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ノーレイティングとは何か?従来の「レイティング」との違い、導入企業の成功事例を紹介

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最終更新日: 2024年03月28日

人事評価制度を見直すにあたって「ノーレイティング」という新しい評価方法を耳にした方も多いのではないでしょうか?

ノーレイティングは従来評価法であるS・A・B・Cのランク付けをするレイティングとは違い、上司との個別面談を通して社員個人に焦点を当てて評価する方法です。

ノーレイティングを行う際の代表的な方法として1on1が有名で、定期的な面談の時間を持つことで個人の頑張りを把握できるだけでなく、コミュニケーション活性化にもつながります。

本記事では「ノーレイティングとは何か」を中心に、導入の方法や、導入に成功した企業の事例を紹介していきます。

社員1人ひとりの働きぶりから判断するノーレイティングで、社員が納得のいく人事評価を実現させましょう。

ノーレイティングとは?

仕事をする男性

ノーレイティングはランクづけをせずにプロセスを重視し、かつリアルタイムで行うのが特徴の人事評価制度です。GoogleやMicrosoft、アクセンチュアといったアメリカ企業が導入しています。

四半期や半期の単位で上司がフィードバックする一般的な人事評価制度に比べ、ノーレイティングではフィードバックを早くに行いますそのため従業員に迅速な目標達成を促し、モチベーション向上にもつながると期待できるのです。

ただしリアルタイム評価は人事評価者の負担が増える結果にもなるので、現場を混乱させないよう導入には注意してください。

ランク付けをしない新しい評価制度

ノーレイティングは社員個人の目標設定度やその達成度合いから、上司と部下との話し合いなどによって個別に評価を行うことです。

社員をランク付けして切磋琢磨させるのではなく、個別の評価でいかに社員個人のパフォーマンスを向上させるかに着目しています。

ノーレイティングでは報酬や昇進の決定方法に特徴があり、管理職の上司が決めるのが代表的です。

単に上司の思いのまま決めるのではなく細かなルールは存在しますが、上司に決定権を付与しているのです。

上司は部下とコミュニケーションを直接とることで個人の頑張りを評価できるので、上司の裁量での給与決定が適切な評価につながります。

月に数回の1on1コーチングを実施することで評価を行い、リアルタイムでのフィードバックが可能になります。

四半期に1度のレイティングによる評価とは異なり、個別の面談を実施する度に設定した目標を再認識できるので評価にも納得がいきやすくなるでしょう。

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ノーレイティングから生まれた「OKR」

コミュニケーション重視で定期的に目標の振り返りを行うノーレイティングの考え方から、OKRの手法が生まれました。

OKRとは上司と部下で共に目標を設定し、1~3か月に1度の高頻度で設定・評価を行う、目標管理方法の1つです。

ノーレイティングによって1人ひとりのパフォーマンスを向上させることで、最終的には会社全体の成長が期待できるのです。

関連記事:OKRとは?要素や理念・運用手順を具体例つきでわかりやすく解説|ミツモア

レイティングとの違い

ノーレイティングではランク付けを廃止して個人の成長を評価し、レイティングでは人事考課の評価によって社員をS・A・B・Cのようにランクで分けて評価します。

レイティングは、多方面から総合的に評価できる点では公正な評価に見えるかもしれません。しかし、全ての面で優れていないと、最も高い評価を受けることはできないのです。

例えば、ある特定の面で突出したスキルを持ち、それが多くの領域で役立っているとしても、他の面でも優秀だと判断されない限り高い評価は得られません。

レイティングでは個人のスキルに応じた適切な評価の実現が困難で、画一的な評価になりかねないのです。

一方、ランク付けをしないノーレイティングでは、上司と部下のコミュニケーションで相対的ではない個別の評価が可能になります。

ノーレイティング登場の背景

ノーレイティング 登場背景

パフォーマンスマネジメントの有効性から、近年グローバル企業やスタートアップ企業がノーレイティングを導入し始めました。

さらに、従来の成果主義では社員のモチベーション低下につながることから、新たな評価方法としてノーレイティングが注目されています。

パフォーマンスマネジメントの注目

各社員の成長を促すことが企業全体の生産性を高めるという考えに基づき、パフォーマンスマネジメントの概念が登場しました。

アメリカを代表する企業であるMicrosoftやAdobe、General Electric(GE)などが人事考課による社員のレイティングを廃止したことが話題になりました。

これらの企業はランク付けによる評価ではなく、社員の仕事のパフォーマンスをマネジメントする方法に注力し始めたのです。

人事考課でなく、これまでMBO(目標管理制度)に基づいて社員をランク付けしていた企業もノーレイティングを取り入れ始めています。

関連記事:MBOとは?わかりやすい目標管理方法や達成のための手順書|ミツモア

成果主義の限界

多くの日本企業では成果主義に基づいて、一定の期間における成績でランク付けして報酬や賞与(ボーナス)の額を決定する年次評価を採用していました。

例えば、人数枠が多いBやC評価などの中間的な評価ばかり受けていると、自分の成長を実感できずにモチベーションが低下し、自律的な成長を阻害する可能性も。

さらに、企業が重視している評価項目以外の分野で才能を持つ社員が評価されにくく、個性や多様性を自然と排除してしまうかもしれません。

特に変化の激しいビジネス環境では、それぞれの分野に長けたスペシャリストの連携が重要です。

そこで成果主義を固執していては、画一的なランク付けで社員の個性が失われ、イノベーションが起こりづらい環境になることもあるのです。

関連記事:成果主義とは?基礎知識を徹底解説|ミツモア

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ノーレイティング導入の3つのメリット

働く男女

ノーレイティングを導入することのメリットは以下の3つが挙げられます。

  • コミュニケーションが活発になる
  • 柔軟な目標設定が可能になる
  • 評価の納得度が向上する

コミュニケーションが活発になる

ノーレイティングは上司と部下の1対1の面談を通して、リアルタイムで目標設定とフィードバックをするのが代表的な方法です。

日ごろの業務や社員個人が設定したも目標の達成度、それを達成するまでにしてきた行動がフィードバックの対象です。

面談の機会を通して上司と部下間のコミュニケーションが活性化し、より風通しのよい職場環境が造成されるでしょう。

柔軟な目標設定が可能になる

定期的な面談により、状況に応じて柔軟に目標の設定・変更が可能になります。

外部環境の変化や組織の状況によって、当初設定した目標を変えたほうがよいケースは少なくありません。

例えば「会社の経営方針変更で、個人目標と方向性がずれてしまった」「現状のままだと目標達成が困難である」などの理由で目標を変えることがあるでしょう。

ノーレイティングを基盤とした評価制度では、社員の状況や成果をリアルタイムに振り返ることができ、周囲の環境が変化しても個人の目標達成を可能にできるのです。

価の納得度が向上する

話し合いや面談を通して社員1人ひとりの評価が下されるため、杓子定規な評価で一律的にランク付けする方法に比べて社員の納得感が得やすいのもメリットです。

話し合いを重ねることで相互理解が深まれば、上司の主観による偏った評価になる可能性が軽減され、互いが納得できる評価結果が期待できます。

社員の評価に対する納得感は、自分の頑張りが適切に評価された印です。そのことで離職率が低下し、優秀な人材に長く働いてもらえる環境づくりにもつながるでしょう。

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ノーレイティング導入の3つのデメリットと対策

ノーレイティング 3つのデメリットと対策

ノーレイティングの導入に際して、次の3つのデメリットが挙げられます。

  • 管理者の負担が増加する
  • マネジメント能力に依存する
  • 現場が混乱しやすい

管理者の負担が増える

ノーレイティングでは個別の話し合いの時間を設けたり、個別に目標を管理したりするなど、どうしても上司の負担が増加してしまうでしょう。

全ての部下とミーティングや話し合いをする必要があるため、特に部下の多い優秀な管理者ほど負担が大きくなり、ノーレイティングの評価制度運用自体が難しくなりかねません。

<対策:360度評価の導入>

360度評価を導入し、複数の社員からの意見を参考に部下の評価を行うのがおすすめです。

部下と上司との個別の連携も必要ですが、1対1での関係だけで評価するのは上司にとって大きな負担となり、効率的には進まないでしょう。

定期的な面談とは別に、部下を理解するための手法として360度評価を行うのです。

360度評価の進め方や実施する際のポイントを以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

関連記事:360度評価とは?メリット・デメリットや事例を解説|ミツモア

マネジメント能力に依存する

ノーレイティングによる人事評価は、上司と部下との信頼関係が支える制度といっても過言ではありません。

良くも悪くも上司に判断が委ねられているため、部下を理解して適切な対応をとることができるマネジメント能力が不可欠です。

マネジメント能力が不足して部下と信頼を築けなければ、双方向の理解度が低いことから評価結果に不満を持つ原因になる可能性もあります。

<対策:1on1の実施>

ノーレイティングで評価を行う方法として代表的なのが1on1です。評価面談とは異なり、上司と部下の良好な関係を築くことで人材育成することを目指しています。

上司から一方的に評価やアドバイスを伝えるのではなく、あくまでも部下との相互理解でモチベーションを向上させてエンゲージメントを高めるのが狙いです。

単に1対1で面談を行う形式的な1on1とならないためにも、実施の前に「どんなテーマで進めるか」「部下に何を学んでほしいか」を整理してから臨むようにしましょう。

以下の記事では、具体的なテーマの例や1on1を成功させるコツなど、詳しく解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:1on1とは?進め方や話すテーマ・成功につながる4つのコツを紹介|ミツモア

現場が混乱しやすい

ノーレイティングに基づいた人事評価は柔軟に目標を変更できるのがメリットですが、場合によっては変化にすぐに対応できず、部下の混乱を招くおそれもあります。

評価に一貫性が持てず、部下は目標を設定してもすぐに変わってしまうという印象を持つことももあるでしょう。

さまざまな角度からフィードバックを行うことで変化が伴い、社員が混乱してしまうケースにつながりかねません。

場当たり的なフィードバックではなく、一貫した価値観や指導方針のもとで部下を導く姿勢が必要なのです。

<対策:評価者研修の実施>

コーチングコミュニケーション能力を高めるための研修を実施し、部下が納得のいくフィードバックを行えるように評価者の育成を行います。

部下を育成するためのスキルがなければ、適切に部下を導いて成長につなげることは難しくなります。

コミュニケーション能力を向上させて部下との連携を強め、ノーレイティングにおける面談が部下自身の学びの時間となるように工夫していきましょう。

関連記事:ティーチングとコーチングは何が違う?基本について解説|ミツモア

ノーレイティング導入に成功した事例【5社紹介】

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ノーレイティングを導入することで、自社ならではの人事評価制度運用に成功した5社を紹介します。

  • Microsoft
  • Adobe Systems
  • アクセンチュア
  • カルビー株式会社
  • General Electrics

Microsoft

Microsoft社は世界的に見ても、早い段階でノーレイティングを取り入れた企業です。

企業が設定する組織目標の達成度合いではなく、社員1人ひとりのパフォーマンス組織への貢献度同僚をサポートした内容が評価対象です。

さらに、リアルタイムでフィードバックができる仕組みも取り入れ、部下が受けたもの上司がを常時確認することで評価の参考にしています。

Adobe Systems

Adobe社は2012年に、全世界の36拠点で働く社員を対象に大規模な人事評価改革を実行し「チェックイン」と呼ばれる社員の成長評価制度を導入。

各社員への継続したフィードバックを基にした制度で、上司と部下は2週間に1回の定期的な話し合いの場を設け、ディスカッション形式で目標の設定や評価を行います。

対話とフィードバックをベースに評価がされる仕組みであるため、社員の評価に対する納得感や組織への信頼感が増し、結果として離職率の低下も実現させています。

アクセンチュア

アクセンチュアでは「パフォーマンス・アチーブメント」という自社ならではの評価制度を運用しています。

社員は自分のキャリアに合わせた目標を自らで設定し、その目標を達成できるように会社がサポートするシステムです。

また、目標達成や個人のスキルアップのためにフィードバックやコーチングを受ける機会を設け、社員が成長できる環境づくりにも力を入れています。

General Electrics

General Electrics(GE)社は「パフォーマンス・デベロップメント(PD)」と呼ばれる人事評価システムを導入し、リアルタイムで上司と連携できる仕組みを構築しています。

社員の今後のパフォーマンス向上を目指して、洞察力やコーチング、1対1の面談をメインに評価を行います。

さらに、アプリケーションを通じて上司がリアルタイムでフィードバックを送れたり、同僚と直接コミュニケーションをとれたりできるのです。

このような人事評価制度を運用することで、未来につながる成長や改善ポイントを適宜確認できています。

カルビー株式会社

カルビー株式会社では年度始めに「Commitment & Accountability(C&A)」という契約を企業と社員間で結び、個人の成果に対する約束をします。

C&Aは社員によって内容が異なり、約束した成果に対する達成度で人事評価を行っているのです。

各社員のC&Aは公開されていることもあり、その内容を達成するために社員が互いにサポートしたり声を掛け合ったりなど、コミュニケーション活性化にもつながっています。

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