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家賃収入(不動産所得)の確定申告は不要って本当?税金がかかるのはいくらから?

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最終更新日: 2024年06月28日

不動産を運用し始めたばかりで「家賃収入は少ないけど確定申告は必要?」「確定申告は難しいし面倒」と思っている方もいるかもしれません。

家賃収入に係る不動産所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、申告すると節税になることがあります。逆に必要にもかかわらず申告を怠ると、ペナルティが課せられる場合があります。自身の所得で申告が必要かを見極め節税を行ないましょう。

本記事では確定申告が不要な場合や、不動産収入によってかかる税金確定申告の方法について解説します。

この記事を監修した税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

 

家賃収入の確定申告はいくらから?

家賃収入の確定申告はいくらから?

家賃収入は10ある所得のうち不動産所得に該当します。不動産所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただしこれは所得税に関してであり、住民税の申告は行なわなければなりません。

家賃収入(不動産所得)が20万を超えると確定申告が必要に

給与所得があるサラリーマンの方などは、不動産所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

ここで20万円のラインは「不動産所得」の金額であり、家賃収入の金額とは異なるので注意してください。不動産所得は家賃収入などの「収入」から保険料などの「経費」を差し引いた金額です。

また他にどのような所得があっても、不動産所得を含めたすべての所得の合計が48万円以下の場合はそもそも確定申告する必要がありません。なぜなら基礎控除48万円を下回る額には税金が発生しないからです。

不動産所得が20万円以下でも住民税の申請は必要

不動産所得が20万円以下の場合に確定申告をしなくてもよいのは「所得税」の確定申告のみです。住民税の申告はそのような特例措置はありません。

所得税の確定申告をすれば市区町村へデータが伝わるため住民税の申告を別途する必要はありませんが、所得税の確定申告をしない場合は市区町村に対して住民税の申告をする必要があります

住民税の申告を行なう場所は居住する市区町村、申告期間は確定申告と同じ2月16日から3月15日までの間です。申告書のひな型は各自治体の窓口で受け取るかホームページでダウンロードして利用しましょう。

必要書類には以下のようなものがあります。

  • マイナンバー
  • 収入金額を証明するもの(源泉徴収票、領収証など)
  • 所得控除を受ける場合にはその証明となるもの(国民年金の控除証明書など)

不動産所得の収入には何が含まれるのか?

次のようなものが不動産所得の収入です。

  • 家賃収入
  • 敷金のうち返還しないもの
  • 礼金
  • 駐輪場代、駐車場代
  • 管理費など

基本的に入居者から受け取るお金で返還不要のものは収入と考えてよいでしょう。

不動産所得がマイナスの時は確定申告しよう

家賃収入や礼金などの収入から経費を引いた不動産所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただ経費が多くかかるなどして不動産所得がマイナスだった場合には、確定申告をすれば給与所得から不動産所得の赤字分を差し引けます

これは所得税の損益通算と呼ばれる制度で、確定申告をしないと適用できません。給与所得者の場合は源泉徴収や年末調整によって既に税金を納めていますが、損益通算を適用して税金が安くなると払い過ぎた分の税金を還付金として受け取れます。

例えば給与所得が700万円、不動産所得が -100万円の場合を見てみましょう。

700万円-100万円=600万円

計算で求めた600万円から各種所得控除を差し引かれた額に所得税が課税されます。

給与所得の場合は毎月の給与から源泉徴収で税金が差し引かれた後、年末に「年末調整」を行なって税金を清算しています。そのため給与所得が不動産所得との損益通算で減ると税金を払いすぎていることになるので、確定申告をすることで還付金を受け取ることができます。

特に不動産経営を始めたばかりの人は不動産収入がまだ十分に増えておらず、逆に不動産取得税などの経費が多くかかって赤字額が大きくなることも少なくありません。翌年の申告期間に忘れずに確定申告を行ないましょう。

事業所得が290万円を超えると個人事業税が発生

個人事業主の場合、都道府県が課税する個人事業税がかかる場合があります。個人事業税は、事業所得か事業的規模の不動産所得がある個人に課せられます。個人事業税の税額は、次の計算式で算出します。

個人事業税=(事業所得の金額-290万円)×税率

式を見ると分かりますが事業所得が290万円を超えると個人事業税が課せられます。また税率は業種によって異なり、不動産貸付業は5%となっています。

売上高が1000万円を超えると消費税の納税義務が発生

新規に事業を開始した場合には、消費税の免税事業者になりますが、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。ただ、居住用の住宅の家賃は非課税売上となりますので、居住用不動産への投資のみであれば基本的に消費税の免税事業者のままでしょう。

家賃収入の確定申告で経費として計上できるもの

確定申告では家賃収入から経費を引いて不動産所得を計算しますが、そもそも経費として何を計上できるのかを理解しておく必要があります。

経費にできないものまで含めて家賃収入の確定申告をすると、経費の金額が大きくなって税務署から不審に思われたり指摘を受けたりすることにもなりかねません。必要経費として認められる支出と認められない支出、それぞれに何が該当するのかを確認しておきましょう。

家賃収入の必要経費として認められる支出

必要経費として認められる支出としては以下のようなものが挙げられます。

  • 固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税・印紙税
  • 火災保険や地震保険の保険料
  • 管理会社への委託費
  • 司法書士や税理士への支払報酬
  • 減価償却費
  • 修繕費
  • ローン金利
  • 水道光熱費・消耗品費・交通費

不動産経営に関連する税金や火災保険料・地震保険料は費用に計上できます。管理業務を管理会社に委託したり、登記の手続きを司法書士に依頼したりした場合などの費用も必要経費です。

ローンを組んで不動産を購入した場合は、建物を取得するための借入金に対する金利を費用として計上できます。

水道光熱費や消耗品費、交通費なども不動産関連の費用であれば必要経費になりますが、私的に使った費用とは明確に区別して税務署に説明できるようにしておくことが大切です。

不動産の取得費や修繕費は減価償却で計算

不動産の取得費や修繕費などは支払った年に一括ではなく、毎年決まった割合で経費にする減価償却という方法で計上します。

減価償却の対象となるのは「資本的支出」となる経費です。資本的支出は不動産の取得費やその価値を上げて耐用年数を伸ばすような支出であり、不動産の取得費に追加する扱いになります。投資用不動産で減価償却できるのは以下のような費用です。

【減価償却できる費用】

  • 投資用不動産の購入代金
  • 投資用不動産の取得費用に含めた費用(取得した時に支払った仲介手数料、固定資産税清算金)
  • 投資用不動産の取得費用に含める処理をした場合の不動産取得税、登記費用
  • 投資用不動産の価値を高める資本的支出にあたる費用(用途変更になる修繕など)

また経費にする割合は耐用年数表で定められており、毎年の経費になる金額は費用の種類ごとに以下の式で計算します。

毎年の経費計上額=費用の金額÷耐用年数

例として2,000万円で不動産を取得し、耐用年数が50年の場合を考えてみましょう。

一年間の減価償却費:2,000万円÷50(耐用年数)=40万円

この場合、家賃収入の必要経費として認められる不動産の取得費は40万円です。不動産の購入額がいくらであっても、経費になるのは減価償却費の金額なことに注意しましょう。

以下の記事では、減価償却を行なう理由や減価償却をするメリット・デメリットについて解説しています。不動産を運用する場合、減価償却について知らないと損をすることもあるので確認しておきましょう。

関連記事:減価償却とは?基礎から計算まで詳しく解説!|ミツモア

家賃収入の必要経費として認められない支出

以下のような費用は家賃収入の必要経費にはなりません。確定申告の際に間違って費用計上しないように注意して下さい。

  • ローン返済額のうち元本分
  • 所得税・住民税
  • 私的に使った費用
  • 交通違反の反則金

ローン返済額のうち必要経費として認められるのは、建物取得のために受けた融資に対する利息分のみです。元本分は必要経費として計上できません。

所得税・住民税は固定資産税などと同じ税金ということで必要経費と考えがちですが、これらの税金は不動産経営とは関係なく課税される税金です。そのため所得税・住民税を確定申告の際に家賃収入から引くことはできません。

また不動産経営とは関係のない消耗品費や交通費、物件に向かう途中で交通違反をして科された反則金なども必要経費の対象外です。私的な費用や罰金が多い人ほど経費が増えて節税ができるということも当然ありません。

【注意】経費の計上漏れがあると税金が増える

必要経費を計上し忘れて家賃収入から差し引くのを忘れると、不動産所得が増えて余計に税金を払うことになります。節税のためには、確定申告で経費の計上漏れを起こさないように注意することが大切です。

確定申告の時期になってから準備を始めると、領収書を紛失していて経費として計上できなかったりレシートを見ても何の目的で使った費用なのか思い出せなかったりして困ることになります。

帳簿への記入や会計ソフトへの入力、必要書類の保管は費用を使った時点で行なうようにしましょう。水道光熱費やガソリン代など経費と私的な支出の按分が必要な費用については、按分の根拠となる資料やメモを残しておくと後で分からなくなって困る心配がなくなります。

また普段の仕事で忙しくて自分で資料の整理や経費の集計をする時間が取れない場合には、税理士に相談・依頼するのも一つの選択肢です。慣れない確定申告を自分でやると手間も時間もかかりますが、税理士に任せればスム-ズに手続きが終わるでしょう。

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家賃収入にかかる税金の計算

家賃収入の税金の計算方法

家賃収入にかかる税金はいくらになるでしょうか。ここでは不動産所得がある場合の税金の計算方法をご説明します。税金計算の手順は以下のとおりです。

  1. 課税所得金額を求める
  2. 課税所得金額に所得税率、住民税率をかける
  3. 税率をかけた金額から税額控除を引いて支払う税金を求める

課税所得額の計算方法

課税所得額は以下のような式で計算します。

課税所得金額=①給与所得+(②不動産収入-③必要経費)-④所得控除

給与所得は額面の金額ではなく、給与所得控除後の金額です。また不動産所得は「②不動産収入-③必要経費」に当たります。

それでは例として「サラリーマンに副業で家賃収入(不動産所得)があるケース」を見てみましょう。

  • 給与所得:600万円
  • マンションを1部屋賃貸に出し、家賃収入月15万円を得ている。
  • マンションの購入費用は3,000万円
  • マンションの耐用年数は47年、償却率0.022
  • マンションの固定資産税を年間10万円支払っている。
  • マンションの管理費を月2万円支払っている。
  • マンションの購入のためにローンを組み、年間の支払利息は2万円である。
  • 所得控除として基礎控除48万円、社会保険料控除90万円がある。

計算結果は以下の通りです。

①給与所得:600万円

②不動産収入:月15万円×12ヵ月=180万円

③必要経費:減価償却費66万円(=3,000万円×0.022)+固定資産税10万円+管理費2万円×12ヵ月+支払利息2万円=102万円

④所得控除 48万円+90万円=138万円

これを式に当てはめることにより、課税所得金額を540万円と計算できます。

課税所得金額(年額)=600万円+(180万円-102万円)-138万円=540万円

控除は2種類あるので注意が必要

家賃収入にかかる所得税の控除制度には、課税所得金額を求める時に減算する「所得控除」と課税所得金額に所得税率をかけて計算した所得税額から差し引ける「税額控除」の2種類があります。

まず「所得控除」には以下のようなものです。控除名を押すと詳しく記載している記事へ移動します。各所得控除の対象か分からないときは、控除名を押して確認しましょう。

次に家賃収入に対し適用する可能性のある「税額控除」には以下のようなものがあります。

  • 配当控除
  • 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除
  • 政党等寄付金特別控除

投資用不動産は住宅関係の各種控除の適用外

住宅関連の税額控除は居住用の住宅の優遇措置であり、投資用不動産は適用外です。税額控除は住宅関連のものも多く、条件を満たせば控除金額も大きくなる傾向があるので検討したいところですが気をつけましょう。

投資用不動産で適用外になる税額控除は以下の通りです。

  • 住宅ローン控除
  • 認定住宅新築等特別税額控除
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除

所得税と住民税の税率

家賃収入にかかる税額は「課税総所得金額」に所得税率と住民税率をかけて計算します。

所得税の税率

所得税の速算表
所得税の速算表 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税の金額は課税所得金額に上記の速算表の税率をかけて計算します。

課税所得金額が540万円の場合、速算表から所得税は652,500円となります。

540万円×20%(税率)ー427,500円(控除額)=652,500円

税額控除があるときは税率をかけた後、控除額と一緒に引きます。

最後に復興特別所得税(原則として所得税額の2.1%)をかけて実際の所得税額を求めます。

652,500円×1.021(復興特別所得税)=666,202円

以上のことから、課税所得金額が540万円の場合の所得税は666,202円となります。端数が出てきた場合は切り捨てで計算しましょう。

住民税の税率

住民税には所得の金額に応じてかかる所得割と、一律でかかる均等割があります。所得割は課税所得金額に税率をかけて計算しますが、住民税の税率は基本的に10%です。一方均等割は令和5年度分までは基本的に5,000円となっています。

税率や均等割の金額はほぼ全国どこも同じ金額ですが、一部の自治体では若干プラスして課税されているところがあります。例えば神奈川県では水源環境の保全・再生のため、県民税の均等割が300円高かったり、所得割の税率が0.025%高かったりしています。正確な数字を知りたい場合にはお住まいの自治体で確認してみましょう。

個人住民税のチャート図
出典:個人住民税|総務省

課税所得金額が540万円の場合は所得割は54万円、均等割は5,000円、住民税額は545,000円となります。

所得割:540万円×10%(税率)=54万円

住民税額:54万円(所得割)+5,000円(均等割)=545,000円

正確には所得控除の金額が所得税と住民税では違うものがあり、所得税の課税所得金額と住民税の課税所得金額は若干異なりますが、大体の税金の金額を知ることはできます。

シミュレーションサイトが便利

税金の金額を計算したい場合には、シミュレーションサイトを利用すると便利です。シミュレーションサイトでは面倒な税額の計算を自動で行なってくれますし、特に給与所得のある人は源泉徴収票を見て所定の箇所を入力するだけで自動で給与所得の金額、所得控除の金額を反映してくれます。

簡単に税金のシミュレーションができるだけでなく、手計算で計算した金額が間違っていないかの確認もできますので、用途に合わせて便利に利用してみましょう。

家賃収入の確定申告は青色申告で節税しよう

青色申告決算書

家賃収入の確定申告をする人にとって必要な知識の一つが青色申告です。事前の届出や帳簿の作成など一定の要件を満たす必要がありますが、青色申告を行なえば最大65万円の青色申告特別控除を適用できるなど税制における優遇措置を受けられます。

税負担の軽減につながる青色申告とはどんな制度なのか、概要やメリット、条件を確認していきましょう。

青色申告とは

国が定めた一定の水準の記帳を行ない、その記帳に基づいて正しい申告をする人に優遇措置が適用される制度が青色申告です。適正な記帳・帳簿管理・税務申告を促進するために設けられています。青色申告特別控除を適用できることで税額が安くなる点が特徴で、青色申告の対象になるのは以下の要件を満たす人です。

  • 個人事業の開業届と青色申告承認申請書を提出している人
  • 確定申告を申告期限内に行なっている人
  • 不動産所得・事業所得・山林所得のいずれかの所得がある人

開業届の提出期限は開業後1ヶ月以内が原則ですが、期限を過ぎた後でも提出できます。青色申告承認申請書は青色申告をしようとする年の3月15日までに提出しなければならず、1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始後2ヶ月以内に提出が必要です。

青色申告を利用する人は一定の帳簿書類を作成して7年間(書類によっては5年間)保存することが義務付けられています。

家賃収入を青色申告で確定申告するメリット

給与所得者で家賃収入がある人が青色申告で確定申告するメリットとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 青色申告特別控除を受けられる
  • 純損失を翌年以降に繰り越せる

青色申告特別控除の控除額はケースによって10万円・55万円・65万円と金額が異なりますが、いずれにしても所得金額から控除額を差し引けるので税負担が軽くなる点がメリットです。

不動産所得に関して55万円の青色申告特別控除を適用できるのは以下の要件を満たす人で、以下の要件に加えて確定申告をe-Taxで行なう人または電子帳簿保存を行なう人は控除額が65万円に、逆に要件を満たさない人は控除額が10万円になります。

<55万円の青色申告特別控除の適用要件>

  • 不動産の貸付が事業的規模で行なわれていること
  • 複式簿記によって記帳していること
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、控除の適用を受ける金額を記載して申告期限内に確定申告書を提出すること

また不動産所得で損失が出た場合に、翌年以降に損失を繰り越せる点も青色申告のメリットの一つです。損失が出た場合には翌年から最大3年間繰り越せるので、翌年以降に不動産所得が黒字だった場合には相殺できてその年の税額を低く抑えられます。

家賃収入を青色申告するための条件

青色申告制度では不動産の貸付が事業的規模であるかどうかで特別控除額が変わり、該当する場合の控除額は55万円(または65万円)、該当しない場合の控除額は10万円です。

事業的規模については「社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行なわれているかどうか」によって実質的に判断されますが、次のいずれかの基準に該当すれば基本的に事業的規模として取り扱われます。

  • 貸間・アパ-ト等については貸与することのできる独立した室数が概ね10室以上であること
  • 独立家屋の貸付けについては概ね5棟以上であること
  • 駐車場の貸付けについては概ね50台以上であること

家賃収入の確定申告のやり方

確定申告のやり方

年間の不動産所得が20万円を超える人は確定申告をしなければなりませんし、不動産所得がマイナスの人などは申告をした方が良いでしょう。ここでは確定申告の仕方について解説します

家賃収入の確定申告に必要な書類

家賃収入の確定申告をするときの必要書類は、白色申告と青色申告でそれぞれ以下のとおりです。

白色申告

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書(不動産所得用)
  • 不動産契約書などの不動産関連書類
  • 家賃が入金されている口座の通帳、領収書など収入・経費が分かる書類
  • 生命保険料控除など控除関係の書類
  • 給与所得がある人は源泉徴収票

青色申告

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(不動産所得用)
  • 不動産契約書などの不動産関連書類
  • 家賃が入金されている口座の通帳、領収書など収入・経費が分かる書類
  • 生命保険料控除など控除関係の書類
  • 給与所得がある人は源泉徴収票

確定申告の流れ

1月1日~12月31日の1年間の所得について翌年2月16日~3月15日に確定申告を行ないます。納税が必要な場合には当期間に納税もあわせて行ない、3月15日が土日祝日の場合は次の平日が申告・納税の期限です。

① 必要書類の入手

確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書の用紙は税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードできます。e-Taxで申告する場合は「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書などに必要事項を入力する形で、提出含めネット上で手続きを終えられるので便利です。

② 申告書に記入するための各種書類の用意

確定申告書を作成するには領収書やレシートなどの必要経費が分かる書類や家賃収入が分かる書類、各種帳簿、給与所得の源泉徴収票、社会保険料控除などの控除証明書が必要になります。

③ 申告書の作成

上記で用意した書類の内容から税額を計算します。源泉徴収票に記載されている給与所得の額や源泉徴収額も必要です。また各種控除の証明書は台紙にのりで貼り付けます。

④ 申告書の提出

作成した申告書を税務署に持参するか郵送して提出すれば確定申告の手続きは終わりです。

確定申告書の書き方

確定申告書・第一表

確定申告書第一表 記載例

左上の緑色「収入金額等」の欄の「不動産」と「給与」にそれぞれの収入金額を記入し、各収入金額から経費や給与所得控除を引いた金額を下の水色「所得金額」の欄に記入します。

収入金額等の欄の「不動産」の区分には、以下の場合に応じて数字を記入しましょう。記載例のように65万円の青色申告特別控除額を受ける場合には、「1」を選択することとなります。

青色申告特別控除の条件
(参考:確定申告の手引き)

左下の赤色「所得から差し引かれる金額」には各種所得控除の金額を記入し、所得金額の合計額から所得控除の合計額を引いた額を、右上の紫色「税金の計算」の「課税される所得金額」欄に記入します。

最後に課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、さらに復興特別所得税を加えて源泉徴収済の金額を引いて納税額を求めます。

確定申告書・第二表

確定申告書第二表 家賃収入
確定申告書第二表 記載例

左側の「所得の種類」には「不動産」、「種目」には不動産の中でも何による収入かを記入しましょう。

また「所得の内訳」の欄に給与収入・不動産収入が生じる場所(勤務先の企業名・不動産の住所)・収入金額・源泉徴収税額を記入してください。

右側の欄には各種所得控除に関する情報(金額や該当者の氏名など)を記入します。

収支内訳書

令和4年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方
令和4年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方

白色申告の場合、収支内訳書を作成します。

左側の欄には不動産所得に関する収入や経費を科目ごとに記入し、右側の「不動産所得の収入の内訳」の欄には家賃収入などに関する内訳を具体的に記入します。その中の「貸家、貸地等の別」を貸家・貸店舗・アパート・貸マンション・貸間・貸地・駐車場などとしたうえで、用途や住所、契約期間などを記入して下さい。

なお家賃収入の確定申告のやり方や収支内訳書への家賃収入の書き方がよく分からない人もいるはずです。確定申告を正しく行なうためにも、不安な場合には一人で抱え込まずに税理士に相談することをおすすめします。

家賃収入があると勤務先に知られたくない場合は「普通徴収」を選択

会社に源泉徴収してもらっていると、住民税額の高さから副業がばれてしまいます。ばれたくない方は確定申告の際に住民税の納付方法として「普通徴収」を選択しましょう。確定申告書第二表で「自分で納付」に〇をすればOKです。

特別徴収を選ぶと会社に税額が伝わり給与から住民税が天引きされますが、普通徴収であれば給与所得以外の所得にかかる住民税については本人が納税するので、会社には住民税に関する情報が伝わらずに済みます。

参考:住民税の納付方法は2種類

家賃収入の確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしないとどうなる?

家賃収入が20万円を超えた場合に確定申告を行なうのは当然のことですが、「家賃収入の確定申告をしなくても税務署にばれないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし税務署はそれほど甘くありませんし、無申告がバレて高額な罰金を科されては大変です。以下では税務署にばれる理由などを紹介しますが、確定申告は適切に行なうようにして下さい。

家賃収入を確定申告していないとばれる?

確定申告の義務があるにも関わらず家賃収入の申告をしていないことが税務署にばれる機会は、一般の方が考えている以上にたくさんあります。税務署は様々なルートで調査を行なっているので無申告者を見逃してくれません。

例えば不動産の管理を委託している企業に税務調査が入って管理会社の資料から税務署にばれることがありますし、マイナンバーと紐づいた銀行口座の状況をチェックして家賃の入金を税務署が把握し不動産所得に気付くこともあります。

20万円を超える家賃収入があるのに確定申告をしないと税務署にばれて罰則を科されてしまうので、確定申告は期限までに行なうことが大切です。

家賃収入を確定申告していないときの罰則

家賃収入の確定申告をしていないと延滞税や過少申告加算税、無申告加算税、重加算税などの罰金を科されます。最悪の場合は刑事罰を科されることもあるので、このようなリスクを犯してまで脱税行為をするメリットは決してありません。

税務署に指摘を受けた場合の無申告加算税の税率は50万円までが15%、50万円超の部分が20%で、悪質と判断された場合に科される重加算税の税率は35%~40%と非常に高額です。過去の未納分と追徴課税分を一気に納税することになって重い負担になり、青色申告の承認を取り消されるリスクもあります。

家賃収入をさかのぼって確定申告することはできる?

所得が発生した場合、所得があった年の翌年2月16日~3月15日に確定申告を行なう必要があります。ただ申告をし忘れていた場合には確定申告期間を過ぎた後でも申告が可能なので、申告し忘れていたことに気付いたら期限後申告を早めに行ないましょう。

また本来の確定申告期間に申告は行なっていたものの家賃収入の申告が漏れていた場合には、申告した内容を修正する修正申告を行ないます。家賃収入の確定申告について過去分に遡り確認を行なって、もしも申告漏れが見つかった場合には期限後申告や修正申告をできるだけ早く行なうことが大切です。

家賃収入を確定申告しなかった場合の時効は通常5年

税金を徴収できる期間には時効があり、通常の消滅時効は5年、不正行為があった場合の消滅時効は7年です。この期間を過ぎれば家賃収入の確定申告をしていない場合でも税金を徴収されることはなくなります。

ただ税務署は様々な方法で調査を行なっているので、時効まで無申告を隠し通せるケースは多くありません。仮に5年や7年が経過して時効が成立する家賃収入が生じたとしても、不動産経営を続けて家賃収入があり続ける限り、直近分の家賃収入については税務署から指摘を受けるリスクを常に負い続けることになります。

余計なリスクを背負いながら不動産経営を行なう意味は決してありません。確定申告の方法がよく分からない場合でも無申告などにせず税務署や税理士に相談するようにして下さい。

家賃収入の確定申告は税理士に相談しよう!

税理士に相談しよう!

給与所得者は確定申告をする経験がありませんので、不動産の経営と税務処理が重なると業務に支障をきたすかもしれません。そこで税務処理だけは税理士に相談する方法がありますが、その場合のメリットや税理士を選ぶポイントを紹介します。

家賃収入の確定申告を税理士に任せるメリット

家賃収入があると給与所得との関連や必要経費の算入、青色申告への対応など考えることが多く税務処理が増えてきます。特に働きながら不動産の管理をしている方は、税理士に依頼した方が不動産経営に集中でき収入面でもプラスに働くことがあります。

税理士を選ぶ際のポイント

確定申告の処理の速さや正確性、状況に合わせたアドバイスがポイントとなります。確定申告は税理士の基本業務の一つですが、正確性が求められますので、間違いなく申告するためには豊富な経験が必要です。

また青色申告を適用した方がいいか、必要経費に算入できるかなど不動産経営に有効的なアドバイスをしてもらえる税理士であればさらにいいでしょう。

監修税理士からのコメント

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不動産所得の損失は、所得税の損益通算制度により、給与所得等から所得を差し引くことができます。サラリーマン等の方で、不動産所得で損失が発生している場合は、別途確定申告を行い、節税効果を享受することができます。ただ、不動産賃貸業も事業そのものですので、儲からない物件を取得して損益通算を前提とするのは本末転倒になってしまいますので、不動産事業を開始する際には、あくまで事業として儲かるかどうかを考えていくことが重要です。

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この記事の監修税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

風間優作(かざまゆうさく) 1985年千葉県銚子市出身。兵庫県立大学大学院卒業。 上場会社経理部にて一般経理実務を経験した後、Big4監査法人及び税理士法人にて、公認会計士・税理士としての実務を経験し独立開業。現在は会計監査やIPO実務だけではなく、個人・法人税務から売上アップ・資金繰りコンサルまで幅広く対応している。