タレントマネジメントシステムの4つのメリットを解説！導入事例も紹介

人材管理の課題を解決できるタレントマネジメントシステム。人材の採用から育成、評価に至るまで、人材戦略のプロセスに大きく関与するこのシステムは、企業にどのような変化をもたらすのでしょうか。

この記事では、タレントマネジメントシステムの導入がもたらすメリットやデメリットをわかりやすく解説します。導入事例もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

タレントマネジメントシステムの4つのメリット

タレントマネジメントシステムの導入は、大きく分けて以下4つのメリットがあります。

• 人材データの把握・管理の効率化
• 人材配置の最適化
• 人材育成の効率化・計画性向上
• 人材発掘の実現

人材データの把握・管理の効率化

タレントマネジメントシステムのメリットは人材データを可視化して、把握や管理を効率的に進められる点が大きいです。組織を横断した人事戦略を進めるためには、人材データの効率的な収集と管理が欠かせません。

タレントマネジメントシステムなら、従業員の能力・資質・才能をはじめとする人材データの収集から蓄積、活用までを一元管理することが可能です。データベース化によって、人材情報を全社レベルで活用できる仕組みが整います。

人材配置の最適化

タレントマネジメントシステムにおけるもうひとつの大きなメリットは、人材配置の最適化です。人材データベースに登録された従業員のプロフィールやスキルを参考にしながら、経営戦略やプロジェクト、組織編成に適合した人材を抽出して配置できます。

また従業員の能力と業務のマッチ度を測る機能や、組織における相対的なポジション分析機能など各種分析機能を活用すれば、データを元にした定性・定量両側面からの人材配置が実現します。

ポジションにふさわしい人材を高いスピード感とマッチ度のもとに配置することで、ビジネスの展開速度や確度の向上を図ることができます。

人材育成の効率化・計画性向上

タレントマネジメントシステムの活用は、人材育成の効率化や計画性向上にも効果を発揮します。

人材データを分析することで、現在の組織にどのようなスキルを持った人が多いのかが可視化されます。そしてその結果から、現在の組織に何が不足しているのかといった人材戦略における定性・定量両側面の課題が明確になります。

タレントマネジメントシステムを活用すれば、タレントの社内育成方針や計画を長期的な観点から設計しつつ、組織として理想の状態を追えるようになります。

人材発掘の実現

タレントマネジメントシステムの運用は、社内で埋もれていた人材の発掘につながります。

誰がどのようなスキルを持っているのか、誰がどのような考えの元に業務を進めているのかといった情報は、組織を横断して相対的に比較できるものではなかなかありません。

従業員が持っている顕在能力だけでなく潜在能力や才能に注目できるのも、人材情報がデータベースで整っている環境だからこそ実現するものです。

会社全体の財産ともいえる人材に眠る才能を活かした人事戦略を取ることで、ビジネスのさらなるパフォーマンス向上に期待できます。

タレントマネジメントシステムのデメリット

タレントマネジメントシステムの導入には、いくつかのデメリットも考えられます。

初期コストが高い

タレントマネジメントシステムのデメリットのひとつは、初期コストが高いことです。製品にもよるものの、初期導入費用として数十万円かかるケースが多いです。また契約後は月額5万円前後の月額費用が発生するのが一般的です。

またタレントマネジメントシステムはシステムの導入にあたって、カスタマイズやデータ取り込みなどの個別設定が必要になります。さらには従業員へのシステム利用を促すためのトレーニング期間も必要です。

初期コストの高さはシステムの導入を進めるうえで最初の障壁となりますが、中長期的な人材管理の効率化とパフォーマンス向上を考慮すれば、その価値は十分にあるといえます。

人事戦略の見直しが必要になる

タレントマネジメントシステムの導入は既存の人事戦略の見直しを必要とします。

タレントマネジメントシステムを最大限に活用するためには、採用から育成、評価、昇進までの既存プロセスをシステムの機能と照らし合わせながら最適化しなければなりません。

とはいえ、この見直しは企業の成長に向けたアップデートともいえます。たとえばパフォーマンス評価の方法を改善して、より頻繁で具体的なフィードバックができる体制が整えば、従業員のモチベーション向上や能力開発の促進が見込めるでしょう。

人事戦略の見直しは初期段階において大きな負担となりますが、組織の成長を考えると長期的な成功に寄与します。

従業員の適応が求められる

タレントマネジメントシステムは導入するだけではその効果を最大限に発揮できません。フル活用するためには、従業員の適応が求められます。たとえば能力やスキル、キャリア情報や価値観はそれぞれの従業員からデータを集める必要があります。

また中にはタレントマネジメントそのものへの抵抗感を感じて、なかなかデータが集まらないといった事例も存在します。タレントマネジメントは従業員と一丸となって進めなければ、効率的に進めることはできません。

まずはタレントマネジメントとはどのような施策なのか、なぜ実施するのか、そしてどのような効果が期待できるのかについて、明確にしておきましょう。そのうえで従業員にアナウンスしたり、情報収集のルールを決めたりしてから、タレントマネジメントシステムの導入・運用に進むとよいでしょう。

機能をフル活用するのが難しい

タレントマネジメントシステムは搭載機能が多岐にわたるため、すべての機能を効率的に利用するのが難しいです。従業員や管理者が十分な理解を持っていなければ、そのポテンシャルを最大限に引き出せないこともあります。

タレントシステムの提供元の多くは、導入から運用までを支援するサポート体制が整備されています。運用に不安がある場合は、サポート体制が充実しているタレントマネジメントシステムを選ぶのがおすすめです。

タレントマネジメントシステムの導入事例

タレントマネジメントシステム導入における企業事例を紹介します。

人材情報の可視化と個にフォーカスした人事施策の展開

自動車メーカーの本田技研工業株式会社では、タレントマネジメントシステムを人材情報の可視化と人事施策の展開に役立てています。

過去に導入していた人事検索システムでは、データ項目の追加や文言変更などの開発に工数がかかり、ビジネススピードとの乖離が見られていました。そのため、人事情報の一元管理もできていなかったとのことです。

そこで、多様な人事情報を一元管理できるタレントマネジメントシステムを導入。データの追加が容易にできるうえに、キーワード検索や条件設定で人事情報を絞り込めることから、人材データベースの構築が進みました。

現場のマネジメントが各種データにアクセスできる環境を構築でき、人材育成や異動配置のプランニングに役立っているとのことです。

計画的な人材育成と業務調整への活用

コンサルティングファームの三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社では、タレントマネジメントシステムを計画的な人材育成と業務調整へ活用しています。

システム導入前は、コンサルティング業界全体での採用競争激化を受け、コンサルティング未経験者の早期立ち上げが目下の課題となっていました。

タレントマネジメントシステムを導入してからは、指導内容の登録や人物特性の把握による自己理解・他者理解の促進、仕事状況の即時把握による業務調整など、多様な業務領域においてシステムを活用。

従業員の目指すべき姿を可視化したうえで、現状とのギャップが図れるようになったとのことです。人材情報から業務情報までをひとつのシステムで管理することで、中長期的なキャリアの方向性がこれまでよりも見えやすくなりました。

まとめ

タレントマネジメントシステムのメリットやデメリット、導入事例について解説しました。

タレントマネジメントシステムは人材データの把握や管理、人材配置や人材育成などさまざまな人事領域で効率化が見込めるシステムです。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、経営戦略に紐づいた人事戦略の実行が欠かせません。

「企業が成長して目指したい姿はどこにあるのか？」と問いを設定したうえで理想の姿を描き、そこにたどり着くための手段としてタレントマネジメントシステムを活用するのが成功のコツといえるでしょう。

タレントマネジメントシステムを導入して、企業のさらなる成長を目指してみてはいかがでしょうか。

次の記事では、おすすめのタレントマネジメントシステム各製品の特徴や機能を比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。