営業やマーケティングにおいて見込み客や、有効な顧客リストをリードと呼びます。しかし一概に見込み客といっても様々な段階が存在するため、会話ですれ違いがあることも。
この記事では、部署ごとのリードの意味の違いや段階別のリードの管理方法を解説します。意味の違いやリード獲得の経緯を知ることで、部署間での認識のズレがなくなり、連携が図りやすくなるでしょう。
リードとは
リードとは何らかの形で製品やサービスに関心を示しており、問い合わせやセミナーへの参加など接点のある「見込み客」です。「まだ製品の購入やサービスの契約をしていないが、将来顧客になる可能性のある人」を指します。
しかし同じ見込み客であっても、営業とマーケティングではリードの指す「範囲」に違いがあります。
営業部門とマーケティング部門の連携には、認識のズレをなくすことが不可欠です。
営業部門における「リード」
営業部門におけるリードは「顧客になる可能性の高い見込み客」を指します。営業活動で手応えを感じた人や、マーケティング部門が購入意欲を高め、営業に引き継いだ成約可能性の高い人などです。
【営業部門におけるリードの例】
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マーケティング部門における「リード」
マーケティング部門でのリードは「広い範囲での見込み客」です。そのため自社の製品・サービスに何らかの興味や関心を持ち接点のあった人、全員が対象です。
【マーケティング部門におけるリードの例】
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リード管理の4つのフェーズ
マーケティング部門は、リードを4つのフェーズで管理します。受注確度の高いリードを営業部門に引継ぎ、失注した場合は、再び戻すことで、売上のさらなる拡大を目指します。
フェーズ | 管理の内容 |
リードジェネレーション | 認知を広げ、集客を行う |
リードナーチャリング | 集客した顧客の購買意欲を高める |
リードクオリフィケーション | 受注確度の高い人を絞り込む |
リードリサイクル | 失注した人に再び顧客になってもらう |
【集客・獲得】リードジェネレーション
リードジェネレーションでは、多くの人に自社製品・サービスを知ってもらうことで、将来的に顧客になる可能性のある人を集めます。
【リードジェネレーション施策の具体例】
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Webサイトで名前やメールアドレスなどを取得したり、名刺交換したりして個別化できるようになると、次のフェーズへと移ります。
【育成】リードナーチャリング
リードナーチャリングは自社製品・サービスへより強い興味関心を持ってもらい、購入意欲を高める段階です。
集めたリード全員が、将来的な顧客になるわけではありません。そのため有益な情報を提供しながら、中長期的なコミュニケーションを継続することで、興味関心と購入意欲を高めます。
【リードナーチャリング施策の具体例】
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リードの状態を把握し、適切なタイミングで的確なアプローチを行うことが重要です。
【選別】リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションは興味関心・購入意欲の高まったリードの中から、購入可能性の高い顧客を絞り込む段階です。
対象を絞ってから営業部門に引き継ぐことで、より効率的・効果的な営業活動を行えます。
営業としてはどのように絞ったリードなのかを知ることで、顧客の特性を知り、成約に繋げやすくなるでしょう。
【リードクオリフィケーション施策の具体的な流れ】
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1.セグメンテーション
セグメンテーションでは、ターゲットとなる顧客を所属会社の業種や業態、ターゲットの興味・関心などに応じてグループ分けを行います。
セグメンテーションをしておけばグループごとの特性に合わせて、リードの絞り込みや施策を打てます。
2.カスタマージャーニーマップの定義
カスタマージャーニーマップはリードが購買に至るまでの流れを可視化した資料です。購買行動の流れを顧客データから分析して定義することで、購買につながりそうなリードの動きがハッキリとします。
カスタマージャーニーマップについては、以下の記事でくわしく解説しています。作成方法や企業事例についても解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
3.スコアリング
スコアリングはリードの見込み度合いに対して点数をつけて、優先順位を可視化することです。リードの特性や行動に応じてスコアを設定して、購買意欲の高い顧客かどうかを検討します。
【従業員規模を基準とする場合の例】
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【リードの問い合わせを基準とする場合の例】
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4.見込み顧客リストの作成して、営業部門へ引き渡す
スコアを設定して、一定の得点に達したリードは定期的に抽出して営業部門へと引き渡します。
スムーズな連携のためにも、週に1回や月1回などリスト引き渡しの頻度や、連携手段を部門間で事前に具体化しておくとよいでしょう。
エクセルなどのデータで管理するのはもちろん、マーケティングオートメーションツールなどのシステムを活用するのもおすすめです。
次の記事ではおすすめのMAツールを紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
【再顧客化】リードリサイクル
リードリサイクルは失注してしまったリードを、再び顧客へ戻す段階です。マーケティングや営業をどれだけ完璧に行っても、全員から受注できるわけではありません。
そのためリードリサイクルは再商談化できるよう、ニーズの変化を見逃さずアプローチすることが重要です。
【リードリサイクルの施策の具体的な流れ】
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リードリサイクルでは、まず失注したリストを作成し、失注の原因や商談の内容から優先順位の高いグループと低いグループに分けます。
優先順位を分けたら、次は失注した顧客へのアプローチです。優先順位の高い顧客には、電話をかけて状況を確認し、低い顧客にはメールを送信して様子を見ます。メールに返信のあった場合は、優先順位を上げるとよいでしょう。
最後にそれぞれの状況に応じて、再びリードナーチャリングを行うかの判断を行います。
良質なリードを効率よく増やすポイント
マーケティング部門ではできるだけ効率的に、購入可能性の高いリードを育て、増やすことが目標のひとつです。そのためには次の3つのポイントが大切です。
- アプローチする対象を絞る
- マーケティングと営業の連携を深める
- MAツールを使う
アプローチする対象を絞る
リードを獲得する施策はいろいろありますが、大切なのはアプローチする対象を絞ることです。不特定多数よりも商品やサービスのターゲットに近い人にアプローチするほうが、購入可能性の高いリードを獲得しやすいからです。
例えばメールマガジンでも、不特定多数に送るよりも事前に性別や年齢、地域等でセグメントしてから送った方が圧倒的に効率が上がります。
自社に興味を持ってくれそうなリードの集団に対して、効率的にアプローチしていくことが重要なのです。
マーケティングと営業の連携を深める
効率的・効果的なマーケティング活動を行うためには、マーケティング部門と営業部門との情報共有・連携が不可欠です。
リードナーチャリング・リードジェネレーションでの活動内容やリードクオリフィケーションの設定基準は、製品・サービス内容や目標商談数・目標売上額などによって変わります。
マーケティング部門と営業部門の間でフィードバックを行いながら、認識や到達目標にズレが出ないようにしましょう。
MAツールを使う
MAツールはリードの分析からアプローチの自動化まで、リード獲得のあらゆるプロセスで活用可能な支援ツールです。
アクセス頻度やWebサイトの閲覧履歴からのリード分析や、メールマガジンの効果測定やセミナーの運用支援によるリードの育成や絞り込みも可能です。
リード獲得において大活躍するMAツールですが、導入には多くのコストがかかります。
そのコストは初期費用で10万未満のものから数十万のものまでさまざま。また月額で運用費用が発生します。そのため年間200万円以上のコストをかけている企業が多いようです。
リードの獲得から購買までをスムーズにサポートできるMAツールですが、コスト面でのバランスを考えた導入が大切です。
プロセスによるリードの分類
リードは案件の発掘から受注・契約に至るまでのプロセスに応じて、いくつかの分類に分けられます。この分類は「Demand Waterfallモデル」と呼ばれ、アメリカのマーケティング支援会社「シリウスディシジョンズ」によって提唱されました。
分類 | 特徴 |
Inquiry | 問い合わせ段階にいるリード |
MQL | マーケティング施策によって獲得したリード |
TQL | インサイドセールスなど電話担当部門が担当するリード |
SQL | 営業活動をかける段階にいるリード |
Close | 商談などのアクション後、契約を取り交わす段階にいるリード |
Inquiry
「Inquiry」は問い合わせ段階にいるリードのことです。自社ホームページを訪れたうえで資料請求をしてきた顧客があてはまります。
顧客が製品やサービスに興味があり、問い合わせなどのアクションを通じて電話番号やメールアドレスなどの顧客情報を提供している段階です。
MQL (Marketing Qualified Leads)
「MQL (Marketing Qualified Leads)」はマーケティング施策によって獲得したリードのことです。ホットリストとも呼ばれます。
セミナーや展示会の開催、メルマガの配信やWebサイトのコンテンツ発信などを通じて、見込み客であるリードに段階的なアプローチを実施し、購入意識を育てていきます。
購入見込みが高いと判断され、営業部門が対応するべき状態のリードがMQLに該当します。
TQL (Teleprospecting Qualified Leads)
「TQL (Teleprospecting Qualified Leads)」は、インサイドセールスなど電話担当部門が担当するリードです。
インサイドセールスだけで成約を目指したり、アポの獲得からフィールドセールスに引き渡して顧客訪問を目指したりする段階のリードを指します。
SQL (Sales Qualified Leads)
「SQL (Sales Qualified Leads)」は営業活動をかける段階にいるリードのことです。いわゆる「営業案件」と同義と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
SQLは獲得方法によって、マーケティング部門が獲得した「SAL」と営業活動で活動した「SGL」の2つに分けられます。
SAL (Sales Accepted Leads)
「SAL (Sales Accepted Leads)」はマーケティング部門が獲得したMQLを営業部門が引き継いだ状態のリードです。資料送付後のリードとの連絡を通じて、具体的な提案の機会を得た状態のリードが該当します。
SGL(Sales Generated Lead)
「SGL(Sales Generated Lead)」は純粋な営業活動によって直接獲得したリードのことです。いわゆる「引き合い」と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
たとえばテレアポや飛び込み営業、交流会や展示会での名刺交換など、営業担当者自らが関係性を構築して獲得したリードが該当します。
ニーズや予算、導入時期が明確なケースが多く、短期間のうちに受注につながる可能性が高いのが特徴です。
Close
「Close」は商談などのアクション後、契約を取り交わす段階にいるリードです。施策の実施によって購入意欲が増し、実際に提案した案件の発注に至った状態を指します。
購買意欲によるリードの分類
リードは案件化する可能性の高低によって「ホットリード」と「コールドリード」に分類できます。
ホットリード
「ホットリード」は自社の製品やサービスに強い興味関心を持つリードのことです。あまり労力をかけることなく、あとひと押しで案件化や購買につながる可能性が高い状態です。いわゆる「今すぐ客」と考えるとわかりやすいでしょう。
マーケティングの目的はホットリード獲得の最大化と考えても過言ではありません。ホットリードは成果につながる可能性が非常に高いため、アプローチの優先度もそれに応じて高くなります。
コールドリード
「コールドリード」は自社の製品やサービスに対する興味関心が薄いリードです。購買につながるまでに時間がかかるため、アプローチの優先度は低くなりますが、見込みがないわけではありません。
メルマガの配信やDMの送付などを通じて顧客育成を行う「リードナーチャリング」を的確に実施すれば、コールドリードをホットリードに転換することも十分に可能です。
リードを育てて売上アップにつなげよう
リードは将来顧客になる可能性のある人を指します。しかし部署によってその範囲が違うため、部署間の連携には認識のズレをなくすことが重要です。
またリードは段階によって管理方法が違います。段階に合わせて集客や育成、選別を行い、購買意欲の高い顧客を営業に引き継いで売上アップに繋げましょう。
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