引っ越しや設置工事なしのエアコンを購入した場合には、取り付けを業者に依頼することになります。頻繁に行うものではないため、気軽に依頼できる業者を知らない人もいるでしょう。賢い業者の選び方や、取り付けにまつわる疑問について解説します。
エアコン取り付け・取り外しの方法と費用相場
「エアコンを設置するためだけに工事費をかけるのはもったいない」と考える人もいます。機械の扱いが得意な人の中には、自分でもできそうだと思う人もいるでしょう。
しかし事故や故障などを考慮すると、やはり専門の業者に依頼することが無難です。納得して発注するためにも、取り付け作業の流れを確認してみましょう。
取り付け
取り付ける場合は、まず設置する壁に「据付板」を固定します。金属製の板で、室内機を引っかけるために必要です。落下や余計な振動音を防ぐために、慎重に固定します。
室内機の組み立てに入る前に、「電源」「冷媒管」「ドレンホース」がそろっていることを確認しましょう。次にケーブルとアースの先端を、室内機のそれぞれの端子に接続します。続いて「冷媒管」を戸外から室内へと通し、室内機とつなぎましょう。
室外機の取り付けは、冷媒管との接続前に「真空引き」をします。「真空ポンプ」を用いて配管内の空気を追い出す作業のことで、冷媒管を設置した後のエアコンの効きや寿命にも関わる作業です。
終了後、水漏れしていないことを確認し、スイッチを入れて試運転します。運転に支障がないことが確認できたら、「エアコンスリーブ」の穴埋めをして完了です。粘土状の「パテ」で、配管との接続部分をふさぎます。
取り付けを業者に頼む場合、費用相場は10,000~25,000円ほど。エアコンのサイズによって違いが出ます。
取り外し
取り外すときは、エアコン内部の「冷媒ガス」を排出し、室外機に閉じ込める「ポンプダウン」という作業から始めます。出し切ったら、室外機の横側についている「2分管」「3分管」のバルブをレンチなどの工具でしっかり閉じましょう。
ガスが肌に触れるとやけどの恐れがあるため、同じ箇所に付いている「サービスポート」をレンチの先で押してみます。冷媒ガスが漏れ出ていないことを確認したら、接続各部を外して室外機から「銅管」や配線を取り外しましょう。
室内機の電源を切って、風向きを調整する「ルーバー」が停止していることを確認してからコンセントを抜きます。ドレンホースや銅管を切断して、室内機を取り外しましょう。
その際、機材や切断したドレンホースから汚れた水などが出るので、部屋を汚さないようにビニールシートなどを敷いておくのがおすすめです。
取り外しにかかる費用は5,000~10,000円ほどを見ておくと良いでしょう。
クリーニング
本体を大まかに分解し、一つ一つのパーツを丁寧に洗浄します。「高圧洗浄機」を使用して汚れを取る場合もあれば、洗剤に浸けて「手洗い」する部分もあるのです。
ひととおり洗い終えたら、もう一度洗剤に浸します。細部にまで洗剤を行き渡らせて、隅々まできれいにするためです。
汚れを完全に取った後は、しっかりと乾燥させます。機械は水に弱く、水気を帯びたまま運転させると、故障や事故につながりかねません。そのため、しっかりと蒸発させる必要があるのです。
すべてのパーツが乾いたら、組み立て直します。電源を入れてから試運転をして、問題なければ終了です。
分解してクリーニングをする場合の費用相場は20,000~35,000円ほどです。お掃除機能がついたエアコンの場合は25,000~40,000円程度を想定しておきましょう。
エアコン取り付けの依頼先【DIYは可能?】
エアコンの取り付けや取り外し、洗浄方法を見てみると、とても専門的な作業であることがわかります。素人には、なかなか難易度の高いものだといえるでしょう。
自分で作業するのが難しいと判断した場合、エアコンを設置するには誰に相談すればよいのでしょうか?
エアコン専門業者に依頼
水道のトラブルなら「水道業者」、ガスの問題なら「ガス会社」と相場は決まっています。エアコンの場合は空気に関することのため、「空調設備を専門に扱う業者」が適しているでしょう。
空調にまつわる業務を行っている業者であれば、エアコンの設置・撤去はお手のものです。なかには「エアコンに特化して業務を展開している業者」もいます。
エアコンをよく手がける業者の場合、「冷媒」という空気の温度を調整するフロンの仕組みや真空引きといった特殊な作業、そして配管についてなど、あらゆる面で深い知識と技術を備えています。
引っ越し業者に依頼
もしも転居にともなってエアコンの取り付けや取り外しが必要なのであれば、「引っ越し業者」に依頼することもひとつの方法です。
近年は引っ越しに関する幅広いニーズに対応するため、「オプションでエアコンの取り外しや設置を依頼できる業者」もあります。エアコンにまつわる知識・技術を備えたスタッフを用意して、撤去から設置までを行うのです。
転居と同時の設置の場合、「引っ越し業者とエアコ業者との連絡が重なり、二度手間になるな」と感じる人もいるでしょう。引っ越し業者に両方お願いできれば、ひとつの会社との連絡で済むメリットもあります。
自分で取り付ける
「どうしても自分で取り付け・取り外しをする」というのであれば、故障や事故のリスクを引き受けるつもりで行う必要があります。ネットなどで下調べをしてみて、覚悟ができた段階で取りかかりましょう。
必要な備品は次のとおりです。エアコンを使用するにあたって不可欠なアイテムです。
- 室外機設置用の据置台
- 冷媒配管
- ドレンホース
- 配管用化粧カバー
- 配管テープ
- エアコンスリーブ穴埋め用パテ
- 電線(室内機と室外機を接続するケーブル)
- ボードアンカー(据付板装着用)
- アース棒(感電防止用棒)
- 真空ポンプ
そして、上記のアイテムを組み立て、解体するための道具を以下に紹介します。
- モンキーレンチ
- ペンチニッパー
- ドライバー
- 六角棒レンチ
- 両口スパナ
- パイプベンダー
- カッター
- ガス漏れ検知器(サービスポートを使わない場合)
エアコン取り付け業者とのトラブル
取り付けた後に、納得できない点が残ってしまうこともあります。ときには、業者とのトラブルを抱えてしまう場合もあるのです。取付の際には、どのような問題が生じるのでしょうか?よくあるケースを見てみましょう。
取り付け後に不具合が発生
最も多いトラブルが「取り付け後の不具合や故障」でしょう。引っ越しの際など、転居前までは安定して稼働していたものが再設置後に急に調子が悪くなることがあるのです。
たとえば室外機から出るホースの長さを調整しないまま、長い状態でぐるぐる巻きにして放置してしまう業者がいます。
室外機からの管には「潤滑油」が通っているものもあり、管内で詰まって循環が悪くなることも起こり得るのです。温度調整の機能が低下してしまい、エアコンの効きが悪くなる原因にもなるでしょう。
温度調整に不可欠な「冷媒の不調」も、質の悪い工事が原因でしばしば起こります。冷媒ガスにはたいていフロンが使用されていますが、室内外へ冷媒管の中を移動する際に「液体または気体」に変化することで温度を変化させているのです。
配管の際に、真空引きが上手くできていなかったり管に傷ができて漏れていたりすると、温度調整の能力が下がってエアコンの調子が悪くなってしまうでしょう。
高額な請求をされる
工事を終えて提出された請求書を見て、「予想をはるかに超えて高額だった」とトラブルになるケースも後を絶ちません。残念ながら、不当な費用を請求する悪徳業者もいるのです。
「発注主の知識が浅いことに付け込まれ、法外な金額を突き付けられた」という事態は、実に数多く起こっています。必要以上の工事費を支出しないためにも、「発注前の見積もり」をしっかりと確認し、それ以外に作業を増やさないように注意しましょう。
エアコン取り付け業者の選び方
「専門業者に頼みたいけれど、気軽にお願いできる会社を知らない」という人は少なくありません。エアコンに関する作業はしょっちゅう依頼するようなものではないため、出入りの業者がいない家庭は多いものです。そこで、安心して依頼できる業者の上手な探し方について解説します。
実績が多い
インターネットの発達で、ホームページを見て業者を選ぶ人は多いでしょう。検索すれば、数多くの業者がヒットします。
その中で、特に「実績紹介のページ」をチェックすることがおすすめです。施行例が多いほど地域での信頼が厚く、確実な仕事をしてくれる業者である確率は高まります。
できるだけ「作業場所に近いエリア」での実績が多い業者を選ぶこともポイントです。ひとつの地域で数多くの仕事を受注しているということは、それだけ地区に根付いた会社だと考えられるからです。
見積内容が明確
工事を依頼するにあたっては、必ず見積もりをとります。「内容が明確かつ細かい」業者ほど信頼がおけるといえるのです。
雑な見積もりだと、「材料一式」「作業料一式」というように大ざっぱな項目でしか提示していないこともあります。それでは何にいくらの費用が生じたのかわかりません。
丁寧な業者であれば、一つ一つの作業とそれに必要な部品や道具、出張料や人工代などを細かく記載した見積もりを提示してくれます。「作業内容が明確な姿勢の業者」には、安心感が生まれるものです。
保証が充実
たとえ高い技術と深い経験を備えた作業員が丁寧に仕事をしたとしても、工事には不具合を起こす可能性は拭いきれません。そのため「保証が充実している業者」を選ぶことも大切です。
エアコンの再設置では、空調機能が低下した・水漏れが起こる・作動音がうるさくなったという不調がよく起こります。自分では修復できないため、改めて工事をお願いしなくてはなりません。
保証がない業者に依頼してしまったら、たとえ最初の工事による不具合であっても修理に費用がかかってしまいます。保証がしっかりしていれば、適用範囲内できちんと対処してくれるでしょう。
リーズナブルな価格で工事を提供している業者の中には、「保証なし」のところもあります。発注前に保証の有無はしっかり確認しましょう。
エアコン取り付け業者を選ぶコツ
エアコンは現代の生活に欠かせないアイテムといえます。それだけに、取り付けにはしっかりとした業者を選びたいものです。また経年による故障などを考えると、再度お世話なる可能性もあります。
そのような意味でも、安心できる業者の選択が重要です。そこで、よい仕事をしてもらうための業者選びのコツを紹介します。
価格だけで選ばない
「できるだけ安く取り付け工事を依頼したい」と思うのは当然のことです。相場がどれくらいかわかりにくいこともあって、手頃な価格を追いかけてしまうのも無理はありません。
しかし、価格だけで選ぶことは危険です。「安ければよい」という考えを最優先しないように気をつけましょう。手を抜こうと思えば、いくらでも簡単にできてしまいます。
室外機をただ地面に置く・室内機の取り付けに据付板を使わない・質の悪いホースや管を使用する・配管をいい加減に行うなど、いくらでも質を落とせるのです。
工事は目に見えない部分があるにしても、やはり適正価格の水準はあります。複数業者から「相見積もり(あいみつもり)」を取るなどして、妥当な金額で発注しましょう。
打ち合わせをしっかり行うか
相談をした際に、「打ち合わせ」をしっかりと行ってくれる業者かどうかを見ておきましょう。よい業者ほど、確実な作業をするために細かい点まで確認をするものです。
ひと口にエアコンといっても、種類やサイズ、機能はさまざまです。機種によっては一般的な作業内容が異なる場合もあるため、事前の打ち合わせが重要になります。また設置場所や撤去場所によっても、必要な作業は違ってくるでしょう。
設置場所によっては、室外機から室内機の距離がとても離れている・室外機の設置場所を特別に設けなければいけないといったケースも考えられます。スムーズな作業を展開してもらうためにも、事前の打ち合わせを怠らない業者に依頼しましょう。
エアコンの取り付けの気になる疑問
エアコンの取り付け・取り外しには、素人ではわかりにくい部分が多く、不安が付きものです。よくある疑問を細かく知って、適切な発注に備えましょう。
事前に確認することはある?
業者に依頼する前に、次の3点について確認しておくことをおすすめします。確認した内容は、当日作業する業者にも初めに知らせてあげておきましょう。
1つ目は「エアコン取り付け場所」についてです。戸建てなら、設置個所の壁に補強材が入っているかなど、特別な仕様について確認します。特殊な構造だと、設置ができない場合があるのです。
2つ目は「電気容量の確認」をしましょう。電気容量が不足してしまうと、エアコン稼働中に常にブレーカーが落ちるなどで設置しても安定して使用できません。「電気容量を増やす」などして、対応する必要も出てきます。
3つ目が「取り付け場所の近くに電源があるか」の確認です。万が一近くに電源がなければ、長い延長コードを壁に伝わせる工事をしたり、コンセントの増設をしたりする必要があります。適当な場所に電源があるかをチェックしておきましょう。
新規取り付け・移設工事の違いとは?
新規取り付けは、新しいエアコンを設置することです。新規取り付けの際に確認すべき点に「型番」があります。機種ごとに費用も異なるため、チェックが大切です。寸法もきちんと計ります。設置場所に確実に収めるには、「実寸に幅・高さともに5cm加えた」余裕が必要です。
コンセントの電圧や形状も見ておきましょう。配管穴が設置するタイプと合うかどうか、配管状態は露出型が隠蔽型かも調べておきます。
対して、移設工事は「旧設置場所の取り外しと新設置場所の取り付け」をセットにして指すことが多いでしょう。移設工事のチェックポイントは、新規取り付けとは若干異なります。
なかでも「配管パイプの長さ」に意識を向けておきましょう。移す場所では、よりも長いパイプやホースが必要かもしれません。新たに延長すると、その分費用もかかります。
引っ越し前に取り外す場合は、電気を完全に止める前に作業を済ませることが必要です。冷媒ガスの排出などには電気が必要なため、電気が止められていると最後まで作業できなくなります。
費用を安く抑えるには?
クリーニングを自分で行えば、その分は予算を抑えられます。掃除機でフィルターのゴミを吸い取る、エアコンケースはタオルで拭くなどして対処するとよいでしょう。
各業者から細かく見積もりを取り、かつ複数の業者で相見積もりすることも有効です。項目ごとに値段交渉することで、費用を削減していける可能性もあります。
作業時間はどれくらい?
取り外しであれば「30~60分」が目安です。撤去では冷媒ガスの排出以外に特別な作業は少なく、比較的スムーズに進められます。
取り付けには「90~120分」程度を見込んでおきましょう。冷媒の充填や冷媒管の真空引きといったエアコン特有の作業に加えて、室外機・室内機を安全に設置しなければなりません。
配管もただホースをつなげばよいわけではなく、設置後に化粧テープでまとめたり配管カバーを取り付けたりすることもあります。十分な時間の確保が必要です。
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エアコンの取り付け・取り外しには、複雑な工程と数多くの作業が求められます。素人には難しい作業です。専門業者に依頼すると安心ですが、業者選びに悩む場合もあります。ポイントを押さえた見極めで、優良業者を探しましょう。
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