冷蔵庫を1〜2人で運ぶ場合、引っ越し業者の運び方を参考にしましょう。引っ越し業者に運搬を依頼すると、運搬用フィットカバーに冷蔵庫を包んだ後、複数の作業スタッフが横に寝かさない状態で運んでもらえます。
冷蔵庫には重い箇所と軽い箇所があり、重心が下部に偏っていることから運ぶときに持つところが重要です。トラブルなく冷蔵庫を運ぶには、前日までに食品を消費したり、水抜きや霜取り作業を行わないと故障する可能性があります。
引っ越し時の冷蔵庫の運び方について自分で運ぶ場合を含め、当日に行う冷蔵庫の運搬や引っ越し3日前に運ぶ準備、引っ越し前日に行う準備と清掃に分けて解説します。
引っ越し時の冷蔵庫はどんな運び方?
引っ越し業者に依頼、または自分たちで冷蔵庫を運ぶとき、下記のような手順で行います。
1.運搬前に床や壁を養生する
引っ越し業者が到着して事前に作業内容を説明した後、床にマットを敷いたり、壁やドアにプラスチック製の保護パネルを貼り付けたりする養生作業を行います。
冷蔵庫をはじめとした荷物の運搬作業で壁や床に傷や穴ができないようにするのが目的です。
もし自分たちで運ぶ際、養生資材がないときはダンボールやガムテープで代用できます。
2.養生テープで冷蔵庫の部品を固定する
衣服や雑貨などが入ったダンボールをトラックに載せた後、冷蔵庫をはじめとした家電の搬出作業を行います。
運び出す前、運搬中に動いたり開いたりしないように、養生テープで冷蔵庫内のトレイやドアを固定します。
3.電源コードを束ねる
運搬中に誤って電源コードを踏まないように養生テープで束ねます。コードをまとめておかないと、絡まってしまったり、コードや冷蔵庫本体を傷つけてしまったりして故障の原因になるからです。
4.フィットカバーで冷蔵庫本体を保護する
運搬中に冷蔵庫本体やドア、壁などを傷つけないように布製のフィットカバーを被せます。運んでいるときにフィットカバーがずれてこないように養生テープでしっかり固定してから運び出します。
自分たちで運ぶ際、布製のフィットカバーがない場合は毛布で代用可能です。ただし危険を伴うため、保護するのが難しい場合は無理をせず、引っ越し業者に依頼しましょう。
5.なるべく縦にして冷蔵庫を運ぶ
念入りに養生作業を行った後、冷蔵庫をトラックへ運び出します。サイズや容量によって変わりますが、運ぶ人数は単身用の冷蔵庫は1~2人で、家族用の冷蔵庫は3〜4人です。
冷蔵庫の中には冷却目的のコンプレッサーが入っています。コンプレッサーは冷蔵庫の下の裏側にあり、重心が偏っているため、冷蔵庫の裏側を持つと運びやすいです。横向きにするとコンプレッサー内の液体が漏れて故障の原因になるため、できるだけ縦向きに運びましょう。冷蔵庫を持つ位置をコンプレッサー側で少し斜めにしてから、下に毛布をはさむ感じに包んだ後、縦向きに運ぶイメージです。
車に冷蔵庫を積む際、横向きの状態で積まないようにしましょう。運搬中の衝撃で本体に傷やへこみができたり、配管が破損してしまい、故障する可能性があるからです。
引っ越しの3日前にする冷蔵庫を運ぶ準備
引っ越し当日に行う冷蔵庫の運び方を確認したところで、円滑に作業が進むための事前準備について解説します。引っ越しの3日前までに行う準備は、以下のとおりです。
1.計画的に冷蔵庫の中身を整理する
引っ越し前日になるべく食品が残らないように計画的に使い切るように整理しましょう。
特に肉や魚、野菜といった生鮮食品や、冷凍食品などは常温で運ぶのは適しません。雑菌が繁殖してしまい、食中毒などを引き起こす可能性があるからです。
引っ越し当日までに「食べきれない」または「使いきれない」食品があれば、この段階で処分するようにしましょう。
2.保存バッグやクーラーボックスを準備する
引っ越し前日までに食品を使いきれそうにないときや、運びたい食品がある場合は、保冷バックやクーラーボックスを準備しましょう。スーパーマーケットやホームセンター、ネットショップなどで購入できます。
あわせて保冷バックやクーラーボックス内に食品を保管するのに備えて、保冷剤も用意しておきましょう。保冷剤がないときは、水を凍らせたペットボトルや氷が入った袋でも代用できます。
3.自動製氷機能を止める
冷蔵庫に自動製氷機能がついているときは、引っ越し日の3日前に停止しましょう。前日に給水タンクの水を捨てるとき、氷や水が残ってしまうケースがあり、取るのに時間がかかってしまうのが理由です。
引っ越し前日にする冷蔵庫を運ぶ準備
引っ越しの前日になったら、トラブルなく冷蔵庫を運べるように下記の準備をしましょう。
1.冷蔵庫の中身を空にする
引っ越し当日に冷蔵庫を運んでもらう際、中に食材が入ったまま運べないので、中身を空の状態にしましょう。食材が残ってしまうときは、事前に用意していた保冷バックやクーラーボックスに詰めた後、保冷剤を入れて保管します。
ただし、長時間保管はできません。加えてトラックの荷台には温度調整機能がなく、外気よりも10〜15度高くなって品質が悪くなります。鮮度を維持したい人は宅配便の「クール便」で生鮮食品や冷凍食品を新居へ送るようにしましょう。
2.冷蔵庫の電源を切ってコンセントを抜く
冷蔵庫の中身を空にしたら、冷蔵庫のコンセントを抜いて電源を切りましょう。運び出す直前に電源を切ると、運搬中に霜が溶けて水漏れが発生し、家財や床が濡れたり、冷蔵庫が故障したりする可能性があります。
冷蔵庫の電源を切ってから、庫内についた霜が溶けるまでには時間がかかります。霜ができていなくても、電源を切ったあとに温度差で結露が発生するため、荷物を運び出す15時間以上前に電源を切るようにしましょう。
3.冷蔵庫の霜取りを行う
製造年が古い冷蔵庫の場合、電源を切った後に冷蔵庫の霜取りを行いましょう。最近の冷蔵庫は霜取りが不要なタイプがありますが、機能がない製品は自分で冷凍室や製氷室についた霜を取ります。
冷蔵庫の扉を開放したままにすれば、自然に溶けるため、ドライヤーで霜を溶かすのは控えましょう。ドライヤーの熱によって故障する可能性があるからです。霜が薄いときは、ぬるま湯で濡らしたタオルで拭き取ります。
4.冷蔵庫の水抜きを行う
冷蔵庫を運んでもらうにあたり、製氷室の給水タンクや蒸発皿(水受け皿)といった庫内に溜まった水を抜く作業を行います。
メーカーや機種によって水抜きの方法は異なりますが、蒸発皿を外して溜まった水を捨てる一方で、外せない場合は冷蔵庫本体を傾けて排水する場合があるので、必ず取扱説明書で手順を確認しましょう。
なお重量のある冷蔵庫本体を傾けるのは危険なので、前日までに引っ越し業者に水抜きを依頼するのがおすすめです。
引っ越し前日にする冷蔵庫の清掃作業
水抜きが終わったら、冷蔵庫の掃除をします。引っ越しの前日に冷蔵庫内が空になるため、この機会に汚れを取り除きましょう。掃除に必要なグッズと手順について解説します。
冷蔵庫の掃除に必要な道具
冷蔵庫を掃除するにあたって、必要な道具は下記のとおりです。
1.中性洗剤(台所用洗剤)
冷蔵庫内はほこりだけでなく、肉や魚のドリップ、調味料の汚れがついています。掃除をするときは、皿洗いなどで利用する台所用の中性洗剤がおすすめです。
研磨剤の入った洗剤やスポンジ、アルカリ性洗剤を利用すると、棚やケースといったプラスチック部品が劣化したり、変色したりする可能性があります。
2.スポンジ(マイクロファイバー)
冷蔵庫のパッキンやドアポケットなどについた汚れを拭き取るのにおすすめのアイテムです。速乾性と吸水力が高いのが特徴で、100円ショップやネットショップで購入できます。
水拭き用と空拭き用と色違いで用意すると便利でしょう。
3.綿棒(古い歯ブラシ)
冷蔵庫の背面や排気口、パッキンといったすき間が小さいところを掃除するのにおすすめのアイテムです。綿棒がないときは、古い歯ブラシでも代用できます。
冷蔵庫を掃除する手順
冷蔵庫を掃除する手順は、以下のとおりです。
- 棚やトレイ、ポケットといったパーツを取り外す
- 中性洗剤(台所用洗剤)やスポンジを使ってパーツを洗う
- 庫内に残っている食材くずなどのゴミを取り除く
- 水で濡らしたファイバークロスで庫内を水拭きする
- 落ちない汚れは中性洗剤を薄めたもので水拭きする
- 綿棒(古い歯ブラシ)でゴムパッキンについた汚れを取り除く
- 取り外したパーツを乾かした後、冷蔵庫内に取り付ける
引っ越し当日に冷蔵庫を設置するときの注意点
引っ越し当日、養生作業を経てダンボールに入った荷物を運び出した後、冷蔵庫をはじめとした大型家電や家具の搬出作業を行います。
新居に運んで指定の場所に冷蔵庫を設置してもらった後、下記のポイントに注意したうえで冷蔵庫の電源を入れて、食品を入れるようにしましょう。
1.冷蔵庫のドアが開く向きを考慮して設置してもらう
多くの冷蔵庫は扉が開く向きが決まっており、台所で作業する位置から中身が見えるように開けるのがおすすめです。冷蔵庫本体だけでなく、横にある戸棚の開き方にも注意したうえで冷蔵庫を設置してもらうようにしましょう。
2.十分な放熱スペースを確保する
冷蔵庫は稼働時に放熱するため、周りに熱を逃がすスペースを作る必要があります。天井・背面の壁・左右との間を数センチ離して設置しましょう。
壁と冷蔵庫の距離は各メーカーで示している場合があるので、取扱説明書やホームページなどで確認することをおすすめします。
3.温度が高くなりやすい場所を避ける
日当たりが良い場所やコンロの真横など、温度が高くなりやすい場所は極力避けて配置しましょう。内部を冷やすために電力消費量が増えてしまう可能性があります。
4.設置から10分後を目途に電源を入れる
メーカーや製品によって変わりますが、現在販売されている製品の場合、設置後すぐにコンセントを差して電源を入れても問題ありません。
ただし、コンセントに差してから一度プラグを抜いた場合、コンプレッサーへの負荷を防ぐため10分ほど時間を空けてから再度差し込むことをおすすめします。
運搬中に冷蔵庫の傾きや振動で内部の冷却液が不安定になっており、すぐに稼働しようとすると故障してしまう可能性があるからです。
5.冷蔵庫の電源を入れてから4~10時間後に食品を入れる
冷蔵庫の電源を入れた後、生鮮食品や冷凍食品を入れるのは、冷蔵庫内が十分冷える4〜10時間後にしましょう。冷えない状態で食材を入れてしまうと、傷んでしまう可能性があるからです。
なお夏場は暑いため、完全に冷えるまで24時間かかることもあるので、食品を保管しているクーラーボックスに保冷剤を補充するなど、十分注意が必要です。
引越しを機に冷蔵庫を処分する4つの方法と費用の目安
引っ越しのタイミングで冷蔵庫を買い替えて、古い冷蔵庫を処分する場合、下記の方法で処分してもらうようにしましょう。
冷蔵庫の処分方法 | 費用の目安 |
家電量販店に引き取ってもらう | 4,290~14,329円(家電リサイクル料含む) |
引っ越し業者に引き取ってもらう | 要見積もり |
リサイクルショップで買い取ってもらう | 無料(状態次第で引き取り費用がかかる場合あり) |
不用品回収業者へ依頼する | 6,000~15,000円 |
1.家電量販店に引き取ってもらう
家電量販店などの店舗で、新品の冷蔵庫を買い替えたときに引き取ってもらうのが最も一般的な方法です。
買い替えとあわせて回収できるため手間がかからない一方で、3,740~4,730円のリサイクル料と、550〜8,240円の収集・運搬料金がかかるため、注意が必要です。
2.引っ越し業者に引き取ってもらう
引っ越し業者によっては、冷蔵庫を含む大型家電・家具の買取や回収サービスを提供しているところがあります。引っ越し当日に古い冷蔵庫を回収してもらうことができ、別途スケジュールを立てることなく、荷造りができます。
ただし回収費用は家電量販店より高くなる可能性があるため、見積もり時に確認しましょう。
3.リサイクルショップで買い取ってもらう
リサイクルショップで不要な冷蔵庫を買い取ってもらうのも選択肢のひとつです。容量や製造年、付属品の有無などによっては、処分費用がかからず、高い価格で買い取ってもらえるケースがあります。
その一方で製造年数が経っているものや部品が揃っていないものなどは、買い取ってもらえないほか、かえって引き取り費用を請求されるところもあるので注意しましょう。
買取相場の目安は3,000〜50,000円です。
4.不用品回収業者へ依頼する
リサイクルショップで買い取ってもらえないときは、不用品回収業者に冷蔵庫の引き取りを依頼しましょう。冷蔵庫は家電リサイクル法の対象商品のため、自治体の粗大ごみ回収に出すことはできません。
不用品回収業者に依頼すれば、自宅を訪問して回収してもらえます。運搬の手間がかからない一方で、家電量販店よりも処分費用が高くなる可能性があるため、見積もりを取ってから判断しましょう。
回収費用の目安は6,000〜15,000円です。
冷蔵庫を丁寧に運んでもらえる引っ越し業者を探そう
引っ越しで冷蔵庫を運んでもらう際、中身を空の状態にしたり、水抜きや掃除をしないと運搬中に水が漏れてしまい、故障の原因になります。円滑に運べるように準備を進めるのと同時に、冷蔵庫を含め、荷物を丁寧に運んでもらえる引っ越し業者を探しましょう。
ミツモアなら、冷蔵庫を含めた家電の数や引っ越し先の住所など、簡単な質問に答えるだけで最大5つの業者から見積もりが届きます。料金やサービス内容を比較したうえで決められるほか、チャットで冷蔵庫の運び方を含めて相談できるので、安心して依頼できるでしょう。