日本人にとってなじみの深い畳ですが、敷き方のルールまで理解している人は少ないかもしれません。畳の敷き方には、実は細かなルールが定められています。畳を敷く際のルールや正しい敷き方、さらには注意したいポイントを紹介します。
畳の敷き方のルール
普段何気なく使っている畳ですが、敷き方にはきちんとルールがあります。現在主流とされている「畳の敷き方」について、詳しく見ていきましょう。
十字を作らない祝儀敷き
ごく普通の住宅の畳は「祝儀敷き(しゅくぎじき)」で敷かれます。これは、畳の角が1カ所に集まらないよう工夫して配置された敷き方です。
畳が庶民にまで広く普及したのは、江戸時代に入ってからといわれます。畳の敷き方のルールができたのもこのころです。
当時、「畳の合わせ目が十字になる」のは縁起が悪いとされました。そのため、婚礼などのお祝い事があるときは、畳の角が重なって十字にならないよう、注意して敷いていたのです。
これが現在ではごく一般的な畳の敷き方として使われています。
縁起が悪いときに使われる不祝儀敷き
畳の合わせ目が十字になるように敷くのが「不祝儀敷き」です。
前述の通り縁起の悪い敷き方なので、一般的には使われません。その昔は葬儀などの弔事の際に、わざわざ畳を敷き変えて不祝儀敷きにしていたといいます。
現在でも、神社や寺院、商業施設の大広間などでは不祝儀敷きを採用することが少なくありません。
神社や寺院以外の場所でなぜあえて縁起の悪い敷き方をするのか、疑問に思う人もいるでしょう。これは、不祝儀敷きの方が畳の目がそろい、傷みにくいためと考えられます。
例えば、旅館の大広間などでは大勢の客が同じ向きで座ります。十字にならないように畳を敷くと畳の向きがそろわずに、傷みやすくなるでしょう。
畳の摩耗が懸念される場所は、傷みにくくメンテナンスがしやすい不祝儀敷きで敷かれることが多いのです。
広さ別の敷き方
和室などを新設する場合は、部屋の形や大きさに合わせて畳を作るのが一般的です。そのため、畳を入れ替えてもうまく収まらないケースが多く、昔のように気軽に畳の配置を変えられません。
畳の敷き方を選ぶときは、部屋の大きさなども考慮して慎重に考えるのがおすすめです。
3畳の場合
まず3畳(一間 × 一間半)の場合は、部屋に向かって奥側に畳を横向きで配置します。その下に縦向きで2枚の畳を並べると、祝儀敷きにできます。
畳の向きをそろえたい場合は、畳を横向きにして奥から3枚並べるとよいでしょう。ただしこちらは不祝儀敷きとなります。
4畳半の場合
また、4畳半(1間半 × 1間半)の場合は、正面から見て部屋の奥に当たる場所に横向きに畳を敷きます。これは祝儀敷き・不祝儀敷きとも同じです。
残りの畳は、向かって左側に縦向きに1枚、横向きに3枚配置すると祝儀敷きとなります。
一方、縦向きに3枚配置すると不祝儀敷きです。
6畳の場合
6畳間(2間×1間半)の場合は、部屋に向かって奥側に2枚の畳を横向きに並べます。そしてその下に縦向きの畳を1枚、横向きで上下並べた畳を2枚、さらに縦向きの畳を1枚配置します。これが祝儀敷きです。
一方、6枚の畳を全て横向きで上下に配置したものが、不祝儀敷きとなります。
8畳の場合
また、8畳(2間×2間)の祝儀敷きは、6畳の敷き方に2枚の畳を加えるだけです。部屋の奥と手前に2枚ずつ畳を横向きに並べます。そしてその間に縦向きの畳を1枚、横向きで上下並べた畳を2枚、さらに縦向きの畳を1枚配置すればよいでしょう。
不祝儀敷きにするときは、8枚の畳を上下に全て縦向きで配置します。
10畳の場合
10畳(2間×2間半)の祝儀敷きは、8畳の祝儀敷きをベースとするとよいでしょう。
部屋の奥と手前に2枚ずつ畳を横向きに並べ、その間に縦向きの畳を1枚、横向きで上下並べた畳を2枚、さらに縦向きの畳を1枚配置します。そして右側に空いたスペースに、縦向きに2枚の畳を並べます。
一方、全ての畳を縦向きで上下に配置したのが、10畳の不祝儀敷きです。
12畳の場合
また、12畳(2間×3間)の祝儀敷きは、10畳の祝儀敷きとほぼ同じです。右側から詰めて敷くと、左側に2畳分のスペースができます。ここに、2枚の畳を上下縦向きに置くだけです。
さらに、不祝儀敷きの場合は、部屋の奥と手前に横向きにした畳を3枚ずつ配置します。残り6枚の畳は縦向きで横に並べましょう。
他にもある畳のルール
祝儀敷き・不祝儀敷き以外にも、畳の敷き方では気を付けるべきルールが存在します。
具体的に見ていきましょう。
4畳半の半畳を北東に向けるのは避ける
4畳半の部屋では、「半畳」の配置に注意が必要です。
まず、北東の方角を避けましょう。北東は「鬼門」と呼ばれる鬼の通り道です。方角的に不吉といわれるため、ここに半畳を置くのは適切ではありません。
4畳半は畳を右回りに配置する
また、半畳を部屋の中央に配置する場合は、畳が右回りになるように配置しましょう。逆向きで敷くのは「切腹の間」の敷き方です。かつて武士が切腹するとき、畳を左回りに配置したことからこのように呼ばれます。
こちらも縁起が悪いため、基本的には避けるのがベターです。
床の間に接している畳は平行に敷く
畳の縁が床の間に対して直角に入る敷き方は、「床刺し」と呼ばれて忌避されます。
床の間を割るように畳を敷くと、お客さまを畳の継ぎ目に座らせることになるからです。畳の目が合っていないため後ずさりもしにくく、お客さんにとっては居心地の悪い場所となるでしょう。
部屋に床の間がある場合は、床の間と平行に畳を敷くのが大切なルールです。
入り口に対しても平行に敷く
部屋の入り口も、床の間と同様です。入り口を割らないように、入り口に対して畳が平行になるように敷かねばなりません。
入り口を割るように畳を敷くと、部屋に足を踏み入れたとき、畳の目に逆らって進むことになります。足を滑らせにくい上、畳の消耗も激しくなるでしょう。
入り口についても、畳の目がそろうように配慮することが大切です。
畳を正しく敷こう
普段何気なく使っている畳ですが、敷き方には細かい決まり事が少なくありません。
昨今は縁起やしきたりを気にしない人も増えていますが、正しい敷き方を知っておくことは大切です。適当に畳を敷いて後悔しないように、正しいルールをきちんと理解しておきましょう。
畳が劣化している場合には、張り替えを検討する必要があります。以下の関連記事では畳の張り替えにかかる費用相場を紹介しています。
ミツモアで畳張り替え業者に見積もりを依頼しよう!
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに畳張り替えの見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?