エアコンの冷媒ガスの補充が必要になる原因
ほとんどの家庭用エアコンはガス補充がいらない
家庭用エアコンはほとんどの場合、冷媒ガスの補充が必要ありません。
冷媒ガスが漏れる原因は主に振動によるものです。
なので車のエアコンなどでは冷媒ガスの漏れが生じますが、動かす機会がない家庭用エアコンでは冷媒ガスの補充が必要となるケースは滅多にありません。
配管損傷や設置時の不備、故障で補充が必要
- 配管が損傷している
- 設置時に配管作業・ネジ締めに不備
- エアコン自体が故障している
ほとんど必要となることがない冷媒ガスの補充ですが、上のような場合では補充が必要です。配管の損傷やエアコンの故障など、冷媒ガスを補充する以外に直さなければならない箇所があったり、故障箇所を特定する必要があります。専門知識をもったプロに相談してみましょう。
エアコンにガスの補充が必要かチェックする方法
冷媒ガスが漏れているかチェックする方法は、以下の2つです。
- 室外機の配管に霜が付いているかチェック
- 検知液・検知器でチェック
室外機の配管に霜がついているか
まずエアコンを冷房で15分ほど動かし、その後室外機の配管パイプに霜・水滴が付いているか確認します。
- 霜が付いている:冷房ガス漏れの可能性が高い
- 水滴が付いている:冷媒ガス漏れの可能性が低い
- なにもついていない:冷媒ガスがない(空)可能性がある
この際に霜がついていると冷媒ガスが漏れている可能性が高いです。水滴が付いている場合は冷媒ガス以外の部分で故障している可能性があります。
霜・水滴とも付いていない場合は、室外機の配管を触って温度を確認してみてください。常温だと冷媒ガスがガス欠状態なので、補充と修理が必要です。
検知液を使用する
冷媒のガス漏れチェックには市販の「検知液」を使うことができます。配管パイプの接続部などガス漏れが起こりそうな部分に検知液を吹きかけて、ガス漏れが生じていたら泡が出てくる仕組みです。
検知液は2,000円ほどで通販サイトなどから購入することができます。
エアコンの冷媒ガス補充は専門業者への依頼がおすすめ
冷媒ガスの補充は専門の業者へ依頼することをおすすめします。ガスの補充以外にも配管の損傷箇所や不備がある部分の特定など、高度な技術が要求されるため、初心者にはかなり難易度が高いでしょう。
DIYは難易度が高い
- 専門的な工具を揃えなくてはならない
- 冷媒を自分で購入する必要がある
- うまく補充できていないとエアコンが故障する
DIYで冷媒ガスを補充する場合は、まず専門的な工具を揃える必要があります。
ポンプやマニホールドなどに加え、補充する冷媒ガスも自分で用意しなくてはならないので、レンタルでも5,000円ほどかかります。そのため業者に依頼するよりも、かえって高くなることも。
また補充に失敗するとエアコンが故障するので、リスクが高く、初心者の方は専門業者に依頼したほうがよいでしょう。
内部の部品が故障していると補充しても直らない
そもそもエアコン内部の部品が故障していると、冷媒ガスを補充しても直りません。
冷媒ガスが漏れているということは、何かしら内部で破損や故障が起こっているので、故障個所の特定も依頼しましょう。
補充・チャージする冷媒ガスの種類にも注意!
自宅のエアコンに使われている冷媒ガスの種類は、室外機に貼られているシールで確認可能です。冷媒ガスの種類はそのまま継ぎ足しができる「単一冷媒」と継ぎ足しができない「二種混合冷媒」に分かれます。
R22 | 単一冷媒 |
R410A | 二種混合冷媒 (R32+R125) |
R32 | 単一冷媒 |
R22・R32の場合は単一冷媒なので、継ぎ足しが可能です。しかしR22自体製造が中止されており、エアコンが2000年以前の旧型のため買い替えをおすすめします。
R410Aの場合は「R410A」の場合には、2種類のガスを50%ずつ混ぜ合わせており、ガス漏れが発生すると配合バランスが崩れるので、そのままつぎ足すことはできません。
冷媒ガス補充とガスチャージの違い
冷媒ガスの充填方法は「ガス補充」と「ガスチャージ」との2種類に分かれます。
- ガス補充:継ぎ足し
- ガスチャージ:一旦空にしてから新しく充填する
ガス補充とは、冷媒ガスが規定量に達していないときに、同じ種類の冷媒を追加で継ぎ足す作業です。R22・R32の場合はガス補充で充填することができます。
一方でガスチャージとは、まず真空引き作業で現在のガスを抜ききり、そのあとに新しい冷媒ガスを規定量注入する作業です。R410Aはこちらのガスチャージでないと充填することができません。
冷媒ガス補充・チャージを業者に依頼するときの費用相場
冷媒充填(R22) | 15,000円前後 |
冷媒充填(R32) | 25,000円前後 |
エアコン用冷媒ガス補充を業者へ依頼した場合、料金は15,000〜25,000円くらいが相場です。上記の価格はガス補充のみを依頼した際の費用です。冷媒ガス代や作業料が含まれています。
ガスチャージは真空引き・ガス回収費用も追加
真空引き | 10,000~20,000円 |
ガス回収費用 | 6,000円ほど |
ガスチャージの場合は真空引き・ガス回収費用がかかります。
真空引きとはエアコン・配管の内部から空気や水分を追い出して真空にする作業です。パイプの残ガスや空気、水分を入れ替えることで冷房を効きやすくします。
真空引きの費用が10,000〜20,000円、ガス回収費用で6,000円ほどなので、ガスチャージの場合は総額で40,000〜50,000円ほどかかります。
保証期間を過ぎた機種は買い替えを
冷媒ガスの充填をする際は、エアコンに記載があるガスの種類を確認することになります。R22冷媒を使用している場合は業者でも補充が難しいため、買い替えを検討しましょう。
古いエアコンなら、配管の他にも不具合があるケースが多く、修理費に余計な出費がかかるでしょう。修理後に再び故障する確率も高くなります。
またエアコンの寿命もおおよそ10年程度が平均なので、それ以上のあいだ使い続けている機種なら、買い替えた方がよいかもしれません。
DIYで冷媒ガスを充填する手順・必要な道具
冷媒ガスを補充・チャージするのに必要な道具
フルオロカーボンガス | 冷媒ガスのボンベ |
真空ポンプ | 真空状態を作るためのボンベ |
チャージングスケール
(はかり) |
冷媒の充填量を計測する機械 |
ゲージマニホールド | 真空度を計測する器具 |
チャージングホース | 各部分を接続するホース |
エアコンの冷媒ガスを充填するには、上記の用意が必要です。(※「ガス補充」の場合には「真空ポンプ」は必要ない)
これらの工具をそろえるための費用はレンタルのときで3,000~5,000円程度です。ただし、もし自分で購入する場合は、30,000~50,000円以上になるので、業者に依頼するほうが安くなります。
自分で必要な道具をそろえたとき、もしガス補充に失敗したら、かなり痛い出費です。
自信がなければレンタルで安く済ませるか、初めから業者に依頼するのが賢明と言えます。
冷媒ガス補充・ガスチャージの手順
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ガスチャージの具体的な手順は上記のとおりです。
「真空引き」でガスを抜ききってから充填する方法を紹介しています。単一冷媒のときには、同じ冷媒を注ぎ足す「ガス補充」も可能です。(4・5のみ)
1.必要な器具と室外機とを接続
まずは「室外機→マニホールド→真空ポンプ」という順に、チャージングホースを使って接続していきます。
このとき室外機の「低圧側」のバルブにつなぎます。間違えないようにしましょう。
2.真空引き
「真空引き」をすることで、いまエアコンに残っている冷媒ガスを完全に抜きます。
バルブが開いていることを確認し、真空ポンプの電源を入れて真空引きを開始します。10~15分ほど運転させておきます。
その後、マニホールドのゲージ圧が-0.1MPa以下であることを確認したら、低圧側バルブを閉めます。
3.気密試験
バルブが閉まっているのを確認して、真空ポンプの電源を切ります。
その状態のまま5分ほど放置したあとで、低圧側ゲージがピタリと止まっていれば気密試験は完了です。(もしゲージが動いていればガス漏れしています)
4.ガス補充・ガスチャージ
冷媒ガスは、エアコン機種によって使用できる量が細かく規定されています。この量を守ることでエアコンの寿命や電気料金を適正範囲に収められるのです。
冷媒ガスの充填をするときに、ガス量を計量するために使うのが「チャージングスケール」。これの上にガスボンベを載せて、重量を0に設定しましょう。(充填したガスのぶん重量が減るので「-(マイナス)」表示になります)
その状態で、マニホールドと冷媒ガスボンベとをつなぎます。真空引きのときと同じく、室外機の低圧側バルブに接続しましょう。
※「ガスチャージ」ではなく「ガス補充」の場合は、ここでチャージングホースのなかをパージ(真空引き)して真空状態にしてください。
バルブを開けて、冷媒ガスを充填していきます。チャージングスケールのメモリでガス量を見つつ、マニホールドのゲージ圧を確認しながら規定量をチャージしましょう。
5.バルブを閉める
「マニホールド→ボンベ」の順でバルブを閉めます。
その後、「室外機サービスポート→冷媒ガスボンベ」の順に、チャージングホースを外して、ガスチャージは完了です。
難易度が高く失敗すると業者に依頼しなくてはならない
冷媒ガスの充填はご覧いただいたように、工数が多く、専門の機械も使用します。そのため初めてエアコンの修理をしようとしている方には非常に難しい作業です。
失敗するとかえって手間や費用が大きくかかるので、最初から業者に任せることをおすすめします。
冷媒ガスを充填したのに部屋が冷えない?考えられる原因
エアコンの温度調整がうまくいかないとき、冷媒ガスの漏れ・ガス欠以外には、以下のようなことが原因になりやすいです。
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冷媒ガスを充填しても、冷暖房が効かない場合は別の箇所で故障していることが考えられます。
故障箇所の特定は難易度が高いので、業者に依頼しましょう。
室内機の内部が故障している
冷媒ガスを充填しているのに、エアコンの温度がうまく下がらない(上がらない)場合は、室内機が故障している可能性もあります。
室内機の故障は基盤の交換のみでも3万円ほど、丸ごと交換すると10万円以上かかるため、修理費用が高額になる傾向です。
室外機が汚れている
エアコンの室外機が汚れているとゴミが詰まってしまい故障のリスクが高くなります。
また室外機のなかにゴミがたまって汚れていると、室外機に負荷が大きくかかるため稼働効率が悪くなり、冷たい(暖かい)空気が出てこなくなってしまいます。
室外機は屋外で利用することを前提に設計されているので、ある程度の汚れには耐えられますが、汚れている場合は掃除をしましょう。
以下の記事で詳しく掃除の方法を紹介しています。
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冷媒ガスが漏れている場合補充するだけでなく、故障箇所の特定や修理が必要になることもあります。
その場合は初心者だけで対処するのは難しく、専門技術をもったプロに依頼しましょう。
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