公益法人の財務諸表作成には、一般企業向けの企業会計基準ではなく「公益法人会計基準」が適用されます。法令の求める必要書類を作成するには、この基準に従う必要があります。
本記事では、公益法人会計基準に対応したおすすめの最新会計ソフトを8製品を比較・紹介します。最適なソフトを選ぶ際のポイントも解説するので、ぜひ導入検討の一助にしてください。
特におすすめの公益法人向け会計ソフトは?
「PCAクラウド 公益法人会計」「FX4クラウド」などクラウド型の会計ソフトがおすすめです。アクセスが柔軟なため、離れた事業所どうしでの連携がしやすいでしょう。
弥生会計やマネーフォワード クラウド会計は公益法人会計に対応している?
弥生会計やマネーフォワードクラウド会計は対応していません。どうしても使いたければ勘定科目や作成が必要な帳票をカスタマイズする必要がありますが、それでも対応しきれない可能性があります。
公益法人向け会計ソフトとは?
公益法人向け会計ソフトとは一般的な企業会計ではなく、公益法人会計基準に対応した会計ソフトを指します。公益法人会計は株式会社など営利法人の会計と違いがあるため、専門的な処理が必要です。
たとえば、必要な財務諸表が異なり「貸借対照表」のほか、「正味財産増減計算書(活動計算書)」や「附属明細書」などを作成する必要があります。※これらに対応する機能を備えた会計ソフトが公益法人向け会計ソフトと呼ばれます。
※ 2025年4月から「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」改正によって、財務諸表の内容や名称が変わります。詳しくはリンクを参照ください。
クラウド運用やLANPACKできる製品がおすすめ
公益法人向け会計ソフトはインストールして自社向けにカスタマイズするスタンドアロン型の製品とクラウド運用できる製品とが提供されています。
公益法人会計は、それぞれの要件や運用が異なるため、どちらがおすすめとひと言で言い切ることは難しいですが、複数担当者や複数拠点での管理がしたいならクラウド運用できる製品がおすすめです。
スタンドアロン型でもLANPACKで他拠点でもデータを同時に入力、共有できるような製品を選ぶと扱いやすい筈です。
公益法人会計の特徴と一般会計との違い
そもそも、公益法人会計と一般会計の明確な違いはどこにあるのでしょうか?公益法人会計の特徴や目的を挙げながら比較してみましょう。おもに以下の3つにまとめられます。
公益法人会計の特徴
- 勘定科目や収入の認識が特殊
- 財務報告の透明性が求められる
- 特定資産の管理が厳密
公益法人会計の目的は損益の管理ではなく、財産の増減を正しく把握して国民や主務官庁へ伝えることに目的があるため、勘定科目も異なります。
たとえば「正味財産の部」という項目があり、科目には「指定正味財産」や「一般正味財産」などが並びます。利益を求めてはいけないため、財務報告で寄付や助成金の使い道を詳細に記した財務報告書の作成は必須です。
また特定資産は預金や有価証券の場合、保有目的を記載する必要があります。寄付者等が使い方や運用に制約を課した場合は「指定正味財産」、法人が用途に制約を課した部分は「一般正味財産および負債」を財源とするなど管理がかなり厳密です。
他にもさまざまな部分で制約や管理方法が定まっており、特殊性が強いため専門的な会計ソフトが必要となるのです。
公益法人におすすめの会計ソフト選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の会計ソフトが見つかります。 |
公益法人向け会計ソフト比較一覧表
公益法人におすすめの会計ソフト8製品を価格、導入形態、特徴で比較しています。
製品名 | 導入形態 | 価格 | 特徴 |
PCAクラウド 公益法人会計DX | クラウド型 | 1万7,160円/月〜 | 伺書レイアウトから事業区分ごとの予算作成まで機能が豊富 |
FX4クラウド(公益法人会計用) | クラウド型 | 要お問い合わせ | 公益法人会計に精通した専門家のサポートあり |
公益大臣NX | インストール型/クラウド型 | 66万円~ | 事業別会計の合算もかんたんで公益法人会計にジャストに使える |
パワフル会計 公益 | インストール型/クラウド型 | 60万5,000円~ | 平成16年と平成20年改定の会計基準に対応した公益法人向け会計ソフト |
公楽 | インストール型/クラウド型 | 2万6,400円/月〜 | 事業按分シミュレーション機能で按分処理と仕訳を効率化できる |
WEBバランスマン | インストール型/クラウド型 | 要お問い合わせ | 事業や業務担当者別の細かな権限設定ができるので運用しやすい |
MJSLINK DX | クラウド型 | 要お問い合わせ | 公益法人会計の複雑な予算管理をサポート |
ヒューマンライズInfinity2公益法人会計システム | インストール型 | 要お問い合わせ | 2,000法人以上の非営利分野で導入実績あり |
公益法人向け会計ソフトおすすめ8選
ここではおすすめの公益法人向け会計ソフト8製品を紹介します。導入形態なども確認しながら、自社に合った製品を選びましょう。
「PCAクラウド 公益法人会計」伺書レイアウトから事業区分ごとの予算作成まで機能が豊富
- 伺書レイアウトや事業区分ごとの予算作成など機能が豊富
- 口座取引や請求書情報をもとに自動で仕訳できる
- 初心者に優しい操作性と堅牢なセキュリティ
PCAクラウド 公益法人会計は公益法人会計に特化した会計ソフトです。帳簿や予算策定は平成20年施行公益法人会計基準に対応。公益法人での会計・経理業務で重要になる事業区分別の予算管理、事業区分設定、伺書のレイアウト編集機能などをそれぞれ備えています。
承認から配賦処理、会計区分・事業区分の設定、内部取引仕訳などの機能が充実しており、最大5階層の科目登録が可能です。APIによる他システムとの連携も可能で、既存システムからの入力の手間を削減できます。
使いやすいインターフェースに加えて、ログ管理やSOC1・2/ISMS認証制度による堅牢なセキュリティ体制が整備されています。データのバックアップ・リカバリ機能も充実しているため、入力ミスの場合にも対処可能です。
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 1万7,160円~ |
連携可能な製品 | ジョブカン経費精算、invox受取請求書、kinkone、TOKIUMインボイスなど |
提供形態 | クラウド型 |
「FX4クラウド(公益法人会計用)」公益法人会計に精通した専門家のサポートあり
- 公益法人会計ソフトには珍しいクラウド型ソフト
- 1万人以上の税理士・会計士会員の属するTKCによるサポートあり
- 伺書からネットバンキング支払までを自動化できる
FX4クラウド(公益法人会計用)は複数拠点・複数担当者で利用できるクラウド型の公益法人用会計ソフトです。
公益法人会計基準に準拠した財務諸表の作成、勘定科目への対応はもちろん、TKC全国会に属する公益法人会計の専門家がシステム導入から運用までサポートしてくれます。
さらに複数の金融機関から自動受信した取引データをもとに、仕訳ルールを学習してくれる自動化機能を備えています。仕訳作業の大幅な効率化や、二重計上の防止にもつながります。
初期費用 | 要お問い合わせ |
月額料金 | 要お問い合わせ |
連携可能な製品 | 給与計算システム、他業務システムなど |
提供形態 | クラウド型 |
「公益大臣NX」事業別会計の合算もかんたんで公益法人会計にジャストに使える
- 公益法人会計機能はもちろん事業別合算集計にも対応
- 伝票入力と同時に財務諸表が完成するので業務を効率化できる
- 高速&安全なプライベートクラウド化も可能
公益大臣NXは新公益法人会計基準に対応した社団法人・財団法人向けの会計ソフトです。公益法人会計に根ざした帳票様式や必要な機能を備えています。支部や施設ごとのデータをひとまとめにして事業別合算集計することもできます。
伝票入力と財務諸表が連動しており、入力すればすべての財務諸表を完成できます。期間や科目、事業条件を自由に設定してオリジナルの財務諸表を効率的に作成可能です。
契約者ごとに専有環境を用意する、プライベートクラウド化にも対応しています。運用コストの削減と高速かつ安全な高品質のサービス性能を両立しているのが特徴です。
初期費用 | 66万円~ |
月額料金 | - |
連携可能な製品 | 大臣シリーズ |
提供形態 | インストール型/クラウド型 |
「パワフル会計 公益」平成16年と平成20年改定の会計基準に対応した公益法人向け会計ソフト
- 平成16年改定と平成20年改定の双会計基準に対応した会計ソフト
- 勘定科目を最大8階層まで設定可能で細かな管理ができる
- 環境に合わせて選べる豊富なオプションシステム
パワフル会計 公益は平成16年改定・平成20年改定の両方に対応した公益法人向け会計ソフトです。1,300以上の法人に利用されており、クラウドとインストールどちらでも提供があります。
設定可能な勘定科目階層は最大8階層で、オリジナル機能も多く汎用性が高いのが魅力といえます。電子承認システムも備わっているため、業務フローに合わせた細かな管理がしやすいでしょう。
OBC奉行シリーズで作成された仕訳テキストファイルなら、自動でデータの取り込みが可能です。Excelプラグインシステム、支払調書システム、経過勘定システムなど作業効率をアップするオプションもバラエティ豊かです。
初期費用 | 60万5,000円〜 |
月額料金 | - |
連携可能な製品 | 奉行シリーズ、楽々精算シリーズなど |
提供形態 | インストール型/クラウド型 |
「公楽」事業按分シミュレーション機能で按分処理と仕訳を効率化できる
- 累計500ライセンス以上の導入実績がある公益法人特化会計ソフト
- 按分処理を決算前にシミュレーションできる
- 個体資産管理機能を標準機能として搭載し、減価償却を自動反映
公楽は累計500ライセンス以上の導入実績がある公益法人会計特化型の会計ソフトです。伺書の作成から決算までが連動しており、会計業務の負担を大幅に軽減できます。
公益法人会計で大変な按分処理を決算前にシミュレーションできる事業按分シミュレーション機能を搭載。収支相償を事前に確認可能です。
個体資産管理機能をオプションでなく標準機能として搭載。減価償却計算を自動化できます。控除項目ごとの振込データの作成や、Excelへのマスタ・一覧表の出力などオプション機能も充実しています。
初期費用 | 要お問い合わせ |
月額料金 | 26,400円~ |
連携可能な製品 | 支払調書作成システム、消費税計算システム、予算積算システムなど |
提供形態 | インストール型/クラウド型 |
「WEBバランスマン」事業や業務担当者別の細かな権限設定ができるので運用しやすい
- 伺書からの入力機能搭載で作業を簡易化できる
- ジオトラスト社のSSL証明書取得で高セキュリティが保証
- 担当者ごとに細かい権限設定が可能
WEBバランスマンは簿記の知識がなくても扱いやすい会計ソフトです。伺書からの入力が標準装備されており、作業の簡易化が実現できます。変換マスタ機能を搭載していて、平成16年改定と平成20年改定のどちらの会計基準にも対応済みです。
世界150カ国以上で利用されているジオトラスト社のSSL証明書を取得しており、情報漏えいのリスクを予防します。また、会計権限のほか業務や各事業ごとに担当者の権限設定が可能であるため、事業ごとの管理が必須な公益法人会計に最適です。
電子保存や電子決済機能をオプション追加することも可能で、ワークフローや文書保存の一連の流れで会計処理ができるようになります。
初期費用 | 要お問い合わせ |
月額料金 | 要お問い合わせ |
連携可能な製品 | 要お問い合わせ |
提供形態 | インストール型/クラウド型 |
「MJSLINK DX」公益法人会計の複雑な予算管理をサポート
- 平成20年公益法人会計基準に完全対応した書類作成が可能
- 地代家賃や光熱費など共通費の事業別配賦もできる
- オプション機能が充実しておりスキルアップ講習も受けられる
MJSLINK DXは公益法人会計に対応したERPシステムです。平成20年公益法人会計基準に対応しており、税務署への提出が必須の7つの書類作成に完全対応しています。
基本財産や受取会費など、公益法人向けの勘定科目を軒並み揃えているため、1から科目設定する必要はありません。事業別の配賦はもとよち、法人全体でかかる共通費をそれぞれの事業に振り分けることも可能です。
伺書入力や支払管理などをオプションで機能として追加できます。事業規模や業務フローに合わせて利用するといいでしょう。導入や運用サポートだけでなく、研修会やセミナーにも参加できます。
初期費用 | 要お問い合わせ |
月額料金 | 要お問い合わせ |
連携可能な製品 | 要お問い合わせ |
提供形態 | クラウド型 |
「ヒューマンライズInfinity2公益法人会計システム」2,000法人以上の非営利分野で導入実績あり
- 30年以上の公益法人会計ソフトの実績とノウハウあり
- 総合計算書機能でシステムとは別の組み合わせで書類作成できる
- 前年度予算をコピーして今年度予算の策定に使える
ヒューマンライズInfinity2公益法人会計システムは公益法人の会計業務支援実績が30年以上ある満喜が開発した会計ソフトです。公益法人会計を熟知したスタッフがサポートするので安心して導入できます。
総合計算書機能でさまざまな事業や科目を選択して、自由な組み合わせで計算書や試算表を作成することができます。また法人ごとに会計処理も可能で、法人が協議会などの別団体を運営している場合でも、システム内でそれぞれの会計処理を行い、決算書を作成できます。
初期費用 | 要お問い合わせ |
月額料金 | 要お問い合わせ |
連携可能な製品 | 要お問い合わせ |
提供形態 | インストール型 |
公益法人向け会計ソフトの選び方
公益法人向け会計ソフトを選ぶときは以下のようなポイントを念頭に置いて、製品を選ぶといいでしょう。
どの公益法人会計基準改正に対応しているか
公益法人向け会計ソフトを選定する際、ソフトがどの公益法人会計基準に準拠しているかは重要です。特定の会計基準に基づく報告が求められるため、ソフトウェアもこれに対応する必要があります。
具体的には、現在の最新基準である平成20年公益法人会計基準で各業務を進められるか?平成16年度基準のデータを変換できるか?などを確認しましょう。※改正履歴、関連法規に迅速に適応できるものを選べば、監査リスクを低減できます。
※ 2025年4月から「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の改正が施行されます。伴って、最新基準は「令和6年度基準」となる予定です。詳しくは以下をご参照ください。
伺書管理から支払や仕訳まで自動化できるか
伺書管理から支払いを自動化できるかは重要な選択要素です。公益法人では伺書の作成や管理が必須であり、伺書をもとに銀行振込や支出計算をおこなうこともあります。そのため、伺書の内容から仕訳や支払ができるか?自動承認フローを作成できるか?は確認しておくといいでしょう。
定期的な経費の仕訳や支払処理を自動化することで、ルーチンワークにかかる手間を軽減できます。
事業按分ごとの管理がしやすいか
公益法人は複数の事業を展開しているため、それぞれの事業に対して収支を正確に管理する必要があります。その際、事業按分機能が標準機能として備わっているか?使いやすいかどうかは重要です。
具体的には、各事業に対する費用や収益を柔軟に按分できる機能、設定した基準に基づいて自動的に配分できる仕組みがあると管理しやすいでしょう。UIなども確認しながら、操作しやすい製品を選びましょう。
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