電子契約システムの導入を検討する際、「結局、費用はいくらかかるのか」、「料金体系が複雑で分かりにくい」といった理由で自社に最適なサービスを選べずにいませんか。
実は、自社の契約件数に合った料金プランを正しく選べば、書面契約で発生していた印紙税や郵送費を削減し、業務効率を格段に向上させることが可能です。
電子契約システムの費用について、料金体系の基本から相場、シミュレーションを含めて解説します。
電子契約システムの費用相場
電子契約システムの費用は、主に「初期費用」と「月額費用」、「契約送信料」の3つで構成されています。自社の利用状況に合わせて、どの項目にどれくらいかかるのか、具体的な相場をくわしく見ていきましょう。
初期費用
多くのクラウド型電子契約サービスでは、初期費用は0円(無料)に設定されています。以前は導入サポート費用などがかかる場合もありましたが、現在は手軽に始められるサービスがほとんどです。
ただし、以下のような特別な要件がある場合は、初期費用やカスタマイズ費用が発生することがあります。
- オンプレミス型での導入
- 複雑なシステム連携
- 大規模な導入支援
一般的なクラウドプランをそのまま利用する場合は、初期費用はかからない、またはかかっても数万円程度と想定しておくと良いでしょう。
月額費用(基本料金)
電子契約システムを利用するための固定費であり、一般的な相場は月額数千円〜10万円以上です。利用できる機能の範囲や、システムを利用できるユーザー数、月の送信件数の上限などによって大きく変わります。
企業の規模や利用目的に合わせて、以下のような複数の料金プランを提供しているのが一般的です。
| プラン名 | 月額の費用相場 | プランの特徴 |
|---|---|---|
| フリープラン | 0円 | 機能やユーザー数、月間送信数に制限があるお試し・個人事業主向け |
| スタンダードプラン | 数千円~10,000円 | 基本的な電子契約機能が揃っており、中小企業に最適 |
| ビジネスプラン | 20,000円~100,000円 | API連携や内部統制機能、高度なユーザー管理機能が充実 |
| エンタープライズプラン | 100,000円以上 | グループ会社管理など、大企業向けの最上位プラン |
契約送信料
月額料金プランに含まれる無料送信件数を超過した場合や、送信料が別途設定されているプランで発生する費用です。サービスやプランによって大きく異なり、主に以下のような種類があります。
- 無料枠超過タイプ:月額料金に「月30件まで」といった無料送信枠が含まれ、それを超えた分だけ1件あたり(例:220円)の費用がかかる
- 完全従量タイプ:月額料金は安価だが、1件目から送信料(例:110円)が発生する
- 送信料無料タイプ:月額料金は高めだが、送信件数に関わらず追加費用がかからない(または上限が非常に多い)
送信料の相場は、1件あたり100円〜250円程度です。 月間の契約件数が少ない(例:月20件程度)のであれば、スタンダードプランの無料枠内で収まる可能性が高いでしょう。一方、毎月数百件の契約を結ぶ場合は、1件あたりの送信単価が安いプランや、送信料無料の上位プランが結果的に割安になることもあります。
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主要3社の電子契約システムの費用シミュレーション
費用相場の全体像を掴んだところで、導入企業が多い「GMOサイン」と「freeeサイン」、「クラウドサイン」の主要サービスを利用した場合の費用を試算しましょう。
たとえば月間25件の契約書を送信する場合、各社で最もコストパフォーマンスが良いと考えられるプランを選定して比較します。
各サービスで最適なプランを利用した場合の費用は、以下のとおりです。
| 項目 | GMOサイン | freeeサイン | クラウドサイン |
|---|---|---|---|
| 最適プラン | ライトプラン | Starter | プラン30 |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 月額基本料金 | 9,680円 | 7,180円 | 11,000円 |
| プラン内無料送信数 | 0件 | 50通(電子サイン) | 0件 |
| 送信料(1件あたり) | 110円(立会人型) | 0円(50通まで) | 220円 |
| 25件送信時の送信料合計 | 25件×110円=2,750円 | 0円 | 25件×220円=5,500円 |
| 想定月額総費用 | 12,430円 | 7,180円 | 12,100円 |
| 備考 | ユーザー数無制限 | 50通まで追加料金なし | ユーザー数無制限 |
※2025年11月時点の情報に基づき作成。プラン内容や料金は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
このシミュレーション結果から、月間25件程度の利用であれば、クラウドサインが費用を抑えられる可能性が高いことがわかります。 これらのプランは、月額料金内に25件をカバーできる無料送信枠が含まれているため、追加の送信料が発生しません。
一方、GMOサインやクラウドサインは月額基本料金に加え、1件目から送信料がかかるため総額が上がりますが、これはユーザー数無制限というメリットとのトレードオフになります。利用人数が多い場合は、GMOサインが割安になるケースもあるため、自社の利用人数と送信件数のバランスを見て判断することが大切です。
電子契約システムの導入で抑えられる費用
電子契約システムの導入は、これまで紙の契約書業務で当たり前にかかっていた「見えない費用」を大幅に削減できる点が、最大のメリットです。具体的には、以下のような費用を抑えられます。
印刷代
契約書や関連書類をすべてデータで扱うため、紙への印刷が原則不要です。具体的には、コピーの用紙代やトナー・インク代、プリンターのリース代などの費用が抑えられます。
特に契約件数が多い企業ほど、年間の削減効果は大きくなりやすい傾向で、消耗品の発注や在庫管理といった、目に見えにくい付随業務も合わせて削減できる点も見逃せません。
郵送費
電子契約はシステム上で契約締結が完結するため、物理的な郵送プロセスが一切不要です。切手代やレターパック代、封筒代といった費用がかからなくなります。
特に、取引先との距離に関わらずコストが一定(ゼロ)になる点や、郵送にかかるリードタイム(数日)を即時(数分)に短縮できる点は、業務効率化の面でも大きなメリットといえるでしょう。
印紙税
紙の契約書の場合、契約金額に応じて数千円から数万円、場合によっては数十万円もの収入印紙税がかかっていましたが、電子契約にすることで印紙税が抑えられます。
電子契約で取り交わされる電子データ(PDFなど)は、印紙税法で定められた「課税文書」に該当しないと解釈されています。特に不動産業や建設業、高額な取引が多い企業にとっては、電子契約システムの月額費用を差し引いても、余りある削減効果が期待できるでしょう。
人件費
これまで契約業務に費やされていた従業員の「作業時間」も電子契約の導入で削減できます。具体的には、印刷・製本・押印作業や封入・発送作業、管理台帳への入力作業などです。
担当者がこれらの単純作業から解放され、より付加価値の高いコア業務に時間を使えるようになることこそが、費用対効果における最大の成果といえるでしょう。
電子契約利用時に相手方に費用は発生する?
電子契約の導入を検討する際、「自社の費用」とあわせて「契約相手(取引先)に負担がかからないか」確認しましょう。一般的なビジネス利用(立会人型)であれば、契約相手(受信者)の費用負担や事前準備はほとんどの場合不要です。
一方で、当事者型(本人署名型)の電子契約サービスを利用する場合、契約当事者全員が認証局に本人確認をしてもらったうえで「電子証明書」を発行してもらうことが必要があります。その際、相手方に電子証明書の発行費用(1枚につき数千円程度)の負担が求められるので注意しましょう。
国内の主要なクラウド電子契約サービス(GMOサイン、クラウドサインなど)は、この「立会人型」を標準としているため、取引先に金銭的な負担や複雑な事前登録を求めることなく導入できます。
導入をスムーズに進めるための取引先への案内方法
取引先に安心して電子契約へ移行してもらうためには、一方的に通知するのではなく、事前に相手方のメリットを明確に伝えたうえで案内することが大切です。その不安を解消し、スムーズに同意を得るために、案内文には以下のような要素を盛り込むと良いでしょう。
- 導入の背景を簡潔に伝える(ペーパーレス化や業務効率化推進のためなど)
- 印紙税や郵送費が不要になるなど、相手方のメリットを具体的に伝える
- 利用するサービスが電子署名法に準拠していることを一言添える
- 相手側に登録不要でメールのリンクから簡単に署名できることを明記する
電子契約システムの人気製品の費用一覧
電子契約システムの人気製品の初期費用と月額費用、送信料は以下のとおりです。
| 製品名 | 初期費用 | 月額費用 |
|---|---|---|
| クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社) | 0円~ | 11,000円~/月 |
| 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社) | 0円~ | 9,680円~/月 |
| freeeサイン(フリー株式会社) | 0円~ | 7,180円~/月 |
| Docusign(ドキュサインジャパン) | – | 1,100円~/月 |
| Shachihata Cloud(シャチハタ株式会社) | 0円 | 220円~/月 |
| マネーフォワードクラウド契約(株式会社マネーフォワード) | 要問い合わせ | 55,000円~/月 |
| 電子取引サービス@Sign(三菱電機デジタルイノベーション株式会社) | 0円 | 8,800円~/月 |
※2025年11月現在(ミツモア調べ)、「-」はホームページに記載なし)
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
「クラウドサイン」は、250万社以上に導入され、累計送信件数3,000万件超(※)の電子契約サービスです。弁護士監修のもと電子署名法に準拠しており、行政や金融機関も利用するレベルの信頼性とセキュリティ性を持っています。
利用費用は初期費用0円、月額1万1,000円からです。会計ソフトや人事向けシステム、SFAやCRMなど様々なサービスとの連携が可能で、現在利用中のシステムとスムーズに連携できます。
※弁護士ドットコム株式会社(2025年9月時点)
| 関連記事:クラウドサインの製品情報|ミツモア |
電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)
「電子印鑑GMOサイン」は、50万社以上に導入された実績を持つ電子契約システムです。立会人型・当事者型の署名タイプに対応し、スマホアプリで簡単に署名ができます。
送信料は1件あたり110円〜と安く、印紙税など契約周りの費用削減につながるのもポイントのひとつです。電子帳簿保存法にも準拠し、法的にも安心して利用が可能です。
| 関連記事:電子印鑑GMOサインの製品情報|ミツモア |
freeeサイン(フリー株式会社)
「freeeサイン」は、弁護士監修の操作性に優れた電子契約システムです。電子契約に必要なひな形は100種類(※)用意しており、使用頻度の高い契約書はテンプレート化して簡単に作成できます。
費用は初期費用0円で、月額7,898円からです。初めて電子契約を導入する企業や、ITに不慣れな従業員が多い企業でも安心して導入できるでしょう。
※freeeサイン株式会社(2025年9月時点)
Docusign(ドキュサインジャパン)
「Docusign」は44言語に対応し、180ヶ国・地域で160万社以上・10億人以上(※)が利用している電子契約システムです。ワークフローを自動化して手作業を減らせるため、業務効率化が図れます。
費用は個人事業主向けは月額1,333円から、小規模企業向けは月額3,300円からです。モバイルアプリで外出先でも手軽に契約や合意文書に署名、捺印、送信ができます。
※ ドキュサイン・ジャパン株式会社(2025年9月時点)
| 関連記事:ドキュサインの製品情報|ミツモア |
Shachihata Cloud(シャチハタ株式会社)
「Shachihata Cloud」は、紙で使っていた印鑑をそのまま電子化して利用できるのが最大の特徴です。ExcelやWordで作成した既存の書類フォーマットをそのまま使えるため、導入のために新しく帳票を作り直す手間がかかりません。
初期費用は無料で、月額費用は1ユーザーあたり220円から利用できます。紙の業務フローを大きく変えることなく、まずは手軽に電子化を進めたいと考えている企業に最適なサービスです。
マネーフォワードクラウド契約(株式会社マネーフォワード)
マネーフォワード クラウド契約は、契約書の作成から申請、承認、締結、保存、管理までをカバーする電子契約システムです。マネーフォワードクラウドシリーズは累計で10万社(※)が導入しています。
利用料金は初期費用は初月の導入支援サポートにかかる費用がかかり、基本料金は10人までで、月額5万5,000円からです。
取り扱い書類が増えても送信料と保管料がかからないため、電子契約にして、それまで印紙代や郵送費にかかっていた費用を節減したい企業におすすめします。
※ 株式会社マネーフォワード(2024年5月時点)
電子取引サービス@Sign(三菱電機デジタルイノベーション株式会社)
「電⼦取引サービス@Sign」は、契約書や見積書、注文書、請求書などの処理をオンラインで完結できるクラウドサービスです。電子契約や検認、電子保存機能を活用することで、書類の印刷代や郵送費を削減でき、保管スペースも不要になります。
利用費用は初期費用が0円、月額費用は8,800円からです。JIIMA認証を取得しており、電子帳簿保存法にも安心して対応できます。
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