エアコンを設置するときには専用コンセントが必要になることがあります。
エアコンは一般的な家電よりも使用電量が多いため、専用コンセントがないとブレーカーが落ちやすくなるなどのリスクがあります。
エアコン専用コンセントの増設にかかる費用の目安は?
下記によくあるエアコン専用コンセントの増設に関わる費用をまとめました。
- コンセント穴の形状変更:2,000円~
- コンセントの新設:12,000円~
- コンセントの延長:5,000円~
- コンセントの電圧切替:2,000円~
- 分岐ブレーカーの交換費用:5,000円~
エアコン専用コンセントの増設にかかる費用については下記で詳しく解説しています。
エアコン専用コンセントの増設にかかる費用の目安
エアコン専用コンセントとは?必要な理由

エアコン専用コンセントとは、エアコンにのみ電力を供給することを目的にしたコンセントのことです。
出力数によってはコンセントプラグの差込口の形が一般的なコンセントと異なるため、エアコンのプラグのみが差し込めるようになっています。
エアコンは他の家電と比べたときに使用する電力が多いので、専用コンセントから給電することでブレーカーが落ちることや発煙・発火などの事故を予防できます。
- ほかの家電と同じコンセントを使用すると発煙・発火など重大事故のリスクが上がる
- ほかの家電と同じコンセントを使用するとブレーカーが落ちやすくなる
- 国の規制ではないものの経産省も事故防止のため専用コンセントの設置を推奨している
エアコン専用コンセントの設置は法律で義務付けられているわけではありません。
しかし火災などの重大事故が起きるリスクを下げるために、定格電流が10Aを超える据え置き型の大型電気機械器具については専用の分岐回路を設けることが推奨されています。
家電量販店でエアコン取り付け工事を依頼するときは、エアコンの専用コンセントがないと取り付け工事を断られることもあるのでご注意ください。
- エアコン
- 電子レンジ
- IHクッキングヒーター
- 衣類乾燥機
エアコンの専用コンセントの増設をはじめ、コンセントに関する工事は電気工事です。
電気工事士資格の有資格者にのみ工事が可能なので、コンセントの増設等は電気工事の専門業者に依頼しましょう。
一般的なコンセントとの違い
一般的なコンセントは平行に穴が空いている、100V15A用のものです。
エアコン専用コンセントと一般的なコンセントには以下の違いがあります。
- コンセントの穴の形状
- 対応する電流・電圧の強さ
- コンセントの位置
- コンセントにつなげるプラグの数
エアコン専用コンセントと一般的なコンセントを見分ける方法は、「エアコン専用コンセントの見分け方」で解説します。
エアコンの中にも100V15A用のコンセントで稼働するものもありますが、6~8畳など小さい部屋向けの製品のみです。
エアコンは消費電力が多く、ひとつの回路に対しひとつの機器を取り付けることで、ブレーカーが落ちるなどのリスクを減らしている。
エアコン専用コンセントの見分け方
エアコン専用コンセントと一般的なコンセントを見分けるには2つのコツがあります。
① 壁の高い位置にある
一般的なコンセントは壁の低い位置にあることが多いです。
しかしエアコン専用コンセントは壁の高い位置にあり、エアコンの設置場所のすぐ横にあります。
壁の高い位置に差込口がひとつだけのコンセントがある場合は、エアコン専用コンセントである可能性が高いです。
② 穴の数や形が違う

100V20A以上のエアコン専用コンセントであれば、穴の数や形状が一般的なコンセントとは異なります。
対応するプラグの差込端子の形状も異なるため、製品を購入する前に設置予定のエアコン専用コンセントの形状をチェックしておく必要があります。
コンセントの穴の形が特殊な理由
エアコン専用コンセントだからといって、特別な電気が流れているということではありません。
エアコン専用コンセントの穴が特殊な形状をしている理由は、誤って適応していないコンセントにプラグを差し込んでしまわないようにするためです。
- コンセントの電圧が低い場合正常に動作をしない
- コンセントの電圧が高い場合発熱・発煙・発火など重大な事故が発生する
たとえば100Vのコンセントに200Vで動く製品のプラグを差し込んでも正常な動作をしません。
反対に200Vのコンセントに100Vで動く製品のプラグを差し込むと、今度はオーバーパワーによる発熱・発煙・発火などの重大な事故が発生するリスクがあります。
そのようなミスを防ぐためにも、エアコン専用コンセントの差込口の形状は特殊なものになっています。
エアコン専用コンセントの形状の種類

エアコン専用コンセントは、穴の形が4種類あります。
コンセントの容量 | 適用畳数の目安 | 設置場所の例 |
---|---|---|
100V15A | 6~8畳 | 寝室、子供部屋、書斎など |
100V20A | 10~12畳 | 寝室、書斎など |
200V15A | 14畳以上 | <リビングルーム、ダイニングルームなど/td> |
200V20A | 16畳以上 | リビングルーム、ダイニングルームなど |
コンセントの穴の形状によって電力の容量などが異なるため、エアコンを購入する前にコンセントの形を必ずチェックしましょう。
【100V 15A用】平行に穴が2つ空いている
100V 15A用は通常のコンセントと同じく、縦長の穴が2つ平行に並んだ形状です。
流れる電気量や強さは一般的なコンセントと同じで、電源コードが届くのであればエアコン以外の電気製品にも使えます。
その代わり、冷暖房のパワーはそれほど強くありません。6~8畳程度の狭い部屋に付いていることが多いコンセントです。
単身者向けのワンルームや1Kなど、比較的コンパクトな部屋に設置されているエアコンは、100V15Aのコンセントに対応するものであるケースが多いです。
【100V 20A用】片方がL字の穴が空いている
100V 20A用は寝室や広めの子ども部屋など、10~12畳の部屋に設置するエアコンに対応しています。
縦の穴がふたつあり、片方がアルファベットLやTを横向きにしたような形状になっています。
2人暮らし向けの1LDKや1DKなどのリビングやダイニングに設置されていることも多いコンセントの形状です。
【200V 15A用】目を閉じた人の顔に似ている
200V 15A用は、主に14畳以上の部屋で使われるコンセントです。
上に横長の穴がふたつ、下には半円形の穴があり、目を閉じた人の顔のようにも見える形をしています。
半円形の穴は、漏電事故を防ぐための「接地極(アース)」です。
アースをきちんと取り付けないと漏電による感電事故などのリスクがあるのでご注意ください。
【200V 20A用】すべての穴の形が異なる
200V20A用も3つの穴が空いたコンセントで、穴の形状が全て違うのが特徴です。
下の穴は15Aと同じく半円形の接地極(アース)で、上の穴は片方横長でもう片方がL字型になっています。
エアコンの中でも使用電力量が多い、16畳以上の製品に対応可能です。
エアコン専用コンセントに関する工事費用の目安
エアコン専用コンセントに関する電気工事は大きく分けると5つあります。
工事内容と相場を以下にまとめます。
工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
エアコン専用コンセントの新設 | 12,000~16,000円 |
エアコン専用コンセントの形状交換 | 2,000~3,000円 |
既設のエアコン専用コンセントの延長 | 5,000~15,000円 |
エアコン専用コンセントの電圧変更 | 2,000~5,000円 |
分岐ブレーカーの交換 | 5,000~20,000円 |
エアコン専用コンセントの新設工事
エアコンの電源コードを挿せるコンセントが無い場合はエアコン専用コンセントを新設します。
専用コンセントの増設にかかる費用は、分電盤からコンセントまでの距離や壁への穴あけの有無によって変化します。
コンセントの増設工事の費用相場は13,000~25,000円です。
エアコンの専用コンセントを新設する場合は、ブレーカーから新たな回路を引き込む必要があるので作業工賃はやや高額になる傾向があります。
エアコン専用コンセントの形状の交換工事
コンセントの形状交換は、2,000~3,000円程度で工事可能です。使用するエアコンの電源コードにあわせて、適した形状のコンセントに替えます。
エアコンの設置当日にコンセントの形が合わないことが判明しても、必要な部品が足りなくて作業できず、二度手間になる可能性があります。
取り付けるエアコンの電圧・アンペア数を事前に確認しておき、施工業者に伝えておくことで作業日当日に部品が足りず作業ができないなどのトラブルを防げます。
既設のエアコン専用コンセントの延長工事
エアコンのコンセント延長費用は、5,000円~15,000円が相場です。
ただし、建物の構造や延長する距離、分電盤から新たに専用回路を引くかどうかなどの条件によって大きく変動します。
コンセントの位置を少し移動するだけの場合
すでにエアコン専用回路が用意されているなど条件が整っていれば、5,000円程度の延長工事で済むケースもあります。
専用回路を新設する場合
分電盤から配線を敷設し直す工事が必要になるため、5,000円~15,000円ほどかかるのが一般的です。
配電盤に空きブレーカーがなく、新規ブレーカーの増設が必要な場合は、追加費用が上乗せされることがあります。
配線ルートが複雑な場合
壁の中を大きくはがしたり天井裏を通したりするなど、建物に大きく手を入れる工事が必要な場合は20,000円以上かかることもあります。
ポイントとしては、見積もり時に「なぜその費用が必要か」を明確にしてもらうことです。
専用コンセントの延長工事は、配線を増やすだけで済むケースから、新たに配線ルートを確保しなければならないケースまで幅広いです。
複数の業者から相見積もりを取ると、費用の妥当性や必要な作業範囲が分かりやすくなります。
エアコン専用コンセントの電圧変更工事
コンセントの電圧変更は、2,000~5,000円程度で工事できます。
日本で100Vから200Vに変更するときには、「単相三線式」という、3本の電線を引きこむ工事が一般的です。
エアコンの出力にあわせて、電気のアンペア数を上げることで、コンセントが使用できるようになります。
工事にかかる時間は、一般家庭で数時間、オフィスなど比較的大規模な工事でも1日程度と短めです。
分岐ブレーカーの交換工事
分岐ブレーカーの交換費用は、5,000~20,000円が相場です。主に以下の要素によって金額が変動します。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
ブレーカー本体の代金 | 2,000~10,000円 |
交換作業の技術料金 | 3,000~10,000円 |
分岐ブレーカーはメーカーやアンペア数によって価格帯が幅広く、通常の単相2線式(20A・30A)の分岐ブレーカーなら数千円で購入できますが、漏電遮断器付きや特殊なタイプになると高額になります。
また、作業内容がシンプルな場合、作業費は3,000~5,000円で前後で済みますが、分電盤の構造が複雑だったり狭い場所での作業になると、作業時間が長くなり料金も高くなる傾向があります。
単純にブレーカーだけを交換する場合は、上記のような低予算で済むことが多いですが、分電盤自体の容量アップや、配線の引き直しが必要になると費用が高額になります。
また、築年数が古い住宅だと、分電盤の交換が必要になるケースもあるので作業費用の相場はは相見積もりを取って比較することでチェックしましょう。
エアコン専用コンセントがない場合は新設工事が必要
設置したい部屋にエアコン専用コンセントがない場合は新設工事が必要です。
エアコン専用コンセント工事の基礎的な知識を以下にまとめます。
- 工事そのものは短時間で終わるケースが多い
- 分電盤からコンセントをケーブルでつなぐ必要がある
- 分電盤とつなげるために壁や床に手を加える可能性がある
ただしすべての工事で基本的な作業内容になるとは限りません。
注意点を以下に紹介します。
① 穴の形状が合わない場合はコンセントの交換で対応可能
エアコンの電源プラグと専用コンセントの形状が合わない場合は、コンセントを交換すれば使えるようになります。
200V 15A用と200V 20A用のように電圧が同じで穴の形状が違うだけなら、数千円で交換可能です。
100V用と200V用のように電圧が異なる場合は、電圧を変更するための工事が加わります。電圧線が単相三線式なら配線を入れ替えるだけですから、費用はそれほどかかりません。
コンセントの増設も交換も、基本的にはエアコンの設置と同時に施工できます。購入時にコンセントの状況を伝えて、工事内容や料金について確認しておきましょう。
② 電圧交換工事が必要なケースもある
電圧線が単相二線式の家は元々100Vの電源しか使えません。コンセントを200V用に変更する場合は、外部から200V用の電線を引き込む大がかりな工事が必要です。
工事に伴い電力メーターやブレーカーも交換しなければならず、費用も時間もかかります。200Vのエアコンを設置する際は慎重に検討しましょう。
③ 発火・発煙などのリスクがあるため延長コードは使用しない
エアコンは専用コンセントのすぐ近くに設置するのが前提の家電です。
しかしインテリアや風向きなどの理由で、延長コードを使って違う場所に設置したいと思う人も多いのではないでしょうか。
エアコンは大量の電力を使うため、一般的な延長コードでは電流に耐えられず発火する危険があります。
- 発熱し周囲の環境に悪影響を及ぼす
- 熱が原因で発煙が起こる可能性がある
- ホコリなどに引火する
ホームセンターなどに行くとエアコン専用の延長コードが販売されているものの、長期間の使用に耐えられる保証はありません。
コンセントから離して設置したい場合は延長コードを使わず、コンセントの位置を変えるか、増設するようにしましょう。
200Vコンセントを設置するための条件
14畳以上の部屋にエアコンを設置するには、電圧が200Vのコンセントを設置する必要があります。
200Vコンセントを設置するためには以下3つの条件があります。
① 電圧線が単相三線式
200Vのコンセントを使うためには電圧線が「単相三線式」でなければなりません。築年数の浅い家なら基本的には単相三線式になっているはずですが、古い家は単相二線式の可能性があります。
心配な人は、分電盤に接続されている電気配線の本数をチェックしてみましょう。
赤・白・黒の3本がそろっていれば、単相三線式です。白と黒の2本しかない場合は単相二線式なので、電圧変換の工事が必要になります。
② 契約電気容量が30A以上
エアコンを不自由なく利用するには30A以上の電流が必要です。
エアコン1台に必要な電力は15Aまたは20Aです。仮に契約電気容量が20Aだった場合、エアコンを使用中にほかの電化製品を使うとブレーカーが落ちるなどの不都合が発生します。
分電盤を見て30A以上の表記があるか確認しましょう。契約電気量を色で判別している分電盤もあるので、表記がない場合は電力会社に確認しましょう。
「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や領収書からも契約電気容量を確認できます。
地域や電力会社によってはアンペアごとの契約でないこともあるので、契約電気容量を変更したいときは一度電力会社に連絡をすることをおすすめします。
③ 分電盤に「エアコン専用回路」がある
エアコンは多くの電力を使うため、1台毎に他のコンセントとは別の専用回路が必要です。
分電盤の中に「エアコン」と書かれたブレーカーがあれば専用回路なので、問題なく使用できます。
専用回路がない場合も、空いている回路があれば簡単な工事だけで使えるようになります。
エアコン専用回路も空いている回路もない場合は、分電盤を増設しなければなりません。
賃貸物件でエアコン専用コンセントがないときはどうする?
賃貸物件のエアコンを設置したい部屋にエアコン専用コンセントがない場合は、まず管理会社に連絡をしましょう。
エアコン専用コンセントの設置をはじめ、エアコンに関する工事をするには壁に穴を空けるなどの修復が難しい作業が必要になります。
無許可で工事を行うと退去時の原状回復費用が高額になる可能性があります。トラブルの原因となるので、必ず管理会社に相談してからエアコン関連の工事を行いましょう。
- 退去時の原状回復費用が高額になる
- 工事の際についた傷・汚れ等の修繕費用を負担する必要がある
エアコンを設置する前に確認すること
室内機・室外機の位置はどこにするか
エアコンを設置する際は、コンセントが近くにあるか、室外機の場所から近いか、といった点に注意しながら位置を決めます。
新しいエアコンを購入する前に、望む場所に取り付けることができるかどうかを確認しましょう。
賃貸の場合は、原状回復のことを考えておく
賃貸の部屋に新しくエアコンを取り付ける場合、大家さんや管理会社に確認をとる必要があります。
もし確認を取らずに、勝手に自分でエアコンを設置すると、原状回復(入居前の状態に戻す)のために費用がかかってしまいます。
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