昔ながらの和室は、ダニ・カビ・色あせなどの畳のトラブルや、障子の張り替えなどのメンテナンスが大変です。おしゃれな洋室や和モダンの部屋にすると部屋の雰囲気を一気に変えることができます。
ここでは和室から洋室にリフォームする際にかかる費用、費用を抑えるためのポイントを紹介します。
和室から洋室へのリフォーム費用相場と工事内容
和室を洋室にリフォームする際には、どこまでの範囲を洋室へ変更するのかをまず検討する必要があります。
どれくらいの規模で工事をするかによって費用や施工にかかる日数が変わってきます。
以下にリフォーム内容ごとにまとめてみました。
リフォーム内容 | 費用の相場 | 施工日数 |
畳からフローリングに張り替え | 10〜30万円 | 2日〜7日 |
壁紙の張り替え | 10〜20万円 | 1日〜3日 |
押入れをクローゼットに変更 | 7〜50万円 | 1日〜3日 |
ふすまを引き戸に変更 | 5〜20万円 | 1日〜2日 |
間仕切りの撤去 | 5〜30万円 | 2日〜5日 |
和室を洋室に全面リフォーム:30万~100万円 | 30〜100万円 | 3日〜1ヶ月 |
基本的に予算20万円であれば畳の交換や壁紙・内装リフォーム、予算50万円であれば自然素材にこだわった内装工事や収納の造作をするリフォーム、予算100万円以上であれば間取り変更や増築を伴う和室リフォームを施工できると覚えておくとよいでしょう。
畳からフローリングに張り替え:10万~30万円
費用相場 |
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費用が変わる要因 |
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工程 |
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フローリングのメリットは畳に比べてメンテナンスの手間が少ないことです。そのため掃除機をかけるだけなど簡単な掃除で、カビやダニを防いで清潔することができますよ。
床材は主に3種類から選べます。価格が高い順に無垢フローリング>複合フローリング>クッションフロアです。
- 無垢フローリング
天然100%の木材のみでできたフローリング。木材の湿気を調節する機能があり、自然素材ゆえの質感を楽しむことができる。汚れがつきやすいので、掃除に手間がかかる点がデメリット。
- 複合フローリング
複数の木材を接着した合板を組み合わせたフローリング。無垢よりも安く、木目やカラーの種類が幅広い。しかし調湿効果がなく、フローリングの種類によっては安っぽく見えてしまうことも。
- クッションフロア
表面が塩化ビニール素材でできたクッション性のある床材。水濡れに強く、掃除がしやすい。一方で重い家具を置くとクッションが沈んでしまうため、上二つの床材に比べて耐久性が低い。
畳をフローリング等に変える際に知っておきたいのは、多くのケースで「下地調整が必要になる」ということ。下地調整は床にあるゴミやホコリを取り除いたり、歪みをなくすことで見栄えをきれいにするための作業です。
通常のフローリング張り替え工事よりも、工期と費用がかかることを念頭に置いておきましょう。
壁紙の張り替え:10万~20万円
費用相場 |
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費用が変わる要因 |
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工程 | 【真壁のままクロスを張る場合】
【真壁を大壁に変える場合】
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和室と洋室における最も大きな壁・天井の違いは以下の2点です。
- 壁や天井の柱が露出しているかどうか
- 壁の材質
和室の壁は柱の露出した「真壁」が多く、洋室は通常柱が見えていない「大壁」が多いでしょう。
また和室の壁は土素材を塗る「塗り壁」が一般的なのに対し、洋室の多くはクロス張りの壁です。
真壁だと和室の雰囲気が残るので「できる限り洋室に近づけたい」という方は大壁に変更するのがおすすめです。ただし大壁に変更すると費用が高くなるため、費用を安く抑えたい方は真壁のままにして材質のみをクロスに変更させる方法が良いでしょう。
ちなみに真壁から大壁に変更すると、費用以外にも「部屋がやや狭くなる」という注意点があります。既存の壁の上にボードを張り付けて新たな壁を造るからですね。念のため新しい壁にどの程度の厚みが出るのかをリフォーム業者に聞いておくと良いでしょう。
押入れをクローゼットに変更:7万~50万円
費用相場 | 7万~50万円(クローゼットの種類による) |
費用が変わる要因 |
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工程 |
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押し入れの中棚を取り外してハンガーパイプを設置するだけの簡易クローゼットであれば、10万円未満でリフォーム可能。
しかし襖(ふすま)を扉へ変更するなどして、より洋風クローゼットらしい見た目にしたい場合は、10万円以上かかることもあります。
ふすまを引き戸に変更:5万~20万円
費用相場 |
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費用が変わる要因 |
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工程 |
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ふすまがあった場所に引き戸を設置するだけであれば、軽微な工事で完了します。
しかしドアレールの取り付けが必要になる場合、10万円以上の工事費用がかかるケースが多くなります。軽微な工事でふすまを交換できるかどうかは、リフォーム業者に確認してみましょう。
引き戸のメリットはバリアフリーに適していること。開き戸のメリットは他の洋室との統一感が出ることです。ただし開き戸に変更する場合は、扉開閉部分の広さを念入りにチェックしましょう。
なお費用を極限まで抑えたい場合、ふすまに洋風のクロスを張るという選択肢もあります。
間仕切りの撤去:5万~30万円
費用相場 |
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費用が変わる要因 |
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工程 |
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間仕切りの撤去工事は、リビングと和室などの隣り合う部屋の間の仕切りを撤去して広い空間を作ることができます。ライフスタイルの変化や家族の人数の変化によって、よく取り入れられる工事です。
仕切りの建具の有無と、電気工事の有無で大きく金額が変わってきます。
また建物の構造上撤去できない壁もあるため、注意が必要です。
和室を洋室に全面リフォーム:30万~100万円
先に紹介した以下の工事をまとめて行い、ほぼ完全な洋室に全面リフォームすることもできます。
- 床の張り替え
- 壁紙の張り替え
- 押入れをクローゼットに変更
- ふすまを引き戸に変更
- 間仕切りを撤去
リフォームする面積や、現状によって費用は若干前後しますが、100万円を目安に考えておくとよいでしょう。
マンションの和室リフォームは管理会社に確認を
マンションの和室リフォームは賃貸か分譲かにかかわらず管理会社への確認が必要です。
多くのマンションの管理規約では防音性能を保つために、フローリングの防音性能が定められています。そのため畳からフローリングに確認をせずに交換すると防音性能が下がり、マンションの規約に適さないこともあります。
規約に適していないと管理会社からもとの状態に戻すよう命じられることもあるので、まずは管理会社に確認してからリフォームするようにしましょう。
和室のリフォーム費用を安くおさえる方法
和室のリフォームを1部屋すべて業者に任せるとおおよそ100万円程度に。自分でできるところはDIYにすると費用を抑えることができます。また業者の選び方によっても金額は変わるので、費用を抑える方法を詳しく説明します。
DIYリメイクと組み合わせる
自分でできるところはDIYで、高いところや難しい作業は業者に依頼するとリフォーム全体の費用を抑えられます。
DIYと業者に分ける作業の例
DIY | 業者に依頼する |
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高所の作業や難易度が高いもの、見栄え(完成度)をこだわりたい箇所は業者に任せるとよいでしょう。比較的簡単なものやあまり見えない箇所は、DIYにして分けて作業をするとリフォーム全体の費用を抑えることができますよ。
大手リフォーム会社でなく地元の工務店に依頼する
大手のリフォーム会社に「名が知られているから」というだけですぐに依頼するのはおすすめしません。大手リフォーム会社に依頼しても、実際には下請けの工務店が作業にあたることも多く、費用が割高になることもあります。そのため同じ工事を同じ工事を行う場合、地元の工務店に依頼した方が費用が安く施工できる可能性が高いです。
大手リフォーム会社に相談していて、予算オーバーだと感じている方は、地元の工務店に相談してみるのもいいかもしれませんね。
相見積もりをとって費用を比較する
高額になりやすい和室から洋室へのリフォームでは、複数のリフォーム業者から相見積もりを取得するのが基本。複数の見積もりを比較しておけば「高すぎて損をしてしまう」「安すぎて品質が劣る」ことを避けられます。
複数のリフォーム業者を比較するのは骨の折れる作業。「和室リフォームの見積もりを試しに取ってみたい」「けれどどこに問い合わせれば良いのか分からない」という方は、ぜひミツモアを利用してみてください。
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簡単に自分で和室リフォーム!DIY方法
「リフォームはしたいけどあまり時間やお金をかけたくない」という方には自分で気軽にできるDIYがおすすめ。気軽にできて和室にガラっと変えることができる、DIYのリフォームを紹介します。
畳にフローリングカーペットを敷く
畳は和室には欠かすことができない、和室の象徴的な存在。そのため和室からフローリングに変えると大きく雰囲気を変えることができます。しかしフローリングに変えるには費用も時間も大きくかかってしまいます。
そのため「できるだけ費用を抑えてフローリングに変えたい」という方にはフローリングカーペットを畳のうえから敷く方法がおすすめ。
畳の上に敷くだけなので、大規模な工事もなく簡単に変えることができます。また接着剤も使わないので賃貸住宅に住んでいる場合でもできますよ。
しかし畳の上にフローリングカーペットを敷くので、湿気がこもりカビやダニが繁殖しやすくなるリスクも。カーペットを敷く前に掃除をして、エサダニよけシートなどを敷いておくと良いでしょう。
ふすまに洋風の壁紙シートを張る
「ふすまの柄や色合いが和風で気になる」という場合は、洋風の壁紙シートを貼ることで、かんたんに洋風の引き戸のような見た目にすることが可能です。
市販の壁紙を貼るだけなので簡単に洋風の雰囲気にすることができます。また費用は1枚あたり2,000~5,000円なので比較的安くDIYすることができますよ。
和室リフォームで失敗しやすい4つのポイント
和室を洋室にリフォームする場合、床の貼り替えが必要になります。
畳には畳にしかないメリットがあり、それを知っておかないと後から失敗したと後悔することになります。
ここでは、和室から洋室にリフォームする際に失敗しやすいポイントを3つと対策を紹介します。
①防音性が損なわれた
フローリングは畳に比べて防音性能が低いため、畳からフローリングにすると足音が下の階に響きやすくなる可能性があります。
そのため子供部屋を洋室に変える場合やマンションに住んでいる場合は、特に防音対策が必要です。
音を吸収しやすい防音床の使用や、防音性の高いグラスウールを床下に敷くことによって、音の響きやすさは軽減するのでおすすめです。
②部屋が前よりも暑くなった
畳には湿気を吸う効果があります。そのため畳からフローリングに変えると湿気が今までよりも増すので、蒸し暑さを感じやすくなってしまうことも。
蒸し暑さを軽減するためにフローリングと同時に壁のリフォームも実施する場合は調湿効果がある壁材を使うことで、イヤな蒸し暑さを軽減することができるでしょう。
③入口の段差が気になる
和室から洋室にリフォームする際に、ほかの部屋や廊下と接している部分で段差が生じることがあります。
例えば畳の上からフローリングを貼る工法ですと、フローリング分の厚みの段差が生じてしまいます。特に高齢者がいる家庭では転倒するリスクが高まるので注意が必要です。
事前にリフォーム会社に段差ができないような施工方法を確認しておく、段差ができてしまう場合には段差解消のスロープを設置するなどの対策をしましょう。
④中途半端な洋室になってしまった
「畳からフローリングに変えたのにもかかわらず柱が見えている」「和と洋が混ざってしまっている」など中途半端に洋室化をすると不満が残ります。
特に和モダンは和室と洋室の両方のよいところを取り入れた手法ではありますが、その分難易度が高くなり、完成したときのイメージをしにくいです。
洋室、和モダンへのリフォームの両方ともイメージ通りにするため、あらかじめ依頼する業者に「こんな感じにしてほしい」と写真を見せて共有しておきましょう。
和室をモダンなおしゃれ空間にする3つのコツ
「和室を洋室にリフォームしたいけれど、予算があまりない。」
「見た目は洋風な雰囲気にしたいが、畳の生活に慣れているため畳は残してリフォームしたい。」
そんな方には、和室のままおしゃれでモダンな空間にする方法がありますのでこちらでご紹介します。簡単に雰囲気がグッと変わりますので是非参考にしてみてください。
①和室の壁を真壁から大壁にする
壁紙リフォームの項でも解説しましたが、和室には柱や梁を表に見せている「真壁」と、柱は見せずすっきりした印象の「大壁」の2種類の壁の仕上げ方があります。
真壁では柱や梁を見せることで和風の趣ある空間を演出しています。しかし洋風でモダンな雰囲気を希望している時にはそれが返って邪魔になってしまうことも。
真壁を大壁に変更するだけで、畳や障子はそのままでも、洋風でモダンな空間に簡単に変身します。
②天井の照明をダウンライトにする
天井の照明をおしゃれなデザインのものに変えると、モダンな雰囲気に。ペンダントライトと呼ばれるデザイン性の高い照明に変えると、落ち着いた雰囲気が出て、部屋のアクセントにもなります。
和紙や麻など和室との組み合わせがよい素材が使われています。和モダンな雰囲気のアクセントがほしい方におすすめです。
③フチなしの畳にする
畳を入れ替えるだけでも部屋の雰囲気はガラッと変わります。
リビングからの続きの和室などは、正方形のフチなし畳を市松模様に配置するとモダンな雰囲気に。フチがない分すっきりとするため洋室との続きの部屋にもなじみやすいでしょう。
しかしフチなし畳は、一般的な畳よりも高額でフチがない分傷みやすいというデメリットもあります。デメリットを踏まえた上で取り入れるか検討するのが良さそうですね。
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