パソコンやスマホ、タブレット、インターネットTVなどは1人1台の時代に。今までは家に1台あれば足りていたルーターやLANコンセントも、たくさん必要になるケースがありますよね。
そこでこの記事では、LANコンセントを増設するときの工事方法について紹介していきます。
LANコンセントの増設は誰でもできる?
LANコンセントとは、LANケーブルを接続するためのコネクター(モジュラージャック)のこと。電気のコンセント一緒に設置されていることが多く、差し込み口に「LAN」と表示されています。
パソコンからLANコンセントに有線接続することで、Wi-Fiを使った無線接続よりも高速なインターネット通信が可能になります。
LANコンセントの増設に資格はいらない
電話回線や電気回線を工事する際は「電気工事士」などの資格が必要です。無資格で工事してしまうと法律に反するため罰則の対象となり、また漏電などのトラブルにもつながりかねません。
しかしLANケーブルの配線は、電気配線とは分けられています。コンセントを取り外しても電気配線に手を加えなければ、資格は必要ありません。
よってLANケーブルの配線をいじるだけであれば、一般の人でも増設が可能なのです。工事には「モジュラージャック(差し込み口)」「LANケーブル」「コンセントカバー」「かしめ工具(ペンチの1種)」などを揃える必要があります。
壁内配線がともなう場合は業者に依頼がおすすめ
いまLANコンセントがある場所にHUBなどを使って差し込み口を増やすだけであれば、しっかり調べて作業すれば素人でも作業できます。
しかしたとえば「1階から2階までLANケーブルを引きたい」という場合には、業者への依頼がオススメです。
もちろん1階のLANコンセントを分岐させて、2階までLANケーブルを伸ばすことはできます。しかし壁内を通さないとケーブルが露出して見栄えが悪くなり、またムダに配線距離が長くなってしまうのでケーブルの材料費がかさんでしまうのです。
壁内の配管・配線には、専門知識が必要です。壁内にLAN配線用の配管が設置されていないケースもあり、素人では作業が難しいので注意しましょう。
LANコンセントを増設する方法
LANコンセントを増設する方法は、おもに3パターンあります。それぞれの工事内容や、メリット・デメリットを紹介します。
スイッチングハブを設置する
ハブ(HUB)とは、LANケーブルを複数接続する際にその配線を集約する装置のことです。
その中でも「スイッチングハブ」は通信を行っているポートにのみ信号が流れるハブのことを指します。スイッチングハブのポート数に応じたLANケーブルを新たに接続することが可能です。
既存のルーターにスイッチングハブを接続するだけなので、初心者でも簡単にできます。コンセントまわりの工事や配線工事も不要なのがメリットです。
デメリットとしては、いまルーターやLANコンセントがある場所にしか増設できないこと。そのため「1部屋で複数のLANコンセントが必要」という方にはオススメですが、「別の部屋にLANコンセントを引きたい」という場合は結局、長いケーブルを配線する必要があります。
ポート数や素材、PoEに対応しているか、静音設計かどうかで価格は異なります。安い物では1,500円前後、高額な物になると数万円する製品も存在します。
コンセントがある場所に、LAN差し込み口を増設
すでにコンセントがある場所に、新たにLAN差し込み口(モジュラージャック)を増設するという方法があります。
この場合はコンセントカバーを外す必要はあるものの、いじるのはLANケーブルの配線だけです。そのため「電気工事士」などの資格や専門知識がなくても、差し込み口を増やすだけなら不可能ではありません。
ただしLANコンセントのコネクターには合計8つの溝があります。そして溝に対応して、オレンジ・緑・青・茶色の線と、各色のストライプ柄の8本の線があり、これを接続することが必要です。色によってつなぐ順番と場所が決まっているうえ、密着が甘いとネットワークがつながらなくなってしまうので注意が必要です。
また電気だけのコンセントや、TV用・電話用のコンセントには、LANケーブル用の配管が設置されていない可能性があります。
この方法は、あくまで既存のLANケーブル配管をつかってLANコンセントを新設する方法なので、そもそもLANケーブルを引いてくる必要がある場合は作業が難しくなります。
コンセントがない場所に、コンセント・LAN差し込み口を設置
元々LANコンセントのない部屋やスペースにコンセントを設置する場合は、新たにLANケーブルと配管を引く必要があります。この作業は、電気工事の知識の無い素人のDIYはあまりおすすめできません。
なぜならこの増設は、配管・配線についてきちんと把握しておく必要があるためです。壁の中にLANケーブルを通す際に、他のケーブルや配管と接触してしまう危険も考えられます。
コンセントがない場所にLAN差し込み口を設置する場合は、業者に依頼することを検討しましょう。
増設が難しい場合は業者に依頼がベスト
LANコンセントを自力で増設するのが難しいと思ったら、業者に依頼した方が安心です。業者に依頼するメリットや、費用相場を紹介します。
業者に依頼するメリット
業者に依頼すれば、自分でできないような壁内配管の接続作業もやってもらことができます。
仮にモールで室内にケーブルをはわせる場合でも、邪魔にならず目立たないルートで配線してくれるでしょう。
個人でLANコンセントを増設した場合、途中で線が切れるなど不具合を起こしてしまう可能性があります。業者に依頼すれば、配線した後はしっかり疎通試験をするためLANケーブルが使えないことはほとんどありません。
業者に依頼した場合の相場
LAN配線を業者に依頼した場合の費用相場は、以下の項目でおよその費用が算出できます。
項目 | 費用相場 |
---|---|
作業員 | 5,000~10,000円程度/1人につき |
LAN配線費用 | 7,000~12,000円程度 |
パッチ配線(5m以下) | 2,000~5,000円/本 |
ルーターの設置 | 10,000円/台 |
HUBの設置 | 3,000~5,000円/台 |
ネットワーク設定 | 7,000~8,000円 |
費用に関わる要因としては、まず配管の有無が挙げられます。
配管がある場合は、配管を使ってケーブルを引けば良いので、作業も多くはありません。ケーブル1本ですむような作業量なら、40,000円前後の金額でも依頼することができるでしょう。
また建物の外からケーブルを通す場合は、壁に穴を開ける工事が必要になります。防水カバーや壁へのビス留め、コンセントカバーといった部品が必要になると、さらに工事費用がかかるようになるでしょう。
配管の有無や工事環境によって金額は変動するため、正確な費用を把握するためには、業者から見積書を取得することをおすすめします。
費用相場を把握する場合は、相見積もりが効果的です。その際は、見積依頼一括サービスのミツモアを利用すると手間が省けます。
ミツモアでは簡単な質問に答えるだけで、複数業者から見積書を取得できます。金額やサービス内容を比較検討し、納得のいく業者を選定しましょう。
業者を選ぶポイント
相見積もりで業者を比較する際、金額だけでなくその内容も比べた方が良いでしょう。業者選びのポイントを紹介します。
専門知識を持っているか
LANコンセントの増設は、特別な資格を持つ必要がないため誰でも対応できます。中には経験がなく、不慣れな業者が工事する場合があるでしょう。
業者を選ぶ際は、専門知識や経験があるかを確認してください。スイッチングハブの設置など、業者以外でもできる簡単な作業であれば問題ありませんが、壁の中を通す場合には電気工事の実績も豊富な業者を選ぶことをおすすめします。
壁の中には電話線や電線などほかのケーブルもあり、専門知識のない業者の場合は誤って傷つけてしまう可能性があるためです。
開業年数や実績を見ると良いでしょう。電気工事士など何か資格を持つ社員がいれば、より安心です。
またSNSやインターネット上で、口コミを確認する方法もあります。工事中の態度や、品質について記載があればチェックしてください。
アフターサポートはあるか
LANケーブルを増設するだけでなく、その後のケーブル接続や定期検診まで行ってくれる業者もあります。
業者によっては、LANケーブル以外にも家電やパソコンとの接続や設定、データの移行やバックアップを行っているところもあるようです。
こうしたサポートをどこまで行ってくれるのか、有料の場合はどこまで対応しているかなども、確認して業者を選ぶようにしましょう。
工事をしてもらったはいいものの、インターネット回線がつながらなければ意味がありません。アフターサポートをしっかり行う業者であれば、現地に駆けつけて対応してくれるでしょう。
見積書の明細にアフターサポートがあるか、確認してください。なければ見積書を取得した段階で聞いてみるのもひとつの手段です。
事務所が遠い場所にある業者だと、駆けつけてくれない場合や後回しにされる可能性もあります。このような不安を減らすため、なるべく地元業者に依頼することをおすすめします。地元業者であれば、交通費も安く済むでしょう。
LANコンセント増設で通信速度は変わる?気になる疑問3選
LANコンセントの増設にあたって、「速度に影響があるのか」など、気になるポイントを3つ紹介します。
1.LANコンセントの増設で通信速度に影響が出るのか
ハブなどを使ってLAN差し込み口を増やしたとき、通信速度に影響が出てしまわないかが気になる方もいるのではないでしょうか。
結論を言えば、インターネット回線が遅くなる場合はあります。
その理由は、1度に通信できるデータの最大量には上限があるからです。ハブを増やしたことで同時に送受信するデータの量が多くなってしまうと、混雑を起こして速度が遅くなってしまうことはあり得ます。
どのぐらい増設すれば影響が出始めるかは、契約しているプロバイダや使用している機器によっても変わってくるため、厳密には不明です。ただし、差し込み口を増やすほどに通信速度に影響が出る可能性は高まります。
2.光コンセントとの違いや、配線方式の違いって?
LANコンセントの増設工事について調べていくと、気になる言葉がいくつか出てきます。「光コンセント」や「VDSL方式」といった言葉です。
光回線を使っている場合、かならず1つ「光コンセント」が設置されています。そこからケーブルで分岐させ、各部屋へ光回線を引いているのが一般的です。
光コンセントは1回線につき1つまでしか設置できず、増設することはできません。増設する場合は、別の回線事業者と2重に契約する必要があります。
マンションや賃貸の場合は、共有スペースに1つの光コンセントがあり、そこから各部屋まではLANケーブルを使ってい配線していることが多いです。差し込み口には「LAN」と書かれています。
コンセントに「光」とも「LAN」とも書かれていない場合は、「VDSL方式」で設置されています。これは電話回線ケーブルを使った配線方式なので、通信速度は低下します。
そのためインターネットの有線接続を増やすには、LANコンセントの増設が主流です。
3.無線LANやルーターで代用はできない?
「有線接続でなくてもいい」という場合は、ルーターを中継器にすることで、家中にWi-Fiを届かせることができます。
無線通信は、有線よりも回線速度が遅く、若干不安定になりやすいというのが特徴です。しかし動画の視聴やインターネットでの調べもの程度なら、無線LANでも不自由を感じることはあまりないでしょう。
逆にPCゲームや仕事用ツールのように、回線速度を求められるものであれば有線の方が向いているケースがあります。
快適な回線のためにLANコンセントを増設しよう
LANコンセントを増設するために、特別な資格は必要ありません。道具をそろえれば誰でも実施できるため、自力で挑戦してみるのもひとつの手段です。
ただし壁の中を配線したり、LANケーブルの末端を処置したりするには特別な工具や知識が必要です。
自力での増設が難しいようであれば、業者に依頼することをおすすめします。業者を選定する際は、相見積もりを取得すると良いでしょう。
金額だけでなく専門的知識や経験を有するか、アフターサポートがあるかも確認します。LANコンセントを増設し、快適な回線でインターネットを楽しみましょう。