新築の家にエアコンを取り付けるタイミングは、建築中か建築後のいずれかです。それぞれで可能な配管方式や費用が異なります。「どのようなエアコンをどの部屋に設置するか」をあらかじめ決め、費用も考慮しながら、最適なタイミングを検討しましょう。
新築住宅にエアコンを取り付けるタイミング
家を新築する場合、一般的にはエアコンが付いていません。エアコンや照明器具などの家電は、購入・設置を自分で手配しなければならない設備です。エアコン設置のタイミングは建築中か建築後ですが、予算や取り付けたいエアコンを考えて決める必要があります。
特殊なエアコンや隠ぺい配管方式は「建築中」がおすすめ
天井埋め込み型のような特殊なエアコンを設置したり、配管を壁の内部に通す『隠ぺい配管』で部屋をすっきり見せたい場合には、建築中にエアコンを設置するのがおすすめです。
建築中にエアコンを取り付けておけば、入居後すぐにエアコンを使えるため、快適に過ごせます。
しかし建築中にエアコンを設置する場合は、建築後に設置するよりも、費用が高額になる点を把握しておきましょう。
標準的なエアコンを安く取り付けるなら「後付け」がおすすめ
新居に「こだわりの家電製品や家具をそろえたい」と考える人も多いでしょう。しかし住宅ローンの頭金や引越し代など、家を新築する際には何かと費用がかかるものです。
家の建築後に標準的なエアコンを設置する『後付け』なら、建築中に設置するケースに比べて、取り付け費用を抑えられます。家の新築時にかかる費用を少しでも抑えたい場合は、後付けがおすすめです。
後付けの場合エアコンを取り付けたい部屋にスリーブやコンセントがないと、工事費が別途かかる点に注意が必要です。
後付けを検討する際は、どの部屋にエアコンを取り付けるか考え、建築中にスリーブやコンセントのみ設置するとよいでしょう。
新築の建築中にエアコンを取り付けるメリット・デメリット
建築中にエアコンを取り付ける場合には、配管を隠す『隠ぺい配管』が可能になります。隠ぺい配管にはメリットだけでなく、デメリットも存在するため、双方を把握した上で検討しましょう。
建築中にエアコンを取り付けるメリット
新居の建築中にエアコンを設置する場合、隠ぺい配管工事が可能になる点がメリットです。隠ぺい配管とは壁や天井裏、床下などに隠れるように配管を設置する工事で、見た目がすっきりします。
建築後に隠ぺい配管の工事をするのは難しいので、隠ぺい配管を考えているなら建築中に行うとよいでしょう。
建築中なら天井埋め込みタイプや、1台の室外機に複数の室内機をつなぐマルチエアコンなど、特殊なエアコンを設置できます。また「室外機は1階、エアコンは3階」というように、室内機と室外機を離す、特殊な設置方法の選択も可能です。
建築中にエアコンを取り付けるデメリット
建築中に隠ぺい配管工事を行うデメリットは、後付けに比べて設置費用が高額になる点です。
隠ぺい配管は壁の内部に配管を通すため、高度な技術が必要です。なおかつ工務店やハウスメーカーに依頼しなければならないので、中間マージンの発生や、エアコン本体価格が定価という点などにより、費用がかさみます。
また隠ぺい配管に対応していないエアコンもあるため、エアコンの寿命とされる10年後にエアコンを買い替える際、配管を再利用できない可能性もあるでしょう。
例えば屋外排出式の掃除機能、加湿機能、換気機能など、ホースの取り付けが必要な機能を搭載したエアコンは、隠ぺい配管に非対応です。
配管が見えないと劣化しているかどうかを外側から判断できない点も、デメリットです。隠ぺい配管は将来的に、配管を確認するだけでも時間と費用がかかる点も覚えておきましょう。
新築の建築後にエアコンを後付けするメリット・デメリット
家を新築する際にかかる費用を抑えたい場合は、エアコンの後付けがおすすめです。後付けのメリットとデメリットについて、把握しておきましょう。
建築後にエアコンを後付けするメリット
新居の建築後にエアコンを後付けで設置すると、建築中に取り付けるよりも工事費用を抑えられる点がメリットです。工事費用が安く済むだけでなく、エアコン本体もインターネットや家電量販店などで安く購入できます。
また建築直後だけでなく、将来的にエアコンを買い替える際も、隠ぺい配管に比べて手間がかかりません。配管が見えるため劣化の判断がしやすく、エアコンの取り換えもスムーズです。
建築後にエアコンを後付けすると、建築直後や将来エアコンを買い替える際の、手間と費用を抑えられます。
建築後にエアコンを後付けするデメリット
新築の家にエアコンを取り付ける際、エアコンを設置したい部屋にスリーブやコンセントがないと、工事費用が別途かかる点がデメリットです。
高断熱・高気密住宅の場合、穴あけ工事によって断熱効果が損なわれるケースがあるため、注意しましょう。高断熱・高気密住宅への穴あけ工事は、『気密施工』という作業により対応できますが、工事費が高額になります。
上記のデメリットは、建築時にエアコン用の穴あけと、スリーブなどの設置を行う『先行スリーブ工事』で解決が可能です。気密施工と先行スリーブ工事については、のちに詳しく解説します。
建築後にエアコンを後付けする場合、タイミングによっては、エアコンが付いていない家で生活しなければならない点も、デメリットの1つです。快適な新生活を送るためにも、入居日に合わせて設置工事を依頼しましょう。
新築住宅のエアコン設置で気を付けるべきポイント
新築住宅にエアコンを設置する際は、エアコンを設置する部屋と室外機の置き場所を、あらかじめ想定しておきましょう。さらに配管穴の位置や気密施工の必要性の有無など、気を付けるべきポイントがあります。
- 室外機を置く場所を想定しておく
- 配管穴の位置を想定しておく
- 後から穴をあける場合は気密施工の必要性を確認する
室外機を置く場所を想定しておく
エアコンを設置する際は、室内機との距離を考慮して、室外機を置く場所を想定しておきましょう。
エアコンの室外機は重量があるため、水平で安定した場所に設置します。雨や日光が直接当たらず、通気性に優れた場所を探しましょう。壁からは『前面約25cm・側面約5cm、背面約5cm』以上、離れていなければなりません。
室外機と室内機が離れすぎると配管が長くなり、エアコンの効率が下がるため、なるべく近い場所に両者を設置する必要があります。
あらかじめ室外機を安定して置ける場所と、室内機を設置したい部屋を想定しておきましょう。
配管穴の位置を想定しておく
建築後にエアコンを設置する場合は、壁に配管用の穴をあけなければならないため、配管穴の位置を想定しておく必要があります。
家の耐久性を高めるため、柱と柱の間には『筋交い』という補強材が入っています。配管用の穴をあける際は、筋交いを避けて工事しますが、工事担当者がミスをする可能性はゼロではありません。
そのためエアコンを後付けする場合は、筋交い・柱・電線の位置を確認しておきましょう。
建築中に配管穴や穴を保護するための『スリーブ』を設置する、『先行スリーブ工事』をしておくのも一案といえます。先行スリーブ工事を行っておけば、建築後の作業はエアコンの設置だけです。
後から穴をあける場合は気密施工の必要性を確認する
室内を快適な涼しさ、暖かさに保つ『高気密高断熱住宅』の場合は、エアコン設置のために配管穴をあける作業には、注意が必要です。
高気密高断熱住宅は気密性を保つため、壁の中に、断熱材や透湿防水シートなどの素材が使われています。後から工事で壁に配管穴をあける場合は、これらにも穴があき、気密性が損なわれます。
高気密高断熱住宅に配管穴をあける際は、工事業者にあらかじめ伝え、気密シートや気密テープを使って施工してもらわなければなりません。
気密施工は工事費が高額になるため、新築の家が高気密高断熱住宅の場合も、建築中に配管穴を設置する先行スリーブ工事を検討するとよいでしょう。
新築住宅へのエアコン取り付けの依頼先
新築住宅にエアコンを取り付ける場合、タイミングによって依頼先が異なります。建築中にエアコンを取り付ける場合と、後付けで取り付ける場合の依頼先について解説します。
建築中の場合はハウスメーカー
建築中にエアコンを取り付ける隠ぺい配管を施す場合は、ハウスメーカーに依頼します。先行スリーブ工事も建築中に行うため、ハウスメーカーに相談しましょう。
家の構造を理解しているハウスメーカーが専門業者に依頼するため、筋交いや柱を傷つけるミスの恐れがありません。高気密高断熱住宅の場合も、建築中に工事を行えば、気密性を保ったまま配管工事が可能です。
ハウスメーカーに依頼すると中間マージンが発生し、費用が高くなる傾向はありますが、建築後に業者を探す手間がなくなります。
後付けの場合はエアコン工事業者、家電量販店など
後付けでエアコンを設置する場合は、自分で好きなエアコンを購入し、取り付けてくれる業者を手配します。この場合はエアコン工事業者か、エアコンを購入した家電量販店に依頼が可能です。
エアコンを購入した店舗で依頼すると、下請け業者が取り付けに来るため、自分で業者を確認できません。信頼できる業者に依頼したい場合は、エアコン工事業者に任せるとよいでしょう。
エアコン工事業者なら高度な知識を持っており、新築住宅への取り付けも、安心して任せられます。エアコン工事業者なら新居が高気密高断熱住宅の場合、見積もりや依頼する際に確認できます。
新築住宅にエアコンを後付けする場合の費用相場
新築の家にエアコンを後付けする際にかかる費用の相場を紹介します。本体価格は含まず、取り付けの追加工事にかかる費用です。
工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
新品壁掛けエアコン取り付け(標準工事) | 1万~3万円 |
壁の穴あけ | 2,000~1万2,000円 |
配管の延長(4m以上) | 3,000~4,000円/m |
配管カバー取り付け | 1万4,000~2万円 |
エアコン専用コンセント設置 | 1万~2万円 |
コンセントの電圧切り替え | 4,000~3万円 |
断熱材 | 1,000円/m |
先行スリーブ工事を行っており、エアコンを取り付ける環境が整っていれば、壁掛けエアコンの取り付け工事費用のみで済みます。
先行スリーブ工事を行っていない場合は、壁の穴あけ・エアコン専用コンセントの設置など、追加の工事が必要です。
上記のほかにも新居の状況や業者によっては、室外機を地面やベランダに置けない場合の特殊設置や、隠ぺい配管工事に対応してくれるケースもあります。
新築のエアコン設置は信頼できる業者に依頼
新築住宅にはエアコンが付いていないので、エアコンも取り付け業者も自分で手配する必要があります。
天井埋め込み型エアコンを設置したい場合や、配管を隠す『隠ぺい配管方式』で新居をすっきり見せたい場合は、建築中に設置するとよいでしょう。標準的なエアコンを取り付けたい場合や出費を抑えたい場合は、建築後の取り付けがおすすめです。
取り付けを建築中に行うか建築後に行うかは、それぞれのメリットとデメリットを把握した上で決めましょう。
安心して取り付け工事を依頼できるエアコン工事業者を探したい場合は、ミツモアを利用して相見積もりを取り、複数の業者を比較検討するとよいでしょう。