シロアリ駆除には高額な費用が必要になるケースが多く、資金の確保は切実な問題です。「補助金を利用してなるべく出費を抑えたい」という方も多いですよね。
シロアリ駆除の補助金・保険はほとんどない
残念ながら、シロアリ駆除を対象とした補助金・保険は現状ほとんどありません。
火災保険はシロアリ被害の対象外で、地方自治体の補助制度もシロアリを対象にしているものは原則ありません。
ただし、以下の4つの方法でシロアリ駆除の費用を抑えることができます。
補助金制度を用意している自治体はほとんどない
自治体からシロアリ駆除費用に対して補助金が出ることは、ほとんどありません。
スズメバチやゴキブリなど、安全や衛生を脅かす害虫の駆除に補助金を交付している自治体でも、シロアリは基本的に対象外です。
念のため確かめたいという方は、シロアリ駆除が補助金の対象になるか窓口に問い合わせてみましょう。可能性はかなり低いですが、対象になることがあるかもしれません。
火災保険が適用される可能性も低い
火災保険は自然災害による損害に適用されるもので、シロアリ被害自体は保険の対象外です。シロアリ駆除に火災保険を適用したい場合、台風・水災などが直接の原因で木材が腐り、シロアリが発生したと証明する必要があります。
しかし自然災害とシロアリ発生の因果関係を明確にするのは非常に難しく、火災保険が実際に適用できるケースはないといえるでしょう。
それでも保険の対象になると考えられる場合はシロアリ駆除業者に相談の上、保険会社に問い合わせてみましょう。
シロアリ被害による住宅の改修には補助金がある自治体も
シロアリ駆除の費用そのものに補助金や保険は使えませんが、被害を受けた住宅の改修に補助金を用意している自治体があります。
以下で2つの自治体を紹介するので、交付の条件などを確認してみましょう。
長崎県長崎市
長崎県長崎市では、既存住宅のリフォームにいくつか補助金を用意しています。中でも「ながさき住みよ家リフォーム補助金」は、住宅の改修工事で利用できる補助金です。
シロアリ被害に遭って住宅の改修工事が必要な場合、条件を満たせば補助金を利用できるかもしれません。
支給額や要件などは以下の通りです。
支給額 | 改修工事費用の10%(上限額:10万円) |
---|---|
主な要件 |
など |
補助対象 |
など |
埼玉県川越市
埼玉県川越市は、独自に「川越市住宅改修補助金制度」を実施しています。この制度では、基礎・壁等の補強工事や床組みの補修工事など、既存住宅のリフォーム工事に対して一定の補助金が交付されます。
シロアリ被害を受けた部分を修繕する際、対象の工事を行う場合は補助を受けられるかもしれません。
支給額や要件などは以下の通りです。
支給額 | 改修工事費用の5%(上限額:5万円) |
---|---|
主な要件 |
など |
補助対象 |
など |
シロアリ駆除費用を補助金ではなく確定申告で減らす
シロアリ駆除の費用を雑損控除として確定申告すると、所得税の還付を受けられる可能性があります。
シロアリ駆除の費用の補助を受けることはできなくとも、納める税金額を減らすことで間接的に出費を減らすことができるのです。詳しく見てみましょう。
シロアリ駆除の費用を雑損控除として申告できる
雑損控除は「所定の災害や盗難などの損失費用を、所得から控除できる(差し引ける)」という税制です。所得税は所得に応じて決まるため、所得から一定額を控除することができれば、その分だけその年にかかる税金を減らせます。
シロアリ被害は、所得税法が災害の範囲として定める「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当します。そのため駆除にかかった費用を雑損控除として申告し、所得税を減額することが可能です。
会社員の方であれば、12月の年末調整の時点では雑損控除が反映されていない税金を払うことになります。その払いすぎた分の金額を、確定申告によって取り戻せます。
雑損控除額の計算方法
雑損控除の金額は次のような式から決定します。
①差引損失額-5万円 |
②差引損失額-(総所得金額×10%) |
差引損失額とは、損害金額(駆除・修繕費用)から保険金の補填(ほてん)などを差し引いた金額です。
①②の計算式のうち、出た答えが大きいほうが適用されます。
以下でモデルケースを紹介するので、実際に計算して雑損控除の金額を計算しましょう。
<例> |
|
実際の計算 |
①(30万円+50万円-0円)-5万円=75万円 |
②(30万円+50万円-0円)-(400万円×10%)=40万円 |
このケースでは75万円を雑損控除として申告でき、所得から差し引くことができます。
ただし実際には減価償却分の計算などが必要になるため、金額はあくまで目安です。分からない場合は税務署の相談窓口や税理士に問い合わせるようにしましょう。
確定申告で所得税の還付を受ける方法
確定申告には以下の書類が必要です。
- 本人確認書類
- マイナンバー通知カード(マイナンバーカードがある場合は不要)
- 確定申告書AまたはB
- 源泉徴収票(給与所得がある場合)
- シロアリ駆除の領収書
- 還付先の預金口座が分かるもの
- 印鑑
詳しい確定申告の流れは以下のとおりです。
①シロアリ駆除業者に領収書をもらう
業者にシロアリ駆除をしてもらったら、駆除にかかった費用が明記された領収書をもらいましょう。
また駆除と同時に予防も依頼する場合は、費用項目が予防と駆除で分けられているかも必ず確認してください。合計費用しか記されていないと、シロアリ駆除にいくらかかったか分からず、控除の申告が認められない可能性があります。
②確定申告書類を作成する
確定申告書の第一表と第二表に、以下の内容を記入します。
- 氏名・マイナンバー等の個人情報
- 源泉徴収票や所得税確定申告書に記載されている所得額
- 所得控除額
③提出期限までに確定申告書類一式を提出する
確定申告の提出期限はシロアリを駆除してもらった年の、翌年2月16日~3月15日までです。
忘れてしまった場合でも、払いすぎた税金が返ってくる還付申告という制度を利用できます。
還付申告は、駆除の翌年から5年以内であればいつでも可能です。還付申告書を用意して必要事項を記入しましょう。
④税金の還付を受ける
必要書類を提出したら税金の還付を受けて完了です。
雑損控除を確定申告する際に注意すること
シロアリの駆除費用は、特定の場合は雑損控除の対象外になってしまいます。以下の3つのケースを駆除の前に確認してください。
シロアリ予防の費用は控除の対象外
雑損控除は駆除を行った場合が対象です。シロアリの予防のみを行った場合は、対象外になるので注意しましょう。
駆除と同時に予防を実施した場合でも予防は対象外です。
そのため駆除業者には、雑損控除をすることを説明し「駆除」と「予防」で費用明細を分けて記載してもらいましょう。
別荘や事業用建物での駆除費用は控除の対象外
別荘や事業用建物でシロアリ駆除をおこなった場合も雑損控除の対象外です。
雑損控除を申請できるのは自宅のみになります。
自分で行った駆除作業は控除の対象外
自分で駆除をするための薬剤や駆除に必要な道具を購入した場合は対象外です。
あくまで業者に依頼してかかった費用でないと雑損控除を受けることができません。
シロアリ駆除費用を自己負担しない3パターン
新築から年数が経っていない場合や、賃貸物件に住んでいる場合には管理会社や大家さんが駆除費用を負担してくれることがあります。
【新築物件】引き渡しから10年経っていない
新築物件の引き渡しから10年以内にシロアリの被害が起きた場合は、シロアリ駆除の費用を負担してくれることがあります。
例えば、契約書では、防腐防虫処理が施されていると書いてあったのに、実際は何もされておらず、シロアリが発生してしまった場合です。住宅の売り主に駆除費用と修繕費用を負担してもらうことができます。
防腐防虫処置が施されているかわからない場合には、業者に点検してもらいましょう。
【中古物件】もともとシロアリ被害に遭っていた
中古物件を購入してから1年以内であれば、シロアリ被害の駆除費用や修繕費用を負担してくれることがあります。
売り主が「シロアリ被害を隠したまま売却した」「シロアリ被害に気づかないまま売ってしまった」場合には、費用を負担してもらうことができます。
しかし契約書に「シロアリ被害は免責」などとかかれている場合は、駆除費用や修繕費用を負担してもらえなくなります。契約書の内容を確認してみましょう。
【賃貸物件】大家さんや管理会社に相談
適切な使い方で部屋を使用していたのにも関わらず、シロアリが発生した場合は貸主(大家さんや管理会社)が駆除費用を負担します。
しかし、借主に過失がないことが前提です。もし、「部屋の掃除を長期間していなかった」「シロアリ対策を一切していなかった」という場合には認められません。
シロアリの駆除をおこなう際は貸主に確認をする必要があります。勝手に駆除をおこなうと費用を負担してもらえなくなることもあるので、まずは管理会社や大家さんに確認しましょう。
シロアリ駆除費用そのものを安くする3つの方法
シロアリの駆除は難易度が高く、自分で駆除をおこなうことはおすすめできません。
豊富な知識や専門の薬剤、駆除手法を熟知したプロであれば、状態に応じた最適な方法で駆除をしてくれます。安心して生活を送るためにもプロである業者に依頼しましょう。
業者に依頼する際の費用を抑えられる方法を3つ紹介します。
個人の業者やホームセンターに依頼する
単価相場(坪) | 30坪の費用目安 | |
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大手企業 | 10,000円〜 | 30万円〜 |
ホームセンターなど | 3,300〜4,500円 | 10〜14万円 |
個人経営 | 3,000円前後 | 9万円前後 |
業者のタイプによってシロアリ駆除にかかる費用の相場が異なります。
個人経営の業者やホームセンターに依頼したほうが費用は安く済む傾向があります。
依頼をする際は大手企業ではなく、個人経営の業者やホームセンターに依頼するようにしましょう。
複数の業者から見積もりを取る
シロアリの駆除費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取って比べましょう。
1つの業者からしか見積もりを取らないと、適切な費用相場よりも高い業者に依頼する可能性があります。
また同じ費用でも保証内容や作業内容が異なるため、複数の業者から相見積もりを取ることが非常に重要です。
見積もりを取って比較すること |
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5年以上の保証がある業者に依頼する
せっかくシロアリ駆除・予防を施工してもらったのに、すぐに被害が再発してしまったら再びお金がかかります。
5年以内の再発は無料または割引価格で再度施工してくれる駆除業者を選ぶとよいでしょう。
社団法人日本しろあり対策協会の認定駆除剤の有効期限は5年です。そのため認定薬剤を使用して丁寧に施工している業者であれば、5年保証がついていることが多くなっています。
安心できる業者で費用を抑えたいのであれば、5年保証がついた業者がおすすめです。
シロアリ予防も忘れずに!シロアリ発生前の予防に使える補助金
発生してしまったシロアリを駆除できたら、二度と被害を受けないようにシロアリを予防することも重要です。
シロアリの予防工事には国や自治体の補助制度を利用できることがあります。一つずつ確認してみましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
国が行っている「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を、シロアリ予防の工事に適用できるかもしれません。
実際に補助金を受け取るには、いくつかの条件があります。事業について確認してみましょう。
支給額 | リフォーム工事費用の1/3(上限額:100万円~250万円) ※上限額はリフォーム後の住宅性能により異なる |
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主な要件 |
など |
補助対象 |
など |
シロアリ予防は「構造躯体等の劣化対策」に該当します。予防工事と同時に、省エネ性能の向上やバリアフリー化に繋がる工事などを行うと、要件を満たして補助金を受け取ることができます。
シロアリ予防工事だけでは補助の対象にならない点には注意が必要です。
自治体の補助金
自治体が独自にシロアリ予防工事に補助金を用意していることもあります。2つの自治体の例を見てみましょう。
埼玉県川口市
川口市は独自に「川口市住宅リフォーム補助金」の制度を実施しています。一般的な改修工事のほか、防蟻・防腐処理(シロアリ予防)も補助の対象です。
補助金を利用したい場合は、予防工事を依頼する前に交付の申請をしましょう。
支給額 | 改修工事費用の5%(上限額:10万円) |
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主な要件 |
など |
東京都大田区
大田区では「住宅リフォーム助成事業」を実施しています。防犯性能や住宅の長寿命化などに関するリフォーム費用を助成しており、シロアリ予防の費用も床下の防蟻・防虫処理として対象になります。
支給額 | 改修工事費用の10%(上限額:20万円) |
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主な要件 |
など |
区が定めた標準工事費である5,000円/㎡か、実際にかかった工事費用のどちらか低い額が助成対象です。
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