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エアコンのポンプダウンとは?正しい方法やプロに依頼する理由を解説

最終更新日: 2024年06月28日

エアコンを取り外すときは室外機にガスを閉じ込める「ポンプダウン」が必要です。この作業に失敗すると事故や故障にもつながります。

正しいやり方を知って安全にエアコンを撤去しましょう。エアコンの撤去を業者に依頼した方がよい理由も解説します。

関連記事:自分でエアコンを取り外す方法は?室外機の配管部分も分かりやすく紹介【処分方法は?】

エアコンのポンプダウンって何?

ポンプダウンはエアコンの室内機や配管内に残った冷媒ガス(フロンガス)を、室外機にすべて回収して閉じ込める作業を指します。

エアコンのポンプダウンをしないとどうなる?

ポンプダウンをしないと「環境破壊につながる」「エアコンの運転効率が落ちる」という2つの影響が生じます。詳しくは記事内で解説しています。

ポンプダウンとは?役割と必要性

エアコン業者

ポンプダウン」は部屋に設置してあるエアコンを取り外すときの重要な工程です。

エアコンの室内機や配管内に残った冷媒ガス(フロンガス)を、室外機にすべて回収して閉じ込める作業を指します。

エアコンは冷媒ガスの力で室内の空気の温度を変えており、内部にはガスがいっぱいに入っているのです。

なぜポンプダウンが必要なの?

エアコンを取り外すときにポンプダウンが必要な理由は主に以下の2点です。

  • エアコンに使われる冷媒ガス(フロンガス)が大気中に放出されると、オゾン層破壊のリスクがある
  • 内部の冷媒ガスが減ることで、エアコンの運転効率が落ちる

ポンプダウンを行わずにエアコンを外すと、配管内にあった冷媒ガス(フロンガス)が放出されます。

近年の冷媒ガスは、以前よりも環境破壊のリスクに配慮したものに替わっていってはいますが、なるべく排出しないほうが良いことに変わりはありません。また、古いエアコンにはまだまだ環境に悪影響なガスも多く使われています。

冷媒ガスが外に出るということは、エアコン内部のガスの総量も減ってしまいます。移設して別の場所に同じエアコンを取り付けても、ガスが少ないと本来の性能が発揮できません。

ポンプダウンは自力でできる?

エアコンの取り外しやポンプダウンを自分で行うのはあまりおすすめできません。ポンプダウンは自力でも行うことができますが、失敗するとガス漏れ、ひどいと爆発の危険性があります。安全のためにもエアコンの取り外しはエアコン業者に依頼するのがおすすめです。

ポンプダウンの手順と必要な道具

エアコン業者

ポンプダウンは正しい手順で進めないと、冷媒ガスの回収がうまくいきません。準備段階となる冷房運転からポンプダウンの完了まで、順番にやり方を見ていきましょう。

ポンプダウンの所要時間は15分程度を目安にしましょう。時間があまりにもかかってしまうと、コンプレッサーの故障につながることがあります。

ポンプダウンの手順

  1. 最低温度での冷房運転、または強制冷房運転を行う
  2. カバーを開いてバルブキャップを外し、機材を接続する
  3. バルブを操作して弁を閉め、冷媒ガスを室外機に回収する

ポンプダウンに必要な道具

ポンプダウンは失敗すると事故につながる危険があり、慎重さを求められる作業です。自力で行う場合は入念に準備をしてから始めましょう。必要なものは次の通りです。

  • 軍手
  • プラスドライバー
  • 六角レンチ(4mm)
  • ゲージマニホールド(なくてもOK、あれば)
  • モンキースパナ(2本)
  • エアコンメーカーの説明書

必要な工具が揃ったら、取り外したエアコンを運ぶスペースを確保しておきます。エアコンをスムーズに運ぶには、余裕を持たせた経路の確保が必要です。

経路の確保ができたら、次に説明する「①強制冷房運転を行う」工程に入りましょう。

①冷房の最低温度で運転、または強制冷房運転を約5分行う

まず、エアコンの室内機を冷房を最低温度で稼働させ、室外機のファンが回るのを待ちます。ただし冬場は外気の温度がエアコンの最低温度より低いので、普通に冷房を稼働してもファンが回らないことが多いです。この場合は「強制冷房運転」モードを使います。

多くのエアコンで「応急運転ボタン」を操作すると強制冷房運転が始まります。ただしメーカーや機種ごとにやり方が異なりますので、事前に取扱説明書をよく読んで対応しましょう。

以下に代表的なエアコンメーカーの強制冷房運転の方法を挙げました。

ダイキン
「運転強制冷房スイッチ」を5秒以上長押しする。停止するときはもう一度同じスイッチを押す。

※詳細は「ダイキンコンタクトセンター」にお問い合わせください。

<問い合わせ窓口>
製品をお使いのお客様サポートサイト|ダイキン工業
連絡先:0120-881-081(24時間365日)

日立
応急運転」を5秒以上長押しする。

参考:
リモコンが使えないときにエアコンを運転/停止したいです。|日立 お客様サポート

シャープ
本体を運転中に「応急運転」ボタンを5秒押す。ピッと音が鳴り運転ランプが点滅したら強制冷房運転が開始。

参考:シャープ製ルームエアコンの強制冷房運転について|日本冷凍空調工業会

パナソニック
エアコンの前面パネルを開け、「応急運転ボタン」を5秒以上押す。ピッと音が鳴ると強制冷房運転が開始。

参考:
【エアコン】エアコンの応急運転の使い方|パナソニック
パナソニック製ルームエアコンの強制冷房運転について|日本冷凍空調工業会

東芝
ボタンがある機種
運転停止中に「応急運転」「強制冷房運転」「自動運転」ボタンを10秒以上押す。
※ボタン名称は製品によって異なるスライドスイッチがある機種
運転停止中にスライドスイッチを「冷房」の位置に合わせる。参考:東芝製ルームエアコンの強制冷房運転について|日本冷凍空調工業会
富士通
冷房運転中に「試運転ボタン」を押す。

※詳細はコールセンターへお問い合わせください。

参考:取扱説明書 ルームエアコン|富士通ゼネラル

<問い合わせ窓口>

修理・工事・アフターサポート|富士通ゼネラル
連絡先:0570-089-333

三菱電機
応急運転ボタンがある機種の場合
「応急運転ボタン」を1回押す。(1回押すごとに「冷房」→「暖房」→「停止」と切り替わる)その他のタイプについては以下のサイトも参考にしてください。参考:三菱電機製ルームエアコンの強制冷房運転に関するご案内|日本冷凍空調工業会
三菱重工
本体の電源を入れた後、「強制冷房運転ボタン」を5秒以上押す。

参考:三菱重工・ルームエアコンの強制冷房運転について|日本冷凍空調工業会

コロナ
ヒーポンインバーター Wタイプ
リモコンのふたを開き、「試運転ボタン」を細いもので押す。リモコン液晶の「冷房」という文字が点滅し、強制冷房運転が開始。ヒーポンインバーター N/Bタイプ、インバーター冷房専用タイプ
リモコンの「風量設定ボタン」を押しながら「運転/停止ボタン」を押す。リモコン液晶の「c」が点滅して強制冷房運転が開始。参考:コロナ製ルームエアコンの強制冷房運転について|日本冷凍空調工業会

②カバーを開いてバルブキャップを外す

ポンプダウンではまず室外機の側面カバーを開けて、六角ナットを外します。大まかな手順は以下の通りです。

  1. カバーを固定しているネジをプラスドライバーで外す
  2. 室外機のカバーを外す
  3. モンキーレンチで送り側(細管)・受け側(太管)の両方のバルブキャップを外す

カバーは室外機の側面にネジで固定されていますので、プラスドライバーでネジを緩めて外します。

ネジを取ってカバーが開いたら、中にある2つの配管のバルブキャップをモンキースパナで外しましょう。外したキャップは最後に取り付けるので、なくさないよう注意が必要です。

③機材を接続し、冷媒ガスを室外機に回収する

ポンプダウンの機材のつなぎ方

事前準備で用意したゲージマニホールドを使えば、ガスの圧力を目で確認しながらポンプダウンを進められます。以下の手順に沿って室外機へ冷媒ガスを回収しましょう。

  1. 室外機のサービスポートにゲージマニホールドの低圧側ホースを接続する
  2. 送り側(細管)のバルブを六角レンチで右回りに締める
  3. ゲージマニホールドの針が0になったのを確認する
  4. 受け側(太管)のバルブを六角レンチで右回りに締める

サービスポートは低圧側の太い配管で、ゲージマニホールドの低圧側は青色です。室外機のファンが動き始めたら送り側のバルブを閉じます。

室内機に送る冷媒ガスが停止した後、ゲージマニホールドのメモリが下がっていくことを確認しながら冷媒ガスを回収します。針の位置が0以下になったタイミングで、受け側のバルブを閉じましょう。

全ての工程が済んでエアコンの冷房稼動を止めれば、ポンプダウン作業は終了です。

ゲージマニホールドを使わない方法

ガス圧を測るゲージマニホールドがあると便利ですが、なくてもポンプダウンを行うことはできます。

送り側(細管)のバルブを閉めてから、受け側(太管)のバルブを閉めるまでの、ガス回収にかける時間はおよそ2~3分間を目安にしましょう。

ポンプダウン手順の参考動画

ポンプダウンの手順を説明した動画もありますので、参考にしてみてください。

参考:電気の便利屋デンリ 電気屋ブログ YouTubeチャンネル

自分でやるときは注意!ポンプダウンを失敗すると爆発事故の危険も

住宅の火災・爆発のイメージ

ポンプダウンは自力でもできる作業ではありますが、ガスを取り扱う作業なので、手順に漏れや間違いがあると事故を引き起こすリスクもあります。

具体的には、ガス漏れや配管接続の不備に気づかないまま作業を進めてしまった場合、配管内や室外機のコンプレッサー(圧縮機)に空気が混入し、過剰な高圧・高温状態になることで、室外機が爆発(ディーゼル爆発)するおそれがあります。

事故を防ぐためにも、以下のことに気を付けて作業を行いましょう。

  • 配管に亀裂が入っていないか確認する
  • 配管の接続やバルブの操作、順序が合っているか確認する

以下のページでは、ポンプダウン中に実際に発生した室外機の爆発事故の事例を紹介しています。写真の通り、破裂すると室外機が粉々になるほどの破壊力で、近くに人がいたら大けがを負う可能性が高いです。

参考:エアコン取り外し中の作業ミスによる事故事例について|東京くらしWEB

少しでも不安を感じたら業者に依頼を

業者への依頼は費用がかかりますが、もし大事故になってしまったら、もっと取り返しのつかないことになります。

破裂しなくてもポンプダウンの失敗で室外機が故障する可能性がありますので、自力でポンプダウンをやり切る自信がない場合は、エアコンの撤去や移設は十分な技術を備えたプロに任せましょう。

ポンプダウン作業のよくある質問と対処法

Q&A

ポンプダウンの作業にまつわる、よくある疑問やトラブルとその対処法をまとめました。

最初に冷房ではなく暖房で運転してしまった

ポンプダウンをはじめるときには冷房運転を行う必要がありますが、暖房運転にしてしまうと室外機がうまく冷媒ガスを回収できません。圧力差で冷媒ガスを引っ張って回収するので、冷房運転で低圧にしないといけないのです。

暖房運転でポンプダウンを行おうとすると、エアコンの故障や事故につながってしまいます。

ゲージマニホールドをつけている場合には、針がマイナス方向に動くため、暖房運転していたことに気づきやすいでしょう。万が一、暖房運転にしてしまった場合は故障の恐れがあるので、エアコン業者を呼ぶようにしましょう。

冷媒ガスが外に漏れてしまった

バルブを閉めてから配管の接続を外すときブシュー」というガスが漏れ出るような音が出た場合には、ポンプダウンがうまく行われていません

ポンプダウンに成功している場合には「ブシュッ」と短い音が出ます。

ガス漏れしてしまった場合にやり直すことはできません。エアコンの再設置の際に業者に冷媒ガスを補充してもらうようにしましょう。補充にかかる費用は12,000円~25,000円程度です。

壊れたエアコンはポンプダウンできるの?

壊れたエアコンではポンプダウンができません。この場合はエアコン業者に依頼するようにしましょう。

自分で行う場合には冷媒回収装置が必要になり、購入する場合には100,000円以上かかっていしまいます。レンタルの場合には1日当たり2,000円程で借りることができますが、借りる手間も考えると、エアコン業者に任せた方が手間がかからず楽です。

ポンプダウン後からエアコン取り外し完了までの手順

エアコン業者

ポンプダウンが完了したらエアコンを取り外しても冷媒ガスが漏れない状態です。配線と室内機それぞれの外し方をチェックしておきましょう。

配線を外す

電源コードを抜かないまま配線を切ったり外したりしてしまうと、故障や感電のリスクがあります。室外機の配線を外す際は、事前に室内機側の電源コードを抜きましょう。

電源コードが抜いたら配線の撤去作業に入ります。プラス・マイナスドライバーを使って、配線をとめているネジを緩め外します。

配線の根元に付いている白いパーツをドライバーで押し上げつつ、黒・白・赤の3本の配線を全て引っ張り抜けば完了です。取り外した後にエアコンを使わない場合は1本ずつ切断します。作業を終えたらパーツとネジを取り付けましょう。

室内機を壁から外す

配線が全て外れた後は壁に付いている室内機を外します。次の手順で作業を進めましょう。

  1. ドレンホースを切断
  2. 冷媒ガス用の銅管を切断
  3. エアコン本体の取り外し

「ドレスホース」は室内機から出たゴミを流すために付けられた、排水用のホースです。室外機の近くにあることが多く、「先端に穴のあいたジャバラ状のホース」のことです。

エアコンを処分するならどの位置で切っても問題はありませんが、再利用する場合はエアコン側のドレンホースを切らないようにしましょう。

室内側は白色・室外機側は灰色と区別されているので、室外機側の方を切断します。誤ってエアコン本体の方を切ってしまうと、再度ドレンホースを購入する必要があるため注意が必要です。

次に冷媒ガスが循環している銅管部分の切断を行います。ドレンホースと同じく、再利用する場合はナットで固定されている室外機側の銅管を切断しましょう。

エアコン本体を外す準備ができたら、下から持ち上げるように室内機を壁から外します。椅子や脚立を使う場合はしっかり固定しておかなければなりません。

関連記事:エアコンのドレンホースとは?掃除方法から交換方法まで徹底解説|ミツモア

エアコンの取り外しはどこに依頼する?

エアコン業者

エアコンの取り外しの依頼先は主に以下の3つです。

  • 家電量販店
  • エアコン専門業者
  • 引っ越し業者

引っ越しを考えている際は引っ越し業者に依頼するのがおすすめです。

料金やサービス内容をよく見て選ぶようにしましょう。

関連記事:エアコン取り外しの依頼先は?費用の相場や処分方法も解説|ミツモア

家電量販店に依頼

エアコン取り外しにかかる費用は、4,400~10,000円が相場です。室外機が高い場所に設置されていると費用が高くなります。

家電量販店によって料金や内容・取り外しの条件が異なるので、電話やネットの問い合わせフォームであらかじめ確認すると安心です。

ヤマダ電機
  • 室内機・室外機が同一階、平地・ベランダ設置:6,600円~
  • 室内機・室外機が異なる階、平地・ベランダ設置:7,700円~
  • 上記以外の設置:9,900円~

参考:エアコン工事料金の目安について|ヤマダウェブコム

ケーズデンキ
  • 標準取り外し工事:6,600円~
  • 特殊取り外し工事追加料金(1か所毎):3,300円~

参考:エアコン購入前のチェックポイント|ケーズデンキ

エディオン
  • 新規商品取り付けと同時の取り外し:5,500円~
  • 手持ちのエアコン取り外しのみ:8,800円~

参考:施工サービス|エディオン

ヨドバシカメラ
  • 標準撤去:4,400円

参考:エアコン設置工事|ヨドバシカメラ

エアコン専門業者に依頼

エアコン専門業者に依頼した場合、取り外しにかかる費用は3,000~10,000円が相場です。

追加料金が発生する例で「室外機が、屋根上や外壁などの高い位置にある」場合は+3,000円~6,000円程かかります。配管が壁内を通っている「隠蔽(いんぺい)配管」の場合は+3,000円程です。

住んでいる地域で営業しているエアコン業者を探すのは大変なこともあります。お仕事マッチングプラットフォーム「ミツモア」では、お近くの業者から最大5件エアコン取り外し工事の見積もりをもらうことができるので、ぜひ活用してみてください。

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引っ越し業者に依頼

引っ越しに伴うエアコンの移設の場合は、引っ越し業者に依頼するという手があります。荷物を運び出すときに同時に取り外し、新居への搬入時に取り付けるところまで行えるので、個別でエアコン取り外し・取り付けの依頼をしなくても済み、とてもラクです。

費用相場は業者によって異なります。例えばヤマトホームコンビニエンスの場合は、8,800円+運搬料金に設定されています。

デメリットとして挙げられるのは以下の2点です。

  • 引っ越し繫忙期は対応してもらえない可能性がある
  • 担当者がエアコンの専門知識を十分に持っていない可能性がある

ポンプダウンはエアコン業者に依頼しよう

エアコン業者

エアコンを取り外すときは全ての冷媒ガスを室外機に回収・封入する「ポンプダウン」が必要です。ポンプダウンは失敗すると室外機の破裂や故障につながるため、安全にエアコンを撤去するためにも正しい方法を把握しておきましょう。

自力で作業をするとケガや余計な出費のリスクが高まります。却ってデメリットが増えてしまうので、エアコンの取り外しを請け負っている専門業者に頼んだ方が安心です。業者選びでは複数社を比較できる相見積もりを取ったうえで、金額やサービス内容を見比べてから決めると失敗が減ります。

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ぜひミツモアを利用してみてはいかがでしょうか。

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