引っ越したときに忘れてはいけない手続きのひとつが郵便物の転送手続きです。旧居が実家であればまだしも、賃貸物件から賃貸物件へ引っ越した場合、旧居に届いた自分宛の郵便物を取りに戻ることはできません。


転送手続きをしない人もいますが、手続きそのものは非常に簡単です。引っ越し時の郵便の転送手続きに必要なものや手順、転送の注意点などをご紹介いたします。
引っ越し先に郵便物を転送してもらう申請方法は3つ
郵便物の転送サービスの申請方法は、インターネット、窓口、郵送の3種類があります。
宛先の住所と氏名をもとに転送をするため、家族のうち特定の1人に届く郵便物のみ転送できます。
手数料 | なし(無料) |
転送期間 | 届出日から1年間 |
手続き期間 | いつでも可能 |
同時に手続きできる人数 | 最大6人 |
転送手続きが完了した後に、日本郵便社員の現地訪問や旧住所宛に確認書類発送などの方法で、転居の事実確認を行うことがあります。
e転居で申請
引っ越しが決まったらe転居で申請を行うことをおすすめします。インターネット環境があれば24時間いつでも手続きができるため、忙しい引っ越し作業の合間にも申請できます。
必要なもの
- ゆうびんID(登録時にメールアドレスが必要)
- 顔写真つきの本人確認書類(マイナンバーカード推奨)
- 音声通話機能を利用できるスマートフォンまたは携帯電話
e転居からの申請手順
- ゆうびんIDでログインする
- 本人確認書類をオンライン上で提出
- 転居先の登録
- 6桁の確認番号と転居届受付センターの電話番号が表示される
- 転居届受付センターに電話をかける
- 音声ガイダンスに従い6桁の確認番号を入力
ゆうびんIDはオンラインで簡単に作成できます。e転居の申請だけでなく、再配達申し込みや集荷の申し込みなどにも利用できます。
e転居の申請で提出する本人確認書類は電子証明書を有効にしているマイナンバーカードがおすすめです。マイナンバーカードを読み込ませ、電子証明書用の暗証番号を入力するだけで本人確認が完了するため、申し込み完了までのスピードが早いです。
もし電子証明書が無効になっていても通常の本人確認方法を利用できます。こちらの審査は最大で3日ほどかかります。引っ越しシーズンは受付が混雑することが予想されます。マイナンバーカード読み取りで申請できるようにしましょう。
郵便局の窓口で申請
郵便局の窓口には転居届が備え付けられてあります。NHK宛てにも同時に住所変更の通知を送れるタイプの転居届もあります。NHKの受信契約を結んでいて、引っ越し後も引き続きNHKと契約をするという方は、窓口の転居届を使って手続きを一括で終わらせると良いでしょう。
窓口へ転居届を提出する場合は、提出者のほかに転居者1名の本人確認が必要です。提出者と転居者が異なるのであれば転居者の本人確認書類はコピーなどの写しでかまいません。
転居届を郵送して申請
郵便局の窓口にある転居届には専用の封筒がついています。必要事項を記入し、提出者の本人確認書類の写しを添付して投函することでも、郵便物転送の依頼ができます。
専用封筒に切手を貼り付ける必要はありません。窓口に行って転居届だけもらい、自宅で記入して提出するということもできます。
郵便の転送依頼をしないとどうなる?
「普段はメールやアプリを使っているから、家に届く郵便物なんてダイレクトメールくらい。だから転送なんて必要ない」と思われるかもしれません。しかし転送依頼をしないと以下のデメリットがあります。
カード会社などから大切なお知らせが届かない
カード会社や生命保険会社、銀行など金融関係の会社から届く郵便物は、契約に関する事項などが記載されている重要なものです。重大な通知を受け取れずに損害を受けることも考えられます。
たとえばカード利用料金の延滞のお知らせを受け取れず、超過の利子を余分に払ったり、カードの利用停止を受けたりする可能性もあります。郵便物を受け取れなかったから知らない、と主張しても認められることは難しいため、転送依頼をすることをおすすめします。
新居に住所変更をしたとしても変更以前に発送されたものは旧居に届いてしまうため、万が一のことを考えると郵便の転送依頼は必須と言えるでしょう。
個人情報の流出につながる
普段捨ててしまうことの多いダイレクトメールですが、これには思っている以上の個人情報が詰まっています。
宛先に書いてある住所や氏名だけでなく、ダイレクトメールの発送元から個人の趣味嗜好の推測ができます。悪意のある第三者の手に渡ってしまったら悪用される危険性があります。
また、自分のあとの入居者が適切に郵便物を処分してくれるとも限りません。裁断や目隠しなどをせず、そのままゴミとして捨てることも考えられます。自分自身の身を守るためにも、「ダイレクトメールくらいしか届かないから」とは考えずに郵便物の転送手続きを行いましょう。
郵便物を転送してもらうときの注意点
郵便物の転送サービスは非常に便利ですがいくつかの注意点があります。サービス利用前にきちんとチェックしておきましょう。
申し込みから転送開始まで3~7日かかる
郵便物には様々な個人情報が含まれるため誤配達は大きな問題になります。そのため郵便転送の手続きは慎重に進められ、手続きの完了まで数日かかります。そのため申し込みをした翌日から転送をしてもらえるということはありません。
転送開始までは書類に不備がなければ3日、別途確認事項があった場合は7日ほどかかります。どうしてもこの日から転送をしてほしいという希望日があるのなら、早めに手続きをして転送開始希望日を記入しておきましょう。
転送してもらえるのは届出日から1年間
郵便物の転送は届出日から1年間のみ有効です。早い段階で手続きをすればするほど、実際の転送期間が短くなってしまう点には注意が必要です。
転送期間を途中で短くすることはできません。転送期間中に再び引っ越した場合は、再度転送届を提出します。
たとえばA宅からB宅への転送を依頼していた人が、転送期間内にC宅へ引っ越し、新たに郵便物の転送依頼をするときは、AからC、BからCへ転送してもらう必要があるため、2枚の転居届を提出する必要があります。
転送不可・転送不要の郵便物がある
転送依頼の手続きが完了すればすべての郵便物を転送してもらえるかというとそうではありません。
送り主が「転送不可」「転送不要」とした郵便物は、宛先の住所に住んでいなければ返送して欲しいという意思表示をしたものです。転送届を出していても転送してもらえないため注意が必要です。
転送不可に指定される郵便物は、受け取り時に本人確認が必要な書類が主です。クレジットカードやキャッシュカードのような金融関係、健康保険証、税金や保険の納付書などが挙げられます。
民間宅配業者の荷物は別途手続きが必要
ヤマト運輸や佐川急便など民間宅配業者の荷物については、それぞれの業者で手続きが必要です。民間宅配業者では登録制の転送サービスはなく、営業所に直接連絡をして転送をしてもらいます。
引っ越し直前直後はフリマアプリやECサイトの利用を控え、住所変更を完了させてから再利用することをおすすめします。民間宅配業者の場合、営業所への電話という手間がかかる上に運賃が発生することがあるためご注意ください。
ホテルや病院にも転送してもらえる
短期間の出張や入院などで自宅を空ける場合、ホテルや病院にも転送してもらえます。出張や入院が終わったあとに、自宅宛てに転送届を出すことを忘れないようにしましょう。
住民票を異動していなくても郵便物の転送申請はできる
役所に提出する書類も、郵便の転送依頼を出す書類も同じ「転居届」であり混同してしまいがちですが、この2つはまったく別の書類です。単身赴任やリフォーム中の一時的な引越しなどで住民票を移していなくとも、郵便局に転居届を提出すれば郵便物を転送してもらえます。
新居に郵便物が届かないときの原因は?
新生活を始めてしばらく経ってもなかなか郵便物が届かないと不安になってしまいますよね。郵便物が届かない原因は4つ考えられます。
1.郵便局に転居届を出していない
役所へ提出する転居届と郵便局に提出するものを混同してしまい、郵便の転送手続きをしたと思い込んでいる可能性があります。
郵便局へ転居届を出したかどうか確認するには、郵便局の転居届受付状況確認サービスを利用しましょう。転居届受付番号を入力すると、転居届を出したか確認できます。
そもそも転居届受付番号に心当たりがないのであれば郵便物の転送手続きを行っていない可能性が高いです。
2.手続きした住所に誤りがあった
住所に不備があった場合は手続きが完了しないため、転送も開始されません。転居届受付状況確認サービスをまめに確認し、不備があって受理されなかったときは再度手続きをやり直しましょう。
3.表札を出していない
防犯の観点から表札を出さない家庭も多いですが、郵便物を確実に受け取りたいのであれば少なくとも転送期間中の1年間は表札を出すようにしましょう。特に転送開始直後は、本当にその住宅に住んでいるのかを確認するためにも、表札の名前と宛先の名前を照合します。大切な郵便物をすぐに受け取るためにも、転送期間中は表札を出すことをおすすめします。
4.転送手続きが完了していない
郵便物の転送依頼をしてから手続きの完了までは、おおよそ3~7日ほどかかります。転送手続きをして時間が浅いのであれば、手続きが完了していない可能性が高いです。郵便物が届くのを待ちましょう。
郵便物が届くまで待っていられないという方は、転居届受付状況確認サービスに転居受付番号を入力し、手続きの状況を確認しましょう。
転居受付番号は、e転居であれば受付時に入力したメールアドレスに記載があります。窓口や郵送で提出した場合はお客様控・記入要領の右上に記載されている番号です。
前の住民の郵便物が届いたらどうする?
他人宛の郵便物を勝手に廃棄することは犯罪です。郵便法77条では、他人の郵便物を勝手に捨てたときは3年以下の懲役または55万円以下の罰金に処すると定めています。
前の住民の郵便物が届いたときにやるべきことをご紹介いたします。
郵便物を開封していない場合
開封する前に誤配達に気づいたら、付箋などに誤配達であることを記載し、はがれないようにセロハンテープなどで貼り付けます。そのままポストに投函するか、郵便局に持って行き職員に渡しましょう。
もし複数の郵便物がある場合は、輪ゴムなどでひとつに束ねましょう。1番上の封筒にのみ誤配達を通知する紙を貼れば良いので手間が少なくなります。ポスト投函時にばらばらにならないように複数の輪ゴムで束ねるか、郵便局の窓口に持って行くことをおすすめします。
郵便物を開封してしまった場合
開封してから誤配達に気づいたときは少々手間が増えてしまいます。
まずは開けてしまった郵便物を補修します。セロハンテープ等で留め、中身が飛び出したりしないようにします。次に自分の住所と氏名、誤って開封してしまったことを記載した紙を貼り付け、ポストに投函するか郵便局の窓口に持ち込みましょう。
メール便が届いた場合
まずはどの宅配業者のメール便であるかを確認します。配送した業者に連絡をし、現在は別の人物が住んでいることを伝えましょう。多くの場合配送業者に連絡をすれば解決しますが、ダイレクトメールの場合は発送元の企業が古い情報に基づいて発送を続けることがあります。
何度も同じ企業から別の宛先のメール便が届くのであれば、少し手間がかかりますが直接その企業に電話連絡をしましょう。
宅配便が届いた場合
最寄りの営業所に電話をし、前の住人の宅配物が届いた旨を伝えます。配達員さんが荷物の引き取りに来てくれるため、荷物と伝票を渡しましょう。ポストに不在票が入っていた場合も営業所に連絡をすれば、宅配業者が所定の手続きを取ってくれます。
身に覚えのない宅配便が届いたときは送りつけ詐欺にご注意ください。悪意のある業者が代引き払いで荷物を勝手に送りつけ、金銭を詐取するという詐欺行為です。
また金銭を詐取するだけでなく、荷物が届いたことを確認し別の犯罪を行う犯罪集団もいます。ご自分の身を守るためにも、身に覚えのない荷物は受け取り拒否をし、送り主のもとに返しましょう。
やることが多い引っ越しは業者探しを効率よく進めよう
引っ越しは各種契約の変更申請などやることが非常に多いです。引越し業者探しをするときは効率よく行いましょう。
引っ越し業者を探すときに一括見積もりサイトを利用するのであれば、ミツモアがおすすめです。最大5人のプロからの概算見積もりが届くため、提示された料金とサービス、業者の評判をじっくり見極めることができます。
またミツモアには多くの中小引越し業者が登録されています。同じ荷物量と移動距離であっても大手業者より安い料金で引っ越せることがあります。引っ越し料金の節約を考えているならば中小業者を探しやすいミツモアがおすすめです。