住宅リフォームの際に、和室に敷く畳として近年人気なのが「琉球畳」です。
普通の畳との違いや琉球畳のメリット・デメリット、リフォーム事例を知り、琉球畳を用いたリフォームを検討しましょう!
琉球畳とは?
琉球畳を見たことがある人は、なんとなく「正方形」で「縁がない」形をイメージするのではないでしょうか。本来の琉球畳には、素材にも特徴があります。
本来の琉球畳は「七島イ草」を使っている
本来、琉球畳の材料になるのは「七島イ草」(しちとうイグサ)という植物です。「七島イ」と略称で呼ばれることもあります。
現在は大分県でのみ生産されている植物で、ふつうのイ草よりも丈夫なのが特徴。丈夫さゆえに、柔道の畳として利用されてきた素材です。
鹿児島県と沖縄とのあいだにある「トカラ列島」は、かつて「七島」(しちとう)と呼ばれていました。江戸時代に、この地から大分県の国東半島(くにさき)へ伝わったのが「七島イ草」の由来とされています。
琉球畳の質感・形
普通のイ草は断面は丸いのに対し、七島イ草の断面は「三角形」です。そのため編むのには手間がかかり、1農家につき1日2畳ほどしか作れない希少品です。
ただその希少性のぶんだけ、質感にも独特な特徴があります。使いはじめはケバ立ちが多くてザラザラしていますが、使い込んでいくことで徐々に柔らかくなっていくのです。
また琉球畳は、畳の「縁」(へり)が無く、88cm四方の正方形が一般的です。東日本で使われる「江戸間」が「88cm×176cm」なので、ちょうどこの半畳サイズにあたります。
取扱店によっては1畳サイズ、820cm四方や850cm四方のサイズで売っていることも。また畳の厚さも自由にオーダーメイド可能です。
正方形で縁なしの畳を、「琉球畳」と呼ぶことも
現在は「七島イ草」を使っていなくても、正方形で縁(へり)が無い畳であれば「琉球畳」として扱われることもあります。
本物の琉球畳が欲しい方は、購入する際に注意しましょう。
ちなみに大手家具メーカー「ニトリ」の場合は、「ユニット畳」という名前で縁なし畳を販売しています。他のメーカーでは琉球風畳と呼ばれることも。
知っておきたいメリット
琉球畳を採用するメリットは、おもに以下のようなポイントがあります。
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フロアカーペットやタイルマットのように、色の組み合わせによってデザイン性を高められるのが魅力。ヘリが無いので洋室との相性もよく、スッキリした見た目になります。
1.カラーバリエーションが豊富
琉球畳や縁なし畳は、和室インテリアとして定着しはじめているので、人気にともなってカラーバリエーションも豊富になっています。
ブラウンやグレーのような落ち着いた色はもちろん、ピンクやブルー、オレンジなどの明るい色も選択可能です。
ふつうの畳のように緑色で落ち着きのある部屋にしたい場合も、濃い緑と薄い緑とを組み合わせることで、少しモダンな雰囲気の空間にすることができます。
2.洋室とも相性が良いデザイン性
琉球畳や縁なし畳は、縁(へり)が無いのでスッキリした見た目。またタイルマットのように敷き詰めて使うので、洋室の一角に琉球畳のスペースがあっても、違和感がまったくありません。
たとえばフローリングの色に合わせて、ベージュやブラウンで市松模様をつくれば、暖かい雰囲気の部屋になります。
あえて本物ではなく琉球風の縁なし畳を選ぶのもよいでしょう。ポリプロレンや和紙などの素材を使っているので、ダニ・カビの繁殖を防ぐことができ、子供のいる家庭にも安心です。
「和×モダン」でシックな部屋にしたい場合、ホワイト系とブラック系の縁なし畳を組み合わせるのもオススメです。
3.縁(へり)がないので、部屋が広く見える
琉球畳には縁がないので、1枚1枚の畳の仕切りが目立ちづらく、床一面に奥行が出ます。そのため部屋が広く見えるのです。
洋室のLDKと続き間の和室に琉球畳を敷けば、和室と洋室をボーダーレスに演出することができ、すっきりとした印象を与えられるでしょう。
より部屋を広く見せたいなら、畳の目の向きをそろえて、1色の琉球畳を敷くことがおすすめです。1枚1枚の琉球畳の境界がより曖昧になるため、市松模様に並べるより部屋を広く見せられます。
琉球畳のデメリットは?
琉球畳にはデメリットもあります。
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畳の貼り替えをするときは床一面をいっきに模様替えするので、畳選びに失敗しても簡単に買い替えられないですよね。
購入前に琉球畳のデメリットを把握し、できる対策をしておきましょう!
1.普通の畳より値段が高い
普通の畳より値段が高いのが、琉球畳のデメリットです。
畳1枚あたりの面積は普通の畳の半分にもかかわらず、琉球畳の値段は普通の畳と大差ありません。
同じ広さの部屋に敷く琉球畳の費用は、一般的には普通の畳の約2倍です。
たとえば6畳の部屋に畳を敷く場合、普通の1畳サイズの畳は6枚です。しかし琉球畳の場合、12枚買う必要があります。
面積あたりの必要枚数以外に、琉球畳を作れる職人の少なさも琉球畳が高額になる理由でしょう。
琉球畳の6畳の価格は、15~20万円程度が標準的。畳縁のない琉球畳の製作には、高度な加工技術を要するためです。
ただ家具メーカーなどで販売されている琉球風の縁なし畳であれば、1枚3,000~4,000円ほどなので、6畳で5万円ほどが目安となります。
以下の関連記事では、畳の張り替えにかかる費用について紹介しています。張り替えを検討しているかたはぜひ参考にしてみてください。
2.角が傷みやすい
琉球畳や縁なし畳には「縁」(へり)がありません。本来、畳の縁は角(かど)を補強する目的なので、普通の畳に比べて琉球畳の角は傷みやすくなっています。
素材によって強度は異なるものの、七島イやイ草といった自然素材は特に強度が低めです。長く使うためには、頻繁に状態をチェックする必要があります。
琉球風の縁なし畳であれば、樹脂製や和紙製の製品なら、自然素材に比べて強度は高めです。それでも普通の畳よりは傷みやすいため、琉球畳の上に重い家具を置くときは、畳を保護する必要があります。
その場合、防振マットや座卓敷、柔らかい布などを敷きましょう。重い家具を移動させるときは複数人で行い、家具を引きずらないようにするのも重要です。
琉球畳を使ったリフォーム事例
琉球畳を敷いている家庭では、どのように琉球畳を使っているのでしょうか?
琉球畳を使ったリフォーム事例を確認し、インテリアコーディネートの参考にしましょう!
リビングの一角に和室を作る
リビングに接するスペースに、琉球畳の区画を作るのがポピュラーなリフォーム方法です。
リラックススペースとして利用するもよし、親族が来た時に応接間にするもよし、用途は多岐にわたります。
フローリングに琉球畳の一角があると、間仕切りがなくても空間にメリハリができます。また壁・襖(ふすま)・障子の枠などの色と琉球畳の色をそろえると、部屋に統一感を出せます。
小上がりに琉球畳を取り入れる
小上がりに琉球畳を取り入れる場合、段差の下を収納スペースとして有効活用もできます。
段差に合わせてパーティションやカーテンで空間を仕切れるようにすれば、家族や来客用の寝室としても使えるでしょう。
あえて洋室と空間を仕切るなら、ブラックやネイビーなどの濃い色の琉球畳がおすすめです。洋室のフローリングの色はライトブラウンが多いため、畳の色を濃くするとメリハリが生まれます。
掘りごたつを取り入れるときにも、琉球畳はピッタリです。リビングのなかにある小上がりが、シンプルな和テイストに変身します。
古い和室をモダンに
カラーバリエーションが豊富な琉球畳を使うなら、普通の畳にない色でガラリと部屋の雰囲気を変えましょう。
思い切って壁紙もリフォームするのもよいでしょう。また照明にこだわるのもオススメ。
ブラック系とホワイト系の琉球畳を市松模様状に敷けば、古い和室もモダンでモノトーンな空間に生まれ変わります。
あえてガッツリ和室の装いに
あえて部屋はガッツリ和室テイストにするのもオススメ。その場合、黒系のシックな琉球畳を取り入れることで、エキゾチックで大人な雰囲気の部屋に。
琉球畳と革ソファで和洋折衷の部屋に
革製のソファや、洋風のテーブルと組み合わせるのもよいでしょう。ダイニングとして使う部屋に採用すると、ゴージャスな雰囲気に仕上がります。
ごつごつとした質感の家具も、琉球畳の温かみによって中和され、和洋折衷のくつろぎ空間が生まれます。
照明にもこだわりを
琉球畳を使ってリフォームするなら、照明にもこだわりたいところです。和洋折衷のような独特なテイストを活かしましょう。上画像のように、いくつかのライトを組み合わせるのもオススメです。
ラグとして琉球風畳を敷く
またフローリングの上にラグとして琉球風畳を置いて楽しむという方法もあります。和紙などの素材を使っている縁なし畳なら、ダニやカビも防げるので、子供部屋に採用するのもオススメです。
お家に琉球畳を置いてみよう
本来の意味である「七島イ製の縁のない畳」の琉球畳と普通の畳は、素材や製法、サイズに違いがあります。
畳は長年使う前提で購入する商品であり、高額な費用のかかるリフォームは、何度もできることではありません。後悔しないためにも、事前にメリットとデメリットを把握し、琉球畳の導入を慎重に検討する必要があります。
普通の畳と琉球畳の違いやメリット・デメリット、琉球畳を用いたリフォーム事例を押さえ、和室のリフォームの参考にしましょう!
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