個人事業主やフリーランスの方にとって、確定申告は毎年避けては通れません。提出書類の作成や領収書の整理などで手間がかかり、億劫に感じている方も多いのではないでしょうか。
そんなときは会計ソフトの導入がおすすめ。仕訳や帳簿の作成など、手間がかかる作業を会計ソフトがおこなってくれるため、簿記などの専門知識がなくても確定申告を効率的に進められます。
この記事では個人事業主の方に特におすすめの会計ソフトを4製品紹介。導入の判断基準や選び方についても解説します。ぜひ、会計ソフトの導入を検討する際の参考にしてください。
個人事業主に会計ソフトが必要かどうかの判断基準
個人事業主が会計ソフトを導入する必要があるかどうかは、税金の申告方式や会計業務の知識の有無、事業規模によって異なります。以下の3点を目安に考えてみてください。
- 青色申告の場合は導入した方が効率的
- 白色申告であれば無料プランで十分
- 会計業務や簿記の知識がなければ導入がおすすめ
青色申告の場合は導入した方が効率的
青色申告は、個人事業主が利用できる制度の一つで、最大65万円の控除を受けられます。ただし事前申告が必要で、確定申告に必要な書類も多くなります。また青色申告の場合、複式簿記を使用して帳簿を作成する必要があります。
複式簿記とは、取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の二面に分けて記録する会計手法です。すべての取引が必ず二つの側面から記帳され、資産、負債、純資産の増減が正確に把握できます。
複式簿記は、売上や経費などを細かく記録しなければならないため、手作業で対応するのは大変です。会計ソフトを導入すれば、日々の記録を自動化できるのみならず、確定申告書に必要な書類も作成できます。
青色申告では税務署への提出書類や帳簿が複雑なため、ミスを防ぎつつ効率的に作業を進められる会計ソフトは非常に役立ちます。
白色申告であれば無料プランで十分
青色申告の承認を受けていない人は白色申告となります。白色申告であれば、会計ソフトの無料プランで事足りるでしょう。
白色申告は複式簿記ではなく簡易簿記が認められており、売上や経費をまとめて記録するだけで済みます。有料の会計ソフトを導入しても青色申告ほどの効率化は期待できず、費用がかさんでしまうだけの可能性があります。
白色申告は手書きやExcelでも対応可能ですが、会計ソフトであれば無料プランでも基本的な収支の記録や確定申告に必要な書類を作成できるので、導入がおすすめです。
会計業務や簿記の知識がなければ導入がおすすめ
会計業務や簿記の知識があればExcelや手書きでも対応できますが、知識がなければ会計ソフトを利用したほうが効率的です。
会計ソフトには自動で仕訳や書類を作成する機能があり、簿記の知識がなくても正確に帳簿をつけられます。知識のない初心者でも簡単に操作できるように設計されているソフトも多いです。
確定申告の時期に慌てて対応することがないよう、会計ソフトを活用して日常的に記帳を行うことがおすすめです。
会計ソフト選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の会計ソフトが見つかります。
個人事業主が自分に合う会計ソフトを選ぶ9つのポイント
個人事業主にとって会計ソフトの導入は、経理業務を効率化し、本業に集中するために重要です。しかし多くのソフトが存在するなかで、どれを選べば良いか迷うことも多いでしょう。
個人事業主の方が会計ソフトを選ぶときは、以下の9つのポイントで比較してみてください。
〈個人事業主が会計ソフトを選ぶ際の9つのポイント〉
- 自身の申告方式や電子申告に対応しているか
- 操作しやすそうか
- どのような金融機関と連携できるか
- Excelからデータを引き継げるか
- クラウド型かインストール型か
- スマホでも使用できるか
- 使用するOSに対応しているか
- 他のシステムと連携可能か
- サポート体制が整っているか
①自身の申告方式や電子申告に対応しているか
まず、会計ソフトが自身の申告方式に対応しているか確認しましょう。
青色申告を行う場合、複式簿記への対応が必須です。反対に白色申告であれば簡易簿記で済むため、シンプルな会計ソフトのほうが使いやすいです。
電子申告に対応しているソフトを選べば、確定申告の手間を大幅に削減できます。電子申告は国税庁が推奨するオンライン申請方式で、今後ますます主流となることが予測されるため、電子申告に対応している会計ソフトを選ぶと長期的にも困りません。
②操作しやすそうか
日常的に使う会計ソフトは、直感的に操作しやすいものが望ましいです。
経理や会計に不慣れな初心者の方にとっては、操作性も重要なポイントです。入力方法が複雑であったり画面構成が難しかったりすると慣れるまでに時間がかかり、逆に作業効率が悪くなる可能性があります。
無料トライアルがある会計ソフトであれば、ぜひトライアルで操作感を確かめてください。
③どのような金融機関と連携できるか
会計ソフトの多くは金融機関と連携し、自動的に取引履歴を取り込む機能があります。この機能を活用できるように、自身が利用している銀行やクレジットカード会社と連携可能かもチェックしたいポイントです。
自動取り込み機能を活用すれば、ミスを防ぎ、入力作業の負担も軽減できます。仕訳も自動で行えるため、会計処理が非常にスムーズになります。頻繁に取引が発生する個人事業主にとって便利な機能です。
④Excelからデータを引き継げるか
現在、Excelで会計管理を行っている場合は、データの移行がスムーズに行える会計ソフトを選ぶことがおすすめです。
Excelからのデータ引き継ぎが可能な会計ソフトであれば、一から入力し直す手間を省けます。過去の取引履歴やデータをそのまま使いたいときは、Excelデータのインポート機能があるか確認しておきましょう。
Excelデータの引き継ぎ機能を使えば時間をかけずに移行でき、スムーズに会計ソフトを使い始めることができます。
⑤クラウド型かインストール型か
クラウド型はインターネット環境があればどこでも利用でき、バックアップや更新が自動で行われるため、初心者やパソコンの操作に不慣れな方におすすめです。
一方、インストール型はインターネットに接続していなくても使えるのがメリットです。
業務スタイルに合わせて、クラウド型かインストール型か選ぶと良いでしょう。
⑥スマホでも使用できるか
スマホでも使用できる会計ソフトであれば、より便利です。外出先や移動中でも会計データを確認したり、入力したりできるため、時間を有効活用したい個人事業主にはおすすめです。
スマホカメラでレシートを撮影して自動で登録できる機能があると、会計業務がさらに簡単になります。スマホ対応の有無も会計ソフトを選ぶ際に重視したいポイントです。
⑦使用するOSに対応しているか
使用しているパソコンやスマホのOSに対応しているかどうかは、会計ソフトを選ぶ際に必ず確認しておきましょう。多くの会計ソフトはWindowsには対応していますが、MacOSに対応していない場合があるので注意が必要です。
クラウド型の会計ソフトはブラウザを通じて利用できるためOSに依存しないことが多いですが、インストール型の場合は使用するデバイスに合ったものを選んでください。
スマートフォンやタブレットで使用するのであれば、iOSやAndroidの対応状況も確認しておくと安心です。
⑧他のシステムと連携可能か
会計ソフトと他のシステムを連携できるかどうかもチェックしておくと良いです。給与計算ソフトやPOSシステム、在庫管理システムなどをすでに導入している場合、これらのシステムと連携すれば一元管理でき便利です。
給与計算ソフトと連携できると、給与支払時の仕訳が自動で行われ二重入力の手間が省けます。POSシステムや在庫管理システムと連携すれば、売上や在庫のデータを自動的に取り込んで、売上管理や仕入れの計上も効率的に行えるでしょう。
連携機能を活用することで会計業務にかかる時間を大幅に削減し、効率化が図れます。
⑨サポート体制が整っているか
会計ソフトを選ぶときには、サポート体制が整っているかどうかも大切なポイントです。
サポートがあれば、会計ソフトの操作でわからないことがあっても相談できるので困りません。会計にかかわる法改正がされたときにも、サポートがあれば混乱を防げます。
会計ソフト選びの際には、電話やチャットでのサポートが利用できるか、FAQやオンラインマニュアルが整っているかを確認しましょう。
無料のソフトや安価なプランだとサポートが手薄いパターンも多いので、会計業務に不安がある方はサポートの充実した有料プランがおすすめです。
個人事業主におすすめの会計ソフト4選
個人事業主におすすめの会計ソフトを4つ紹介します。どのソフトも使いやすさや機能面で優れていますが、前述した「個人事業主が自分に合う会計ソフトを選ぶポイント9つ」を参考に、自分に合うソフトを見つけてみてください。
- やよいの青色申告オンライン
- やよいの白色申告オンライン
- freee会計
- マネーフォワード クラウド確定申告
やよいの青色申告オンライン
やよいの青色申告オンラインは、青色申告に特化したクラウド型の会計ソフトです。65万円の特別控除が受けられる青色申告に対応している点が特徴で、セルフプラン、ベーシックプラン、トータルプランの3つのプランがあります。
初期費用は無料で、ランニング費用はセルフプランが10,300円/年+税、ベーシックプランが17,250円/年+税、トータルプランが30,000円/年+税です。
確定申告書類の作成から電子申告まで一貫して対応しており、会計業務を効率的に行えます。ベーシックプランとトータルプランはサポート体制も充実しており、操作に不安がある初心者でも安心して利用できます。
やよいの白色申告オンライン
やよいの白色申告オンラインは、白色申告専用のクラウド型会計ソフトです。フリープラン、ベーシックプラン、トータルプランの3つが用意されており、フリープランであれば全ての機能がずっと無料で利用できるのが最大の魅力です。
ベーシックプランは年額11,500円/年+税、トータルプランは21,000円/年+税ですが、その分サポートが手厚いです。フリープランはWebFAQのみですが、ベーシックプランではWebFAQに加えて電話やメールでの操作質問を利用でき、トータルプランであればさらに仕訳や経理業務の相談までできます。
freee会計
freee会計はクラウド型の会計ソフトで、青色申告にも白色申告にも対応しています。スターター、スタンダード、プレミアムの3プランから選べます。
初期費用は無料で、年払いの料金はスターターが11,760円/年、スタンダードが23,760円/年、プレミアムが39,800円/年です。
全てのプランにチャットやメールでのサポートがついているので安心です。スタンダードとプレミアムであればサポートを優先対応してもらえます。
マネーフォワード クラウド確定申告
マネーフォワード クラウド確定申告はクラウド型の会計ソフトで、個人事業主が確定申告を効率化するための機能が豊富に揃っています。
パーソナルミニ、パーソナル、パーソナルプラスの3プランがあり、料金はそれぞれ10,800円/年、15,360円/年、35,760円/年です。
パーソナルミニでも確定申告に必要な機能は揃っていますが、パーソナルとパーソナルプラスには消費税の集計・申告や経営状況のレポート確認機能もそなわっています。
どのプランでもチャット・メールでサポートを受けられるので安心して利用できます。
個人事業主が会計ソフトを経費にするときの勘定科目
会計ソフトを利用すると、利用料や購入費用を経費として計上できます。ただしクラウド型かインストール型かによって経費の勘定科目が異なるため、正しく仕訳しましょう。
- クラウド型会計ソフトは「通信費」
- インストール型会計ソフトは「消耗品費」
クラウド型会計ソフトは「通信費」
クラウド型会計ソフトの月額利用料や年間利用料は、クラウド上で提供されるソフトウェアの使用料に該当するため、「通信費」として経費を計上します。通信費として処理されます。使用する期間に応じて費用を計上してください。
インストール型会計ソフトは「消耗品費」
インストール型の会計ソフトはソフトウェアパッケージを購入するため、基本的には「消耗品費」に計上します。
ただし購入価格が10万円を超える場合は「無形固定資産」として計上し、減価償却が必要です。購入金額が大きい場合は、複数年に分けて経費を処理する必要があるので注意してください。
個人事業主が会計ソフトを導入するべきタイミング
会計ソフトの導入タイミングは、事業開始時や申告方式の変更時に合わせるのがベストです。
青色申告の場合は、事前申請のタイミングで導入するのが最も効率的です。青色申告に対応した会計ソフトは複式簿記の帳簿や決算書類を簡単に作成してくれるため、税務処理の負担が軽減されます。
白色申告の個人事業主も将来的に青色申告に移行する予定がある場合は、早めに会計ソフトを導入しておくとデータの引き継ぎがスムーズに進むでしょう。
また副業で事業を行っている方も帳簿作成の義務があるため、少額であっても事業を始めたタイミングで会計ソフトの導入を検討するのがおすすめです。
会計ソフトを活用して時間や費用を効率的に使おう
会計ソフトを活用すれば、会計業務を効率的にかつ正確に行うことができます。本業から会計業務まで自分でこなさなければならない個人事業主の方は、会計ソフトの導入がおすすめです。
特に青色申告の場合や会計に関する知識がない場合は、会計ソフトが非常に役立ちます。
会計ソフトはさまざまな種類があるので、自身の申告方式や電子申告に対応しているか、操作しやすそうか、どのような金融機関と連携できるか、他のシステムと連携可能か、サポート体制が整っているかなどのポイントで比較して選びましょう。
次の記事ではおすすめの会計ソフトを一挙紹介しています。ほかの製品も参考にしたい場合は、ぜひあわせてご覧ください。
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