畳はメンテナンスが大変なので、なるべく汚れやシミがつくのを防ぎたいですよね。そこで選択肢として挙がるのが、上からカーペットを敷くという方法。
もちろん畳に汚れが付きにくくなるというメリットはありますが、湿度や害虫、カビの発生などに注意する必要があります。
この記事では、畳の上にカーペットを敷くときの注意点や、自室に合ったカーペットの選び方、オススメ製品などを紹介していきます。
畳の上にカーペットを敷くときの注意点
畳の上からカーペットを敷くことで、和室の印象をガラッと変えることができます。また畳に汚れやシミがつくのを防ぐこともできるので、メリットは多いと言えるでしょう。
しかしその反面、畳の湿気が逃げにくくなったり、カビや害虫の温床になったりするケースがあります。まずは畳の性質をおさえ、カーペットを選ぶときに注意すべきポイントをおさえておきましょう。
以下の関連記事では、畳の張り替えにかかる費用について詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてい見てください。
畳の湿気が逃げにくくなる
畳に使われている「イグサ」という素材は、「湿気が高いときには吸湿し、乾燥しているときには水分を発散する」という性質を持っています。
これにより湿度調整や断熱の役割を果たしています。ちなみに自然の状態に近い「無垢材」のフローリングも同様に、この呼吸のような働きがある素材です。
この畳の機能は、高温多湿な日本の気候にはよく馴染むので、畳は古くから日本家屋で重宝されてきました。
しかし反面、畳の上からカーペットを敷くと、内部にたまった湿度が逃げにくくなります。その結果、畳とカーペットの両方にカビやダニが繁殖する原因に。
とくに日当たりが悪い和室や、換気が難しい和室にカーペットを使用するときは注意しましょう。
ダニやカビの繁殖をまねきやすい
ダニやカビは湿気が大好き。湿度が70%以上で、ホコリやゴミが多い場所に発生しやすくなります。
カーペットの表面や、畳とカーペットのあいだ、畳の目などに髪の毛やホコリなどたまりやすいので、ダニやカビの栄養分になってしまうのです。
その結果、カーペットを敷いた下にある畳は、気づいたら畳にカビが生えていたり、ダニなどの害虫が住み着いていることも。
カビやダニはアレルギーの原因になるので、小まめな掃除や換気などが必要です。
新しい畳には注意が必要
新築物件などの場合、新しい畳のうえからカーペットを敷くときには注意が必要です。
製造から日の浅い畳は水分を多く含んでいます。すぐにカーペットを敷かず、畳の水分が飛ぶのを待ちましょう。
畳の乾燥を待たずにカーペットを敷くデメリットは、カビやダニの繁殖だけではありません。畳に色ムラができるリスクもあります。
新品の畳は青みを帯びていて、乾燥するにつれて黄色くなります。カーペットを敷くとその下だけ湿気がこもり、畳に含まれる水分が抜けません。カーペットが敷かれた部分と空気に触れている部分で乾燥スピードが異なるため、色ムラが生じてしまうのです。
もちろんメリットもある
注意点ばかりを紹介してきましたが、もちろん畳にカーペットを敷くことのメリットもあります。畳よりもカーペットのほうがお手軽に交換できるので、模様替えはしやすくなるでしょう。
- かんたんに部屋の印象を変えることができる
- 畳が摩耗しにくくなる
- 家具によって凹むのを軽減
- 畳の日焼け防止になる
- ハウスダストやホコリの舞い上がりを防げる
カーペットによって畳表面の摩耗を防ぐことで、畳にささくれができにくくなり、怪我の防止にも繋がります。
また、クッション材のように家具と畳の間にカーペットが入るため、家具の形状に畳がへこむのを防げるでしょう。
ハウスダストやホコリが舞い上がるのを防ぐことができ、掃除機がけもラクになります。ただしカーペットと畳の隙間にもダニやハウスダストがたまるので、「どちらのほうが効率的に掃除できるか」という点は一概には言えません。
カーペットを選ぶときのポイント
畳の上に敷くカーペットを選ぶときには、上述したデメリットをなるべく抑えることができる製品を選びましょう。
通気性のいい素材を選ぶ
カーペットの選び方を工夫すれば、ある程度の通気性は確保することができます。おもなポイントは以下。
- パイル(毛足)が短い
- 薄手のカーペット
- 裏面に滑り止めが使われていない
- 裏面に接着剤が使われていない
- 裏面の素材が不織布やジュート
パイル(毛足)が短く薄手のカーペットであれば、湿気がたまりにくくなるでしょう。裏地素材が不織布やジュートなら、なおよしです。
また気を付けなくてはいけないのが、裏面の滑り止め。畳にカーペットを敷くと滑りやすいので、つい滑り止めがついている製品を選びたくなりますが、ゴム素材などの裏地は通気性が悪くなってしまいます。
またゴムが使われていない場合でも、パイルを固着させるために接着剤を使っているケースも。この場合も、カーペットの繊維がふさがれてしまうので通気が悪くなってしまいます。
防虫・防ダニ・抗菌などの機能で選ぶ
畳に湿気がたまると、ダニや虫などが住みつきやすくなります。そのためカーペットを敷く際には、防ダニ加工や防虫加工が施された製品を選ぶのがオススメ。
近年は殺虫成分を使わずに防ダニ効果を発揮する製品も多いので、その中から選ぶとよいでしょう。ちなみにポリプロピレンやナイロン、アクリルなどの化学繊維はカビやダニが発生しにくい素材です。
また防ダニ・防虫以外にも、以下のような機能に着目してみましょう。
- 抗菌・抗ウイルス機能
- 消臭機能
- 洗濯可能かどうか
- 床暖房に対応可能かどうか
たとえばパイル(毛足)の素材をセラミック成分にすることで、抗菌・消臭効果などを得ている製品もあります。
家族の肌が触れやすい場所なので、「安心して寝ころべるかどうか」を基準に、カーペットの機能に注目してみてください。
デザインで選ぶときのポイント
カーペットをデザインで選ぶときは、「色」に注目しましょう。和室の障子や木材とマッチする色を選ぶのがオススメです。
畳の色に合わせてグリーン系から選んでもよし、木材に合わせてベージュ系から選んでもよし。この場合、なるべく彩度・コントラストが低くて、自然界にある色を選ぶのがポイントです。
またカーペットの大きさにも着目しましょう。畳に直接家具を置くと、畳が傷んでしまいます。家具の大きさに合ったサイズを選ぶのも忘れずに。とくにイスは人間の体重も乗るため、畳に置く場合はカーペットの上に収まったほうがよいでしょう。
模様替えが目的なら、琉球畳(縁なし畳)もオススメ
和室の雰囲気を変えることがメインの目的なら、琉球畳や縁(へり)なし畳への交換もオススメです。
普通の畳よりも上部なので、カーペットを敷かなくても摩耗が少ないのが特徴。使い込むことで、肌触りも柔らかくなっていきます。
縁(へり)がないので洋風っぽい見た目になり、部屋が広く見えるようになるのが特徴です。ニトリなどの量販店で売っている製品なら1枚3,000~4,000円程度で購入可能なので意外とお手頃。
畳の上にタイルカーペットを敷くのは相性が悪いのですが、琉球畳ならタイルカーペットのような見た目を実現できるので、オシャレです。
ぜひカーペットの導入とあわせて検討してみてください。
いっそフローリングにリフォームするのもあり?
床材をフローリングにリフォームするのも選択肢のひとつです。とくに持ち家の和室リフォームは検討の余地あり。
畳にカーペットを敷くときのデメリットがなくなり、普段の掃除もラクになります。畳なら定期的な天日干しが必要ですが、その必要もありません。
床のリフォームだけであれば、30万円前後が相場です。予算にゆとりがある方は、ぜひ検討してみてください。
畳におすすめのカーペット3選
VK Livingの低反発ラグマット
素材 | 機能 |
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こちらのカーペットは、表地にマイクロファイバーのフランネル素材を使っています。そのため柔らかい肌触り、もちっとした低反発の感触がある製品です。6カラーが展開されています。
抗菌・防ダニ加工もされていて、裏面にはノンスリップ加工が施されています。ゴム素材を使わずに、しっかり滑り止めの効果を発揮してくれるのがうれしいポイントです。
毛足が短く、掃除もお手軽。夏でもそこまで暑さを感じにくいのでオールシーズン使うことができます。
Nishimakuのラグマット
素材 | 機能 |
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Nishimakuのカーペットも、マイクロフランネル・ウレタン・不織布という湿気・ダニを寄せ付けにくい素材です。4カラーが展開されています。
裏地には接着剤もゴムも使わず、熱で固定しているので、通気性も確保できています。撥水加工されているので、ジュースなどの液体をこぼしても、サッと拭き取ってお掃除できます。
お手入れは基本的に手洗い推奨ですが、「手洗いモード」がついている洗濯機ならネットに入れて丸洗いすることができます。
Kumori(クモリ)のカーペット
素材 | 機能 |
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使われている素材は、上記2つと同じ。肌触りがよく薄手ながら、防ダニ加工・ノンスリップ加工などが充実しています。5カラー、3柄での展開です。
こちらの製品は、自宅での丸洗いが可能。毛布のようにたたむことができるので、持ち運びや干すときもラクラクです。
合わせて使うと便利なグッズ
畳の上にカーペットを敷くとき、敷き方を工夫すればカビやダニを防ぎやすくなります。ポイントを押さえ、畳もカーペットもきれいな状態を維持しましょう。
ずれるときはカーペットピンで固定
画鋲で紙を壁に留めるのと同様に、カーペットの上からピンを刺すだけです。ピンを選ぶときは、カーペットの厚みと針の長さ、ヘッド部分の色を考慮しましょう。
ただし万が一カーペットピンが抜けてしまうと、踏んでケガをしたり、小さいお子さまやペットが誤飲したりする恐れも。とくに小さいサイズのカーペットだとピンが外れやすいので注意してください。
滑り止めシート・滑り止めテープはオススメできない
布やゴムで作られた滑り止めシート、両面テープのような滑り止めテープなどがありますが、これらはオススメできません。
滑り止めシートを使うと、通気性が悪くなるので、湿気がたまってダニやカビが発生しやすくなります。
滑り止めテープは、畳に張り付いてしまうことで、素材を痛めてしまう可能性があるのでオススメできません。
日当たりの悪い和室には除湿シート
除湿シートは、畳の下に敷いて使う製品です。床下から上がってくる湿気を吸収します。画像の製品は「備長炭(びんちょうたん)」を使っているので、シックハウス対策としても有効です。
シート自体の効果は半永久的に続きますが、畳のお手入れがまったく必要ではないという点に注意しましょう。定期的に畳を上げて通気したり、天日干ししたりするのは大切です。
畳にカーペットを敷いたあとのお手入れ方法
防カビや防ダニ、通気性の観点から、畳の上にカーペットを敷くときはケアが必要です。定期的に畳とカーペットをケアして、清潔な状態をキープしましょう。
畳にカーペットを敷くなら、こまめなケアで畳とカーペットの両方を衛生的に保つことが重要です。
カーペットのお手入れポイント
普段から、カーペットと畳との間にたまった湿気を逃がすことを心がけましょう。こまめな掃除も忘れずに。お掃除のポイントを以下にまとめます。
- 晴れた日、乾燥した日には窓を開けて換気
- 掃除機がけは、カーペット・畳どちらも
- 定期的にカーペットを日陰干し
- カーペットを取り込む前に、裏面から軽く叩く
こまめに換気をすることが大切です。晴れている日や湿度の低い日には、窓を開けて風を通しましょう。その際、一緒に洗濯をしてしまうのも効率的です。
掃除機がけなどをするときは、必ずカーペットと畳の両方ともをキレイにしましょう。ついつい上敷きになっているカーペットばかり掃除してしまいがちですが、畳との隙間にホコリや髪の毛などのゴミがたまってしまいます。
掃除機がけをする際は、1畳あたり30秒~1分ほどが目安です。畳の場合は目に沿って、カーペットの場合は縦・横・斜めなどいろんな角度に掃除機を動かすのがポイント。
洗濯をできないタイプのカーペットは、定期的に日陰干しをしましょう。目安は3~4時間以上。取り込む前に裏面からたたき、ホコリやダニの死骸などを落としておきましょう。
畳の触診
1~2カ月に1回のペースで畳を触診しましょう。
カーペットをめくって畳の湿り気を確認します。畳の表面やカーペットの裏側にたまった湿気がなくなるまで、カーペットをずらして乾燥させましょう。
布団干しがある場合は、畳を乾かす間にカーペットを布団干しに掛けておくと、カーペットの表と裏、畳の表面の湿気を一気に除去できます。
布団干しがない場合は、カーペットを二つ折りにして半面ずつ乾かしたり、ピンチハンガーや物干し竿を使って天日干しをしたりしても良いでしょう。
ダニが発生したときの対処法
畳やカーペットでダニが発生しているように感じたら、なるべく早く対策を打ちましょう。放置していると、ダニのフンや死骸がアレルギーの原因になります。
おもに以下のようなダニ対策があります。
- カーペットを丸洗い
- 50度以上の熱を加える
- ダニ取りシートやダニスプレーを使う
ダニは60度以上の熱を加えると即死します。しかしあまりに高い熱を加えるとカーペットや畳が傷む可能性も。その場合は50度以上の熱を30~40分ほど与えるのが効果的です。
布団乾燥機を使ったり、当て布のうえからスチームアイロンを当てたりする方法があります。
またダニ取りシートやダニスプレーなど、市販のダニ退治グッズを使うのもオススメです。以下の記事でも解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:畳のダニ発生原因と対策方法 | ミツモア |
畳にカビが生えたときの対処法
もし畳にカビが生えてしまったら、軽いカビの場合は、掃除機をかけて布で乾拭きします。畳の目に沿って、ゆっくり丁寧に掃除するのがポイントです。掃除機と乾拭きを4~5回繰り返します。
びっしりカビが生えてしまった場合は、掃除用のドライシートで畳を拭いてから掃除機をかけ、乾拭きしましょう。天気の良い日は屋外で行い、3~4日畳を陰干しします。外で干せない場合は、ドライヤーで乾かしても良いでしょう。
畳のカビを自分で落とす際には、水拭きは厳禁です。畳の目に水分が入り、かえってカビの発生を促進させてしまいます。畳が傷むのを防ぐため、強い洗剤や防カビ剤の使用も避けましょう。
水性の汚れがついてしまったときの対処法
カーペットに水性の汚れがついてしまったときの対処法を解説します。ジュースや醤油などの液体汚れは水性です。
- (室内の場合)カーペット裏に新聞紙や布を敷く
- 中性洗剤・重曹などを水で薄め、汚れにしみこませる
- 乾いた雑巾・ふきんで、トントンと叩く
上記のような手順で対処しましょう。大量の液体をこぼしてしまったら、下の畳に汚れが移らないよう、新聞紙などを敷いてから作業します。
ゴシゴシと拭き掃除をしてしまうと、汚れが染みこむことになるので、トントンと叩くように拭き掃除をするのがコツです。
油性の汚れがついてしまったときの対処法
食品を落としてしまったときや、油性ペンのインクが付いたときなどは、油性の汚れがついてしまいます。この場合、以下のような対処法があります。
- 汚れに重曹を振りかけて、油を吸わせる
- ベンジン・除光液などを馴染ませ、そのあと洗剤で拭き掃除
重曹を振りかける場合は、半日ほど放置してから掃除機で吸い取ります。時間がかかってしまいますが、作業量は少ないのがメリットです。
ベンジンや除光液を使う場合、まずはキッチンペーパーなどで大まかに汚れを吸い取ります。次にベンジンで汚れを拭き、そのあとは中性洗剤を使って拭き取ります。最後に水拭きをしてドライヤーで乾かせば完了です。
ベンジンや除光液を使う場合、引火性があるので、火気にはくれぐれも注意してください。
変色してしまった畳はどうする?
「気づかないうちに畳の色が変色してしまっていた!」そのような経験はありませんか?そんなときはお酢を使って解決できるかもしれません。
まず、1の水に対し約1/3の量のお酢を混ぜたものを用意してください。次に雑巾を絞り、畳を拭いてください。
長い間放っておくと手遅れになりますが「変色したな」と気づいたときにすぐ対応すれば、少し色が戻るでしょう。
ミツモアで畳リフォームの無料見積もりを依頼できます
この記事では、畳の上にカーペットを敷くメリット・デメリットや注意点を紹介してきました。基本的には「湿気」と「掃除」の2つの要素がキーです。
通気のいい素材、掃除しやすい素材のカーペットを使って、ダニやカビなどを予防しましょう。また定期的なお掃除や日陰干しなども大切です。
もしすでに畳が激しく損傷している場合、カーペットを敷くだけでは解決できません。その場合は、畳の張り替えを検討しましょう。
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