窓用エアコンは、手軽に設置できることから広く利用されている一方、運転中に「窓を完全に閉められない」というデメリットもあります。
「窓用エアコンは窓を閉められる?」「防犯対策はどうすればいいの?」
このような疑問を抱えている方に向けて、本記事では窓用エアコンの特徴や窓を閉められない理由や、窓を閉められなくても窓用エアコンを設置するメリット、防犯対策などについて詳しく解説します。
窓用エアコンとは
窓用エアコンは、室内機と室外機が一体化したコンパクトなエアコンで、窓に直接取り付けることができます。従来の壁掛けタイプのエアコンとは異なり、設置時に壁に穴を開ける必要がなく、賃貸住宅でも気軽に利用できるのが大きなメリットです。
冷房専用のものや冷暖房兼用のものがあり、部屋の空気を効率よく循環させることができます。
設置だけでなく移動も簡単なので、一時的な使用や小規模な空間の冷房に適しています。
窓用エアコンで窓を閉められない理由
窓用エアコンの稼働中に窓を閉められない理由を解説します。
窓用エアコンは窓を開けたまま使うことが基本
窓用エアコンは独特の設置方法であるため、窓を開けた状態で使用することが基本です。窓用エアコンは背面から熱交換した空気を排出するため、窓を閉めてしまうと熱がこもり、冷房効率が下がってしまいます。
故障の原因となるリスクがある
窓を閉めて使用すると、エアコン内部の温度が上昇しすぎて安全装置が作動する可能性があり、最悪の場合故障につながる危険性もあります。窓用エアコンは、室内機と室外機が一体となっているため、適切な換気と排熱が行われないと内部の温度が急激に上昇します。
この状態が続くとコンプレッサーや電気系統に過度の負荷がかかり、機器の寿命を縮めたり、突然の停止や故障を引き起こしたりする可能性があります。
そのため、多くのメーカーは運転中は窓を開けて使用することを推奨しています。
窓を閉められない窓用エアコンの防犯対策
窓用エアコンの使用時には窓を閉められないため、稼働中は防犯対策に気をつける必要があります。おすすめの防犯対策は以下の通りです。
窓用補助錠を使用する
窓用エアコンを使用する際は窓が開いた状態になるため、通常のクレセント錠はロックできなくなります。そのため、防犯対策として窓用補助錠を使用するとよいでしょう。
窓用補助錠は、窓とサッシを固定することで不正な窓の開閉を防いでくれます。一般的な窓用補助錠は強化プラスチックや金属製でできており、工具を使わずに簡単に取り付けられるものが多くなっています。外部からの侵入を効果的に防げるので、防犯対策が気になる場合は設置するとよいでしょう。
また、補助錠の中には内側からのみ開閉できるタイプや特殊な鍵を使用するタイプなど、さまざまな種類があるので、用途に合わせて選んでみてください。
窓センサーを導入する
窓センサーとは窓の開閉を検知して、不審な動きがあった際に警報を発するシステムです。窓センサーを導入すれば、窓用エアコンの使用中に窓を完全に閉められない状況下でも、万が一の侵入に備えられます。
最新の窓センサーの中にはスマートフォンと連携して遠隔で監視できるものも多く、外出先から自宅の状況を確認することができます。また、高性能な窓センサーの中には振動や衝撃を検知する機能を備えているものもあり、窓を破壊しようとする行為を察知できるものもあります。
窓を閉められなくても窓用エアコンを利用するメリット
稼働中に窓を閉められないことは窓用エアコンの大きなデメリットですが、それでも窓用エアコンを利用するメリットはたくさんあります。
窓用エアコンのメリットは以下の通りです。
取り付けが簡単
窓用エアコンの最大の魅力は、取り付けがとても簡便であることです。通常のエアコンとは異なり、専門的な工事や壁に穴を開ける必要がないため、自分で設置することも可能です。
特に賃貸住宅に住んでいる人々にとって大きなメリットであり、改修が制限されている物件でも窓用エアコンなら問題なく使用できます。また、設置工事が不要なため、エアコンの購入から使用開始までの時間が短く、スムーズに導入できる点も大きなメリットです。
高い冷却能力
窓用エアコンはコンパクトなものが多いですが、しっかりと冷却能力も備えています。窓を開けて使用することですべての熱が屋外に排熱されるため、冷気の損失が少なく、効率的に部屋全体を冷やすことができるのです。特に小さな部屋や一人暮らしの空間であれば、冷却効果は十分です。夏場でも快適な環境下で過ごせます。
特に最新の窓用エアコンモデルは効率的な冷却システムを採用しており、消費電力を抑えながらも素早く室温を下げることが可能です。また、一部の高性能モデルでは、除湿機能や空気清浄機能を備えているものもあります。
コストを抑えやすい
窓用エアコンは、一般的な壁掛けエアコンに比べて価格が手頃であることも特徴です。導入時の工事費用も抑えられるため、予算が限られている場合でも選択肢になるでしょう。
また、メンテナンス面でも専門知識がなくてもフィルターの清掃がしやすく、自宅で簡単にケアが可能です。さらに引っ越しの際にも簡単に取り外しできるため、長期的なコストパフォーマンスがよいメリットもあります。
窓用エアコンを選ぶときのポイント
ここからは、窓用エアコンを選ぶときのポイントをご紹介します。
窓のサイズに合った製品を選ぶ
窓用エアコンを購入する際に最も重要なポイントは、設置する窓のサイズに合った製品を選ぶことです。
窓用エアコンは設計上、特定の範囲内のサイズの窓で使用することを前提としています。そのため、購入前に必ず設置予定の窓の幅と高さを正確に測定し、適合する製品を選ぶようにしましょう。
窓のサイズに合っていないエアコンを無理に取り付けようとすると、隙間ができて冷気が漏れたり、逆に外気が入り込んでしまい、冷房効率が低下してしまう可能性があります。また、落下などの事故リスクを防ぐという観点からも、適正サイズを選ぶことは欠かせません。
各メーカーのホームページに説明書が公開されているので、購入する機種の目星がついている場合は事前にチェックしてみましょう。
騒音レベルをチェック
窓用エアコンを選ぶ際には、騒音レベルもチェックしましょう。一般的な壁用エアコンには「インバーター」という装置が内蔵されていますが、窓用エアコンにはインバーターがないため、稼働音が大きくなりやすいのです。
製品のスペック表に記載されている運転音のデシベル値を確認し、できるだけ低い値の製品を選ぶことがポイントです。目安として、50デシベルを下回る製品を選ぶといいでしょう。
また、防犯の観点からも騒音レベルは重要です。稼働音により留守かどうかを判断されやすいため、過度に大きな音を出す製品は避けるようにしましょう。
設置のしやすさを重視する
窓用エアコンの中には、自分で設置できるものもあります。ただし製品によって設置の難易度に差があるため、DIYで設置を考えている場合は、設置のしやすさも重視すると良いでしょう。また、一人で持ち上げて設置できる重さであるかどうかも確認が必要です。
また、業者に依頼する場合であっても、設置しやすいタイプの窓用エアコンなら料金を抑えられる可能性があります。
なお、具体的なおすすめの窓用エアコンについて詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
窓用エアコンを設置する流れ
ここからは、窓用エアコンを設置する流れをご紹介します。ただし、以下はあくまで一般的な取り付け方となるため、詳細な手順については製品の説明書の指示に従うようにしてください。
1. 枠の取り付け
はじめに、専用の枠を取り付けます。窓下の溝に枠を差し込み、柱側いっぱいに寄せてネジ留めしましょう。専用枠を窓の立ち上がりへ差し込んでネジ留めし、残りのネジもしっかりと留めるようにします。
2. 戸側のパッキンに切り込みを入れる
次に、窓の戸側にあるパッキンに切り込みを入れます。窓のストッパーを外して、はさみやカッターを使って下から切り込みを入れていきます。
3. エアコン本体の取り付け
続いて窓用エアコンの下側を枠にはめ込み、上側も一番奥まではめ込みましょう。本体と枠とを固定するネジをしっかりと締めます。
4. 戸側のパッキンと鍵をつける
本体を取り付けられたら、ガラス戸の隙間からの外気や虫の侵入を防ぐために、窓パッキンを貼り付けましょう。その後、防犯用の補助錠を取り付けて完了です。
窓用エアコンの設置作業は業者への依頼がおすすめ
窓用エアコンは比較的簡単に設置できるように設計されていますが、初めて設置する場合や少しでも不安がある場合は、専門業者への依頼がおすすめです。
豊富な経験と専門知識を持つ専門業者に依頼すれば、安全かつ確実な設置が可能です。専門の工具や機材を使用することはもちろん、設置後の動作確認や調整も実施してくれるため、トラブルなく導入したい方はぜひ検討してみてください。
窓用エアコンの設置にかかる費用相場
窓用エアコンの取り付けを業者に依頼する場合、費用相場は8,000円ほどが目安です。壁用エアコンと比べて大掛かりな作業がないため、比較的安い費用で設置してもらえます。
ただし、以下のようなケースではオプション料金が発生するケースもあります。
- 遠方からの出張費
- コンセントの増設
後から追加料金を請求されないように、事前に見積もりを取得しましょう。また業者によって金額が異なるため、複数の業者から見積もりを取って比較する相見積もりを行うのがおすすめです。
窓を閉められなくても窓用エアコンを利用するメリットはたくさんある
窓を完全に閉めることができないというデメリットこそあるものの、手軽に導入できる窓用エアコンは、賃貸住宅や小さな部屋などで多くの方に支持されています。購入の際は窓のサイズや騒音レベル、設置のしやすさなどを考慮して、使用の際は防犯面に気を付けましょう。
業者によって料金やサービスの質は異なるため、相見積もりを取得して比較検討してみてください。
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