畳に虫が発生したら、殺虫剤や高温処理で対処し、改善されなければ畳の張り替えも検討しましょう。
もし殺虫剤を使うときは、発生している虫に有効な製品を使う必要があります。
そこでこの記事では、畳に発生する虫の種類を紹介。適切な駆除方法や予防方法も解説していきます。
畳に発生する虫はおもに8種類
1.ケナガコナダニ【目に見えない】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
0.2~0.5mm | 目視が難しい | 乳白色 | 1~6月
9~12月 |
畳やカーペットなどに虫がいるとき、最初に思い浮かぶのが「ダニ」ですよね。畳にわくことが多いのは、「ケナガコナダニ」と「ツメダニ」の2種が代表的です。
ケナガコナダニは体長0.3~0.5mmで乳白色、胴体部に長い毛が多く生えている虫です。人から出るフケや垢、食べこぼしを好みます。
カビが発生しやすい気温25℃・湿度70%以上の環境下で大量発生するので、梅雨の時期は危険です。
ケナガコナダニは人を刺すことはありません。しかしケナガコナダニを捕食するツメダニは人を刺すので、二次被害を防ぐために発生を抑制したほうがよいでしょう。
またケナガコナダニの死骸やフンがアレルゲンになって、アレルギー症状につながることもあります。
関連記事:畳のダニ発生原因と対策方法 | ミツモア |
2.ツメダニ【目に見えない】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
0.5~0.8mm | 目視が難しい | 淡い黄褐色 | 5~9月 |
ツメダニは淡い黄褐色で、人を刺す害虫です。吸血することはないものの、刺された箇所は1~2日後に赤く腫れあがり、強いかゆみが生じます。
ツメダニは、ケナガコナダニ、チャタテムシ、チリダニなど他の虫を捕食します。
そのため、ツメダニのエサとなるこれらの虫が発生・繁殖すると、二次被害的にツメダニも増えていくので要注意。
ツメダニは5月以降に発生し、夏の暑い時期(7~9月頃)に刺される被害が増えます。畳だけでなく、カーペットやソファにも多い虫です。
3.シバンムシ【茶色っぽい、丸い】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
2~3mm | 甲虫 | 赤褐色、茶色 | 5~10月 |
畳の表面に小さな穴が開いていたら、シバンムシが発生しているサインです。おもに「タバコシバンムシ」という種類が発生します。
シバンムシの成虫は体長2~3mmで色は赤褐色、小豆のような形をしている甲虫です。
畳以外にも、以下のようなものに食害を与えます。
- ペットフード
- かつお節
- 乾麺などの乾燥食品類
- タバコ
- ドライフラワー
- 和紙や本
シバンムシ自体は人を刺すことがありません。しかしシバンムシの幼虫に寄生する「アリガタバチ」は人を刺し、毒性もあるため、大量発生は防ぎたいところです。
4.アリガタバチ【アリに似ている】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
2.5mm前後 | アリに似ている | 赤褐色、茶色 | 春~秋 |
アリガタバチは体長2~3mmほどの茶色っぽい虫です。形はアリに似ていますが、おしりには針がある「ハチ」の仲間です。
シバンムシの幼虫に寄生して繁殖します。そのため、シバンムシが発生しやすい畳の部屋に、アリガタバチも一緒にいることが多いでしょう。
アリガタバチのメスには毒性があり、刺されると2週間ほどの腫れやかゆみを引き起こします。まれにアナフィラキシーショックを起こすこともあるので要注意です。
アリガタバチを駆除するには、寄生しているシバンムシを一掃する必要があります。
5.チャタテムシ【白っぽい、ゴマ粒のような形】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
1~1.3mm | ゴマ粒 | 淡黄色 | 5〜9月 |
チャタテムシは体長1~2mmの虫です。発生条件が似ていることからダニと間違われやすいですが、チャタテムシは肉眼で目視できます。
カビが大好物で、高湿度になる梅雨~秋ごろに発生しやすいのが特徴。畳や壁紙などもチャタテムシのエサになり、ほかにも米などに食害を与えます。
人間を刺したり吸血したりしませんが、大量発生するとアレルギーの原因に。またチャタテムシを捕食しているツメダニが繁殖し、二次被害につながる可能性があります。
6.ヤマトシミ【細長い、触覚が長い、銀色っぽい】
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
8〜10mm | 細長い
触覚が長い |
灰色~黒色
光沢があり、銀色っぽい |
1年中 |
ヤマトシミは「紙魚(シミ)」という虫の1種。和紙や古本などに食害を与えることで知られます。
体長は約8~10mmで、細長い体と長い触覚が特徴。銀色っぽく光沢があり「うねうね」と動くので、感覚的に受けつけない方も多いのでは。
畳の隙間に卵を植え付けるため、和室で繁殖しやすい虫です。産卵時期は7月下旬~8月あたり。9月ごろに幼虫がふ化します。
見た目が気持ち悪い不快害虫ではありますが、人体への影響はなく無害な虫です。1年中、季節を問わず発生します。
7.カツオブシムシ
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
成虫:2.5〜5.5mm
幼虫:4~10mm |
成虫:甲虫
幼虫:イモムシ |
成虫:黄色いまだら、黒一色
幼虫:白~茶色 |
5~6月 |
カツオブシムシは、成虫と幼虫とで住み着く環境が異なります。家に現れるときは、窓などから侵入した成虫が卵を産みつけ、幼虫が部屋のなかで繁殖するケースが多いです。
カツオブシムシの成虫は、体長3㎜ほどの甲虫。マーガッレトなどの白い花に集まり、花粉をエサとします。
一方で幼虫は暗い所、風通しの悪い場所で繁殖。衣類などの繊維質を食害します。
カツオブシムシの成虫も幼虫も、畳を食べるわけではありません。しかし建材畳床(木質ボード)の畳の下などは、湿気がたまりやすく日当たりが悪いので、幼虫にとっては絶好の住処に。
畳の下に幼虫のカツオブシムシの幼虫がいるときは、業務用のナフタリンをまくなどして駆除します。
8.シロアリ
サイズ | 見た目 | 色 | 発生時期 |
3.5~6.0㎜ | 細長い | 白、黒 | 1年中 |
家屋の木材を食い荒らす害虫、シロアリ。「アリ」という名前が付いていますが、ゴキブリの仲間です。おもに水場や床下など、湿気がたまる部分から木材に食害を与え、家をボロボロにしてしまいます。
シロアリは1年をとおして活動していますが、とくに活発なのは5~7月の暖かくなり始めたころです。
湿気がたまりやすく日当たりの悪い場所を好むので、畳の裏にいることがあります。被害が進行すると、畳は食い荒らされてしまいボロボロに。
「畳を踏むとブカブカする」「畳の隙間などに砂みたいな汚れがある」といった症状が出るので、「もしかしたら」と思ったら点検してみましょう。
畳にわいた虫を駆除する方法
虫が目視できるのであれば、駆除を試してみましょう。おもにスプレーやバルサンなどの殺虫剤、または熱を与えることで駆除します。
ただし殺虫剤を使うときには、かならず殺虫効果がある虫の表示を確認しましょう。
だいたいの虫には「ゴキブリ用」の殺虫剤なら効果が期待できますが、「シバンムシは薬物耐性が付きやすいので専用のトラップの方が適している」など、例外もあるためです。
また畳にシロアリがわいている時には、業者に駆除を依頼するのがオススメです。殺虫剤を使うと、死ななかった一部のシロアリが移動し、別の巣を形成してしまうためです。
①殺虫スプレーをつかって駆除
肉眼で見える大きさの虫なら、殺虫スプレーを使って駆除しましょう。
小さい虫にスプレーをかけると吹き飛んでしまうので、少し離れた位置から散布するのがよいでしょう。
またスプレーを散布した後で、掃除機をかけて後始末します。そのときは、1畳あたり1分間を目安に、ゆっくりと掃除機を動かすことを意識しましょう。
KINCHO イヤな虫キンチョール
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KINCHO(キンチョー)の「イヤな虫キンチョール」なら、上記のような多くの虫に効果があります。その他、アブやムカデなどにも効果があるので、常備しておいて損はないでしょう。
アース製薬 ダニアース
ダニなら、アース製薬の「ダニアース」がオススメです。こちらの製品は、ノズルを畳に挿しこめるようになっていて、内部に薬剤を注入できます。もちろん普通のスプレーとして、カーペットやじゅうたんにも使えるので便利です。
②くん煙剤をつかって駆除
部屋中に虫が大量発生している状態なら、煙が出るタイプの殺虫剤を使うのがオススメ。部屋全体に殺虫成分が行きわたるため、目の届かない場所まで殺虫効果が期待できます。
使用する前には、電化製品や布団などにカバーをかけること、換気することを忘れないようにしましょう。
また「〇畳用」というふうに適切な広さが表示されているので、使用する部屋の広さに合った製品を選びましょう。
アース製薬 虫コロリアース
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アース製薬の「虫コロリアース」は、上記のような畳にわきやすい虫を殺虫する効果があります。その他、ムカデやゲジゲジなどにも有効です。
アース製薬 アースレッドW
畳にダニがわいているとき、くん煙剤を使うなら「アースレッドW」という製品があります。ゴキブリやノミにも効果的なので、一石二鳥ですね。
③熱風乾燥機、布団乾燥機などをかける
畳に住み着いた虫を駆除するのに、「畳熱風乾燥機」にかけるという方法があります。高温・乾燥処理だけで、薬剤を使用せずに虫を駆除できます。
畳熱風乾燥機は、一部の畳店が導入している機械なので、利用したいときは近くの畳店に相談してみましょう。
その日のうちに対処してもらえる場合は、朝に畳を引き渡して、夕方ごろに返してもらうというスケジュールです。
また、自宅に布団乾燥機がある場合は、畳を熱乾燥させることも可能です。高温に弱いダニなどの虫なら、畳に熱を与えることで殺虫効果を期待できます。
布団乾燥機を使う際は、畳に布団乾燥機を直置きし、その上から布団をかぶせましょう。
機械から出る熱風で畳の温度が上昇し、ダニなどの虫をある程度死滅させられます。
畳に虫が発生する原因を知って、予防しよう
畳に発生する虫は、畳から直接発生するのではなく、空気や人と一緒に室内へ入ってきたものがほとんどです。
外部から入った虫は、エサ・温度・湿度などの条件が良い場所に集まり、繁殖していきます。
原因:食べカスやカビにつられて虫が来る
畳の虫が部屋に来る理由は、エサになるような食べこぼし、フケ、垢、ホコリなどが溜まっているからです。
そのため畳に虫が発生するのを抑えるためには、こまめに掃除をすることがなにより大切です。
また畳につく虫は湿気が多い環境を好みます。なかでもチャタテムシはカビをエサとしています。
湿気を好む虫が住みやすい環境の目安は、「気温25℃・湿度70%以上」くらい。そのため湿度を70%より低く保つのが大切です。
天気の良い日はこまめに換気し、湿度を逃がすようにしましょう。クーラーや除湿器で湿度を下げる方法も有効です。
洗濯物の部屋干しは室内の湿度が高くなるため、畳の部屋ではおすすめできません。
予防対策①:空気を循環させ、湿気を防ぐ
畳に発生しやすい虫を防ぐには、湿度をコントロールして、エサとなるゴミを減らすようにましょう。
湿度にかんしては、60%を超えるとダニが繁殖しやすくなり、75~90%になると『チャタテムシ』が繁殖しやすくなることに。
除湿器を導入したり、部屋をこまめに換気させたりして、湿度を抑えるようにしておきましょう。
予防対策②:じっくり掃除機をかける
畳は隙間が多く、虫たちのエサになるようなホコリなどが溜まりやすい環境です。
掃除機をかけるときには、1畳につき1分以上の時間を目安に、じっくりと吸い取るようにしましょう。
畳の目に沿った向きで動かすのがポイントです。
予防対策③:防虫シートを使う
こまめに掃除をすることが面倒な方には、防虫シートがおすすめです。
防虫シートは、畳の下に敷いて使うアイテム。シートに含まれる「ホウ酸塩」という成分が広がり、ダニなどに対して毒性を与えます。
人間にとっては食塩レベルの毒性なので、安心して使えるのがうれしいポイント。
長期的に虫の発生を予防できるので、頻繁に畳のメンテナンスができない方にもおすすめの方法です。
予防対策④:畳干し、畳下の掃除
畳の湿気対策として、晴れた日に畳を干すのが有効です。
湿気を好む虫たちは、表面よりも、畳の下にいることが多いもの。畳を上げて両面に風を通すことで、虫除けになります。
長時間の外干しは日焼けの原因になるので、黒いビニールで覆ってから干すとよいでしょう。
また、畳下の床面も、キレイに掃除しておきましょう。カビがあれば、エタノールを使ってしっかり除去しておくのが防虫対策になります。
予防対策⑤:カーペットやマットレスを敷かない
畳の上からカーペットやマットレスを敷くと、二重になった部分に湿気がたまってしまいます。
虫の発生を防ぐという意味では、カーペットの二重敷きは、あまりオススメできないのです。
もしどうしても「畳の床はイヤ」という気持ちが強ければ、一軒家なのであれば思い切ってフローリングにリフォームするのもありかもしれませんね。
畳の張り替えも選択肢のひとつ
「畳の虫を駆除したときにはもう遅かった……」というケースもあるでしょう。
たとえばシロアリに食い荒らされてしまうと、畳はボロボロになってしまいます。
また畳自体がカビの温床になっているなら、畳を張り替えたほうが長期的にみて快適に過ごせるでしょう。
畳床の寿命はおよそ20~25年
5年程度で裏返し、10年程度で畳表を交換している場合、畳床の寿命は20~25年とされています。
20年経過している畳なら、単純に経過年数での交換を検討しても良いでしょう。
畳の表面に擦り切れた部分があると湿気が入りやすいため、虫の発生原因となってしまいます。激しく傷んでいる部分が多い場合も、早めの張り替えを検討しましょう。
日焼けによる変色や食べこぼしによるシミが多い場合、畳の上を歩いた時に沈む場所がある場合も、交換適期といえます。
費用相場はどのくらい?
畳の張り替えには「裏返し」「表替え」「新調」の3種類があります。
上下をひっくり返すのが「裏返し」、畳表と畳縁(たたみべり)を交換するのが「表替え」、全てを交換するのが「新調」です。
畳の張り替えを業者に依頼する場合、「表替え」の費用相場は約5万円、「新調」なら約8万円です。この費用には材料費・工事費・諸経費の全てを含まれています。
ホームセンターに古い畳を持ち込み、新しい畳を持ち帰って自分で張り直す場合、表替えなら費用は約2万5,000円が相場です。
以下の関連記事では、より詳しく畳の張り替えにかかる費用を紹介しています。張り替えのタイミングについても紹介しているので参考にしてみてください。
業者への依頼がおすすめ
畳の張り替えに必要な材料を購入するだけなら、ホームセンターやオンライン通販を利用すれば、費用を安く抑えられます。
しかし、張り替えを自力で行うのは大変です。畳を「剥がす」「運ぶ」「張り直す」といった手間がかかります。
畳の張り替えは、作業まで全て任せられる業者への依頼がおすすめです。業者に畳を見てもらえば、表替えと新調のどちらが適しているかも判断してもらえます。
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畳に虫が発生する主な原因は、食べこぼしなどの汚れや湿気の多さです。
日ごろから丁寧に畳の上を掃除して、湿度を下げる努力をしておくことで虫の繁殖を予防しましょう。
もしすでに畳が食い荒らされてボロボロになってしまったら、畳の張り替えがおすすめです。
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