インストール型会計ソフトとは、特定のPCに直接ソフトをインストールして使用する会計ソフトです。オフライン環境でもスムーズに稼働するため、インターネット環境が整っていない事業所でも使用できます。
当記事では、そんなインストール型会計ソフトの基本情報やクラウド型との違いなどを解説。個人事業主や中小規模法人におすすめのインストール型会計ソフト9製品も紹介します。
インストール型会計ソフトを探しているユーザーはぜひ参考にしてください。
インストール型会計ソフトとは?
インストール型会計ソフトとはPCやタブレットなど、特定のデバイスに直接ソフトをインストールして使用する会計ソフトを指します。
オフライン環境でも稼働し、デバイスさえあれば自由に使えるため、個人事業主や小規模企業の経理担当者が使用するケースが多いです。
また、インターネット環境に依存しないため、セキュリティ管理もしやすいです。動作も安定しているため、手書き伝票などをサクサク入力したい経理ユーザーに人気があります。
インストール型会計ソフトのメリット・デメリット
インストール型会計ソフトのおおまかなメリット・デメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
メリット | デメリット |
オフライン環境でも安定して利用できる | アップデートとメンテナンスの手間 |
ローカルデータ保存なのでセキュリティ不安が少ない | アクセスできるデバイス、場所が限られる |
中長期的なコストを安く抑えられる | 仕訳や連携を自動化できない |
インストール型会計ソフトの最大のメリットは、一度インストールしてしまえば、インターネット環境に左右されずに使える点です。クラウド型会計ソフトはネットワーク環境が動作速度やデータ処理に影響するので、インターネット環境が整っていない場所で使用すると作業に影響が出ます。
一方で、最大のデメリットとしては金融サービスと連携した仕訳機能を使えない点が挙げられます。こちらに対応しているインストール型会計ソフトもあるのですが、別途サポート費用が必要だったり、そもそもインターネット環境が必須になることが多いです。
合わせて考えると、インターネット環境での作業が難しい、自動連携機能を求めないユーザーはインストール型の会計ソフトが向いているでしょう。
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インストール型の年間費用はどれくらい?クラウド型と比較
インストール型会計ソフトは一度購入してしまえば、後は料金が掛からないという点から長期間使用する場合は安くなるというイメージがあります。
では年間単位の費用はどれくらい安くなる可能性があるのでしょうか?実際に計算して比べてみましょう。
サポート保守を依頼しない場合
ここでは、インストール型とクラウド型の双方で会計ソフトを提供している弥生株式会社の製品を例に料金を比較します。まず「弥生会計24+クラウド」のスタンダード製品を「保守サポート」なしで購入すると想定します。(※)「弥生会計オンライン」は利用人数が3人から増えると追加料金が発生する仕組みなため、3人以内で利用する想定です。
初期費用 | 2年目費用 | 3年目費用 | 4年目費用 | 合計額 | |
弥生会計24+クラウド | 55,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 55,000円 |
弥生会計オンライン | 0円(初年度無料) | 30,580円 | 30,580円 | 30,580円 | 91,740円 |
クラウド型製品と比べた場合、3年以上使うとインストール型の方が安く利用できる計算になります。2年目からは費用が掛からないので、経理上の手間も掛かりません。
サポート保守を依頼する場合
ただ、インストール型会計ソフトは税制・法改正があった場合のバージョンアップ、次世代製品への切替をおこないたい場合は「保守サポート」(※)を付ける必要があります。
「弥生会計24+クラウド」はサポートをつけると、2年目以降から年間40,370円の保守費用がかかります。クラウド型は税制・法改正対応や機能アップデートを自動でおこなうため、特に加算費用はかかりません。
その場合は以下のような費用体系になります。
初期費用 | 2年目費用 | 3年目費用 | 4年目費用 | 合計額 | |
弥生会計24+クラウド | 55,000円 | 40,370円 | 40,370円 | 40,370円 | 176,110円 |
弥生会計オンライン | 0円(初年度無料) | 30,580円 | 30,580円 | 30,580円 | 91,740円 |
サポートを毎年更新した場合、年間4万円程度の費用が掛かります。サポート費用がどれくらい掛かるかはソフトによって大きく異なりますが、税制・法改正や機能アップデートに毎年対応する場合は、クラウド型製品を購入した方がお得になります。
ただし、特に「保守サポート」を付けなくても製品自体は利用できるので、この辺りは事業者の判断によります。結果として、インストール型会計ソフトの費用が少なくなるかは保守代金の金額やサポート利用範囲に拠ると言えそうです。
関連記事:弥生会計24+クラウドの製品情報|ミツモア 関連記事:弥生会計オンラインの製品情報|ミツモア |
(※) 公式Webサイトから購入する場合、基本的に1年間の保守サポートがつくので2年目以降に解約する必要があります。1年目の料金は無料です。
インストール型会計ソフトの選び方
インストール型会計ソフトは上記のような製品がおすすめです。ここでは、さらに自社に合った製品を選び方を紹介します。
バージョンアップ費用やサポート保守費用が高すぎないか
インストール型の会計ソフトは、はじめの購入費以外にバージョンアップや保守費用がかかる可能性が高いです。法改正への対応や機能の充実などに対応するため、毎年バージョンアップする製品もあります。
法対応やデータ引継ぎのことを考えると、長期的に1つのソフトを使う場合、バージョンアップ費用をどこかで支払う必要があります。
サポートや保守費用を1年ごとに支払い、バージョンアップに対応する製品もあります。バージョンアップ費用を想定すると費用がかなり高くなることもあるので、合わせた予算を必ず確認しましょう。
手持ちのPCや自社のOSで正常に動作するか
WindowsやMacなど、インストール型の会計ソフトは対応OSが限定されているので注意が必要です。例えば「フリーウェイ経理Lite」や「弥生会計」はWindowsのみで正常に動作します。
Macに対応しているインストール型会計ソフトは珍しく「Macの青色申告」や「やるぞ!青色申告」などに限られます。
「Macで利用したい」「豊富な製品の中から選びたい」という場合はクラウド型を利用するのも1つの手でしょう。
関連記事:【2024年最新】Macで使えるおすすめ会計ソフト9選!無料製品や特徴も解説|ミツモア |
2台以上のPCを利用する予定があるか
会計ソフトを最大何台のPCで使用するかによって、選べるインストール型会計ソフトは異なります。
ライセンス数が1つの製品から、PC5台までインストール可能なものまで、製品によって対応幅が異なるからです。
たとえば、オフィスと自宅、営業所と本社などで同じ会計ソフトを使いたい場合、2台以上のPCにインストールできるか?ライセンス数はいくつか?は必ず確かめましょう。
LANなどで繋げて利用できる製品もあります。使い方で迷っている場合は導入前にサポートに相談してもいいでしょう。
インストール型会計ソフトおすすめ9製品一覧表
おすすめのインストール型会計ソフト9製品についてカンタンに比較一覧できる表を作成しました。自社に合った製品を探す際の参考にしてください。
製品名 | 対象ユーザー | 公式サイト販売価格 | 特徴 |
弥生会計24+クラウド | 法人 | 5万5,000円 | シェア率の高い弥生の初心者向け会計ソフト。クラウド機能も一部使える |
やよいの青色申告24+クラウド | 個人事業主 | 1万5,400円 | 個人事業主向け会計ソフトの決定版。クラウド機能も一部使える |
会計王 | 法人 | 4万4,000円 | AIによる自動仕訳で複雑な会計業務もラクラク完了 |
ジョブカンDesktop 会計 | 法人/個人事業主 | 3万800円 | インストールから帳票印刷までかんたんにする機能が豊富 |
わくわく財務会計9 | 法人/個人事業主 | 2万7,500円 | 基本的に無料でサポートを受けられる |
会計らくだ25 | 法人 | 1万3,200円 | 税理士の声から生まれた記帳特化ソフト |
やるぞ!青色申告 | 個人事業主 | 1万1,880円 | Macで使える珍しいインストール型ソフト |
フリーウェイ経理Lite | 法人/個人事業主 | 0円~ | 基本の会計業務に加えて経営レポートが利用可能 |
JDL IBEX出納帳Major | 法人 | 0円~ | 記帳から試算表作成まで1システムで簡潔 |
インストール型会計ソフトおすすめ9選
個人事業主から中小企業まで広い範囲で使えるインストール型会計ソフトで、料金や機能に特徴があるおすすめ製品をまとめました。無料製品も載せているため、製品選びの参考にしてください。
「弥生会計24+クラウド」シェア率の高い初心者向け会計ソフト
弥生会計24+クラウドは、「業務ソフト部門」25年連続売上ナンバーワン(※)の実績を誇る、弥生シリーズの会計ソフトです。高度な資金繰り管理機能や、比率分析、ABC分析を通じて経営状況をリアルタイムで把握できます。
使用者の簿記知識に応じた仕訳方法を選択できます。「かんたん取引入力」では、項目を選択するだけで仕訳登録ができ、その他にも「帳簿入力」「伝票入力」式が選択可能です。仕訳の自動化により、記帳作業を大幅に効率化できます。
お客さまと会計事務所がクラウドでデータを共有できる「弥生ドライブ」という機能が搭載されています。データの受け渡しの手間が省け、常に最新のデータで正確なアドバイスを受けることが可能です。
※ 株式会社BCN (集計対象期間:2023年1月~12月)
公式サイト販売価格 | 5万5,000円 |
基本機能 |
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サポート費用 | 4万370円/年~ |
サポート内容 |
※ ベーシックプラン以上から |
対応OS | Windows11、10 |
「やよいの青色申告24+クラウド」個人事業主向け会計ソフトの決定版
やよいの青色申告24+クラウドは、個人事業主向けインストール型会計ソフトです。青色申告に特化しており、65万円控除を受けるために必要な帳簿や決算書類を簡単に作成できます。
+クラウド機能でインストール型では対応が難しかった、自動仕訳やクラウド保存、自動取り込みにも対応できます。レシート読取機能や銀行口座の明細自動取得機能により、手入力の手間を大幅に削減できます。また、AIによる仕訳の自動提案機能も搭載されており、経理知識が少ない方でも簡単に記帳作業を行えます。
確定申告時期には、e-Taxに対応した申告書類を自動作成する機能があり、スムーズな申告手続きをサポートします。さらに、専門スタッフによる電話サポートも利用可能で、操作方法から申告に関する疑問まで幅広くサポートを受けられます。
公式サイト販売価格 | 1万5,400円 |
基本機能 |
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サポート費用 | 1万1,330円/年~ |
サポート内容 |
※1 ベーシックプラン以上から ※2 トータルプランから |
対応OS | Windows11、10 |
「会計王」AIによる自動仕訳で複雑な会計業務もラクラク完了
会計王は、28年のロングセラーを誇るインストール型の会計ソフトです。仕訳や申告書書類の作成をナビゲーションする機能がついており、業務に不慣れな方でもミスなく処理できます。
法令や制度改正へのスピーディーな対応が魅力の一つです。適格請求書(インボイス)申請登録書を3ステップで完成させることができます。また、新しく改正された電子帳簿保存法の要件を満たす形でクラウド保存できる電子帳簿保存BOXを利用することができます。
さらに、専門オペレーターが使用方法やトラブル解決方法に直接対応してくれるだけではなく、データベース化されるため、迅速で的確なサポートを受けることができます。
公式サイト販売価格 | 4万4,000円 |
基本機能 |
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サポート費用 | 3万8,500円(年間)~ |
サポート内容 |
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対応OS | Windows 11、10 |
関連記事:会計王の製品情報|ミツモア |
「ジョブカンDesktop 会計」インストールから帳票印刷までかんたんにする機能が豊富
ジョブカンDesktop 会計は法人決算に対応したインストール型の会計ソフトで、各種帳票のほか株主資本等変動計算書や個別注記表などの作成、出力も可能です。また、初期設定や取引帳の登録、目的の仕訳探しなど、躓きやすい入力をかんたんにする便利な機能がそろっています。
年度を切り替えることなく、前年度の帳票を当期に取り込み、各種帳票をすぐに作成できる点も魅力です。青色申告や白色申告にも対応しているため、個人事業主でもしっかりと会計業務から確定申告まで完遂できます。
電子帳簿保存法対応ソフトの正式な認証であるJIIMA認証も取得しており、安心して各種法改正に則った対応が可能です。
公式サイト販売価格 | 3万800円 |
基本機能 |
※1 別途有料 ※2 基本使用サービス有効期間のみ有効 |
サポート更新料 ※3 | 1万7,600円/年 |
サポート内容 |
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対応OS | Windows 11、 10 |
※3 基本使用サービスは購入後1年間のみ無料
「わくわく財務会計9」基本的に無料でサポートを受けられる
わくわく財務会計9はアップデートやサポートが基本的に無料で、法改正やe-Tax対応機能を追加するバージョンアップ時のみ、新たな更新費用がかかる体系となっています。
メモや付箋、保留伝票機能があり、判断に迷う項目や仕訳を後日確認することができます。
売上や経費の状況推移をパノラマ日計表にて確認できます。年間の取引状況や推移をさまざまな項目別に閲覧し、元帳にジャンプも可能です。
希望小売価格 | 2万7,500円~ |
基本機能 |
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サポート費用 | -(次期製品発売時は1万6,500円程度でバージョンアップ) |
サポート内容 |
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対応OS | Windows 11、10 |
「会計らくだ」税理士の声から生まれた記帳特化ソフト
会計らくだは現場の税理士の声から生まれた記帳専門の会計ソフトです。決算業務は税理士に任せているものの、しっかりとした記帳は自社でおこないたいという企業におすすめのソフトです。
複式簿記の知識がある経理担当者なら、かんたんに記帳できる仕訳画面になっています。記帳した内容はそれぞれの帳簿に自動反映されるため、記帳漏れの心配がなくなるでしょう。
貸借対照表や損益計算書を自動作成でき、経営状況分析に活かせます。任意の期間に絞って分析することも可能です。
公式サイト販売価格 | 1万3,200円~ |
基本機能 |
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サポート費用 | 1万2,540円/年~ |
サポート内容 |
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対応OS | Windows 11、10、Pro |
「やるぞ!青色申告」Macで使える珍しいインストール型ソフト
個人事業主向けのインストール型会計ソフトとして「やるぞ!青色申告 」があります。インストール型会計ソフトには珍しいMac対応の製品で、般会計だけでなく、不動産や農業会計にも対応。e-TAXとも連携できるため、確定申告に迷うことはありません。
2ライセンスを得られるため、税理士とデータを共有するときにも使いやすいソフトといえます。Excelで作ったデータをインポートすれば、既に仕訳済みのものをそのまま利用できるのも特徴です。
最長15カ月間受けられるサポートは、土日祝日でも対応しているため、急きょサポートが必要になったときにも安心です。
公式サイト販売価格 |
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基本機能 |
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サポート費用 | 無料 |
サポート内容 |
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対応OS | Windows 11、10/Mac OS X 11、12、13、14 |
「フリーウェイ経理Lite」基本の会計業務に加えて経営レポートが利用可能
フリーウェイ経理Liteは、データ入力からデータ検索、各種帳票や決算書、月別推移図表などのグラフの作成が期間制限なしで、無料で利用できるクラウド型会計ソフトです。
初心者でも簡単に使えるようにマニュアルやFAQ、解説動画が用意されているため、はじめて会計ソフトを扱う方もスムーズに活用できます。Excel集計から脱却したいけれど、ソフトに費用をかけたくない個人事業主、中小企業におすすめです。
工事管理や自動仕訳機能は有料版のみとなっていますが、税制改正やアップデートも無料で行えます。改正やアップデートの度に担当者が確認する手間を省くことができます。
希望小売価格 | 無料 |
基本機能 |
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サポート費用 | 無料 |
サポート内容 | 法改正時のバージョンアップ |
対応OS | Windows11、10 |
※ 一部形式は有料版のみの対応(2024年7月時点)
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希望小売価格 | 無料 |
基本機能 |
|
サポート費用 | 無料 |
サポート内容 | 法改正時のバージョンアップ |
対応OS | Windows 10, 11 Pro |
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