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扶養家族とは誰を指すのか。認定条件や扶養に入れるまでの手続き

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最終更新日: 2024年03月07日

人事部に勤めていると「家族を扶養に入れたい」という社員から、相談を受けるシーンがあるでしょう。そのようなとき指導を行う側に、正しい知識がなければ、社員に不安を与えてしまいます。扶養に入れられる家族の条件を確認しましょう。

扶養家族の定義とは

家族を扶養に入れるための条件や、手続きを解説する前に、言葉の定義を説明します。定義を頭に入れておけば、条件や手続きに関する説明も、イメージが湧きやすくなるでしょう。

社会保険上の扶養家族と税制上の扶養家族がある

扶養家族とは一家の主軸として生計を立てている人(扶養者)に、経済的に支えられている人(被扶養者)を指します。扶養家族について理解を深めようとするとき、忘れてはならないのが、扶養家族の種類です。

扶養家族には「社会保険上の扶養家族」と「税制上の扶養家族」があります。社会保険上の扶養家族は、扶養者の勤め先の健康保険や、厚生年金の加入者に当たります。税制上の扶養家族は納税者が納める、税金の控除に関わる家族です。

両者は対象となる人の条件が、大きく異なります。それぞれについて正しい知識を持っておかないと、間違った手続きを行ってしまう可能性があるため、注意が必要です。

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社会保険上の扶養家族として認められる条件

家族を社会保険上の扶養に入れるための条件には、「家族の範囲」「収入」「年齢」の、3要素があります。条件に合致した家族を届け出れば、家族は社会保険料を負担する必要がなくなります。

対象となる家族の範囲

社会保険上の扶養に入れられる家族の範囲は、扶養者と一緒に住んでいるかどうかで変わってきます。同居の事実がなくても対象となるのは、「配偶者」「子・孫」「兄弟姉妹」「父母」「祖父母」「曽祖父母」です。

配偶者については、戸籍上の夫婦と変わらぬ関係を作っている、事実婚の相手も該当します。また養子縁組をした養父母についても、承認されます。

同居の事実がないと対象とならないのは、「甥・姪」「ひ孫」「おじ・おば」などの3親等以内の親族です。内縁関係の配偶者の父母や子どもも、同居をしていれば承認されます。

家族の収入が130万円未満である

収入要件は「年間収入130万円未満」です。被扶養者が60歳以上の人や、障がいがある人の場合には、年間収入の要件が180万円未満まで、拡大します。

収入要件のクリアに加えて、扶養者によって生計を維持されている事実が必要です。生計を維持されているかどうかの判断基準は、当該家族と一緒に住んでいるか否かで、変わってきます。

一緒に住んでいる場合には、被扶養者の収入が、扶養者の収入の1/2未満であること、一緒に住んでいない場合には、被扶養者の収入が、扶養者からの仕送りよりも少ないことが条件です。

家族が75歳未満である

被扶養者の年齢が75歳未満であることも求められます。社会保険のルール上、75歳になると「後期高齢者医療制度」への加入が、強制的に行われるからです。

国民皆保険制度を設けている日本では、国民は何らかの医療保険に入っている必要があります。会社員や公務員と、その扶養家族を対象としているのが「健康保険」で、農業や漁業に携わる人や、個人事業主などを対象にしているのが、「国民健康保険」です。

どちらの保険に入っていたとしても、75歳以上になると、後期高齢者医療制度に移行します。後期高齢者医療制度に入っている人は健康保険に入れないため、社会保険上の扶養にも入れません。

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税制上の扶養家族として認められる条件

家族を税制上の扶養に入れるための条件には、「家族の範囲」「所得要件」「年齢」の3項目があります。各項目をクリアした家族を申告すれば、扶養者は所得税の控除が受けられます。

対象となる家族の範囲と所得要件

家族の範囲は「6親等以内の血族」と「3親等以内の姻族」です。血族とは血のつながりがある親族を指し、姻族とは婚姻関係によって生まれた親戚を指します。

具体的には父母や子ども(1親等)はもちろん、祖父母や兄弟姉妹(2親等)、果ては昆孫(「こんそん」と読み、自分から6代後の子孫を指す。6親等)まで認められます。姻族については、配偶者の祖父母や叔父・叔母までです。なお配偶者は含まれません。

また承認されるための所得要件は「年間所得48万円以下」で、扶養者と生計を同じくしていることが条件です。

家族が16歳以上である

対象となるのは申告を行う年の12月31日時点で、16歳に達している家族です。「児童手当」が支給される、16歳未満の児童は対象となりません。

申告によって控除される額は、被扶養者の年齢によって変化します。所得から控除される金額は、12月31日現在の年齢が、19歳以上23歳未満の場合には「63万円」、12月31日現在の年齢が、70歳以上の場合には「48万もしくは58万円」です。16歳に達していて、これらの年齢に該当しない家族の場合は、「38万円」が控除されます。

なお税制上の扶養家族は、承認される年齢に上限がないのが特徴です。

配偶者には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」がある

税制上の扶養家族に配偶者は該当しません。配偶者には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」が設けられているからです。

配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者を持つ納税者の所得から、一定額を控除する制度です。控除を受けられるかどうかは、配偶者の所得で決まり、配偶者控除は「年間所得48万円以下」、配偶者特別控除は「年間所得48万円超え133万円以下」の所得要件があります。どちらの制度も納税者の合計所得が、1,000万円を超えると適用されません。

また配偶者控除と配偶者特別控除が受けられるのは、婚姻関係のある配偶者に限定されます。内縁関係の配偶者には認められていません。

年金生活をしている人を扶養に入れたい場合は?

年金生活をしている人を、税制上の扶養家族に入れる場合、所得の計算の仕方が異なります。年間の年金収入から、「公的年金等控除」を差し引いた金額が所得となるため、注意が必要です。

65歳未満の人で年金収入が130万円未満の場合、公的年金等控除により、60万円が控除され、65歳以上の人で年金収入が330万円未満の場合、110万円が控除されます。

年間所得が48万円以下であれば、税制上の扶養家族として認められるため、65歳未満の人は年金収入が108万円(60万+48万)未満、65歳以上の人は158万円(110万+48万)未満であれば、税制上の扶養家族として認められます。

関連記事:【税理士監修】所得税に扶養控除を賢く利用するために

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家族を扶養に入れるための手続き

家族を社会保険上もしくは税制上の扶養に入れるためには、手続きが必要です。社会保険上の扶養家族に入れる場合と、税制上の扶養家族に入れる場合とで、手続きが異なります。二つの違いをよく理解したうえで、手続きを進めましょう。

社会保険上の扶養に入れる手続き

社員の家族を社会保険上の扶養に入れる場合は、社員に「健康保険被扶養者(異動)届」を記入してもらいます。家族を扶養する状況が発生した日から、5日以内に日本年金機構へ届けを提出しましょう。

届出を行う際には、社員の家族が扶養家族となれる条件を満たしているか、続柄や収入を確認する書類を添付します。添付が必要な書類の例は、以下の通りです。

  • 被保険者の戸籍謄本
  • 住民票の写し
  • 退職証明書又は雇用保険被保険者離職票の写し
  • 直近の確定申告書の写し

なお被扶養者を国民年金の第3号被保険者に変更してもらうには、「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届」の提出が必要です。

税制上の扶養に入れる手続き

家族を税制上の扶養に入れる手続きでは、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」を会社に提出してもらいます

申告書には扶養者の名前や生年月日、マイナンバーなどの個人情報をはじめ、扶養者本人および、配偶者の年間所得を確認する情報の記載が求められます。

申告書の提出期限は申告を行う年の、最初に給与を受け取る日の前日までです。当該社員が中途採用者だった場合には、就職後初めて給与を受け取る日の前日までに、提出してもらいましょう。

基本的に添付書類はありませんが、社員の状況によっては、親族に関わる親族関係書類や、送金関係書類の添付が必要な場合もあります。

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手続きの手間を削減する方法とは?

家族を扶養に入れる手続きには、被扶養者が扶養家族の条件を満たしているか、確認したり、社員から提出された書類に不備がないか確認したりと、何かと手間がかかります。手続きに関わる「面倒くさい」を解消する方法を紹介します。

電子申請を利用する

電子申請とはシステム上で書類を作成し、オンラインで申請を済ませる方法です。扶養に関する手続きでは、「健康保険被扶養者(異動)・国民年金第3号被保険者関係届」の電子申請が可能です。デジタル庁が運営する行政ポータルサイト「e-Gov」から申請できます

電子申請を採用するメリットは、時間に縛られず、好きなときに申請が行えることです。扶養に関する手続きでは、届出書を窓口に持ち込んだり、郵送したりする必要があります。持込の場合は、窓口が開いている時間帯にしか手続きできませんし、郵送の場合には、タイムラグが発生してしまいます。

電子申請なら24時間365日、好きなときに申請ができるので、申請する側の都合に合わせて手続きすることが可能です。

ツールもあるが現状では選択肢は少ない

ツールを使って手続きの電子化や電子申請を行うのも、扶養に関する手続きの手間を削減する手段です。ツールを使えば、社員が入社したときに登録したデータから、届出に必要な情報をツールが自動入力し、簡単に書類を作ってくれます。一つ一つ手書きする手間が省け、業務の効率化が図れるでしょう。

ただ扶養家族に関する手続きや、届出に対応しているツールは多くありません。協会けんぽの「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届」の電子申請ができる「SmartHR」や、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を電子化できる「e-navi年末調整」など、選択肢が限られています。自社が簡略化したい手続きをカバーしたツールが見つかれば、導入を検討してみましょう。

関連記事:【2022年最新】SmartHR (スマートHR)の評判・口コミを紹介 | メリットデメリットとは

社会保険労務士に業務委託する

扶養に関する手続きの手間をカットしたいなら、思い切って社会保険労務士に手続きを丸投げしてしまうのも手です。面倒な手続きを社会保険労務士に頼んでしまえば、自社で行う仕事の量がぐっと減り、他の重要な業務に集中できるようになります。

ミスの防止につながるのも、社会保険労務士に手続きを業務委託するメリットです。手続きにはミスがつきもので、ルールが難解な手続きになればなるほど、ミスは増えてしまいます。

労務のプロに手続きを任せれば、プロならではの知識と経験で、抜け漏れのない書類を作ってくれます。訂正や差し戻しがなくなり、無駄な業務が発生しづらくなるでしょう。

関連記事:アウトソーシングに強い社会保険労務士事務所6選【口コミあり】

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2種類の扶養家族の違いを理解して正しく手続き

扶養家族には社会保険上の扶養家族と税制上の扶養家族があります。両者は扶養に入れられる家族の範囲や収入・所得要件などが異なるので、注意しましょう。

社員に「家族を扶養に入れたい」と言われたときは、どちらの扶養の話をしているのか、よく確認した上で、必要な手続きを指示する必要があります。正しい知識を身に付けて、正しい手続きを行いましょう。

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