冷蔵庫は前後に移動するだけなら、1人で簡単にできます。しかし部屋をまたぐ移動や、違う階への移動はプロに依頼しましょう。冷蔵庫は重い家電なので、故障やケガの原因になりかねません。引越し業者や便利屋なら家具1点だけの移動も受け付けています。
冷蔵庫を少しだけ移動させる場合
冷蔵庫の裏側は意外と汚れやすい部分です。「少し動かせれば掃除できるのに」と思うことも、あるかもしれません。実は前後の移動なら、1人でも簡単にできます。
キャスターで前後移動は簡単
冷蔵庫下部にはキャスターが付いていて、前後の移動ができるように作られています。キッチンの冷蔵庫スペースは、冷蔵庫を置くのにギリギリであることも多いですが、引越し作業員はぴったりと設置しています。それは冷蔵庫にキャスターが付いていて、最後は押すだけでよいからです。
キャスターを利用して、冷蔵庫を動かす手順を説明します。
- 手順1:冷蔵庫の電源コードを抜き、前面の下部カバーを手前に引いて外す
- 手順2:左右2カ所の調整脚を緩める。反時計回りに回すと調整脚が浮き、キャスターが使える
- 手順3:冷蔵庫前面の下部に手を掛けて、手前に引き出す
作業時は必ず軍手などを着用し、手指を傷つけないように注意しましょう。
元の位置に戻した後は、必ず調整脚を締めます。調整脚を締めないと、地震などで不用意に動くおそれがあるためです。電源はすぐには繋がず、10分ほど待ちましょう。
左右移動には毛布などを利用
冷蔵庫を左右に動かすときは、毛布などを敷いて引っ張りましょう。
「キャスターで前後移動は簡単」で説明した「手順2」の要領でストッパーを緩めた後、冷蔵庫の前に毛布を敷きます。次に毛布の上に引っ張り上げるように、冷蔵庫を手前に動かします。
冷蔵庫が完全に毛布の上に乗ったら、毛布を引っ張ることで左右に移動可能です。長距離の移動は無理ですが、掃除程度なら十分に目的を果たせます。移動の際は床材を傷つけないように、注意しながら行いましょう。
クッションフロアにはアイテムを
床材が柔らかいクッションフロアのときは、調整脚もキャスターも床にめり込んでいて、動かせない状態になっていることがあります。その場合は市販のアイテムを使うと便利です。リーズナブルな価格のものが多いので、試してみてもよいでしょう。
テコの原理を利用して、約5分の1の力で持ち上げることができます。冷蔵庫の底に「押し上げ棒」の先を差し込み、押し上げます。四隅に台車をかませれば完了です。手軽に利用できることがメリットですが、難点は冷蔵庫の周囲にスペースが必要なことです。
冷蔵庫に荷物固定ベルトを掛け、肩掛け用ベルトをつないで、2人で持ち上げます。本来の重さの半分ほどに感じるとされています。ベルト自体はかさばらず、保管しやすいのがメリットです。また冷蔵庫の周囲にスペースがなくても、ベルトを通せれば運び出せるので便利です。ただし1人では危険なので、2人で移動させましょう。
冷蔵庫を大きく移動させる際の準備
キッチン・リビングの模様替えなどで、冷蔵庫を大きく移動させるときは、以下に説明するような準備が必要です。前日までに済ませておきたいこともあるので、事前にチェックしましょう。
冷蔵庫を空にする
最初に冷蔵庫の食品を全て出します。移動時にこぼれたり、容器が破損したりするのを防ぐためです。また少しでも軽くした方が、移動させやすいからです。同様に製氷皿や蒸発皿も、忘れずに空にします。
引越しで冷蔵庫を移動する場合は、長時間冷蔵庫を使用できなくなるので、食品は使い切るのがおすすめです。どうしても残ってしまった食品は、常温保存できるものなら段ボールに詰めます。冷蔵保存が必要なものは、クーラーボックスへ入れると、短時間なら保存可能です。
冷蔵庫の電源プラグを抜く
電源スイッチのある冷蔵庫は、電源スイッチで電源を切ってからプラグを抜きましょう。電源が入っていると、冷却機能が働いたままなので、冷却器に霜が付きます。電源を切ると霜がとけて水がしたたり落ちるため、移動中に水漏れする原因になります。
霜が溶けるまでにどのくらいの時間が必要かは、メーカーや機種によっても異なります。取扱説明書やメーカーの公式サイトで事前に確認しましょう。引越しの前日までに、忘れずに電源プラグを抜く必要があります。
引越しなら水抜き・霜取りも
冷蔵庫内が常温になると、霜が溶けて蒸発皿に溜まるので、その水を捨てます。蒸発皿は冷蔵庫の背面や、目立たない位置にあるので、探してみましょう。
霜取りは電源を切ってから16時間ほどかかるので、引越し前日の早い時間帯に始めるのがおすすめです。自動製氷機能は24時間前にスイッチを切り、氷と水を捨てましょう。模様替えなど短時間の移動なら、水抜き・霜取りはしなくても大丈夫です。
メーカーによって霜取りの方法が異なることがあるので、確認が必要です。例えば日立の最近の冷蔵庫には、蒸発皿がなく、冷蔵庫を後ろ向きに倒して水抜きをします。他のメーカーでも、蒸発皿の位置が分かりにくいことが多いので、取扱説明書や、メーカーの公式サイトで事前に確認しましょう。
冷蔵庫内を清掃する
冷蔵庫を移動するときは、庫内清掃のチャンスでもあります。普段は食品でいっぱいなので、拭き掃除がしにくいかもしれませんが、これを機にしっかり掃除しましょう。
用意するものはスポンジ、拭き取り用の布、食器洗い用洗剤、アルコール除菌スプレー、重曹などの掃除用品です。
- 手順1:冷蔵庫内の取り外せるパーツを全て外す
- 手順2:食器洗い用洗剤で洗い、乾かす
- 手順3:アルコール除菌スプレーで除菌する
- 手順4:重曹水で拭く
冷蔵庫内のパーツを残したままにすると、移動中に外れて破損・故障の原因になります。手順1でしっかり処置しておきましょう。また手順4の重曹は、汚れを落とすだけでなく、臭い防止の効果もあります。
冷蔵庫を大きく移動させる際の注意点
部屋の模様替えで冷蔵庫を移動させるときは、以下の注意点を守りましょう。引越しで冷蔵庫の移動を業者に依頼している場合は、業者が行ってくれます。
冷蔵庫本体や通路の養生
冷蔵庫本体や移動の通路になるところは、床や壁が傷つかないように養生します。まず冷蔵庫のドアが開かないように、養生テープで固定します。さらに冷蔵庫を毛布などでくるんでおきましょう。部屋をまたいで移動させる場合は、廊下や壁も段ボール材などを貼り巡らします。
通路の幅は、冷蔵庫の大きさよりもプラス10cm余裕が必要です。ドアを通せない場合は、蝶番(ちょうつがい)を外す方法もあります。軍手などを着用して、2人以上で移動させましょう。難しい場合は業者に依頼します。
冷蔵庫を横にしない
冷蔵庫を長時間横にすると、コンプレッサー内のオイルが冷却システムに流れ込み、故障の原因となります。また冷蔵庫は横からの衝撃に弱いので、傷やヘコミが生じたり、配管が変形・破損したりするおそれがあります。
横にして運搬した後で電源を入れても冷却できない場合は、故障している可能性があるため、メーカーのお客様窓口や、お買い上げ店舗などに相談しましょう。
階段移動するときだけの短時間なら、斜めにしても問題ありませんが、なるべく縦にして移動させるのがベストです。
冷蔵庫を設置する際の注意点
冷蔵庫を移動し終わって設置するときの注意点は、以下のようなものがあります。移動させた後も気を抜かず、最後まで安全に設置しましょう。
床は水平か・壁との距離は十分か
冷蔵庫は重い家電なので、水平で丈夫な床材を使っているところに設置する必要があります。古い戸建て住宅では、キッチンの床が傷んでいることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
意外と見過ごされがちなのが、電源ケーブルが届くところに、コンセントがあるかどうかです。移動が大変な家電なので、事前に必ずチェックしておきましょう。
さらに冷蔵庫と壁・天井の距離は十分かどうかも確認します。冷蔵庫は庫内を冷却するために放熱しており、放熱板の近くに壁があると放熱できず、故障の原因となるからです。一般的には冷蔵庫の左右はmm以上、上部は50mm上の空間が必要です。
電源プラグを繋ぐタイミング
設置が完了したら、水漏れしていないかなどを確認して、電源プラグを繋ぎます。電源プラグを繋ぐタイミングはメーカーによって異なるので、取扱説明書や公式サイトで確認しましょう。
電源を入れたからといって、あわてて食品を入れてはいけません。庫内が十分に冷却されるまでに、数時間から24時間かかります。またメーカーによっては、一度電源プラグを抜いた場合、時間を空けて再接続するように推奨しているところもあります。
冷蔵庫の移動はプロに依頼することもできる
少しの距離であれば、1人でも冷蔵庫の移動は十分に可能です。冷蔵庫のキャスターを利用すれば、前後移動ができるので、大掃除などの際はトライしてみましょう。
ただし自力での移動に不安を感じる場合や、部屋や階をまたぐ移動の場合は、無理をせず業者に依頼するのがおすすめです。
便利屋に依頼する
冷蔵庫のみの移動は、便利屋に依頼することも可能です。便利屋の料金は引越し業者と違って、次のような料金体系になります。
冷蔵庫移動の料金=(2,500~5,000円)×作業時間×人数+出張費
出張費というのは現場に出向くための費用という意味で、1人につき2,000~3,000円と考えましょう。便利屋は小規模な業者が多いこともあり、業者によってかなり料金差があります。見積もりサイトで複数業者から見積もりを取れば、より安く依頼できる可能性があります。
ミツモアでは最大5件の見積もりを取ることが可能です。「地域密着タイプの便利屋さんに頼みたい」というような希望があれば、コメント欄に書いておきましょう。口コミ情報も豊富なので、より現実的な選択ができます。
引越し業者に依頼する
引越し業者は、家具1点だけの移動でも受け付けています。高齢者の一人暮らしも増えているので、需要は高いようです。
料金相場は同じ部屋内の移動なら3,000~5,000円、階段移動は追加料金2,000~1万円くらいです。あくまでも目安と考えるとよいでしょう。引越し業者によってや冷蔵庫のサイズ、作業に必要な人数でも料金は変わります。
さらに階段移動が無理な場合は、窓から吊り上げる作業をすることになりますが、その場合はクレーン車を使うか人力で吊り上げるかで、料金は変わります。
引越し業者に依頼する場合は、引越しの繁忙期を避け、平日の時間帯指定なしでの依頼がおすすめです。理由は割引してもらえる可能性があるためです。