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1on1とは?進め方や話すテーマ・成功につながる4つのコツを紹介

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最終更新日: 2024年06月28日

企業の成長に人材育成は欠かせません。自分の考えを持ち、会社と顧客に貢献できる能動的な社員を育てるため、そして上司と部下の信頼関係を構築するために「1on1 (ワン・オン・ワン)」というミーティング手法が多くの企業で注目されるようになりました。

ミーティングの進め方や話すテーマの例、成功に導くためのコツなど「効果的な1on1を実現するメソッド」を徹底解説します。

1on1とは上司と部下が定期的に行う1対1の面談のこと

1on1ミーティング

1on1とは、上司と部下が定期的に行う1対1の面談のことです。部下が主体となって進め、最近の悩み事や気になっていることについて業務内外を問わず話すことで、上司が部下の成長をサポートしたり、相互理解を深めたりするのに効果を発揮します。

基本的に1on1は上司が直属の部下に対して行います。「社長は役員へ、役員は部長へ、部長は課長へ…」このように段階的に面談が行われ、全社員を網羅できるのが理想です。

アメリカでは巨大ハイテク企業や新興企業が集まるシリコンバレーを中心に、さまざまな企業が1on1を実践しています。日本でも近年ではヤフー株式会社をはじめ、数多くの企業で採用されるようになりました。

評価面談との違いは目的と進め方

1on1と評価面談の大きな違いは、その目的や進め方にあります。

1on1
  • 従業員の成長を促して、モチベーションやエンゲージメントの向上を図ることが目的
  • 上司と部下間での相互理解を進める
  • 部下の話を聞くことが中心
  • 対話型のコミュニケーション
評価面談
  • 一定期間における部下の成績や行動に対する評価が目的
  • 上司から一方的に話す場合が多い

評価面談は「評価のために行うもの」ですが、1on1は「人材を育成するために行うもの」です。

評価を下すという目的のため、評価面談では仕事の進捗やスキルの確認が主となるでしょう。つまり、評価材料を得るための面談=上司のために行われる面談なのです。

一方の1on1では業務に関わること以外にも、個人的な目標や人間関係の悩み相談まで、さまざまなテーマが取り扱われます。これは1on1が、人材育成のため=部下のために行われる面談だからです。

評価面談では上司から一方的に話すケースが多いですが、1on1では部下の話を聞くことを中心とした双方向のコミュニケーションを行います。

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1on1を構成する3つのコミュニケーション手法

1on1を構成する3つの要素

1on1では次の3つのコミュニケーション手法を使って部下との対話を行います。

  • カウンセリング:話を聞く
  • コーチング:引き出す
  • ティーチング:教える

カウンセリング:話を聞く

「カウンセリング」は悩みや困りごとを抱えている人の話に耳を傾けて親身に聞くことです。すなわち、1on1においては部下の悩みや困りごとを聞き出すことをあらわします。

コーチング:引き出す

「コーチング」は振り返りを行うときに使うスキルです。目標や目指したい方向について「なぜそう考えるのか」を問い続けます。上司側の問いに対して部下が自ら考え、アイデアを発展させるよう促します。

ティーチング:教える

「ティーチング」とは部下に不足している知識を教え、必要としているサポートを与えることです。成長スピードを促進し、現在よりもレベルを引き上げるのに役立ちます。

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1on1の進め方

1on1 男女 ビジネス 面談

1on1は次の手順に沿って進めていきます。

  1. 部下に目的を伝えて日程を決める
  2. 話す内容を部下に考えてもらう
  3. 1on1の実践と今後の準備

「さあ、何でもいいから話しましょう」と、いきなり1対1で向き合っても実りは少ないでしょう。1on1を有用な時間にするには、上司と部下それぞれに事前準備と心構えが必要です。

部下に目的を伝えて日程を決める

上司と1対1で話すとなると、身構えてしまう部下も少なくありません。警戒心が強まると自己開示してもらいにくくなるため、前もって「成長を支援するための面談であること」を伝えておきましょう。

普段あまり部下とコミュニケーションが取れていないのであれば、1on1に向けてちょっとした会話を増やしておくのもひとつの方法です。

また、生産性を上げるための1on1が、業務の妨げになっては元も子もありません。個々の仕事量や状況を見て、部下の負担にならないスケジュールを設定しましょう。部下から希望日程を事前に聞いておくのも効果的です。

時間は30分~60分を目安に行うとよいでしょう。もちろん、部下の希望する時間に合わせてもかまいません。

話す内容を部下に考えてもらう

1on1当日に話す内容を部下に考えておいてもらいましょう。事前にアジェンダ(テーマ)を考えてもらえば、当日の進行がスムーズになるのはもちろん、部下自身も悩みや考えを事前に整理しておくことができます。

【話題のテーマ例】

  • 困っていること
  • 改善したいこと
  • サポートが必要なこと
  • 職場で気になること
  • 業務への満足度
  • 将来の目標
  • プライベートの悩み

この中に話したいことがあっても、1on1の最中では思い出せないということもあります。場合によっては話したいテーマを部下から事前に報告してもらうのもよいでしょう。

もしもまだ基本的な人間関係ができておらず「1対1の面談は緊張してしまう」ということであれば、業務の話ではなく世間話からスタートするのもおすすめです。

1on1の実施と今後の準備を進める

1on1の当日は部下の話を聞くことを中心に進めていきます。事前に決めておいてもらった内容に基づいて相談を受け、課題や疑問点に関するフィードバックを行いましょう。

部下が改善に基づくアクションに移しやすくなるように、ネガティブ・ポジティブな意見のどちらも、具体的であることが重要です。具体的な改善策や解決策を掲示するためにも、PDCAサイクルにのっとって話題を構造的に考えるとよいでしょう。

【PDCAサイクル】

  • Plan:計画
  • Do:実行
  • Check:評価
  • Action:改善

事前に計画しておいた話すテーマに基づき、実行のフェーズで部下の意見を聞き出します。評価に値するフィードバックを与え、改善に備えた提案を打ち出しましょう。

このときも、提案や教えを一方的に話すのではなく「こう思ったけれど、○○さんはどう思う?」などと問いかけ、考える余地を与えるのが効果的です。

課題解決の方法や道筋を一緒に考えていくことで、部下との一体感だけでなく、自ら考える習慣が生まれる効果も期待できるでしょう。

また改善案の中で、上司の方で動く必要のある部分が出てくることもあります。たとえば人事異動の希望などです。この場合は希望部署の状況を調査しておくなど、次の1on1に向けた準備をしておきましょう。

面談内容を記録する

1on1を終えた後は面談内容を記録します。必須ではありませんが、記録を残しておくことで今後の1on1に連続性を持たせ、1連のタイムライン上でミーティングを進められるようになるでしょう。

「前回の1on1で結論づけた改善施策の進捗状況」や「前回と比べて最近の調子はどうか」などといったテーマからスムーズに次回の導入につなげられます。

このときエクセルなどを使って専用の管理シートを用意しておくと、後から内容を確認しやすくなります。場合によってはプライベートな情報を記載することもあるため、ファイルや情報共有の範囲をあらかじめ社内共通ルールとして設定しておくとよいでしょう。

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1on1で話すテーマの具体例

1on1ミーティング

「1on1で何を話せばよいのかわからない」という方のために、話す内容のテーマをいくつかの例に分けて紹介します。アジェンダの作成時はもちろん、話題を振るときにもぜひ参考にしてみてください。

相互理解を促す話題

オフィスで談笑するメンバー

相互理解の促進にはプライベートや仕事への思いを共有することが効果的です。「どのような生活を送っているのか」「仕事に対してどのように考えているのか」などのテーマを中心に、1on1のスタート時や会話が途切れたときに話題を振るとよい雰囲気を形成しやすいでしょう。

プライベート

  • 休日の過ごし方
  • 最近ハマっていることや趣味
  • 仕事終わりの過ごし方
  • 好きな食べ物やスポーツ
  • 最近の気になるニュース

「休日は何をしているの?」「最近なにかハマっていることはある?」などの質問を通じて、仕事以外でどのような過ごし方をしているのかをお互いに共有してみましょう。雑談を通じた情報交換はお互いのことを人間的により深く知る良い機会となります。

仕事への思い

  • 仕事のやりがい
  • 仕事における価値観
  • 仕事をしていてつらいと思うこと

「今の仕事でやりがいを感じるのはどんなところ?」「仕事をしていてつらいことはない?」などの質問を行い、仕事への思いがどこに向いているのかを共有します。

今の仕事に対するやりがいやモチベーションを知ることで、部下の思いを実現する仕事をアサインしたり、希望するポジションがどこにあるのかを考えられるようになるでしょう。

部下の思いを汲み取ることで「この人は自分のことをよく理解してくれている」と感じてもらいやすくなり、エンゲージメント向上の効果も期待できます。

部下の育成を進める話題

オフィスでミーティングをする男性

仕事における課題やボトルネック、今後の目標などの話題を通じて「どのように行動すればよいのか」「目指すべきところはどこなのか」を一緒に考えます。

課題に対する具体的な解決策を導き出し、適切な方向へと部下が歩んでいけるようにサポートしましょう。

仕事の課題やボトルネック

  • 携わっている業務内容
  • 現在の業務で感じている課題
  • 現在の業務で感じている改善点

「最近仕事で悩んでいることはない?」などの質問を通じて、課題やボトルネックを聞きだします。知識や行動が不足している場合はティーチングによるフィードバックを行い、心理的な側面で悩んでいる場合はカウンセリングによる相談に応じましょう。

今後の目標やキャリア

  • 今後身につけていきたいスキル
  • これから歩んでいきたいキャリア
  • 希望するポジションや業務

「これから身につけていきたい能力は何?」「今後挑戦してみたい業務は?」などの質問を行います。今後のイメージを具体的に洗い出し「キャリア実現のために何をすればいいのか」「どのような仕事が与えられるのか」などを一緒に考えていきましょう。

チームワークを高める話題

オフィスで談笑するチームメンバー

チーム内において部下が感じている課題や改善点を明確にして「チームワークを高めるためにはどうすればよいのか」を考えます。

  • チーム内において気になること
  • チームで直面している課題
  • チームワークを向上させるために実行したいこと
  • 上司への要望

チームを良くするための具体的な施策やアクションを一緒に考え「いつまでに誰がやるのか」を決めておきましょう。次回以降の1on1で進捗状況や改善がみられたかどうかを確認するのも効果的です。チームワークの向上は会社組織全体の生産力や売上力の強化にもつながるでしょう。

戦略共有に関する話題

キックオフミーティングのファシリテーターを務める女性

会社の目指している方向性や戦略を共有して、会社と個人およびチームが同じ方向を向いて業務に取り組める意識を醸成します。

1on1を何回か繰り返して相互理解が深まったタイミングで話題を振ると、より効果的な動機づけが行えるでしょう。

組織戦略の共有

経営戦略や組織戦略を上司から部下に説明します。一方的な説明になってしまうのを防ぐためにも、これまでにヒアリングした個人の情報や考えと照らし合わせながら説明するとよいでしょう。

また経営陣やマネージャー層が何を考えているのかに関しても、経緯を織り交ぜながら伝えていきます。

戦略に関する疑問の解決

  • 経営戦略や組織戦略において不明な点
  • どのように貢献できそうか
  • 誰がどのように動いていくのか

「何か質問や疑問点はない?」「どのように貢献できそう?」といった問いかけを行い、部下が気になる情報はその場で提供するようにします。今後の進め方を双方で共有しておくことで、会社や組織の達成したい目標に沿った行動目標が立てられるようになるでしょう。

1on1を成功させるための4つのコツ

1on1ミーティング

1on1を成功に導く4つのコツを解説します。

  • 部下の話を傾聴する
  • 3つのコミュニケーション手法を使い分ける
  • 自己開示する
  • 月1回以上の頻度で実施する

これらのコツを駆使すれば、部下から「上司は自分のことをよく理解してくれている」と思ってもらいやすくなります。積極的な意見交換ができるようになり、1on1の効果がさらに高まることが期待できるでしょう。

部下の話を傾聴する

1on1では部下の話を傾聴することをいちばんに心がけます。部下が7~8割ほどの時間を話すイメージで、話を一方的に振るのではなく「話を聞く」ことに集中しましょう。

部下が感じている悩みや疑問点を自身で考えて言語化することで、漠然とした考えや意見がはっきりとします。そして上司は部下が考えやすくなるようにサポートしてあげましょう。

たとえば「クライアントとのコミュニケーションがうまく取れない」という相談を受けたとします。このとき「どこに原因があると考えていますか?」「なぜそう思いますか?」などの質問を問いかけ、部下自身で考えを整理してもらいましょう。

このように話を聞き出していけば、悩みの本質的な部分やボトルネックに早く気づくことができ、適切なフィードバックを行えるようになります。「こんなことを考えていたのか」といった新たな気づきは、部下のことをより深く知るきっかけにもなるでしょう。

傾聴で大切なのは「共感」

傾聴で大切となるポイントは「共感」です。傾聴とは自分の考えや価値観を脇に置いて、相手の話に耳を傾けて熱心に聞くこと。つまり、相手に関心を持つことが大切です。

「相手が伝えたいことは何か?」といった観点から話を聞き、相手の感情面まで理解することを心がけましょう。そして話を聞いた後は相づちを打ったり「いいですね」「それは大変だ」などといった簡単なコメントを返して、自分の気持ちも伝えていきます。

相手の発信した考えや情報をさえぎることなく受け止めることで「この人に話してもいいんだ」といった心理的な安心感を醸成することができるのです。

3つのコミュニケーション手法を使い分ける

カウンセリングとコーチング、そしてティーチングをうまく使い分けることで、部下の気付きや主体性を効果的に引き出すことができます。

部下の心理的な状況、つまりモチベーションがポジティブなのかネガティブなのかどうかに合わせて、それぞれの要素を使い分けていきます。

カウンセリングの進め方

カウンセリングは部下のモチベーションがネガティブな状態のときに行います。業務やプライベートなどでトラブルに見舞われているときは親身に寄り添って話を聞き、課題解決のための手助けを施していきましょう。

マイナス状態のモチベーションをプラスの状態まで引き上げることを意識してください。

コーチングの進め方

コーチングは部下のモチベーションがポジティブな状態のときに行います。ネガティブな状態の相手に対して行うと、うまく機能せずに逆効果となるので見極めが重要です。

コーチングでは部下に「自分はどうなりたいのか」「自分は何を大切にしたいのか」などの観点に沿った問いかけを行います。そして「なぜそう思うのか?」といった問いかけを繰り返して、何を目標とするのかを掘り下げていきましょう。

浮かび上がったゴールに対して、それを達成するための行動計画を部下主体で一緒に考えていきます。ゴールまでの道筋を考えてもらうことで部下の潜在能力を引き出し、応用させる力を養います。

コーチングを行う上司は、声のトーンやスピード、表情に気を配って部下が話しやすい雰囲気を作ることが大切です。部下が身構えてしまうと意見が出づらくなってしまうため、心理的な安全性を確保するように心がけてください。

ティーチングの進め方

カウンセリングやコーチングを通じて部下から出てきた意見や考えに対して「こうしたほうがいいのでは?」と感じた際に、自身が持っている情報や知識、経験を伝えていきましょう。

「なぜそれを行うのか」「何をするのか」「どのようにやるのか」などの観点から体系立てて具体的に話し、やり方や知識を理解してもらいます。

自己開示する

1on1をはじめて実施する場合や、お互いのことをまだよくわかっていないメンバーとのやり取りには自己開示が効果的です。

自己開示とは自分の考えや気持ち、プライベートな情報などをありのままに相手に伝えることです。自己開示を行えば、これまで相手に見せてこなかった素の部分の自分を見せることになります。そのためお互いに相手のことをより深く知ることができ、話しやすい雰囲気を生み出せるのです。

【自己開示のテーマ例】

  • これまでの生い立ち
  • どのような働き方をしてきたか
  • 最近ハマっていることや趣味

これらのテーマについて話すときはただ事実を伝えるだけでなく、自身の考えや思いを一緒に話すとよいでしょう。より性格やキャラクターの側面が伝わりやすくなり、相互理解が進みます。

月1回以上の頻度で実施する

1onは「月1回」以上の頻度で実施するのがおすすめです。こまめかつ定期的な面談を実施することで部下の悩みや変化に柔軟に対応し、タイムリーな情報交換ができるようになるでしょう。時間が許すのであれば「週1回」などのより細かな頻度で行うのもひとつの方法です。

もしも1か月以上の間隔を空けてしまうと、1on1の連続性がなかなか実感できず、信頼関係を構築するまでには至りません。とはいえ無理に行うものでもないため、部下の希望に合わせて日時を変更したり、ランチミーティングにしたりするなど、柔軟な対応が上司には求められます。

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1on1がもたらす4つのメリット

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1on1の実施は次の4つのメリットをもたらします。

  • 部下の成長につながる
  • 部下との信頼関係が構築できる
  • 現場や部下の状況が把握できる
  • 部下のモチベーション向上につながる

「部下のための面談」は大前提ですが、あいまいな目的のみでは漫然とした雑談に終始してしまいかねません。正しい1on1を実施するためには、具体的な目的の把握が必須です。

部下の成長につながる

1on1は部下の成長を促すよい機会となります。スキルアップに効果的とされるのが「経験学習サイクル」です。経験学習サイクルとは、学んで実践し、振り返ってまた実践するというサイクルのことです。

同じ業務に当たる部下が複数人いれば、業務への理解度や個人のスキルはさまざまでしょう。1on1では短いスパンで振り返りを行うため、個人が抱える問題点を細かく把握できます。

各個人の現状が分かれば、それぞれに今必要なノウハウが見えてくるはずです。適切なアドバイスを与え、部下の考えを引き出しましょう。

「そこで得た気づきを次の業務に生かす」。この経験学習が成長の大きな糧となるのです。

部下との信頼関係が構築できる

1on1の実施は上司と部下の間に強い信頼関係を生み出します。1on1でコミュニケーションの頻度を上げることは、信頼関係を築くのに適した方法といえます。

誰しも「何度も話すうちに仲良くなった」という経験があるでしょう。これはザイオンス効果と呼ばれます。接触する頻度が多いほど、相手に好意を抱きやすくなるのです。

職場での人間関係と業務のパフォーマンスには、密接な関係があります。上司と良好な関係を築けているほど、不安を感じることなく自分らしく行動でき、個人の能力を発揮しやすくなるでしょう。

現場や部下の状況が把握できる

現場や部下の状況把握がしやすいのも、1on1による恩恵のひとつです。普段から部下の話に耳を傾けておくと、問題が深刻化する前に手を打てます。

多くの部下を持つ人ほど、「なぜ早く報告しなかったのか」という事態を経験したことがあるかもしれません。対応が遅れるごとに、トラブルに対処するのが難しくなるものです。

報告が遅れる原因は「上司に相談しにくい」という職場環境にも問題があるでしょう。

1on1により信頼関係が結ばれていると、部下から報告を上げやすい雰囲気になり、結果として早めの「報連相」が実行されるようになるのです。

部下のモチベーション向上につながる

モチベーションを維持するに当たって、「正しく評価されること」と「興味の持てる業務であること」は外せない要素です。1on1は、この2点についても包括的にカバーできます。

人をうまく動かすには、褒めて承認欲求を満たすことが有効です。1on1により適切なフィードバックがなされることで、最終的に下される評価についても納得感が増すでしょう。

また、部下の希望がかなえられていることも重要です。「今やっている業務は何のために行っているのか」この問題を、部下自身のキャリアアップにつなげるのも上司の役割といえます。

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1on1実施のデメリット

オフィスでPCを操作する男性

1on1の実施はメリットばかりではありません。上司と部下に時間工数が発生したり、間違った方法ではかえって逆効果になったりするなど、いくつかのデメリットも考えられます。

上司と部下の双方に時間工数がかかる

1on1の実施は上司と部下の双方に時間工数がかかります。

たとえば一人ひとりに対して1か月に1回、1時間の開催をするとしましょう。このとき、部下が1か月に1時間の時間を使うのはもちろん、上司は部下の人数が増えれば増えるほど、1on1の実施に割く時間が増えることとなります。仮に部下が7人の場合、7時間以上の時間を1on1に割く必要があるでしょう。

ほかの業務の効率化や、面談の対応者を複数人に分けて設定するなど、円滑に進めるための仕組みづくりが求められます。

効果が出るまでに時間がかかる

1on1は部下の「成長」や「信頼関係」を構築するものなので、定量的な効果測定が難しいです。そのため、1on1の効果が成果に反映されて目に見えるようになるまでには時間がかかります。

また上司と部下は成長を実感できているものの、その他のチームや部門のメンバーには効果が見えてきづらいといった問題も発生しかねません。

1on1の実施を繰り返したり、ルール化によって社内の浸透を図ったりしながら、着実に回数を重ねていきましょう。短期的なものではなく中長期的な視点を持って、部下をサポートしていく姿勢が大切です。

間違った方法では逆効果になりうる

高圧的な態度で部下に迫ったり、上司が一方的に話したりなどといった間違った方法の1on1は、かえって逆効果になります。このような1on1を繰り返していては部下との信頼関係を結ぶことは叶わず、かえって人望を失う結果になりかねません。

部下のことを第一に考え、真摯に対応することが1on1成功のポイントです。心情に寄り添い、適切なケアを施すことで、部下が働きやすい環境づくりを実現していきましょう。

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こんな1on1は意味がない?やりがちな失敗例

1on1ミーティング

1on1を実施するうえでやってしまいがちな失敗例を紹介します。

  • 上司の時間になっている
  • 話した内容のメモを取らない
  • 部下の失敗や課題を責める

1on1は部下のための時間であり、上司のための時間ではありません。間違った1on1を続けていると、部下に「1on1をやる意味がない」「1on1なんて嫌いだ」と思われてしまう可能性も。このような事態を防ぐためにも、NG例を見ていきましょう。

上司の時間になっている

1on1は「部下の話を聴く場」です。上司ばかりが一方的に話してしまうと、部下は1on1の効果を感じられません。また評価面談のように感じてしまい、次回以降の実施を望まなくなるケースも考えられます。

上司は「司会」の役割を果たすことに専念しましょう。1on1で上司がやるべきことは、雑談で部下をリラックスさせ、テーマの提示からゴールまで誘導することです。

1on1では、上司と部下の話す割合がおおよそ「2:8」になるのが理想とされています。決して上司の要求を突き付ける場ではないことを、心に留めておきましょう。相手の状況や性格、心理状態を汲み取って、適切なコミュニケーション設計を進めることが大切です。

話した内容のメモを取らない

1on1では「面談に連続性を持たせること」が重要です。2度目の1on1で上司が前回の内容を忘れていたら、信頼関係を構築するどころか、かえって不信感を抱かれかねません。

記憶だけに頼らず、話した内容は記録として残しておきましょう。また、お互いの認識にズレが生じないよう、部下の方でもメモを取っておいてもらうと安心です。

部下の失敗や課題を責める

1on1では部下の失敗や課題を責め立てるようなことがあってはなりません。1on1では部下の悩みを上司が聞き、それを一緒に解決する方法を模索していく場です。部下が思い切って切り出した相談内容を頭ごなしに否定するようであれば、上司への信頼感どころか不信感や不満が募る結果となるでしょう。

部下の相談内容からネガティブな心理状態にあると考えられる場合はカウンセリングを行い、いつも以上に「聞き」に徹する姿勢が求められます。

失敗や課題を責めるのではなく「どうすればよくなるのか?」を一緒に考えてこそ、お互いの成長が見込め、業務においても中長期的にポジティブな効果をもたらします。

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1on1実施企業の取組事例

女性 ビジネス

1on1実施企業の取組事例を紹介します。リモートワークの増加や人材層の変化など、近年の働き方の多様化に伴い、1on1を実施する企業が増えてきています。

ヤフーの事例|6,000人の社員が1on1を実施

ヤフー株式会社は2012年より1on1ミーティングを取り入れています。社員およそ7,000名のうち、9割にもおよぶ6,000人近くの社員が隔週1回以上、1回あたり約30分の1on1を実施しています。

「部下の才能と情熱を解き放つ」といったコンセプトのもと、会社の成長のために必要と考える社員一人ひとりの能力開発を目的として1on1のミーティング体制を採用したとのことです。

また1on1の実施に付随して、コーチングやティーチング、フィードバックなど、マネジメントにおいて欠かせないスキルの管理職向け研修も開催。

「時間がない」などの理由で消極的な姿勢が最初はみられたものの、さまざまなスキルが身につくメリットがあることや、メンバーの状況を把握しやすくなることから、現在では全社的に1on1の実施が広まりました。

クックパッドの事例|週に1回15分のこまめな1on1

レシピ情報サイトを運営するクックパッド株式会社は「定期個人面談」と称した、週に1回15分のこまめな1on1を実施しています。

これまでクックパッドは1チームあたり2~3名で構成する小さな規模のチーム構成を行っており、個人で仕事を進める機会がほとんどでした。そのため「個人プレーはできるがチームプレーは苦手」という社員が多く「まずはお互いをよく知るところから始めよう」という意識のもとで2014年頃から1on1をスタートしています。

こまめな1on1を月に複数回実施することで合う回数を少しずつ重ね、始める時間と場所を決めてから開催することで、スケジュールの割り込みや業務の進捗に影響が発生しないように運用を進めてきました。

また「課題の早期発見」をテーマとしており、あえて1on1以降の目標を具体的に設定しないのもクックパッドの1on1の特徴です。あくまでもアクションのきっかけづくりに過ぎず、それぞれのメンバーが抱えている課題をお互いに共有することが大切だと考えているのです。

メンバーのことをお互いにより深く考え、相手の視点を変えるヒントや気づきを与えることで、中長期的な業務改善につながる成長と信頼関係の構築を実現しています。

1on1の実施を支援するおすすめツール

オフィスでPCを操作する女性

1on1の実施を支援するツールには人事評価システムやタレントマネジメントシステムなどがあります。人材情報の一元管理や評価用シートの作成、フィードバック機能などを通じて、1on1にかかる情報管理や業務を大幅に効率化可能です。

カオナビ

カオナビ」は顔写真で社員の情報を簡単に把握できる人事評価システムです。社員の顔写真が並ぶシンプルな表示画面で、過去の評価履歴やスキルなどの人材情報を集約して一元管理できます。

また1on1だけでなく、360度評価やOKR評価などの各種評価制度にも対応。ドラッグ・アンド・ドロップで項目移動ができるので、普段の管理操作も簡単です。評価用シートの作成機能もあるので、1on1で話した内容や目標を振り返る際にも、活躍してくれますよ。

参考:カオナビ|公式HP

HRMOS タレントマネジメント

HRMOSタレントマネジメント」は人事や評価の業務効率化はもちろん、人材データを活用した戦略人事が実現できる人事評価システムです。

1on1の支援機能が豊富で、従業員データベースと連携して1on1の実施記録や目標の変更履歴を蓄積しつつ情報管理が可能。また「1on1レポート機能」では1on1の運用状況を可視化し、定着状況を組織と個人のそれぞれの単位で俯瞰的に確認することができます。

「Slack」との連携でトピックや実施時間のリマインドをメッセージ送信したり「Googleカレンダー」との連携で設定した予定の自動取込も可能。1on1の実施漏れを防ぎます。

さらに、目的やテーマに合わせてアジェンダを選択できる「1on1テーマ」機能も備えているので、1on1の実施に慣れていない方でも安心して話題を考えることができます。

参考:HRMOS タレントマネジメント|公式HP

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1on1で一人ひとりのキャリアアップを

1on1ミーティング

「たかが面談」とあなどっていると、部下の成長を支援するという本質を忘れ、1on1の目的が迷走してしまうこともあります。

1on1では「カウンセリング」「コーチング」「ティーチング」といった3つのコミュニケーション手法を駆使して、部下一人ひとりに対して誠意ある対応をすることが大切です。部下のキャリアアップは部署全体の能力を引き上げ、ひいては企業全体の成長へとつながります。

一人ひとりが心置きなく活躍できる職場づくりを実現するためにも、1on1を実施してみてはいかがでしょうか。

ぴったりの1on1ツール選びはミツモアで

ミツモアロゴ

1on1ツールを活用すれば、1on1のこれまでの経過や、それぞれの人事情報を一元管理してミーティングに役立てることが可能です。

とはいえ、1on1ツールは製品によって特徴や機能もさまざま。「どのソフトを選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

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