー |
⑥室内機を取り付ける | 化粧カバー、ネジ |
⑦冷媒用の銅管のフレア加工 | パイプカッター、フレアツール、リーマー |
⑧冷媒銅管と室外機を接続 | トルクレンチ、モンキーレンチ |
⑨ドレンホース・VVFケーブルを接続 | |
⑩真空引き(エアパージ)、ガス漏れ点検 | 真空ポンプ、真空ゲージ |
⑪冷媒ガスの解放、ガス漏れ点検 | 六角レンチ、ガス漏れ検知器 |
⑫点検してからパテ埋め、そして試運転 | パテ |
DIYでエアコンを取り付ける流れは、以下の動画でも説明されているので参考にしてみてください。
エアコンを取り付け始める前に、部屋の養生をしてください。脚立や落とした工具による傷や汚れを防ぐためです。穴あけやビスの取り付け作業では壁材のカスも落ちます。
床や周辺の壁を養生シートや使わなくなった毛布、ビニールシートなどで被いましょう。厚手のものがおすすめです。
室内機を2階に取り付ける場合が、室外機を設置する広さのベランダがあるかを確かめる必要があります。
もし場所が確保できないときは、配管や配線を1階部分まで延ばす必要があり、それだけで作業が大変になります。この場合はDIYでの作業はかなり難しいでしょう。
特殊な室外機の置き方をする場合、業者に依頼しても以下のような追加料金がかかります。とはいえ確実性を考えるとプロの手を借りるのがよいでしょう。
名称 | 置き方 | 追加料金 |
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標準 | 同じフロアの足元に置く | なし |
立ち下し/立ち上げ | 室内機と室外機を異なるフロアに置く | 約14,000円 3,000円×必要なm数 |
屋根置き | 屋根に架台を設置してその上に室外機を置く | 約15,000円 |
天吊り | ベランダの天井に棚を設置して室外機を吊る | 約15,000円 |
壁掛け | 外壁に架台を設置してその上に室外機を置く | 約15,000円 |
二段置き | 室外機を2台重ねて置く | 約18,000円 |
エアコンは、本体(室内機)と室外機とをパイプでつなぐ必要があります。賃貸でも新築でも、もともとエアコン設置を想定した場所に配管用の穴が開いていることがほとんどです。もしも壁に穴がないときには、コアドリルなどの道具を使って自分で開ける必要があります。
壁の内部に電気の配線やガス管、水道管、柱、梁などが無い場所を選んで穴を開けましょう。建築時の壁内写真などを確認してください。
穴を開けるときは、まず室内側の石膏ボードだけをくり抜いて、壁内に障害物がないか確かめます。断熱材がある場合はよけて、室外側まで穴を通しましょう。
配管穴には排水用のドレンホースも通すので、室外側に向かって勾配(角度)がつくように若干斜めにするのがコツです。そうすることで水が流れやすくなります。またエアコンを取り付ける位置を確認して、エアコン本体よりも下に穴がくるようにしましょう。
穴を開け終わったら、そこに虫や雨水の侵入を防ぐための「貫通スリーブ」を設置しておきましょう。
【注意点】
壁の材質によって、使用するコアドリルの種類が異なります。木造、鉄骨など、それぞれの建材に合わせたコアドリルをレンタルしましょう。コンクリートやレンガの場合は「振動ドリル」または「ハンマードリル」を使います。 |
もし穴あけ工事に失敗してしまうと、「壁穴修理」や「クロスの張り替え」をしなければなりません。これらの修理を業者に依頼すると、2~3万円ほどの費用がかかります。
またガス管や水道管を損傷させてしまうと、もっと多額の修理費用と、長い施工期間が増えてしまいます。家の設備にかかわるDIY作業に慣れていない方は、最初から業者に依頼すると安心です。
据付(すえつけ)板は背板とも呼ばれ、エアコン室内機を壁に固定するためのプレートです。壁からの落下を防止したり、運転時の振動を抑制したりする役割があります。
据付板を床・天井に対して平行になるように設置してください。板を仮留めした状態で、水準器を使って角度を計測することをがコツです。据付板の位置はそのままエアコンの位置になるので、この時点でカーテンレールや家具、天井や壁面などと干渉しないような位置に調整しましょう。
また家庭用エアコンの場合は、天井・左右の壁からそれぞれ5cm以上離れてなくてはいけません。そうでないと点検・修理がやりにくくなったり、うまく空気が取り込めなくなったりするからです。
ほかにも「エアコン専用コンセントまでコードが届く位置にする」「火災報知器から1.5m以上離す」「窓から3cm以上離す」ようにしてください。
配管穴との位置関係も重要です。基本的には、据付板の右下(または左下)にあるくぼみに配管穴を合わせるようにしましょう。配管と本体をつなぐ部品が右側についているので、配管の接続が楽になります。
配管穴はエアコンに隠れるようにしても、露出していても構いません。位置が決まったら、石膏ボードアンカーやビスで固定します。
【注意点】
穴あけ作業と同じく、壁の建材によって取り付け方法が異なります。
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エアコン室内機の中から配管パイプ(銅管)を引き出します。冷媒用の銅管のフレアナットを外しておきましょう。※あとで使うので、失くさないように保管してください。
次に、フロントパネルや端子台のカバーも外します。3色の電線が出てくるので、その先端部分をニッパーで剥いていきましょう。
そして、あらかじめ室外機から引いていたVVFケーブルを室内機にある3色の電線と接続します。このとき、それぞれの色と対応した線同士をつなげる必要があるので間違えないように気を付けてください。
先ほど取り付けたドレンホース・VVFケーブルと、冷媒用の銅管をまとめて壁の穴から外側に出しておきましょう。このとき、根元側から少しだけテープを巻き付けておくと、ホースが散らばらなくて取り付けやすいです。
そのうえで室内機(エアコン本体)を、据付板に設置します。まずはプレート上側のツメ部分、そのあとで下側を密着させるようにして固定します。
もしも据付板の固定に失敗していたら、このとき室内機が落ちてくる恐れがあるので、慎重に作業しましょう。
取り付け終わったら室内機の露受け皿から水を流します。室外に出しておいた排水ホースを見て、きちんと排出されるかどうかを確認しておきましょう。
【注意点】
室内機は約8~17㎏の重さがあります。取り付けは脚立を使うことが多いので、エアコンを落とさないように、また自分も落ちないように気を付けながら行いましょう。 |
配管穴とエアコンの位置を離して取り付けた場合、室内に配管が露出した状態になります。配管テープでまとめてもエアコンの性能には問題ありませんが、見た目が気になる場合は化粧カバーを取り付けましょう。ざっくりした流れは以下の通りです。
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配管カバーについては以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:エアコンの配管カバー(化粧カバー)は必要?取り付け費用や後付けについて解説|ミツモア |
冷たい空気を送るための銅管(冷媒配管)をつなげていきます。接続する前に、室外機側の銅管先端に「フレア加工」をしておくことが必須です。
「フレア」とは先が広がった形状(ラッパのような形)のことです。片方をフレア状にして、もう片方の接続先を閉じた形におままにすることで、銅管同士を隙間なく密着させることができます。
ここで銅管同士をしっかり密着させることができないと隙間ができて、配管のなかに水滴が侵入したり、冷媒ガスが漏れてきたりしてしまいます。
フレア加工をするときは、まず銅管を接続部までの長さに合わせてパイプカッターで切断します。仕上げヤスリやリーマーでバリを取り、切断面を滑らかにしましょう。
切断部分にフレアツールを使用してラッパ状に広げ、加工完了です。もう1本の銅管にも、同じ工程でフレア加工をしましょう。
【注意点】
フレア加工のときには以下の3点を確認しましょう。
もし失敗しても、もう一度銅管を切りなおせば大丈夫です。後々のエアコンの運転効率にも影響するので、水気やほこりが銅管内に入らないように注意しましょう。 |
フレア加工の方法については、以下の動画も参考にしてみてください。
冷媒配管の施工時には、意識しなければならない3原則があります。
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これらが徹底されていないと、エアコンの運転効率が落ちてしまう他、故障のおそれもあります。水分やホコリ、ゴミが入り込んだり、すき間があいたりしないように十分注意しましょう。
フレア加工が完了した銅管を、室外機側の銅管と接続します。さっき外しておいたフレアナットを使い、スパナやレンチでしっかりと締め直しましょう。
フレアナットが緩すぎるとガス漏れの原因になり、強すぎても銅管がつぶれやすくなるため、適度な具合に締めるのがポイントです。また接続部にはオイルをつけておくと、ガス漏れ防止になります。
また室外機側の銅管は、室外機本体の「サービスポート」と接続します。
上画像のように2つのバルブがあり、それぞれガスの「送り側」「受け側」というふうに役割が分かれています。太い方の銅管は受け側、細い方の銅管は送り側なので、バルブを間違えないようにしましょう。
銅管とバルブの接続部は、トルクレンチなどを使ってフレアナットで固定します。フレアナットが緩んでしまうとガス漏れするので、接続不良がないことをしっかり確認しましょう。
室外機の保護カバーを外します。するとエアコン室内機と同じ黒・白・赤の3色ケーブルが現れるので、同じ色同士のVVFケーブルと接続しましょう。これで電源の準備ができます。
またあらかじめ穴から出しておいたドレンホースの排水出口を排水溝まで延ばしましょう。もし長さが足りなかったらドレンホースジョイント」という部品を使って延長することができます。
エアコンを使い始めてから、よくトラブルが発生する箇所の1つがドレンホースです。考えられるトラブルへの対処法を紹介します。
ドレンホースは害虫の侵入経路となることがあります。ドレンホースの端に「ドレンキャップ」という防虫グッズを取り付けると、ホースから配管を通って部屋まで虫が侵入してくる心配がありません。
エアコンの室内機から水がポタポタと漏れてくるときは、ドレンホースにごみが詰まっている可能性があります。掃除機や、ドレンホースのつまり専用器具サクションポンプを使って、内部のゴミを吸い出しましょう。
室内と室外の気圧差によって、ドレンホースからポコポコと音がすることがあります。この音は逆流防止弁を取り付けると解消できます。防虫キャップの役割も果たしてくれるのでおすすめですよ。
関連記事:エアコンのポコポコ音の原因は気圧差?5つの対策も紹介!|ミツモア |
「真空引き(エアパージ)」とは配管の内部を真空状態にすることです。水滴やホコリなどを冷媒用の銅管の中から取り除き、冷媒ガスと混ざらないようにすることで、効率的に冷暖房できる状態を作ります。
まずは「室外機→ゲージマニホールド→真空ポンプ」という順でチャージホースを使って接続します。このとき、室外機の低圧側バルブをつなぐ点に注意しましょう。
そして真空ポンプの電源を入れることで、真空引き開始。15~20分経過した後にゲージの針をチェックし、ゲージ圧が-0.1MPaになっていれば、真空引きは成功です。
さらにその後、バルブを閉めた状態で約10分放置して気密検査をおこないます。ゲージ圧に変化がなければ、ガス漏れは発生していません。ガス漏れの疑いがあったらフレアナットの接続部に石けん水を塗ってみましょう。ガス漏れしている場所が泡立つので、問題箇所が特定できます。
【注意点】
以下のような場合は、接合部などから空気が漏れている可能性があります。
このとき内部に水滴などが残ると、電力効率が下がり冷風が出なくなったり、故障したりしてしまいます。 |
真空引きの手順については、以下の動画の説明も参考にしてみてください。
関連記事:真空引きの役割と重要性とは?エアコン工事のカギを握る工程 | ミツモア |
真空引きの後は冷媒ガスを解放します。
バルブキャップを外したところに穴があるので、六角棒レンチを差し込んで、細い管と太い管のどちらも緩めます。レンチを回す向きは反時計回り(左回り)です。
レンチで緩めることで、室外機内部に収納されていた冷媒ガスが解放され、配管内部に充満していきます。作業が完了したら、バルブキャップを取り付けなおしてください。
ここでガスが漏れてしまったときには、すぐに六角レンチを時計回りにして閉めなおし、不備がないか確認しましょう。
冷媒ガスの充てん方法については関連記事を参考にしてください。
関連記事:エアコンの冷媒ガスを補充するタイミングとチェックポイント | ミツモア |
ここまでくれば、あと一歩でエアコン取り付け作業は完了です。まずはこれまでの工程で接続した部分・配管に問題が無いかを確認していきましょう。
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これらをしっかり点検したら、配管用の壁穴をパテで埋めます。粘土状のものやシリコン系の材料など様々な種類がありますが、どの種類のパテでも問題ありません。虫や雨水が侵入しないように、隙間なくパテ埋めしましょう。
最後に試運転をします。以下のような項目をチェックし、問題が無ければ設置完了です。何か問題があったら、これまでの手順のどこが原因なのか、1つ1つ振り返ってみましょう。
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もし真空引きを失敗していた場合は冷媒ガスの補充が必要です。そのまま使い続けると運転効率が非常に悪い、故障するなどの問題が生じるので、エアコン取り付け・修理業者に依頼することをおすすめします。
エアコンの取り付け工事をするときには、多くの道具・部材を準備する必要があります。
下記の工具はレンタル可能なことが多いです。特に④~⑨はセットでレンタルできることがあり、費用はセットで3,000~5,000円です。
工具(費用) | 用途 |
①電気ドリル
(約500円) |
据付板の固定 |
②コアドリル
(約2,000円) |
配管用の穴あけ |
③エアコンダクトカッター
(3,000~4,000円) |
化粧カバーの切断 ※化粧カバーを使用する場合のみ |
④リーマー | 銅管の加工 |
⑤フレアツール | 配管のフレア加工 |
⑥真空ポンプ | 真空引き |
⑦真空ゲージ | 真空引きの確認 |
⑧パイプカッター | 配管・銅管の切断 |
⑨トルクレンチ | 冷媒配管の接続 |
エアコン取り付けに使用する道具は以下のようなサイトでレンタル可能です。延滞料金が発生しないよう、貸出期間に注意しましょう。
取り付け工具のレンタル |
下記の道具は購入した方が良いです。
工具(費用) | 用途 |
ドライバー
(500円~) |
ネジを締める |
ペンチ、ニッパー
(1,000~3,000円) |
電源ケーブルの先端の皮むき |
モンキーレンチ
(1,000円~) |
配管に使用するフレアナットの締め付け |
六角棒レンチ
(100円~) |
室外機の二方弁・三方弁の開閉 |
両口スパナ
(500円~) |
冷媒配管接続のナット締め付け |
チューブベンダー
(2,000円~) |
配管パイプの折り曲げ |
ガス漏れ検知器
(3,000円~) |
ガス漏れの確認 |
下記のエアコン用部材は全て購入する必要があります。
エアコンの部材 | 用途、特徴など |
プラブロック | 室外機の据置台 |
配管用パイプ(銅線ペアコイル) | 冷媒の配管 |
ドレンホース | 排水用のホース |
化粧カバー(スリムダクト) | 配管にかぶせるカバー |
配管テープ | ※化粧カバーを使わない場合 |
貫通スリーブ | 壁穴を保護する |
パテ | 壁穴の周囲を埋める |
配線用の電線 | 室外機と室内機をつなぐ |
ボードアンカー | 据付板を固定する器具 |
アース工事用品一式 | アース棒、アース用ネジ、アース線など |
DIYでエアコンを取り付ける作業にはリスクがつきものです。失敗やトラブルを防ぐためにも、必ず以下の項目を確認・把握した上で作業に取り掛かりましょう。
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住んでいる建物が賃貸物件の場合はDIYによる設置を避けてください。賃貸物件の設備の設置や交換については基本的に持ち主である大家さんに決定権があり、勝手に工事をするとトラブルに発展する可能性が非常に高いからです。
エアコンを自前で用意しなければならない物件もありますが、その場合もDIYで取り付けずにエアコン設置業者に依頼しましょう。作業の過程で誤って部屋を傷つけてしまうと、修繕費用を負担しなければなりません。
特に配管用の穴が開いていない場合は、工具を使って自分で開けるか、業者に依頼する必要がありますが、いずれにしても大家さんの許可なしに実施してはいけません。
関連記事:賃貸物件のエアコンクリーニングは大家に相談すべき? | ミツモア |
エアコン本体(室内機)は約10~15㎏、室外機は約30~50kgとかなりの重量があります。とくに室内機は落下しないよう慎重に取り付けなければならず、1人での作業はかなり難易度が高いです。最低でも2人以上で作業をしましょう。
エアコンの取り付けは難易度が高いので注意してください。以下のような失敗例があります。
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エアコン取り付けは、まず配管用の穴を開けるところから始まります。このとき配線を切断してしまったり、ガス管や水道管を傷つけてしまったりといった点に注意が必要です。
またエアコン本体(室内機)は、壁に据付(すえつけ)板を取り付けたうえで固定します。このときツメの引っ掛けが甘いと、室内機が落下してしまいます。
取り付けのDIYで最も多い失敗例が「冷媒ガス漏れ」です。配管の接続部(フレア)の締め付けが甘いと、ガスが漏れ出すために冷房が効きにくくなります。
さらに「真空引き」もよく失敗するポイントです。内部に水滴が残っていると、ガスの性能が下がってしまい冷たい風が送れなくなります。電力効率が下がってしまうので電気使用量が大きくなるだけでなく、最悪の場合は故障にもつながります。
自分でエアコンを設置すると、業者依頼と違って不具合が生じたときの保証がありません。安く済ませようとしてDIYしたのに、結局修理が必要になって余計にお金がかかった……なんて可能性も十分にあります。
自分で取り付けるときは、設置後の不具合に対しても自分で責任をとらなければならないということを念頭に置いておきましょう。
エアコンをDIYで取り付けるのはリスクが高いとはいえ、なるべく安く設置を済ませたいですよね。ここでは、エアコンの取り付けを安く業者に依頼するコツを紹介します。
エアコン取り付けの需要が高まる5月下旬~8月頃を避けて依頼しましょう。
この時期はエアコンの取り付け依頼が集中するので、日時指定の融通がききづらいだけでなく、料金も割増になります。通常期より2割近く料金が上がることもあるようなので、急ぎでなければ繁忙期を避けて取り付けを依頼するのがおすすめです。
エアコンの設置を業者に頼むとき、依頼先は「家電量販店」「引越し業者」「エアコン業者」などいろいろあります。
取り付け費用を安く済ませるなら、エアコン業者に直接依頼するのがおすすめです。家電量販店は基本的に下請けの提携業者に作業を依頼するので、依頼者が払う料金には仲介料が上乗せされた金額になっていることが多いのです。
またエアコン業者に直接依頼すれば、元々持っているエアコンの取り付けにも対応してもらえます。
ネットの割引やセールを利用してエアコンを安く購入し、取り付け業者は自分で手配するという手もあります。ただしこの場合は工事をまとめて依頼するよりも保証は手薄になる可能性が高いです。
お金を出して安心感を買うか、多少のリスクを覚悟で安さを追求するかの判断になるでしょう。
エアコンの取り付けをDIYで行う方法や注意点、費用相場を詳しく解説してきました。紹介したように、かなり多くの工程があるうえ、配管の加工や配線など、素人にはかなり難しいのが実情です。
そのうえもし失敗して修理が必要になったとしても、自分で取り付けた場合には保証もありません。無理せず業者に依頼するのがおすすめです。
ミツモアは簡単な質問に答えるだけでエアコン専門業者に見積もりの依頼ができます。
無料で最大5件の見積もりを受け取ることができ、詳しい見積もり内容の確認、相談はチャットでやり取りできます。依頼したい業者が決まったら、決定ボタンを押すだけ!
エアコン工事を検討している方は、まずはミツモアで見積もりをもらってみませんか?