引越しで家財を運ぶとき、扱いに注意したいのが「冷蔵庫」です。
冷蔵庫を運ぶときには、中身の消費、電源を入れるタイミング、運び方など、気を付けなければならない点が多くあります。
この記事では、冷蔵庫の引越し準備について手順と注意点をまるっと解説します!
引越しで冷蔵庫を運ぶときの手順
引越しで冷蔵庫を運ぶときは、以下の流れで準備・作業を進めていきます。
- 冷蔵庫の中身を片付け始める(引越し2週間前から)
- 冷蔵庫の電源を切ってコンセントを抜く(引越し前日)
- 冷蔵庫の水抜きをする(引越し前日)
- 冷蔵庫内の掃除をする(引越し前日)
- 冷蔵庫の部品を固定する(引越し前日~当日)
- 冷蔵庫を運ぶ(引越し当日)
- 新居で冷蔵庫の電源を入れる(引越し当日)
水抜きや掃除は電源を切ってからしかできないので、引越し前日にやるべき作業が多いです。
ただし最も大変なのは食材の消費でしょう。直前まで入れっぱなしにしていると、食べて消費するだけでは間に合わず、泣く泣く捨てることになってしまいます。
特に家族の場合は冷蔵庫が大きく、食材がたくさんストックされているケースも多いです。早めに中身の量を把握し、計画的に消費しましょう。
STEP1:冷蔵庫の中身を消費する(引越し2週間前から)
引越しの荷造りなどと並行して早めに進めておきたいのが、冷蔵庫の中に入っている食材の処分です。冷蔵庫の中身は引越し前日までにすべて使い切るのがベストです。残ってしまった食品は残念ですが廃棄処分しましょう。
野菜や肉・魚などの生鮮食品や、冷蔵で保存するように書かれている食品は、常温で運ぶと雑菌が繁殖してしまうおそれがあります。リスクが高いので、引越し業者も基本的に生ものは運んでくれないケースが多いです。
どうしても運びたい冷蔵食品がある場合は、「保冷バッグやクーラーボックスに入れて運ぶ」「宅配便のクール便で送る」といった方法があります。移動と新居で冷蔵庫を冷やすのにかかる時間よりも保冷時間が長いクーラーボックスを使うようにしましょう。
なお砂糖や塩などの粉系の調味料、缶詰、米や乾麺など、長期で常温保存ができる食材は、荷物として詰めても大丈夫です。
食材の運搬方法や、使い切れなかった食材の適切な処分方法は以下の記事で詳しく解説しています。
STEP2:冷蔵庫の電源を切りコンセントを抜く(引越し前日)
引越しの前日は、運び出す15時間以上前に冷蔵庫の電源を切り、コンセントを抜きましょう。
冷蔵庫の電源を切ってから、冷媒管などについた霜が溶けるまでには時間がかかります。霜ができていなくても、電源を切ったあとに温度差で結露が発生することもあります。
運搬の直前に電源を切った場合、運んでいる最中に霜が溶けたあとの水が漏れ、家財が濡れてしまうかもしれません。
STEP3:冷蔵庫の霜取り・水抜きをする(引越し前日)
冷蔵庫を運ぶ前日には、内部に溜まった水が漏れて家財を濡らさないよう、「霜取り」と「水抜き」を行います。
- 製氷機の氷を捨てる
- 電源を切ってドアを開けっぱなしにする
- 15時間ほど放置する
- 本体下部の蒸発皿に溜まった水を捨てる
引越しで運ぶ前の霜取りは、電源を切って霜が溶けるのを待つだけです。庫内についた霜を早く取ろうとしてアイスピックなどの鋭利な道具を使うと、冷蔵庫を傷つける可能性があるのでやめましょう。
しばらく放置して霜が溶け切ったら、蒸発皿(水受け皿)にたまった水を捨てれば水抜き完了です。
冷蔵庫によっては蒸発皿が外せないこともあります。このタイプの場合、溜まった水は冷蔵庫本体を傾けて排出しなければなりません。
重量のある家電の扱いに慣れていない人が行うのは危険なので、引越し業者に水抜きを依頼しましょう。自宅の冷蔵庫のタイプを確認して、自分で水抜きができなさそうな場合は事前に引越し業者に伝えておくことをおすすめします。
STEP4:冷蔵庫の掃除をする(引越し前日)
霜が溶けるのを待っている間に、余裕があれば冷蔵庫の中を拭き掃除しておくことをおすすめします。
冷蔵庫の中身が空になり、ドアを開けっぱなしにできるタイミングは普段ほとんどないので、きれいにする絶好のチャンスです。
電源を切って冷蔵庫内の温度が上がるので、冷えて固まった汚れも落としやすいです。
掃除に必要なものはおもに以下のアイテムです。
- 柔らかいスポンジや布
- 台所用中性洗剤
研磨剤の入った洗剤やスポンジ、アルカリ性洗剤などは冷蔵庫を傷つけるので使わないようにしましょう。
手順は以下の通りです。
- 取り外せる棚やトレイをすべて外し、スポンジと台所用中性洗剤で洗う
- 庫内に残っている食材くずなどのゴミを取り除く
- 柔らかい布を濡らして固く絞り、庫内を水拭きする
- 落ちない汚れは中性洗剤を薄めたもので水拭きする
- 内部を乾燥させ、外したパーツを取り付ける
冷蔵庫の掃除については以下の記事でも詳しく解説しています。
STEP5:冷蔵庫の部品を固定する(引越し前日~当日)
水抜きと掃除を済ませ、内部がしっかり乾いたら、冷蔵庫を動かせるように準備します。
運搬中の衝撃などで部品がずれたりドアが開いたりすると、冷蔵庫や周りの家財が傷ついてしまうかもしれません。
ドアと内部の棚を養生テープなどで張り付けて固定しておきましょう。
STEP6:冷蔵庫を運搬する(引越し当日)
引越し業者を依頼している場合、STEP5までの準備をしておけば、あとは引越し業者が運んでくれます。
冷蔵庫は横に寝かせず直立した状態で運ぶようにメーカーが案内しているので、引越し業者がどうやって運んでいるか念のため確認しておくと安心です。
空になった冷蔵庫に服など他の荷物を詰められると思うかもしれませんが、ただでさえ重い冷蔵庫がさらに重くなって事故のリスクが上がるのでやめましょう。
冷蔵庫を自力で運ぶ方法
一人暮らしサイズの冷蔵庫であれば、プロの力を借りず自力で運ぶことも可能です。しかし1人だと危険なので、必ず複数人で運ぶようにしましょう。
冷蔵庫を運ぶときの注意点は以下の通りです。
- 冷蔵庫を毛布や緩衝材で包み、ぶつけたときの衝撃を防ぐ
- 横に寝かせず、縦に直立した状態を保って運ぶ
- 上部より下部が重いので、下からしっかり支える
毛布や緩衝材が途中で外れるとかえって危ないので、ガムテープなどで固定して動かないようにしましょう。また、つるつるした素材だと逆に手がすべることもあるので要注意です。
冷蔵庫は下部のほうが重い構造になっています。階段を降りるときは力のある人が段の下になるように移動し、冷蔵庫の下から手を入れて支えましょう。
冷蔵庫だけを業者に運んでもらいたい場合の依頼先
冷蔵庫の運搬だけプロに任せたいという方もいらっしゃるかもしれません。大きな家具・家電を1点から運んでくれる業者もいます。
らくらく家財宅急便(ヤマトホームコンビニエンス)
ヤマトホームコンビニエンスの「らくらく家財宅急便」は、冷蔵庫をはじめとした扱いが難しい家具・家電を1点から運んでくれます。
1つのトラックに複数の依頼者から預かった荷物を積む混載便であるため、旧居から新居へダイレクトに荷物を搬送するチャーター便を利用するよりも料金が安いです。
注意点は細かい日時指定ができないことと、受付当日の集荷は受け付けていないことです。利用の2日前までには集荷依頼を完了させましょう。
赤帽
赤帽は特定の業者名ではなく、軽トラックを使って運送業を行う事業者組合の名称です。
統一された基本料金表がありますが、細かいサービス内容は事業者ごとに差があります。
赤帽は移動距離20km以内または待機時間を含めた作業時間が2時間以内の作業であれば、格安料金で荷物の運搬を依頼できます。冷蔵庫を近距離で運びたいときにおすすめです。
ただし引越し作業と同等とみなされる作業量がある場合、引越運賃料金が適用されます。詳細は見積もり時に確認してください。
便利屋・家具運搬業者
暮らしの細かい依頼に対応してくれる便利屋や、家具の運搬に対応している地域の小規模事業者もいます。
料金体系は業者によってさまざまですが、引越し業者に依頼するよりも安く運んでもらえる可能性が高いです。
「ミツモア」ではお近くで家具・家電の運搬に対応してくれるプロをカンタンに探せますよ。
STEP7:新居で冷蔵庫の電源を入れる(引越し当日)
新居に冷蔵庫を運んでもらい、使えるようになるまでの流れは以下の通りです。
- 決めた位置に冷蔵庫を設置してもらう
- コンセントを差して冷蔵庫の電源を入れる
- 要冷蔵・要冷凍の食品は冷蔵庫内が冷えてから入れる
①決めた位置に冷蔵庫を設置してもらう
冷蔵庫の配置で気をつけることを解説します。引越し当日はバタバタするので、あらかじめ設置場所を決めておくことをおすすめします。
冷蔵庫のドアが開く向きを考慮する
多くの冷蔵庫は扉が開く向きが決まっています。キッチンで作業をする位置から中身が見えるように開けるのが理想です。逆向きだとかなり使いづらくなってしまうでしょう。冷蔵庫本体だけでなく、横にある戸棚の開き方にも注意が必要です。
十分な排熱スペースを確保する
冷蔵庫をはじめとする家電は稼働時に熱を排出するので、周りに熱を逃がすスペースを作る必要があります。天井・背面の壁・左右との間を数センチ離して設置しましょう。どれくらい離すべきかは各メーカーが示しており、取扱説明書にも載せているはずなので確認してみてください。
温度が高くなりやすい場所を避ける
日当たりが良い場所やコンロの真横など、温度が高くなりやすい場所は極力避けて配置しましょう。内部を冷やすために電力消費量が増えてしまう可能性があります。
②コンセントを差して冷蔵庫の電源を入れる
現在販売されている機種であれば、設置後すぐにコンセントを差して電源を入れても問題ありません。
ただし、コンセントに差してから一度プラグを抜いた場合、コンプレッサーへの負荷を防ぐため7~10分ほど空けてから再度差し込みましょう。
昔の冷蔵庫は、冷媒の仕様上すぐに電源を入れると故障してしまうリスクがあり、数時間おいてから電源を入れるようにいわれていました。
古い機種の冷蔵庫を使っている場合は、メーカーに問い合わせるか、念のため半日ほど経ってから電源を入れたほうが良いかもしれません。
横向きに寝かせて運んでしまった場合は、内部のオイルが冷却器に流れ込み、故障につながるおそれがあります。この場合も数時間~半日ほど待ってから電源を入れるようにしましょう。
③要冷蔵・要冷凍の食品は冷蔵庫内が冷えてから入れる
大手家電メーカーによると、電源を入れてから冷蔵庫内が十分に冷えるまで、4時間から10時間ほどかかります。特別暑い日であれば24時間かかることもあります。
牛乳などの傷みやすい食材や冷凍食品は、十分に冷えたのを確認してから入れるようにしましょう。
扉を開けると冷蔵庫内の温度が上がってしまうので、電源を入れたらむやみに開け閉めせず冷えるのを待ちます。
引越しを機に冷蔵庫を処分する方法と費用の目安
引越しのタイミングで冷蔵庫を買い替え、古い冷蔵庫を処分するという方もいらっしゃるかもしれません。
冷蔵庫を処分するには主に以下の方法があります。
処分方法 | 費用の目安 |
---|---|
引越し業者に引き取ってもらう | 要見積もり |
購入店舗に引き取ってもらう | 5,390~9,200円(リサイクル料含む) |
リサイクルショップで買い取ってもらう | 無料 |
不用品回収業者へ依頼する | 6,000~15,000円 |
冷蔵庫は家電リサイクル法の対象なので、自治体の粗大ごみ回収に出すことはできません。既定のリサイクル料金を支払って処分します。
冷蔵庫の処分方法に関して詳しくは関連記事をご参考ください。
引越し業者を探すときは相見積もりが大切
引越しでは様々な費用が必要となり、出費が高額になりがちです。同じ条件であるならば安い料金で請け負ってくれる引越し業者に依頼したいですよね。
引越し業者を探すときは相見積もりを活用しましょう。複数社から見積もりを取るときは一括見積もりサイトを利用すると便利です。
大手業者だけではなく中小引越し業者も多数参加している一括見積もりサービスであれば、業者選びの幅が広がります。ミツモアには多数の引越し業者が参加しており、地域密着型の業者も数多くいます。
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