引っ越したらパスポートも何らかの手続きが必要なのではないかと思う方もいるでしょう。
実際のところパスポートは現住所を証明する書類ではないので、引越しで住所が変わっただけなら手書きで修正するだけで使い続けられます。
ただし本籍地や氏名が変わった場合には申請が必要です。
住所を書き換えるときの注意点や変更申請が必要なケースについて解説します。
引っ越してもパスポートの住所変更手続きは原則不要
パスポートは現住所を証明する書類ではないので、引っ越しても住所変更手続きが必要ありません。
2020年以前に発行されていた旧パスポートでは手書きの所持人記入欄がありましたが任意で記入するもので、住民票との一致を確認することはありません。
2020年以降に発行された新パスポートについては所持人記入欄がなくなり、そもそも住所を書くこともなくなりました。
所持人記入欄がある旧パスポートは手書きで修正する
引越しで住所が変わっただけの場合は、パスポートの住所変更のために申請や手続きをする必要はありません。
パスポートの最後にある「所持人記入欄」記載の旧住所に二重線を引き、新しい住所を記入するだけで訂正は完了します。
パスポートの住所を手書きで変更するときの注意点
パスポートを手書きで修正するときには2つの注意点があります。
- 旧住所を修正テープや修正液で消さない
- 新住所が書ききれない時でも欄外に記入しない
手書きで修正できるとはいえ、パスポートは公的な書類です。
修正テープなどで元の記載が見えないようにすると偽造を疑われます。
また新住所が書ききれないからと他のページや欄外に記載すると、これもまた偽造・変造という扱いになります。
入国審査に時間がかかるなどのトラブルが発生する要因となるため注意してください。
所持人記入欄のない新パスポートは対応不要
2020年2月4日以降に発行された新パスポートには所持人記入欄の代わりに「緊急連絡先記載欄」が設けられました。
この場合はパスポートの持ち主の住所を書く部分がないため、住所変更をしても書き換えの必要はありません。
なお緊急連絡先記載欄も任意記入のため、記入事項に変更があっても訂正は不要ですし、記入しないで使っていてもパスポートの効力に違いはありません。
本籍地や氏名に変更がある場合:パスポートの変更手続きが必要
本籍地を変更したり、結婚などにより氏名が変わったときにはパスポートの変更手続きが必要です。
住所とは違い手書きでの訂正はできません。
ただし本籍地や氏名が変わっても、パスポートの変更手続きが必要ないケースもあります。
- 同一都道府県内で本籍地を変更した場合
- 漢字氏名が変更になったが、読みが変わらない場合
氏名の読みに関してはパスポートに記載されるヘボン式ローマ字を基準に考えてください。
たとえば小野 明子(おの あきこ)さんが結婚して大野 明子(おおの あきこ)さんになったとき、ヘボン式ローマ字の表記ではどちらも「ONO AKIKO」です。
このケースでは氏名の読みが変わらないことになるので手続き不要でパスポートを使い続けられます。
パスポートの変更手続きは2種類ある
パスポートの変更手続きは記載事項変更旅券発給申請と切替申請の2種類があります。
パスポートの有効期限が十分にある場合や査証欄が見開き3ページ以上あるのならば「記載事項変更旅券発給申請」をし、有効期限が1年未満や査証欄が見開き3ページ以下の場合は「切替申請」を行いましょう。
記載事項変更旅券発給申請 | 切替申請 | |
---|---|---|
手続き場所 | パスポートセンター | パスポートセンター |
手数料 | 6,000円 | 有効期限が10年の場合:16,000円
有効期限が5年の場合:11,000円 12歳未満の場合:6,000円 |
受け取りまでにかかる時間 | 申請日含め6営業日 | 申請日含め6営業日 |
有効期限 | 現在所有しているパスポートと同じ | 発行日から10年または5年後 |
必要書類 |
|
|
代理人による申請 | 可能 | 可能 |
代理人による受け取り | 不可 | 不可 |
記載事項変更旅券発給申請
記載事項変更旅券発給申請をする基準は以下の通りです。
- パスポートの査証欄が見開き3ページ以上ある
- 有効期限が1年以上ある
記載事項変更旅券発給申請は手数料が6,000円と安く負担が少ないです。
単身赴任や学生の1人暮らしなど、住民票を異動していない人が現在住んでいる場所でパスポートの申請をするときには住民票の写しが必要になるので注意してください。
切替申請
切替申請をする基準は以下の通りです。
- パスポートの査証欄が見開き3ページ以下
- 有効期限が1年未満
切替申請は手数料が大人用10年だと16,000円かかり負担が大きいですが、有効期限や査証欄の残りページによっては切替申請をした方が負担が少ないことがあります。
氏名・本籍地の都道府県名に変更があった場合には戸籍謄本を、住民票を異動していない人が居所申請をする場合は住民票の写しをそれぞれ用意する必要があります。
期限切れの場合:パスポートの新規申請をする
パスポートの有効期限が切れているのであれば無効な書類であるため、記載事項変更旅券発給申請と切替申請のどちらもできません。
パスポートの新規申請をして新しいパスポートを発行してもらいましょう。
パスポートを新しく作るにはいくつか用意するものがあります。
- 一般旅券発給申請書
- 戸籍謄本
- 顔写真
- 本人確認書類
- 手数料
住民票上の住所と異なる都道府県で申請する場合などは住民票の写しも必要です。
パスポートの発行に関する手数料は以下の通りです。
パスポートの種類 | 手数料 |
---|---|
10年間有効 | 16,000円 |
5年間有効(12歳以上) | 11,000円 |
5年間有効(12歳未満) | 6,000円 |
住所変更後もパスポートは身分証明書として使える?
他の公的身分証明書を持っていないため、パスポートを身分証明書として使っている人は少なくありません。
手書き訂正したパスポートも身分証明書として変わらず利用できるのか気になるのではありませんか?
旧パスポートは住所を書き換えれば利用できることもある
そもそもパスポートは現住所を確認するための書類ではありません。
パスポートは海外で使うことが前提であり、海外滞在中は国籍や本籍地、氏名、性別が重要な情報です。
ただし所持人記入欄がある旧パスポートは住所を書き換えれば、現住所を確認できる書類として利用できることがあります。
しかしその場合も公共料金の受領証や住民票などの補助書類が必要となるケースが多いです。
新パスポートのみでは本人確認書類として利用できない
2020年以降に発行された新パスポートには所持者の現住所を記載する欄がないため、本人確認書類としては不十分です。
現住所の証明に使いたいのであればマイナンバーカードや運転免許証など、ほかの身分証明書を用意しましょう。
引越し手続きは全体像を把握して抜け漏れなく済ませよう
引っ越しても基本的にパスポートの手続きは必要ありませんが、他にもやるべきことが多くあります。以下の記事では全体像をまとめているので、手続き漏れがないようにチェックしておきましょう。
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