シロアリの被害を受けたので、専門業者に駆除を依頼したいけど、できれば費用を抑えたいですよね。シロアリの駆除にかかる費用は一軒家の広さだけでなく、依頼する業者や駆除する方法などによって大きく変わります。
今回はシロアリを駆除する際の費用はいくらかかるのか、坪数別の相場や駆除費用が決まる要素を含めて解説します。
シロアリ駆除の坪数別費用相場はいくら?
一般社団法人「経済調査会」が発表した統計によると、シロアリ駆除にかかる費用相場は、1㎡あたり3,250円で坪数(1坪3.3㎡)に直すと、1坪あたり10,725円といわれています。基本的な料金はおもに床下の面積によって決まるため、「〇円/坪」または「〇円/㎡」のような単価がシロアリ駆除業者のサイトに掲載されています。
1~2人暮らしの坪数(20~30坪)と3〜5人暮らしの坪数(35〜40坪)で換算したとき、シロアリ駆除にかかる費用相場は、下記のとおりです。
坪数(㎡数) | 間取り | 費用相場 |
20坪(約66㎡) | 1LDK~2LDK | 15万~20万円 |
30坪(約99㎡) | 3LDK~4LDK | 20万~30万円 |
35坪(約115㎡) | 3LDK~4LDK | 25万〜35万円 |
40坪(約132㎡) | 3LDK~4LDK | 30万〜40万円 |
ただし、この数字はあくまでも平均的な相場です。実際はシロアリ駆除業者によって差があります。加えて「㎡」で表示したほうが安く見えるため、坪数当たりの費用を載せていないシロアリ駆除業者もあります。「坪」と「㎡」の違いに気を付けながら、どの駆除業者に依頼するのか、検討するようにしましょう。
シロアリ駆除費用が決まる6つの要素
シロアリ駆除にかかる費用は、おもに6つの要素を踏まえて料金が決まり、状況次第では大きく変わる場合があります。
1.建物の広さ
シロアリ駆除にかかる費用は、建物の広さによって決まります。坪数が広ければ広いほど、作業時間や散布する薬剤の量も増えるため、費用も上がってきます。たとえば、大手のシロアリ駆除業者に依頼したときの費用相場は、下記のとおりです。
20坪(約66㎡) | 30坪(約99㎡) | 35坪(約115㎡) | 40坪(約132㎡) |
約163,350円(税込) | 約245,025円(税込) | 約284,625円(税込) | 約326,700円(税込) |
※参照:ダスキンのシロアリ駆除(バリア工法)の標準料金
※1階の床面積1㎡あたり2,475円(税込)の場合で換算。15坪(約50㎡)までは、一律で123,750円(税込)
あわせて建物の基本的な構造によっても、シロアリ駆除にかかる費用は駆除業者によって変わります。たとえば、自宅の床下に十分なスペースがない場合、点検口の新設・拡張のために1か所あたり、2~3万円ほどの追加費用がかかります。またタイル張りの箇所は作業に手間がかかるので、浴室やトイレなどは料金が上がりやすいほか、木造や鉄骨造などの基礎で使われている素材によって変動することもあります。
2.被害の状況
シロアリによる被害の範囲が大きいほど、対処する内容が増えるほか、難易度も上がるため、費用が高くなります。たとえば、シロアリの食害が床下から柱を伝って、屋根裏まで進行してた場合、家のほぼ全域を施工する必要があり、駆除費用とあわせて大工工事の費用がかかります。
建物の施工会社に依頼するときは、多額の費用がかかることを念頭に置いて必ず見積もりを出してもらうようにしましょう。
3.シロアリの種類
日本で見かける主なシロアリは、「ヤマトシロアリ」または侵食スピードが早い「イエシロアリ」です。被害状況によって異なりますが、これらの駆除方法は確立されていることから、多額の費用がかかるケースは少ないといえます。
しかし、外来種で湿気の少ない環境でも活動できる「アメリカカンザイシロアリ」の場合、集団の規模が大きく、場所の特定や完全な駆除が難しくて高額になる可能性があるため、注意が必要です。
4.シロアリの駆除工法
シロアリを駆除する際、駆除する工法によっても費用が変わります。おもに床下に潜って薬剤を散布する「バリア工法」と、ベイト剤を建物周辺や地面に埋め込んで駆除する「ベイト工法」があります。駆除効果を発揮するまでの時間や安全性、コストの面で違いがあるため、どの項目を重視したいかで決めると良いでしょう。
駆除工法 | 坪あたり単価 | 費用の目安(30坪の場合) | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
バリア工法 | 6,300~8,300円 | 19〜25万円 | 費用が安くて、即効性がある | 健康に影響を与えることがある |
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ベイト工法 | 6,500~10,000円 | 20〜28万円 | 安全性が高くて、どんな建物でも施工できる | 費用が高くて、駆除に時間がかかる |
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バリア工法
床下に薬剤を散布してシロアリの侵入経路をふさぐ工法です。巣食っているシロアリに直接ダメージを与えるので、すぐに効果を実感できます。ただし散布した薬剤が空気中に広がる可能性があるため、赤ちゃんやペット、薬剤に敏感な人がいる場合は注意しましょう。加えて壁や床に穴を開けて駆除するケースもあり、その分の追加料金がかかります。
ベイト工法
ベイト剤と呼ばれる固定薬剤(毒エサ)を地面に設置した後、シロアリに薬剤を巣に持ち帰らせ、巣の中にいるシロアリたちを一気に駆除する方法です。巣の中にいるシロアリまで駆除できるため、どのような構造の住宅にも施工できます。ただし、駆除効果を発揮するまで数か月〜半年かかるほか、バリア工法と比べて費用が高くなるため、注意が必要です。
5.シロアリ駆除業者の種類
シロアリ駆除業者の営業形態によっても料金が変わります。おおまかに5つのタイプに分類すると、1㎡あたりにかかるシロアリの駆除費用は、以下のとおりになります。
シロアリ駆除業者の種類 | 1㎡あたりの費用相場 | 1坪あたりの費用相場 |
全国展開の大手企業 | 3,000円~ | 1万円~ |
農協(JA) | 3,000円~ | 1万円~ |
地域密着型の小~中規模企業 | 1,666~2,970円 | 5,300〜9,900円 |
ホームセンター | 1,000~1,400円 | 3,300〜4,500円 |
個人経営型 | 800~1,100円 | 2,600~9,000円 |
全国展開の大手企業
アサンテやサニックス、ダスキンといったシロアリを含む害虫駆除事業を行っている企業が該当します。費用相場は1坪あたり1万円(1㎡あたり3,000円)前後で、事業規模が大きい分、信頼感があります。ただし、広告宣伝費や人件費などの経費がかかっていることから、施工費用は高くなります。
農協(JA)
各地にある農協(JA)もシロアリ駆除を受け付けてもらえます。費用相場は大手業者とほぼ同じです。
実際に作業を行うのは、農協から委託を受けた民間の駆除業者で、費用には中間マージンが乗っています。
地域密着型の小~中規模企業
特定の地域を対象に地元の顧客向けに地域密着型のサービスを提供する企業も依頼できます。大手企業ほど知名度はないものの、地域特性をよく把握している上に、費用相場は1坪あたり5,300〜9,900円(1㎡あたり1,666~2,970円)と、リーズナブルな価格で引き受ける企業が多いです。
被害状況や施工の難易度などによって価格を見積もる場合が多いため、大手企業のように一律ではなく、状況に応じて価格を設定します。
ホームセンター
大手を中心としたホームセンターでは、住宅関連サービスの1つとしてシロアリ駆除・予防をおこなっています。費用相場は1坪あたり3,300〜4,500円(1㎡あたり1,000〜1,400円)と割安な料金で施工できます。参考までに大手ホームセンターのサービス内容例をまとめました。
坪単価 | その他 | |
カインズ | 9,800円 | ・5年保証付き ・予防は5,980円/坪 |
コーナン | 6,600円~ | ・施工内容によって価格が変動 ・10坪以下は一式価格 |
コメリ | 5,980円~ | ・5年保証付き ・イエシロアリは別価格 |
ただし、ホームセンターは申し込みの受付と宣伝のみ行い、実際にシロアリ駆除工事を行うのは小規模な下請け会社のケースが多いため、品質や保証内容がバラバラである点に注意が必要です。
個人経営型
インターネット上の仲介サイトなどに登録し、個人でシロアリ駆除を営む業者もいます。個人経営ということもあり、費用相場は1坪あたり800〜1,100円(1㎡あたり2,600〜9,000円)と比較的安い価格を打ち出しています。
ただし、技術や工事基準を明確に示していない業者があるほか、シロアリ駆除工事の品質の良さも保証しているとは限りません。費用だけで判断せず、サービス内容や工事実績などを確認したうえで依頼するかどうか決めましょう。
6.駐車代金や出張費用などの割増料金
シロアリの駆除は、半日から1日ほどかかります。事業者によっては家の敷地内に駐車スペースがない場合、コインパーキングに駐車してその分駐車代金を請求する場合があります。
あわせて休日や遠方のシロアリ駆除業者に依頼するとき、別途休日料金や出張費用がかかることもあります。依頼するときはあらかじめ追加料金がかかるかどうか、確認しておきましょう。
【施工事例別】シロアリ駆除にかかる費用
シロアリ駆除にかかる費用が決まるポイントについて解説したところで、具体的な施工事例を踏まえて費用はいくらかかるのかについて紹介します。
ケース1:庭にいたシロアリの駆除&防蟻措置
築15年の住宅の庭にヤマトシロアリを確認したため、シロアリ駆除業者に依頼しました。駆除とあわせてシロアリが侵入しないように、建物の周りにシロアリ駆除用の殺虫剤を噴霧したり、ベイト剤を仕掛けたりして、防蟻処理も行いました。
対象物件の築年数 | 15年 |
期間 | 1日 |
駆除・予防にかかった費用 | 約10万円 |
ケース2:玄関でシロアリ被害が確認した後に修繕
築25年の一戸建ての住宅で玄関の床が沈んでいたので、駆除業者に調査を依頼しました。調べると羽アリも発見したので、さらに詳しく調査を行った結果、土間とタイルの継ぎ目部分に小さなすき間ができ、そこからシロアリが見つかりました。駆除と防蟻工事を行ったうえ、玄関を復旧させる工事も実施しました。
対象物件の築年数 | 25年 |
期間 | 1日 |
駆除・予防にかかった費用 | 約30万円 |
ケース3:床下でシロアリを発見した後に調湿木炭を設置
シロアリの羽アリが見つかったので、床下を確認したところ、シロアリが潜んでいることを確認しました。被害はまだ深刻ではなかったものの、被害を拡大する前に駆除と防除を行うため、業者に依頼しました。
駆除と防除処理を行った後、湿気がこもっていたため、カビを発生させないように床下に調湿木材を設置してもらいました。
対象物件の築年数 | 20年 |
期間 | 1日 |
駆除・予防にかかった費用 | 約35万円 |
ケース4:和室でのシロアリ被害で部屋全体をリフォーム
畳がふかふかとした感触をしたため、畳をめくって床下を確認したところ、シロアリが見つかりました。駆除業者にシロアリを駆除した後、和室の床上まで食害が広がっていることも確認したため、別の業者に和室の壁や床、天井を解体し、新しく取り替えてもらいました。同時にシロアリが侵入しないように防除措置も依頼しました。
対象物件の築年数 | 40年 |
期間 | 0日 |
駆除・予防にかかった費用 | 約60万円 |
ケース5:浴室でシロアリの被害が確認され、食害箇所の補修を実施
浴室のコーキングが割れているのを確認して調べたところ、壁のタイルにもひびが入っていて、そこからシロアリが出てきました。駆除業者に依頼して、さらに調べたところ土台などがシロアリによる食害の痕跡も確認したため、駆除を依頼しました。
被害は甚大で補修に時間がかかったほか、防蟻消毒も行ったため、発見から7日後に工事が完了しました。
対象物件の築年数 | 37年 |
期間 | 7日 |
駆除・予防にかかった費用 | 約100万円 |
シロアリ駆除費用をお得にする5つの方法
シロアリ駆除の品質を落とさず、できる限りお得に駆除を行いたい人は、下記5つの方法を実践してみましょう。
1.複数の駆除業者から相見積もりを取る
シロアリ駆除業者に見積もりを依頼するときは、1社だけでなく、複数の駆除業者から見積もりを取って比較検討することが大切です。同じ依頼内容でも、業者によって費用やサービスの範囲は異なります。
比較するときは「相場と大きく差がないか」「よく分からない追加費用が足されていないか」の2点は必ずチェックしましょう。
2.駆除費用を確定申告して雑損控除を受ける
シロアリの駆除に関する補助金はありませんが、駆除や修繕にかかった費用を「雑損控除」の申告をすると、税金の負担が軽減できる可能性があります。
「雑損控除」は自然災害や火災、盗難などで資産に損害を受けた場合に、所得金額から一定額が控除される制度です。シロアリによる被害は、所得税法に定められた「害虫による異常な災害」に当てはまるため、確定申告の手続きをすれば、駆除にかかった費用の一部が返ってきます。申告をする際、下記の適用条件に基づいて提出書類を準備しましょう。
必要書類 |
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適用条件 |
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なお期間は最大3年間で、各年の所得金額から控除できます。ただし、シロアリの駆除を業者に頼まずに自分で行ったときや、シロアリの予防施工のみ行った場合は、対象外となるので注意しましょう。
3.床下湿気対策をすすめられても即決しない
シロアリ駆除を行うと、同時に床下の湿気対策をすすめられることがあります。しかし、高い費用を払って湿気対策をおこなってもシロアリ被害を防げるとは限りません。
シロアリ駆除業者から湿気対策をすすめられた場合は、必ず事業者に床下の状態がどうなっているのか確認しましょう。実際に湿気が原因で木材の腐食が進んでいる場合は即決せず、駆除業者に相談することをおすすめします。
4.被害箇所の修繕は別で工事業者を探す
シロアリの被害にあった箇所の修繕が必要になった場合、シロアリ駆除業者ではなく自分で工事業者を探したほうが安く済むケースがあります。駆除業者に修繕を頼んでも、実際に修繕工事を行うのは提携の工務店が多いため、駆除業者を経由して依頼すると、仲介手数料は高くなる可能性があります。
シロアリの駆除とあわせてリフォームをしたい人は、自分で工務店を探したほうがいいでしょう。
5.ハウスメーカーの保証期間を利用する
ハウスメーカーのアフターサポートを活用することで、駆除費用が無料になる可能性があります。どのハウスメーカーでも、新築の引き渡しから10年以内であれば、不具合や欠陥に無料で対応してもらえるでしょう。
ハウスメーカーによって詳しい保証内容が異なるため、シロアリ駆除の依頼を検討している人は、まずハウスメーカーの保証書を確認してみることをおすすめします。
シロアリ駆除業者を決める際に注意する5つのポイント
信頼できるシロアリ駆除業者を決める際、下記5つのポイントに注意しましょう。
1.日本しろあり対策協会の会員である
シロアリ駆除業者を決めるときは、「日本しろあり対策協会」の会員に登録されているか確認しましょう。
「日本しろあり対策協会」は国土交通大臣の許可を得ている団体です。定期的にシロアリ防除の講習会を実施したり、資格制度として「しろあり防除施工士」の検定や登録を行ったりしています。会員であれば、一定以上の技術と品質が保証されており、安心して依頼できるでしょう。
2.正確な事前調査が行われているか
シロアリを駆除する前、駆除業者は家の間取りや被害箇所の確認、床下の調査などを行います。この際、念入りに事前調査が行われているか確認することが大切です。事前調査がしっかりされていないと、被害箇所が見落とされ、シロアリ被害が再発するリスクが高まります。
特に家の広さやおおよその被害状況を確認するだけで、床下に潜らずに見積もりを出す業者には注意してください。
3.見積書に明確な費用の内訳が記載されているか
シロアリ駆除にかかる費用の内訳として、駆除作業のほかに施工後の清掃費や出張費、室内の養生費などが挙げられます。内訳が明確でない場合には、作業後に追加費用を請求されたとしても、どこからが追加料金なのかに気づくことができません。
シロアリ駆除業者に依頼するときは、見積もりの内訳はもちろん、保証の有無や内容もしっかり確認し、提示された見積もり額が適正かどうかを確かめましょう。
4.保証・アフターサービスが充実している
シロアリの駆除業者を決める際に、施工後5年間の保証がついている駆除業者を選ぶのもおすすめです。
シロアリ駆除は一度施工したら終わりではなく、定期的に行う必要があります。また短期間でシロアリが再発してふたたび高い費用を払うことになるのは、避けたいところです。
5年以内の保証があれば、再発してしまったときの駆除費用が無料であったり、または割引価格で受けられたりすることができます。
5.口コミ評価が高い
利用者から寄せられた口コミも、依頼したいシロアリ駆除業者を判断するポイントのひとつです。事業者ホームページやGoogleマップ、ポータルサイトに寄せられた口コミも見てみることをおすすめします。
口コミからは、料金表やサービスの説明書きから分かりづらい接客態度などがうかがえます。ていねいな対応が評価されている事業者であれば、利用者に対して誠実である可能性が高いでしょう。
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シロアリ駆除にかかる費用相場についてお得にする方法や、駆除業者を選ぶポイントを含めて解説しました。自宅の広さはもちろん、被害状況や駆除工法などによって費用相場は変わります。自分の家ではどのくらいの料金になるのか、複数の業者から見積もりをもらったうえで、安心できるプロに駆除を依頼しましょう。
ミツモアでは規模を問わず、多くのシロアリ駆除業者を登録しています。自宅の広さや床下収納、点検口の有無など、簡単な質問に答えていくだけで、最大5件の見積もりを無料で比較できます。費用や実績といった情報も確認できるので、ニーズに合ったシロアリ駆除業者を選べますよ。