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タレントマネジメントシステムとは?人事システムとの違いや必要性を解説

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最終更新日: 2024年08月30日

多くの企業が直面する人材管理の課題を解決する鍵、それがタレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムを活用すれば、社員のスキルやキャリアパス、評価データを一元管理して、最適な人材配置や育成計画をスムーズに実行できます。

この記事ではタレントマネジメントシステムの概要やメリット、機能や選び方まで、基礎知識をわかりやすく解説します。

タレントマネジメントシステムとは

社員

タレントマネジメントシステムとは、人材に関する情報を一元的に集約して、企業の人材育成・戦略的活用をサポートするシステムのことです。

従業員一人ひとりのスキル、経歴、パフォーマンスデータを集約し、それを基に個々のキャリア開発計画を立てたり、適切な研修を提供したりすることができます。また組織のリーダーたちはチームや部署全体の人材配置を最適化し、組織の目標達成に必要なタレントを正確に把握することが可能になります。

そもそもタレントマネジメントとは?

そもそもタレントマネジメントとは、従業員が持つタレント(能力・資質・才能)やスキルの情報を一元管理して、戦略的な人材配置や人材開発を行う人材マネジメントのことです。

エクセルだけでタレントマネジメントをおこなうことも可能ですが、特に従業員数が多い企業や多拠点展開を行う企業では情報の最新性や同時編集の難しさといった課題を抱えやすいです。そのため、タレントマネジメントシステムのようなツールの活用が推進されています。

なぜタレントマネジメントシステムが必要なのか

時代のニーズにあった事業戦略を立てようタレントマネジメントシステムの導入がなぜ必要なのか?その必要性について普及した背景とあわせて解説します。

人材不足の中で人材を有効活用する必要性

少子高齢化が進み、労働人口が減少していく中で、多くの企業が人材不足に直面しています。

帝国データバンクの調査によると、全業種合わせた統計で正社員の人手不足は52.1%となっており、人材の外部調達が極めて困難であることが示されています。このような状況下で、組織が保有する人的資本をどのように活用するかが、企業にとって極めて重要な課題となっています。

以上の背景から、タレントマネジメントシステムは必要性を増しているようです。システムの活用によって組織は有能な従業員を特定し、彼らの能力やスキルを最大限に活用できるようになります。人手不足のカバー策として、人的資本の最適化を求めるユーザーは少なくないです。

DX化やグローバル化の中で競争力強化の必要性

現代のビジネス環境ではDX化に伴い業界全体がデジタル化し、競争が激化しています。同時にグローバル化の進展により、DXやグローバルなスキルを持つ人材の需要が増加しています。厚生労働省の「人材開発分野をめぐる状況の変化」によると、2018年の需給ギャップが22万人であったのに対し、2030年には45万人に増加する見込みです。

このような状況下で、組織のDX化やグローバル化を推進できるシステムとして、タレントマネジメントシステムが重要性を高めています。システムを活用することで、人材の能力やポテンシャルを適切に把握し、効果的な人材戦略を立案・実行することが可能となります。とくにグローバル市場やDX化した業界では、迅速かつ柔軟な人材戦略を展開する必要があり、その際に非常に有用なツールとなる見込みです。

経営戦略と人事戦略を結びつける必要性

組織全体が一体となり、効果的に働くためには、経営戦略と人事戦略を結びつけることが不可欠です。しかし、日本の終身雇用や年功序列などを特徴とする「日本型雇用システム」は、柔軟性に欠ける一面があり、この点が障害となることがあります。

2022年の経済産業省の「未来人材ビジョン」によれば、多くの企業が人材マネジメントにおいて抱える一番の課題は、人事戦略と経営戦略の結びつきが不十分であることでした。これは、経営戦略と人事戦略の結びつきがまだ十分に達成されていない企業が多いことを示唆しています。

その際にタレントマネジメントシステムの導入は有効です。経営目標や長期的なビジョンにもとづき、必要な人材像やスキルを明確にすることで、それに合致する人材を特定・育成することができます。データの収集・分析により、経営戦略や人事戦略における意思決定をサポートします。

タレントマネジメントシステムとほか人事システムの違い

オフィスでノートパソコンを操作する女性の手元

タレントマネジメントシステムとほかの人事システムの違いは、対象とするプロセスにあります。以下のそれぞれのシステムの特徴についてまとめました。

タレントマネジメントシステムの特徴

タレントマネジメントシステムは従業員の成長と才能の最大化に焦点を当てています。そのため、機能の多くは従業員の能力開発に特化しています。例えば、パフォーマンス評価やキャリア開発、学習管理機能などを備えています。

人事管理システムの特徴

人事管理システムは人事プロセスの効率化と管理に重点を置いています。そのため、給与計算や従業員情報管理、人事評価などの基本的なHRプロセスを効率化する機能がメインになります。実務の効率化がしたい場合はこちらを使いましょう。

人事評価システムの特徴

人事評価システムは従業員の業績と目標達成度を定量的に評価することに焦点を置いています。そのため目標管理機能やレビュー、フィードバック機能などが充実している傾向にあります。360度評価など、対応する評価指標が多い点も特徴です。人事評価制度の構築や

タレントマネジメントシステムとほか人事システムの比較

システム タレントマネジメントシステム 人事管理システム 人事評価システム
対象プロセス 従業員の成長と才能の最大化 従業員データの管理と人事プロセス効率化 従業員の業績や目標達成度の公平な評価
機能 パフォーマンス評価、キャリア開発、学習管理など 給与計算、従業員情報管理、組織管理など 目標管理やレビュー、フィードバック、評価シート作成
効果 従業員のエンゲージメントおよびパフォーマンスの向上 人事業務の効率化、コンプライアンスの確保 従業員のパフォーマンスの可視化と公平な評価
目的 経営戦略に活かすための人材戦略構築 人事管理の負担軽減 企業の目標と従業員のパフォーマンスを一致させる

タレントマネジメントシステムのメリットとデメリット

オフィスに集う男女

タレントマネジメントシステムシステムのメリット

タレントマネジメントシステムの導入メリットは大きく分けて以下の4つです。

  • 人材データの把握・管理の効率化
  • 人材配置の最適化
  • 人材育成の効率化・計画性向上
  • 人材発掘の実現

タレントマネジメントシステムの導入メリットをひとことで表すと、企業の人材戦略を統合的に最適化できる点にあるといえます。。一方でシステムを活用するという点で、デメリットもいくつかあります。

タレントマネジメントシステムのデメリット

タレントマネジメントシステムの導入におけるデメリットはおもに以下4つです。

  • 初期コストが高い
  • 人事戦略の見直しが必要になる
  • 従業員の適応が求められる
  • 機能をフル活用するのが難しい

総じて、導入したてのタイミングでの負担が大きいことがデメリットと言えそうです。

タレントマネジメントシステムの主な機能

オフィスでスマホを使う若い男性のエンジニア

タレントマネジメントシステムは以下のような機能を搭載しています。

機能名 特徴
人材データベース機能 社員の基本情報やスキル、経験を一元管理できる
スキル管理機能 社員のスキルセットを把握、更新できる
人事評価運用機能 公正な評価制度を実施してフィードバックを提供できる
人材配置シミュレーション機能 最適な人材配置をシミュレーションして分析できる
人材データ分析機能 各種データを分析して、人材戦略を最適化できる
人材育成・研修管理機能 トレーニングプログラムや育成計画を管理・実施できる
従業員エンゲージメント向上機能 社員の満足度やエンゲージメントを高める施策を行える

これらの機能により、タレントマネジメントシステムは企業の人材戦略を総合的に支援します。各機能を活用することで、効率的かつ効果的な人材管理が実現します。

タレントマネジメントシステムの市場規模とトレンド

タレントマネジメントシステムの市場規模は拡大傾向にあります。野村総合研究所の「ITナビゲーター2021年版」では、2020年には211億円だった規模が2026年には447億円まで拡大する予測が建てられていました。2019年以降から拡大が続いており、上記の理由から必要性が増したことが背景にあるようです。

国内のHRテック市場は軒並み拡大傾向にあり、人材活用や人材育成に目を向けたシステムの導入は今後も進んでいく予想です。

市場全体の中で目立った製品としては、売上高が22億5,400万円で前年同期比28.5パーセント増(2024年3月期第1四半期決算)の成長をしている「カオナビ」、従業員数1,000名以上の企業での契約件数比率が40パーセントと大規模企業での圧倒的な導入率を誇る「タレントパレット」(2024年9月期第2四半期)、タレントマネジメントだけでなく、人事評価や組織診断、ストレスチェックまで幅広くカバーしている「HRBrain」などが挙げられます。

また、公的機関向けの人事システムをリリースしている「One人事」、企業規模問わず導入が進み、登録社数は60,000社を超える「smartHR」なども利用が拡大しています。ほかにもさまざまなタレントマネジメントシステムが市場に投入されており、導入時は複数製品の比較が必須となっていくでしょう。

注目のタレントマネジメントシステム製品

導入社数が2,000社を超える、代表的なタレントマネジメントシステムを3製品紹介します。実際にどのような製品があるのか、みていきましょう。

ソフトウェア比較のイメージイラスト

タレントマネジメントシステム選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。従業員数や欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品と料金プランを最短1分で自動診断。理想のタレントマネジメントシステムが見つかります。

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カオナビ

カオナビ
出典:「カオナビ」公式Webサイト

カオナビ」は「社員の個性・才能を発掘し戦略人事を加速させる」をコンセプトに設計されたタレントマネジメントシステムです。従業員の顔写真を活かした画面設計が特徴で、人材配置のシミュレーションや人材情報の管理を直感的に行えます。

組織図の自動作成機能や人材データのレポート作成機能など、人事業務の効率化機能も豊富に搭載。人事評価シートをクラウド上で再現できる柔軟性の高さも魅力です。

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タレントパレット

タレントパレット
出典:「タレントパレット」公式Webサイト

タレントパレット」は「データを活用した科学的人事の実現」をコンセプトに置くタレントマネジメントシステムです。組織のあらゆる人材データを一元化して、時系列の変化や比較で多角的に見える化。人事戦略の策定や分析に活用できます。

さらに生成系AIを搭載しているのもユニークなポイント。人材データから構築されたダッシュボード上で指示を入力すれば、生成系AIがグラフを解析して解説文を生成します。データから読み取れるポイントが明らかになり、人員構成や要員計画に役立てられます。

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HRBrain

HRBrain
出典:「HRBrain」公式Webサイト

HRBrain」は顧客満足度の高さに定評のあるタレントマネジメントシステムです。誰でも簡単に操作できるよう、使いやすさを重視したシステム設計が魅力です。

タレントマネジメントや人事評価、組織診断サーベイなど複数のプロダクトを自由に組み合わせて導入できる柔軟性の高さもポイントのひとつ。既存システムとの連携も可能で、組織の課題にあわせてコスパよくシステムを導入できます。サポートも充実しており、初期設定から運用支援までの範囲を網羅的にカバーしています。

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タレントマネジメントシステムの導入事例

オフィスでPCを操作する女性

タレントマネジメントシステムを導入してうまく活用している企業の事例を紹介します。

トラスコ中山株式会社の事例

トラスコ中山株式会社はタレントマネジメントシステムを活用し、従業員の声を反映した人事戦略を実現しました。

これにより自らのキャリア形成を考える機会が増え、積極的にチャレンジする従業員が増加しました。同時に、エンゲージメントサーベイのデータを利用して各階層の研修アプローチを改善する取り組みも進んでいます。

業界 機械器具卸売業
従業員数 2,996人
導入効果
  • 従業員の声を反映した人事施策を立案できた
  • モチベーション向上とやるべきことの明確化
  • データを軸にした組織改善、研修の実現

明治安田生命保険相互会社の事例

明治安田生命保険相互会社はキャリア形成を目的として、タレントマネジメントシステムを導入しました。

半年間で個人情報の照会が90万回おこなわれるなど幅広く従業員に活用され、自主的にキャリア開発に携わる従業員が増加傾向にあります。さらにアンケート上で「知識・能力を身につける機会がある」の回答が82%など、組織内でキャリア開発の風土が定着しています。

業界 保険業
従業員数 4万7,415人
導入効果
  • 半年間で個人情報等の照会は90万回、プロフィール照会は12万回
  • アンケートで自己啓発意欲に関する項目が「知識・能力を身につける機会がある」82%、「知識・能力を高めようとする組織風土がある」70%などの回答が増加

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タレントマネジメントシステムの選び方

デスク上のパソコン

タレントマネジメントシステムの概要やメリット、機能を把握した今、次に重要なのは最適な製品を選ぶことです。人材戦略を劇的に向上させる自社にぴったりの製品を選ぶためには、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

  • タレントマネジメントシステムの導入目的に沿った製品タイプか
  • 人材データベースの使い勝手がよいか
  • 自社の人事評価制度に対応しているか
  • タレントマネジメントの運用サポートが受けられるか
  • 人材情報の流出を防ぐセキュリティ対策は十分か

以下の記事では、数あるタレントマネジメントシステムを「多機能タイプ」「人材管理タイプ」「目標管理タイプ」「人事評価タイプ」の製品タイプ別に分類して紹介しています。選び方の詳細やぴったりの製品がわかる診断コンテンツも用意しているので、ぜひ導入検討の参考にしてください。

タレントマネジメントシステムの費用相場

お金 札束

タレントマネジメントシステムの費用相場は以下の通りです。

初期費用 0~数十万円
月額費用 5万円程度

タレントマネジメントシステムの費用は利用するユーザー数と機能数によって変動します。また、実際の利用料金については、個別の見積もりが必要になるケースがほとんどです。次の記事ではタレントマネジメントシステムの費用相場について、くわしく解説しています。また製品の中には無料から始められる製品も。ぜひ、あわせて参考にしてください。

まとめ

オフィスで談笑するメンバー

タレントマネジメントシステムは、従業員の能力開発やキャリア成長、才能の最大化を支援する統合的なツールです。システムを活用することで複雑な人材データを一元管理して、最適な人材配置と効率的な育成を実現できます。

タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、自社のニーズに合った機能を持つ製品を選ぶことが重要です。適切なシステムを導入すれば、社員のポテンシャルを最大限に引き出し、企業の成長を力強く支援できます。

自社に最適なタレントマネジメントシステムを見つけて、一歩先の人材戦略を実現してみてはいかがでしょうか。

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