「高すぎる住民税を安くしたい」「でも節税方法が分からない」と思ってはいませんか。
住民税はふるさと納税などの「控除」を利用すると安くできます。
この記事では、サラリーマンができる住民税の節税方法を一挙11種類紹介し、具体的な節税額や何をするべきかを解説します。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
住民税は「控除」で節税できる
住民税は所得控除や税額控除などの控除を利用することで節税できます。住民税の金額は、所得に一定の税率をかける「所得割」と自治体によって金額が定められている「均等割」の合計です。
住民税の節税では控除によって所得を減らして「所得割」を安くします。「均等割」は減らせないため、住民税を安くはできてもゼロにはできません。
住民税の税額の仕組み
住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があり、その合計で税額が決まります。
【住民税の計算式】
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所得割の税率は自治体によって定められており、年収の多い人も少ない人も税率は同じです。ほとんどの自治体が税率10%を採用しています。
また均等割は市町村民税3,500円、道府県民税1,500円と定められており、金額は減らせません。
「控除」を利用して住民税を少なくしよう
住民税は「所得控除」と「税額控除」の2種類の控除を利用して節税します。所得控除と税額控除の違いは、控除のタイミングです。
所得控除は税率をかける前に引き、控除額の10%が節税額になります。一方、税額控除は税率をかけた後に引くため、控除額がそのまま節税額です。同じ控除額の場合は、税額控除の方が節税額が多くなります。
控除額が大きいほど住民税の所得割の金額が安くなり、住民税の合計額も少なくなります。
サラリーマンができる住民税の節税対策8選
サラリーマンが実施できる、住民税の節税方法を8つ紹介します。すぐに始められるものもあるので活用してみてください。
節税方法 | 利用がおすすめな人 |
ふるさと納税 | ふるさと納税を利用していない人 |
住宅ローン控除 | 住宅ローンを組んでいる人 |
配偶者控除・扶養控除 |
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生命保険料控除・地震保険料控除 | 生命保険、地震保険に加入している人 |
医療費控除・セルフメディケーション税制 |
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iDeCo(小規模企業共済等掛金控除) |
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特定支出控除 | スーツやパソコンの購入など業務にかかわる支出の多い人 |
税金の支払い方を変える | 副業を行っている人 |
ふるさと納税
ふるさと納税は出身地もしくは応援したい自治体に対して寄附する制度です。寄附によって返礼品が贈呈されるほか「寄附金控除」という所得控除を受けられます。
ふるさと納税による住民税の控除は「ふるさと納税額ー2,000円」です。納税額の合計が50,000円の場合は、控除額が48,000円となります。税率が10%の場合、4,800円節税できます。
【計算式】
(50,000円ー2,000円)×10%=4,800円 |
ただしこれはあくまでも控除額の「基本分」であり「特例分」については別途加算されます。ふるさと納税には収入による寄附上限などの細かい決まりがあるため、注意が必要です。
また「ワンストップ特例制度」を利用すると、確定申告の手続きが免除されます。
以下の記事では、控除金額の上限やワンストップ特例の申込期限などについて解説しています。ふるさと納税を使って節税を考えている場合は参考にしてみてください。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は、住宅取得のローン残債の1%を「所得税」から控除できる税額控除です。しかし所得税額が年間20万円未満であれば、代わりに住民税を控除されます。
住宅ローン控除による住民税節税を適用するには、確定申告が必要です。ただし確定申告が必要なのは初年度のみで、それ以降は年末調整の対象となります。
以下の記事では、住宅ローン控除を受けるための条件を詳しく解説しています。住宅ローン控除を受ける条件は複雑なので、事前に確認しておきましょう。
配偶者控除・扶養控除
配偶者控除と扶養控除は、配偶者や扶養家族の合計所得が48万円以下の時に、自分自身に課せられる税金が安くなる所得控除です。
配偶者控除は自身の所得金額や配偶者の年齢によって、控除額が13万円~48万円まで変わります。産休や育休などで収入が減った場合も、配偶者控除を受けられます。
また扶養控除は16歳以上の子や親を養育している場合に、38万円~63万円の控除が受けられる制度です。
これらの控除を受ける場合は「配偶者控除等申告書」「扶養控除申告書」を年末調整時に提出しましょう。
以下の記事では、詳しい控除の要件や控除額について解説しています。配偶者控除・扶養控除を受けようと考えている場合は参考にしてみてください。
生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料控除・地震保険料控除はそれぞれ同保険に加入するだけで利用できる所得控除です。シミュレーションなどの手間なくすぐに活用できます。
節税額の計算はやや複雑ですが、保険料の支払い金額が80,000円を超えるほど高額であれば、住民税が数万円単位で変動することもあります。
控除を受ける場合は、保険会社から秋ごろに郵送される「生命保険料控除証明書」とその内容を記載した「保険料控除申請書」を年末調整時に提出しましょう。
医療費控除・セルフメディケーション税制
年間の医療費が10万円を超える場合や、国が定める医薬品を購入していた場合は医療費控除・セルフメディケーション税制を利用できます。
医療費控除は、年間の医療費の10万円を超えた額が控除額となります。例えば年間の医療費が30万円の場合は20万円が控除され、2万円の住民税節税が可能です。
セルフメディケーション税制は、国が定める医薬品の購入費用の12,000円を超えた額が控除額になります。そのため3万円購入していた場合は、18,000円が控除されます。税率が10%の場合は1,800円の節税が可能です。
医療費控除やセルフメディケーション税制を受けるには確定申告が必要です。またこれらの制度は、併用できないので注意しましょう。
以下の記事では、確定申告で医療費控除やセルフメディケーション税制を受けるための必要書類を解説しています。利用する方は参考にしてみてください。
iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCoとは自身が決めた金額を掛け金として、将来的な資産にする任意の年金制度です。iDeCoを利用すると「小規模企業共済掛金等控除」という所得控除が適用されます。
掛け金は月々5,000円から設定でき、控除額は掛け金の全額です。節税効果は大きいですが、60歳以上にならないと引き出せないことに注意が必要です。
利用する場合は、11月頃に届く「掛金払込証明書」とその内容を記入した「給与所得者の保険料控除申告書」を年末調整時に会社に提出しましょう。
以下の記事では、年末調整時の書類の書き方や控除が適用されているかの確認方法を解説しています。控除の利用を考えている方は確認してみましょう。
特定支出控除
特定支出控除とは勤務や業務にかかった費用を経費計上できる制度です。スーツやパソコンの購入費、会社都合の引越し費用などが含まれます。
経費計上額が給与所得控除額の50%以上になると超過額が全額控除されます。
特定支出控除を適用する場合は、確定申告および勤務先からの証明書発行および提出が必要です。
以下の記事では、特定支出控除の対象となる費用や控除を受ける手続きを解説しています。特定支出控除を受けようと考えている方は参考にしてみてください。
税金の支払い方を変える
住民税の納付をクレジットカードで行うとカード利用によってポイントがたまるためお得です。ただしクレジットカードで納付できるのは副業をしており確定申告後に納税の必要がある場合のみです。
会社からもらっている給料にかかる住民税は、クレジットカードで納付できません。
クレジットカードで納付するため、24時間いつでも納付可能です。しかし初期設定の手間がかかるデメリットもあります。
手間と節税効果どちらを優先するべきか検討してみましょう。
災害・盗難にあった時の節税方法
災難や盗難による損害があった場合は、雑損控除という所得控除を利用して住民税を安くできます。ただし詐欺や脅迫による被害では控除が適用されません。
控除を受けるには雑損控除額を計算して確定申告する必要があります。その後還付申告することで住民税を節税可能です。
似た制度に「災害減免法」がありますが、こちらは住民税の控除が出来ないので注意しましょう。
以下の記事では、雑損控除の対象や必要書類、申告方法について解説しています。5年以内であれば申請ができるので、一度確認してみてください。
株で損したときの節税方法
株式投資で損失が出た場合は損益通算を実施することで所得を減らし、住民税の節税が可能です。
損益通算とはある一定期間の利益と損失について足し合わせる処理です。株の場合は損失について配当所得と相殺し、課税対象額を低くおさえられます。
損益通算を利用するには確定申告において「損益の通算の計算書」の提出が必要です。
損益通算しても赤字になる場合は3年間までの繰越が認められ、繰越控除による節税効果を得ることが可能です。また過去に損失があった場合は5年前まで遡って申告できます。
以下の記事では、損益通算の詳しい条件や確定申告の方法について解説しています。
離婚・死別した時の節税方法
配偶者と離婚や死別があった場合、年間の所得金額が500万円に満たないならば、ひとり親控除もしくは寡婦控除を受けられます。
ひとり親控除とは、理由問わずシングルマザー・ファザーになった世帯で適用される控除です。対して寡婦控除は夫と離婚もしくは死別したのち再婚していない場合に受けられる控除です。
ひとり親控除は30万円、寡婦控除は26万円の住民税の控除を受けられます。
ひとり親控除と寡婦控除は年末調整で、寡婦控除、ひとり親控除の欄にチェックを入れると受けられます。会社に知られたくない場合は確定申告も可能です。
以下の記事では、それぞれの控除を受ける条件や申請方法について詳しく説明しています。
控除を利用して住民税を節税しよう
サラリーマンは、住民税の節税によって手元にお金を残すことが可能です。
住民税を節税するうえで所得控除や税額控除をいかに活用するかがポイントです。安くする方法を見逃さず節税対策として利用しましょう。
また各種控除は勝手に適用されるわけではありません。基礎控除以外は年末調整および確定申告上での申請が必要となる点に注意してください。
余計な税金を払わなくて済むように各種制度や控除を使って節税しましょう。
困ったら税理士に相談しよう
自分で調べて「この控除を受けられるはずだ」と思っても、実際には条件を満たしていないということがあります。また本当は使える控除があるのに、わからない、気付かないから受けられないということも。
そんなときに頼りになるのは、税に関する専門家、税理士です。
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このような税に関わる悩みを解決してくれます。住民税を上手に節税するための一つの選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか。
監修税理士からのコメント
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この記事の監修税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川