遅刻を繰り返す部下に対して、どう指導すればよいのか分からず困っていませんか?きちんと対処するためには、根本的な原因や、遅刻を繰り返す人の特徴を知った上で、適切な指導をすることが大切です。NGな対処法も把握し、問題解決に役立てましょう。
そもそも遅刻を繰り返す原因とは
どうして遅刻を繰り返してしまうのでしょうか?主な原因は、大きく二つに分かれます。具体的にどのような原因が考えられるのか、見ていきましょう。
問題が本人にないケース
公共交通機関を利用して通勤している場合、電車やバスの遅延や事故による通行止めなどによって、通勤に時間がかかってしまい、出社時間に間に合わないことがあります。
このようなケースでは、本人の責任ではありません。しかし公共交通機関を利用していれば、思わぬアクシデントが起こり得ることは、想定内であると考えることもできます。
従って事前に遅れる可能性を見込んで、少し早めに出社するように気を付けるというように、アドバイスをするのがよいでしょう。
本人に問題があるケース
目覚ましをかけ忘れて寝坊してしまったなど、本人に問題があるケースもあります。誰でもミスしてしまうことはあるので、単発の場合は軽い注意で済ませることで改善されることもあります。
ただし注意しても改善されず、遅刻を繰り返す場合や無断で遅刻する場合は、厳重な指導が必要です。「所定労働時間」は雇用契約によって定められており、遅刻を繰り返すことは「労務提供義務違反」に該当します。
違反に対して何の対処もしないでいると、社内の秩序が乱れてしまい、他の社員に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
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遅刻を繰り返す人の特徴
遅刻を繰り返す人には、共通の特徴があります。どのような特徴があるのでしょうか?具体的な特徴を知ることで、適切な対処法が見えてきます。
時間配分が苦手
遅刻しがちな人は、時間配分が苦手な人が多い傾向にあります。日々の生活では、何にどの程度の時間がかかるのか予測して準備を進めることが多くあります。
例えば出社時間から、通勤にかかる時間や朝食、身支度にかかる時間を逆算して、起床時間を決めるなどです。しかし遅刻しがちな人は、大ざっぱに考えてしまったり、先を見越して考えるのが苦手だったりするため、時間配分を正しくできないのです。
ギリギリの時間配分にしてしまうと、予想外の出来事が起きたときに、時間が足りなくなってしまうことも、あるでしょう。
マイペースで細かいことを気にしない
何事にもマイペースな人も、遅刻する傾向があります。マイペースな人はおっとりしていて、周囲の目を気にせず、自分のペースで行動してしまいます。決められた出社時間を守るよりも、自分のペースを優先するため、遅刻につながってしまうのです。
また細かいことを気にしない、楽観的な性格という特徴もあります。遅刻して注意されたとしても「まあ、いいか」で済ませてしまう人もいるでしょう。
細かいことを気にしないのは長所でもありますが、遅刻を繰り返している場合は、周囲の人に迷惑を掛けていることに、気付いていない可能性もあります。
こだわりが強すぎる場合も
自分が納得いくまで時間をかけてしまうような、こだわりが強い性格も特徴の一つです。例えばその日に着ていく洋服がなかなか決まらず、何度も着替えてしまうというような行動です。
メイクやヘアスタイルが思うように決まらず、納得いくまでやり直してしまうようなこともあるでしょう。このように、時間よりも自分のこだわりを優先してしまうのです。
自分でこだわりの強さが分かっていれば、時間的にゆとりを持って身支度を始めることもできます。しかし遅刻しがちな人は、時間配分がうまくできず、予想外な出来事を想定せずに行動してしまうことも珍しくありません。結果として時間が大幅にずれ込み、遅れてしまうのです。
社員の遅刻に関するNG対応
近年は社員への対応が、ハラスメントとして問題視されることも珍しくありません。適切に対処できるように、NGな対応についてもきちんと把握しておきましょう。
理由の確認を怠る
遅刻の理由はさまざまなので、理由を確認せずに遅刻という事実だけを注意するのは適切ではありません。仮に寝坊による遅刻が続いていたとしても、その日も寝坊が理由とは限らないためです。
理由を聞かずに叱ると人間関係が悪くなり、その後の仕事に悪影響を及ぼすこともあるため、注意しましょう。
たとえ寝坊のように本人に問題があるケースだとしても、別の原因が隠れていることも考えられます。例えばメンタルの不調を抱えていたり、社内での人間関係の悩みを抱えていたりする場合もあるでしょう。そのような場合、理由の確認を怠ると問題になる恐れがあります。
特に対応しない
繰り返す遅刻に対して起こりやすいのが、特に何の対応もしないということです。例えば何度か注意したにもかかわらず、改善されない場合は「言っても仕方がない」と諦めてしまったり「何度も注意するのは気が重い」と感じてしまったりすることもあるでしょう。
また身体的もしくは精神的な事情を言われてしまうと、どう対処してよいか分からず、何もしないままになってしまうこともありがちです。
しかし対応しないと「遅刻しても何も言われないからいいんだ」と勘違いされたり、他の社員の不満がたまり、社内の空気が悪くなったりすることも考えられます。
人前で頭ごなしに叱る
遅刻は社会人としてマナーに欠ける行為であるとしても、人前で頭ごなしに叱るとハラスメントとして問題視される恐れがあるため、注意しましょう。
他の人がいない場所で、相手の長所を認めつつ、遅刻癖が短所であると指摘するのがおすすめです。相手に期待している旨を伝えるのもよいでしょう。
また頭ごなしに叱っても相手を萎縮させるだけで、根本的な解決にはつながりません。指導する目的は、対策を考えさせ、今後遅刻をしないように改善することである点を意識しましょう。
社員の寝坊遅刻を繰り返させない方法
単に遅刻を注意するだけでなく、繰り返させないようにすることが、大切なポイントです。具体的にどのように導けばよいのか紹介します。
最初に理由を確認
最初にしなければならないのが、遅刻の理由を確認することです。単なる不注意による寝坊ではなく、社内環境に問題があることも考えられます。
例えば上司からのパワハラや、同僚との人間関係などの悩みが睡眠に悪影響を及ぼし、遅刻につながっていることもあるでしょう。本人ではなく会社側に原因がある場合は、適切な対応が求められます。このように理由によって指導方法が変わるため、必ず最初に理由を聞きましょう。
また理由を含め、社員とのやり取りや話し合って決めた対策などを書面に残しておくのがおすすめです。証拠として残るため、何度も遅刻を繰り返す場合などに、しかるべき対応を取りやすくなります。
なぜ遅刻がダメなのか考えさせる
遅刻は会社の決まりに反する行為ですが、何度も遅刻する人は事態を軽く捉えている傾向があります。本人に自覚がないため、ただ注意するだけでは改善されないことも珍しくありません。
本人になぜ遅刻が悪いことなのか、理由を考えさせるのが効果的です。職場では周囲と協力して仕事をこなすため、自分が遅刻することで業務が滞る可能性があることを伝えるのもよいでしょう。
また場合によっては収入や出世に影響したり、さらには減給や処分の対象になったりすることを伝えるのも、遅刻は悪いことだと自覚させる方法の一つです。
一緒に対策を考える方法も
社員とともに対策を考えるのも効果的です。遅刻の回数が少ない段階で手を差し伸べることで、早期に解決できることもあるでしょう。
急に遅刻が増えたり、改善しようと努力していてもできないと悩んでいたりする場合も「一緒に対策を考えよう」と、寄り添う姿勢を示すことが大切です。なぜなら社員が身体的、もしくは精神的な悩みを抱えている可能性があるためです。
遅刻の理由に健康面の問題が隠れていることもあるので、必要に応じて産業医への受診を勧めることで、解決に導ける場合もあるでしょう。
遅刻を理由に懲戒処分を行えるのか?
遅刻が多すぎる社員を、懲戒処分することはできるのでしょうか?懲戒処分に関する、気を付けたいポイントについても見ていきましょう。
懲戒処分の対象になる
遅刻や無断欠勤が続いた場合は、労働者の基本的義務を怠っていることになるため、懲戒処分の対象になります。
労働者は雇用契約によって、始業時刻通りに出勤し、定められた労働時間に過不足なく労働する義務を負っています。遅刻することは雇用契約違反になるため、処分の対象と判断されます。
遅刻することで他の人の仕事に影響がでたり、社内の秩序を乱したりする場合も、懲戒処分の対象になることもあるでしょう。
いきなり処分はできない
遅刻を理由に懲戒処分にすることは可能ですが、一定の条件があり、いきなり処分することはできません。例えば遅刻の回数が少ない場合や、会社側から適切な指導がされていない場合です。
まず遅刻の理由に応じて、適切な注意や指導をすることが大切です。一定の期間を設け、その期間を経ても改善されない場合は懲戒処分を行うというように、段階を踏む必要があります。
また他の遅刻常習者が何の処分もされていない場合は、懲戒処分にするのは難しいでしょう。不公平にならないように、他の社員とバランスを取ることも大切です。
遅刻の改善には根本原因を知ることが重要
遅刻の原因には、本人に問題があるケースとそうでないケースがあります。寝坊による遅刻だとしても身体的・精神的な問題が原因の可能性もあるため、まず理由を確認しましょう。
その上で遅刻が悪い理由を本人に考えさせたり、一緒に対策を考えたり、しかるべき対応をとることが大切です。
理由を聞かず頭ごなしに叱ったり、適切な指導をせずに懲戒処分にしたりすると、トラブルにつながることもあるため注意しましょう。
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