引越しで冷蔵庫を運ぶとき、業者から「事前に電源を切っておいてください」といわれることがあります。


メーカーや型式、製造年によって電源を切るタイミングは異なりますが、事前に電源を切らないと、運搬中に庫内に溜まった水が漏れ出す可能性があるからです。
引越し前に冷蔵庫の電源を切る適切なタイミングと、当日に切り忘れたときの対処法も含めて解説します。
引越し前に冷蔵庫の電源を切るのはいつ?

引越し前に冷蔵庫の電源を切るタイミングは、機種によって異なります。年式が古いタイプの冷蔵庫は引越し日の24時間前、比較的新しいタイプは引越し日の15〜16時間前までに切ることが一般的です。ただし、メーカーによって異なるため、メーカー別リストで確認しましょう。
理由は冷蔵庫内で発生した霜による故障のリスク低減と水漏れ被害を防止するためです。庫内には多くの霜や水分が溜まっており、直前に電源を切って運搬すると、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 部品の水浸し:内部のモーターやコンプレッサーが濡れると故障するリスクが高い
- 水漏れ被害:霜が溶けた水が床や廊下へ流れ出す
- 衝撃による故障:運搬中の揺れでモーターやコンプレッサーに負荷がかかる
製造年式が古い冷蔵庫ほど、霜が溶け切るのに時間がかかります。これらのトラブルを防ぐためにも、引越し前に冷蔵庫の電源を切って庫内に溜まった水を取り除きましょう。
【メーカー別】引越し前に冷蔵庫の電源を切るタイミング
冷蔵庫の電源を切る時期は機種だけでなく、メーカーによっても異なります。家電メーカー5社が推奨する冷蔵庫の電源を切るタイミングの目安は、以下のとおりです。
| メーカー名 | 電源を切るタイミング |
|---|---|
| 日立(HITACHI) | 移動直前に抜いても良い(長時間は注意) |
| パナソニック(Panasonic) | 15時間以上前 |
| 三菱電機(MITSUBISHI ELECTRIC) | 24時間前(霜が溶け切るまでの時間) |
| 東芝(TOSHIBA) | 中身を取り出してから電源を切る |
| シャープ(SHARP) | 時間の記載なし |
メーカーごとに電源を切るタイミングが異なるのは、冷蔵庫の冷却方式に関係しているからです。製造年が古い冷蔵庫は「直冷式」というタイプで霜が溶けきるのに時間がかかるため、最低でも引越し日の24時間前までに切ることを推奨しています。
一方、最新の冷蔵庫は霜取り機能を搭載した「間冷式(ファン式)」を採用しており、霜が発生しづらいことから、引越し直前に電源を切っても問題ありません。
ただし製品によっては薄い霜がついてしまう場合もあるため、できる限り引越し日の前日までに電源を切りましょう。
冷蔵庫の電源を切る前にやること:食品の消費と運搬準備
引越しで冷蔵庫を運ぶにあたって、電源を切る前に中身を整理しましょう。具体的にやる作業は、以下のとおりです。
| 電源を切る前にやること | 作業する時期 |
|---|---|
| 計画的に食品を消費する | 引越し日の1〜2週間前 |
| 食品の運搬準備を進める | 引越し日の3〜5日前 |
計画的に食品を消費する
引越し日の1〜2週間前から計画的に冷蔵庫内の食品を消費し始めましょう。下記のチェックリストに基づいて整理を進めることが大切です。
チェックリスト
- 冷蔵室や冷凍室内にある食品の献立を考える
- 調味料はできる限り使い切る
- 飲料は必要な量だけ残しておく
- 生鮮食品は前日までに使い切るか処分する
食品の運搬準備を進める
引越し日の3〜5日前を目途に食品を新居へ運ぶ準備をしましょう。具体的に行う作業は以下のとおりです。
- クーラーボックスや発泡スチロール、保冷剤を用意する
- クール便で食品を引越し先まで送る
- 可燃ゴミの収集日に不要な食品を廃棄する
ただし長期間保存することはできません。トラックに積んでも温度管理ができず、特に夏場になると室温が高くなるため、一時的に保存する際に使用することをおすすめします。
冷蔵庫の電源を切った後にすること:水抜きと運び出し
冷蔵庫の電源を切ってコンセントを抜いた後、引越し前日までに霜取りと水抜きを行い、当日に運び出せるように準備を進めましょう。具体的に行う作業は、下記のとおりです。
| 電源を切った後にやること | 作業する時期 |
|---|---|
| 冷蔵庫の霜取りと水抜きをする | 引越し日の15〜16時間前 |
| 冷蔵庫の掃除をする | 引越し前日 |
| 引越し先へ冷蔵庫を運び出す | 引越し当日 |
1.冷蔵庫の霜取りと水抜きをする
冷蔵庫についた霜を自分で取り除いた後、庫内に溜まった水を捨てましょう。
霜取りと水抜きの具体的な作業
- 冷蔵庫のドアを開けて、外気で霜を自然に溶かす
- ぬるま湯で濡らしたタオルやファイバークロスで霜を拭き取る
- 水受け容器や蒸発皿に溜まった水をゆっくり取り出して捨てる
なお、ヒーターで霜を溶かす機能が搭載されたものがあり、メーカーや機種によって霜取りや水抜きの方法が異なります。取扱説明書で手順を確認してから作業しましょう。
2.冷蔵庫の掃除をする
水抜きが終わったら、冷蔵庫を掃除しましょう。具体的に行う作業は、下記のとおりです。
- 棚やポケットなどを取り外して水洗いまたは中性洗剤で洗う
- 歯ブラシや綿棒でドア付近のゴムパッキン、隙間の汚れを取る
- 洗って乾かした部品を元の場所に取り付ける
ただしアルカリ性の台所用洗剤や研磨スポンジ、重曹を利用すると冷蔵庫のドアや塗装面、プラスチック製の棚を傷つけてしまうため、できる限り使用を控えましょう。
3.引越し先へ冷蔵庫を運び出す
引越し当日、新居へ冷蔵庫を運び出します。自分たちで冷蔵庫を運ぶ手順は、以下のとおりです。
冷蔵庫を運び出す手順
- 壁や床が傷つかないようにダンボールや緩衝材などで養生する
- ドアや卵ケース、製氷皿などはテープで固定する
- 電源コードをテープでまとめて冷蔵庫裏に固定しておく
- 毛布や専用のフィットカバーを冷蔵庫にかける
- できる限り横にせず縦向きに冷蔵庫を運び出す
特に大型冷蔵庫の場合は、大人2〜3人以上で運び出しましょう。
引越し先で冷蔵庫の電源はいつ入れる?
引越し先に冷蔵庫を設置した後、運搬中に偏った冷媒やオイルを元の状態に戻すため、数十分経過してから電源を入れるのが一般的です。
ただし、電源を入れるタイミングはメーカーや製品によって異なり、以下のように説明しています。
| メーカー名 | 電源を入れるタイミング |
|---|---|
| 日立(HITACHI) | 設置後10分以上経過してから |
| パナソニック(Panasonic) | 設置後7分以上経過してから |
| 三菱電機(MITSUBISHI ELECTRIC) | すぐに電源を入れて良い |
| 東芝(TOSHIBA) | 設置後5分以上経過してから |
| シャープ(SHARP) | すぐに電源を入れて良い |
最新の冷蔵庫は基本的にすぐに電源を入れても問題ありませんが、メーカーの公式ホームページや取扱説明書の内容を確認してから冷蔵庫の電源を入れるようにしましょう。
冷蔵庫の電源を入れてからすぐに食品を入れない
冷蔵庫に食品を入れるのは、電源を入れてから4〜10時間後がおすすめです。
機種やサイズ、季節によって時間に幅がありますが、冷蔵庫内が冷えてくるのは夏場は10〜24時間、冬場は2〜3時間かかるといわれています。
特に冷凍食品やアイスクリームは、ほんの少しでも温度が上がると傷んでしまう可能性があるため、冷蔵庫内が完全に冷えてから冷凍室に入れましょう。
引越し当日に冷蔵庫の電源を切り忘れたときの対処法
引越し当日に冷蔵庫の電源を切り忘れた場合、応急措置を行いましょう。具体的に行う作業は、下記のとおりです。
- 冷蔵庫のドアを全開にして、できるだけ霜を溶かす
- 蒸発皿に溜まった水をこまめに捨て、タオルでふき取る
- 冷蔵庫内の食品を保冷バッグやクーラーボックスに移して自分で運ぶ
- 引越し先で冷蔵庫内部を乾かし、1~2時間経過した後に電源を入れる
引越し業者に冷蔵庫を運んでもらうときは、上記の作業を行う前に連絡しましょう。運搬時に対処方法を検討してもらえる可能性がありますが、追加料金がかかります。
冷蔵庫の電源をつけても冷えないときの確認5項目
引越し先で冷蔵庫の電源を入れても冷えないときは、下記5つの項目を確認しましょう。
1.ブレーカーが開栓しているか
引越し先のブレーカーが開栓をしているのか確認します。ブレーカーを上げても冷蔵庫の電源が入らない場合は、電気の供給が開始されていない可能性があるため、電力会社または管理会社に問い合わせましょう。
2.冷蔵庫の電源プラグがテーブルタップにつないでいないか
テーブルタップに冷蔵庫の電源プラグがつないでいないか確認しましょう。一般的に家庭で使用するテーブルタップは最大消費電力が制限されています。
オーブンレンジをはじめとした消費電力が大きい家電製品をつないだテーブルタップに接続すると、容量が不足してつかない可能性が高いため、単独のコンセントに冷蔵庫の電源プラグをつなぎましょう。
3.冷蔵庫内の温度設定が「弱」になっていないか
冷蔵庫の電源を入れた後、しばらく時間が経っても冷えないときは庫内の温度設定を確認しましょう。
「弱」または「節電モード」に設定されていると、十分冷やしきることができません。「中」や「強」に設定を変更してみましょう。
4.放熱スペースを十分確保できているか
冷蔵庫は外部に放熱しており、周辺に妨げるものがあると、庫内を冷やすことができません。
冷蔵庫を設置するにあたって、各メーカーの説明書には「放熱スペース」について記載されています。スペース内に物や壁がないか確認した後、十分なスペースがない場合は、物を移動させたり、別の場所へ冷蔵庫を移動させましょう。
5.食品を詰めすぎていないか
冷蔵庫内に食品を多く詰めすぎていないか確認することも大切です。ぎゅうぎゅうに詰めてしまうと、送風口を塞いでしまって冷気が循環しづらくなります。
冷蔵庫内を整理して、食品と食品の間にすき間を作ったり、詰め込みすぎないように収納ボックスやジップロックを使って収納しましょう。
冷蔵庫の電源を切って引っ越しの準備を進めよう

引っ越しで冷蔵庫を新居へ持っていくにあたり、引っ越し前に電源を切って霜取りや水抜きを終わらせておくことが必要です。あわせて新居に設置するとき、冷蔵庫が入れる場所やプラグの位置も確認したうえで引っ越し業者に依頼しましょう。
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