企業に固定電話があると、電話応対のために出社する必要が生じたり、取り次ぎ業務が負担になったりします。さらに、NTTは2024年1月から電話回線をアナログ回線からIP網へ切り替えることを開始しており、この動きは固定電話の今後の在り方を見直すきっかけとなっています。
すでに設置している固定電話が使えなくなるわけではありませんが、これを機に固定電話の廃止を検討している企業も多いのではないでしょうか。
今回の記事では固定電話の廃止を取り巻く背景や、メリット・デメリット、代わりとなるサービスについて解説します。
企業の固定電話を廃止するメリット
固定電話を廃止することによって、電話の取次ぎ対応に割く時間をほか業務に充てることができます。さらに維持費が不要になるのでコスト削減につながるだけでなく、事業や組織の拡大や変更、それに伴うオフィスのレイアウト変更にも対応しやすくなります。
業務に集中できる環境を確保できる
固定電話を廃止することで、社員が電話応対のために出社したり、電話の取り次ぎ対応に時間を割く必要がなくなります。個別のスマートフォンやクラウド電話を活用すれば、電話は担当者に直接つながり、場所を問わず対応が可能です。
社員はリモートワークでも安心して業務に集中でき、取り次ぎのための中断も減少します。、結果として、仕事の効率が上がり、社員一人ひとりが本来の業務に専念できる環境を整えられます。
コスト削減で経営効率を向上させられる
固定電話の設置には導入費用に加えて、維持費や通話料金などのランニングコストがかかります。企業の固定電話を廃止すれば維持費や通話料金が不要になり、コスト削減が実現するため経営資源の無駄が減ります。
また将来的に組織再編や事業拡大、事務所の移転をおこなう場合、固定電話があると電話回線の工事が必要です。固定電話がなければ費用がかからないため、柔軟に対応できます。
オフィスのレイアウト変更がしやすくなる
企業に固定電話を設置していると、電話機器につなぐ配線の配置が必要です。オフィスのレイアウトを変更する際、電話の置き場所を考えなければならず、思うようなレイアウトにできないケースもあるでしょう。
固定電話を廃止すれば、電話機器をどの席に置くか、配線はどうするかといった点を考える必要がなくなり、レイアウト変更がしやすくなります。
どの席にも電話機が置かれていない状態なら、オフィス内で固定席を決めず、好きな席で仕事をする「フリーアドレス」を導入する際も便利です。
事業や組織の拡大や変更に対応しやすい
固定電話が設置場所に依存しており、事業規模オフィスの移転、新拠点の開発等によって電話回線の増設や移転が必要となります。しかし、その場合には工事が必要となり、時間と費用がかかってしまいます。
一方で固定電話を解約してクラウドベースのIP電話や携帯電話などのモバイル通信に切り替えることで、事業や組織の拡大や縮小にも柔軟に対応しやすくなります。また、ユーザーがどこにいても同じ番号を利用できるため、リモートワークやフレキシブルな働き方にも対応しやすくなるでしょう。
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企業の固定電話を廃止するデメリット
企業の固定電話を解約すると、便利になることばかりではありません。代表番号がなくなるため企業の信用リスクが低下する恐れや、従業員にとって仕事とプライベートの線引きが難しくなる恐れがあります。
企業の信用が低下するリスクがある
企業に固定電話を設置していると、固定電話の代表番号を持っていることになります。固定電話を廃止して代表番号がなくなったり、代表番号が携帯番号になったりすると、企業の信用が低下するおそれがあります。
固定電話や代表番号がなくても企業を経営できるため、必ずしも必要なものではありません。しかし日本には「代表番号がある企業なら安心」という風潮があります。
企業の連絡先が携帯番号だと、「本当に存在する企業なのか?突然連絡が取れなくなることはないだろうか?」と、不安を感じる顧客や取引先も存在するのです。そのため固定電話を廃止すると、企業の信用が低下する可能性があります。
仕事とプライベートとの線引きが曖昧になる
企業の固定電話を廃止し、従業員個人のスマホを業務で使用する場合、従業員の私用の携帯番号を取引先に教えなければなりません。私用の携帯番号は個人情報なので、従業員のプライバシー保護が困難になってしまいます。そのため、仕事用の携帯電話を用意するなど、適切な対応が求められます。
また私用の携帯番号を取引先に教えると、休日や業務時間外に仕事の電話がかかってくるケースも考えられるでしょう。休みの日や家でゆっくりしている時間にも仕事の対応をしなければならず、仕事とプライベートの切り分けも困難になります。
会社の固定電話を廃止したほうがよいケース
固定電話を廃止したほうがよいケースはモバイルデバイスの活用や業務がクラウド上で完結している場合、リモートワークがすでに主流になっている場合、顧客対応がデジタル化されている場合です。
業務の大部分がモバイルデバイスやクラウドベースのツールで完結している場合
固定電話を廃止したほうがよいケースの一つとして、業務の大部分がモバイルデバイスやクラウドベースのツールで完結している場合が挙げられます。モバイルデバイスを活用していれば、従業員がどこにいても電話やチャットなどを利用できるため、物理的なオフィスや固定電話の位置に縛られる必要がありません。
また、オンライン会議システムやプロジェクト管理ツール、CRMシステムなどのクラウドベースのツール活用していれば、チームメンバーとのコミュニケーションや業務の進捗管理をクラウド上で行うことが可能です。そのため、固定電話を廃止しても大きな問題にはなりにくいと考えられます。
リモートワークやハイブリッドワークが主流になっている場合
社内でリモートワークやハイブリッドワークが主流になっている場合も固定電話を廃止した方がよいケースの一つです。リモートワークやハイブリッドワークでは、従業員が自宅や外出先、時には共同オフィスなどさまざまな場所から業務をおこなうため、オフィスに設置された固定電話に縛られることが業務の非効率さを生む可能性があります。
さらに、固定電話はオフィスに物理的な設置が必要であり、その管理やメンテナンスにもコストや労力がかかります。従業員がオフィスに常駐する機会が少ない状況では、固定電話を維持するメリットはほとんどなく、むしろ無駄なコストとして見なされることが多くなります。
顧客対応がデジタル化されている場合
ほかにも会社の固定電話を廃止したほうがよいケースとして、顧客対応がデジタル化されている場合も挙げられます。顧客対応はチャットボットやメール、SNS等で代替でき、むしろデジタルチャネルの方が迅速で便利な対応手段として受け入れられることが多くなっています。
さらにカスタマーサポートや問い合わせ対応をデジタル化していれば、顧客の問い合わせをシステム化し、CRMやヘルプデスクソフトウェアを使って対応状況を一元管理できます。既に顧客対応がデジタル化されている企業にとっては、顧客対応の一貫性や効率性を高められているため、固定電話はもはや必要ではないでしょう。
固定電話を廃止する企業が増加中
NTT東日本によると、固定電話の契約数は年々減っており、2008年度には4208万件もあった契約数が、2022年には1354万件までに減少しています。
これは携帯電話の普及やIP電話への移行により、固定電話の契約件数が減少したことが大きな要因です。さらに固定電話の通信に活用されている中継交換機の老朽化も背景として存在します。2025年頃にアナログ回線の維持が限界を迎えることから、2024年1月以降、固定電話の通信網がIP網へ切り替えられることが決定しています。2024年11月時点では、固定電話が廃止されるわけではありませんが、IP網と呼ばれる新しい通信方式へと移行する流れが進んでいます。
固定電話はIP網への移行後も引き続き利用可能ですが、従来のアナログ回線に固執するよりも、IP電話への移行を検討する企業が増えています。IP電話は利便性やコスト削減といったメリットがあるため、これを機に固定電話の廃止を決断する企業が増加しています。
会社の固定電話を廃止した後に導入がおすすめのサービス
固定電話を廃止した後には社外向けにクラウドPBXや自動応対システム、社内向けにビジネスチャットツールの導入がおすすめです。
クラウドPBX
クラウドPBXは従来の電話回線を利用する代わりに、インターネット経由で音声通話を行うためのシステムです。クラウド上にPBX機能を構築することで、物理的な電話設備を必要とせず、より柔軟で効率的な通信環境を提供します。
また、クラウドPBXはインターネットを通じて接続されるため、社内外を問わず、どこからでもビジネスの電話にアクセスすることが可能です。たとえば、リモートワーク中の従業員がスマートフォンやパソコンを使って、会社の電話番号を利用して通話を行うことができるため、オフィスに依存しない柔軟な働き方をサポートします。
自動応対システム
自動応対システムはIVR(音声自動応答システム)などの技術を用いて、電話対応のプロセスを自動化し、人手による対応を必要最小限にするためのものです。
固定電話の廃止後、会社にかかってくる電話をすべて担当者が手動で対応するのは、非常に非効率です。自動応対システムを導入すれば、通話内容に応じて自動的に適切な対応をおこなうことが可能になります。たとえば、顧客が特定の問い合わせをしたい場合、音声メニューを使って選択肢を案内し、適切な部署や担当者に自動的に接続したり、録音されたメッセージで解決策を提供したりすることができます。
ビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールは、社内のコミュニケーションを効率化するために非常におすすめです。リモートワーカーや外出先の社員とも円滑に連絡を取ることができ、オフィス外でも常にチームと連携を保つことが可能です。
たとえば、Google WorkspaceやMicrosoft Teamsのようなツールは、ビジネスチャットとコラボレーション機能を一体化しており、社員同士がチャットで議論を進めながら、同時にスプレッドシートやドキュメントを共同編集することができます。ビジネスチャットとコラボレーションツールの統合により、すべてがリアルタイムで一か所に集約され、プロジェクトの進行をスムーズに行うことができるようになります。
企業の固定電話解約は慎重な検討を
企業の固定電話を解約すると、電話応対のための出社や、オフィスにいる従業員が取り次ぎ業務に時間を取られることがなくなるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし企業の代表番号がなくなるため、信用が低下するケースが考えられます。また従業員のスマホを業務で使用すると、プライバシー保護が困難になるおそれもあります。
固定電話を廃止後には、クラウドPBXや自動応対システム、ビジネスチャットツールを導入することがおすすめです。
企業の固定電話廃止は上記のサービス導入を視野に入れつつ、メリットとデメリットを考慮して慎重に検討しましょう。
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