CRMとは顧客と良好な関係を築き、リピーターやファンになってもらうことで、利益の向上を目指すマネジメント手法、及びそれに使うツールを表す言葉です。
マーケティング業務の重要性が増している昨今、ホテル業界でもCRMを導入する動きが増加しています。
ただ「CRMを使う具体的なメリットとは?」「どんな活用方法があるのか?」とお悩みの方も少なくないでしょう。
そこで、本記事ではホテル業界でCRMを選ぶポイントやメリットをしっかり解説。おすすめ5製品も紹介します。CRMの導入、活用に迷っている担当者様はぜひ、参考にしてください。
ホテル業界におすすめのCRMとは?メリットも解説
ホテル業界におすすめのCRMとは、ホテルや旅館など宿泊業向きの情報管理機能やマーケティング機能を備えたCRMを指します。
例えば、予約やフロントデスク、レストランなどのデータを一括管理できる、マルチチャネルでの自動配信機能があるツールなどが当てはまります。
必ずしもホテル業界に特化して開発されたCRMである必要はなく、ホテルが実施するマーケティング施策に利用しやすいか?が重要です。
ホテル業界でのCRMの位置づけ
ホテルや旅館など宿泊業の業務効率化システムというと、真っ先に浮かぶものはPMS(ホテル管理システム)なのではないでしょうか?
PMSもホテルの予約や客室情報、顧客や売上の管理など、業務効率化につながる機能を備えています。ただ、複数の店舗や関連施設のレストランなどの収集する顧客情報を統合し、マーケティングに利用することは難しいです。
フロント業務や施設管理を効率化したい場合はPMS、他ホテルや関連施設の顧客情報と合わせて、リピート顧客を増やしたい場合はCRMがそれぞれ向いています。
ホテル業界でCRMを導入するメリット
ホテル業界でCRMを導入する場合、おもに以下のような点でメリットがあります。
顧客の再来店率が上がる
CRMは顧客データを部門横断的に管理する機能があり、収集したデータをもとに最適なマーケティング施策を実行できるため、顧客の再来店率が上がります。
具体的には、過去に利用された部屋タイプや追加サービスを参考に、魅力的な特典や割引を個別に案内できるようになり、再来店したくなる仕組みを自動的に作れます。
マーケティングコストを削減できる
セグメンテーション機能やターゲティング機能があり、最適な顧客層に絞った効率的なマーケティング施策が可能になります。
一律に広告を打ち出す場合と比べ、反応率の高いターゲットに絞って施策を打つことで、広告宣伝費を抑えながら、より高い集客効果を得られます。
従業員の業務負担を軽減する
定型業務の自動化や顧客情報の自動更新、レポート作成の自動化機能などにより、従業員が事務作業に充てていた時間や手間を削減できます。
実際の顧客対応やより発展した形でのマーケティング施策の考案などに時間が割けるようになり、従業員の負担軽減につながるでしょう。
顧客満足度向上につながる
さまざまな部門に散らばった顧客の情報を収集・分析できるため、個々の顧客に合わせた対応がしやすくなり、顧客満足度向上につながります。
誕生日や記念日の自動認識、カスタマイズされた特典提案、タイムリーなフォローアップなど、顧客との継続的で深い関係構築を支援する機能を備えています。
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ホテル業界で使うCRMを選ぶポイント
ホテル業界で使うCRMを選ぶ際は以下のポイントに沿って製品を探すと、使いやすいCRMを見つけられるでしょう。
ホテルに合ったマーケティング施策ができるか
ホテル業界は季節変動や顧客層によって必要な対策が異なり、それぞれに合わせたマーケティングを実施する必要があります。
そのため、CRMを選ぶ際は「ビジネス客やリピーターなど顧客や季節ごとのセグメント分けがしやすいか?」「顧客セグメントに合わせた最適なマーケティング施策を自動化しやすいか?」を確認しましょう。
例えば、オフシーズンの集客企画や特定の顧客層に特化したプロモーション、過去の宿泊履歴に基づくパーソナライズされたオファーなど、ホテル特有のマーケティングニーズに対応できる製品であることが望ましいです。
全施設・グループで顧客データを統合できるか
ホテルチェーンや複数施設を展開する企業にとって、全体での顧客データをCRMで統合できるかはとても重要です。
グループの1ホテルで得られた顧客の好みや要望を、グループ内の他施設でも活用できれば、顧客体験の質向上につながります。顧客の総合的な利用履歴を把握できれば、より効果的なプロモーションも実施しやすくなるでしょう。
リアルタイムで顧客情報が更新されるか?自動で情報は統合されるのか?など確かめることを勧めます。
マルチチャネルでの発信がしやすいか
予約サイトやSNS、メールや電話など、さまざまなチャネルでの顧客対応・発信ができるかはCRM選びで大切なポイントです。
例えば、チャネルでのやり取りを別チャネルにも自動的に反映する機能や、各チャネルに合わせた販促メッセージの送付機能があるかなど確かめてみましょう。
PMSなど既存システムと連携しやすいか
ホテルではPMSや会計システム、POSなどさまざまな基幹システムが利用されています。このような既存システムとの連携性でCRMを選んでもいいでしょう。
例えば、PMSと連携できれば予約情報や請求情報を自動更新しながら顧客情報に反映できます。
システム間のデータ連携性が高ければ、手作業での転記や重複入力の必要はなくなるでしょう。連携性が高いCRMであれば、さまざまな業務を効率化できます。
ホテル業界におすすめのCRM5製品比較一覧表
製品名 | 月額費用 | 利用・連携システム | 特徴 |
tripla Connect | 要お問い合わせ | PMS、triplaの予約エンジン、チャットボットなど | 宿泊業に特化して開発されたCRM |
WASIMIL | 9,900円(客室数次第)〜 | WASIMILのPMS、予約システム、BIツールなど | PMS・予約システム一体型ツール |
Salesforce Sales Cloud | 要お問い合わせ | MAツール、チャットツール、SMS、CTIなど | CRMで圧倒的なシェア率を誇る |
Zoho CRM | 1,680円/1人 | MAツール、アンケートツール、SMSなど | 予約管理から請求業務まで効率化 |
F-RevoCRM | 20,000円/1~10人 | POSシステム、MAツール、CTIなど | 規模に応じた料金体系なのでスモールスタートしやすい |
ホテル業界におすすめのCRM5選
ホテル業界に特化して開発された、あるいはホテル業界で多く導入されているCRMを5つ紹介します。
「tripla Connect」宿泊業に特化して開発されたCRM
tripla Connect(トリプラコネクト)は宿泊施設の運営に必要とするすべての業務効率化を図るCRMツールです。
顧客の個人情報だけでなく、ビジネス・ファミリー・レジャーなど宿泊目的ごとでセグメントを行い、効果的な販売促進を実現させます。
AIチャットボットと連動していて、チャット画面とでも顧客に応じたメッセージを送信可能で、円滑なコミュニケーションに役立つんです。
また「trip Book」を利用すれば独自のドメインで予約エンジンを展開でき、より迅速なデータ活用が可能になります。
「WASIMIL」PMS・予約システム一体型ツール
WASIMILはホテルの全部門の業務の連携強化・自動化を行い、予約数向上につなげるプラットフォームです。WASIMILで提供するサービスの1つのCRMがあります。
PMS、予約システム、オンライン旅行代理店からの顧客データが自動で蓄積されます。
そのデータを基に、ホテルに最適化されたタイミングを見計らって旅前・中・後で顧客とのコミュニケーションをとることができるんです。
また、ホテル予約の代行サイトからではなく、自社HPから予約してもらうための戦略も立ててくれます。クーポンやインセンティブを設計して直販比率向上にもつながります。
「Salesforce Sales Cloud」CRMで圧倒的なシェア率を誇る
- 企業の環境にあわせてカスタマイズが可能なシステム
- AIによる精度の高い顧客分析と営業プロセスの自動化で営業効率を向上
- 月額3,300円からと低予算でも導入しやすい価格設定(※)
Salesforce Sales Cloudは企業環境に合わせた柔軟なカスタマイズが可能なCRM/SFAシステムです。AIによる精度の高い顧客分析や営業プロセスの自動化により、営業効率を大幅に向上させます。
またモバイルアプリにも対応しており、外出先からもリアルタイムに顧客情報や商談状況の確認・更新が可能です。柔軟なカスタマイズにも対応し、月額3,300円から利用できるプランもあるため、企業規模や業種を問わず導入しやすいシステムです。
さらに、セールスフォース・ジャパン社が提供する豊富なツールと連携できることが強みです。たとえばMarketing Cloudというツールを使うと、カスタマージャーニーの構築やメルマガの配信、プッシュ通知、ソーシャルメディアへの配信といったマーケティング施策が実行できます。
※株式会社セールスフォース・ジャパン(2024年5月時点)
「Zoho CRM」予約管理から請求業務まで効率化
- 全世界で25万社が導入している営業支援ツール(※)
- タスクのリマインダー機能とAIによる最適な連絡時間帯の提案で営業効率化
- 初期費用ゼロで月額2,640円から利用可能(※)
Zoho CRMは、全世界で25万社以上に導入されているCRM/SFAです。導入効果として1人あたりの売上高が41%向上したというアンケート調査結果もあります(※)。
タスクのリマインダー機能で対応漏れを防止できるほか、AIが取引先との過去のやりとりから最もつながりやすい連絡時間帯を自動で提示。
また初期費用は0円で料金月額2,640円で利用可能です。しかも柔軟なカスタマイズが可能なため、自社に最適な形で利用できます。
※ゾーホージャパン株式会社(2024年5月時点)
「F-RevoCRM」規模に応じた料金体系なのでスモールスタートしやすい
- 営業・マーケ・顧客対応・販売管理業務をサポートする統合型CRM
- 基幹システムやMAツール等と連携し、蓄積データをExcelやCSVに出力可能
- 1ヶ月間の無料トライアルと規模に応じた料金体系でスモールスタートに最適
F-RevoCRM(エフレボCRM)は、オープンソースがベースの統合型CRMです。顧客情報を起点としたデータを全社的に一元管理できます。
営業進捗の管理、問い合わせ管理、イベント参加者管理、見積・請求・発注管理といった機能を標準で備えており、顧客やイベントの対応状況を「対応」「未対応」といったステータスで管理できるため、状況を即座に把握しフォロー漏れを防げます。
また基幹システムや既存のMAツール、名刺管理システム、POSシステムと連携でき、蓄積したデータはExcelやCSVに出力可能です。
料金は1人当たりのライセンス料ではなく、規模に応じた段階的な料金体系になっています。さらに1ヶ月間の無料トライアルが用意されています。
ホテル業界でのCRM活用方法
ポイント・会員カードの一元化と報酬の更新
ホテルチェーンが複数地域、ブランドで展開している場合、ホテルチェーンでのサービス利用情報を一元管理することは非常に重要です。
最適なCRMを使用すれば、全顧客のポイントデータや会員情報を一括して管理可能で、利用度に応じて報酬レベルを自動更新することもできます。チェーンを利用するメリットが顧客に生まれ、ロイヤリティが向上します。
予約・行動パターンに合わせたメール配信
顧客の予約傾向や滞在行動を分析して、個々の顧客に最適な情報をメールやSMSで提供することができます。
たとえばシーズンやイベント時の予約促進メールを顧客に合わせて自動で振り分け送信し、再訪を促します。CRMが集めたデータを元にセグメント化したメール配信は、顧客最適化したマーケティングに役立ちます。
顧客の好みや誕生日に合わせたサービスの提供
顧客が好むアメニティや特定の要望、重要な日などをCRMに記録することで、情報を活用してパーソナライズされたサービスを提供することができます。
顧客の誕生日には特別なディナーを提供したり、好みに応じた部屋の配置をしたりといった工夫をしやすくなるでしょう。顧客にとって忘れられない滞在体験を作り出し、満足度向上につながります。
LINEやSMSツールを使ったアンケートの発信
顧客のフィードバックはサービス改善に不可欠です。CRMと連携したLINEやSMSのツールを使用することで、チェックアウト時やサービス後にリアルタイムで簡単にアンケートを送ることができます。
これにより、顧客は手軽に意見を共有でき、ホテル側は即時に顧客の声を受け取り、それをサービスの改善に活かすことが可能となります。
ホテル業界でのCRM導入事例
「元湯陣屋」老舗旅館の業務を一気に効率化
元湯陣屋は幅広い世代が足を運ぶ、伝統と格式が息づく鎌倉の老舗温泉旅館です。昔ながらの手書き台帳を利用していましたが、管理に限界を感じ、Salesforceの導入に至りました。
導入の背景
- 予約と顧客管理を手書きの台帳やホワイトボードで行っており、急な変更への対応や情報共有漏れが問題に
- インターネット予約の増加によるデータ管理の遅延や重複予約が課題だった
- 新しい経営者が技術的な解決策への意欲が強く、経営効率化のためのツールを模索
得られた成果と影響
- 予約台帳管理と会計システム、ホームページを連携でき、従業員間のデータ共有がリアルタイムに
- 顧客情報が宿泊、ブライダル、レストラン等の項目に整理され、二重予約の防止や情報漏れが解消
- Facebookで顧客からのフィードバックを取り込み、顧客データと連携させて、サービスに活かせるように
- 従業員の意識も含めた業務の効率化が実現し、経営者層が現状と展望を的確に把握できるようになった
「星野リゾート OMO7」
星野リゾートグループが北海道旭川市に立ち上げた新ブランド「OMO7」。これまでの星野リゾートブランドと異なる、新しいスタイルのホテルとして位置づけられています。属人的な営業になることを避けるためF-RevoCRMを導入しました。
導入の背景
- 企業や団体向けの新しい宴会事業を展開。グループにとって初の試みで、属人的な営業活動が心配されていた
- 新たな宴会事業の成功を支えるため、効率的な営業活動と顧客管理の基盤構築としてCRMが検討
得られた成果と影響
- 宴会営業のフローを整備し、一貫した営業活動が可能になり、属人的な要素を減少
- 顧客情報をCRMシステムに統合し管理することで、情報共有が容易となり、スタッフ間での連携が強化された
- スタッフのスタッフの経験レベルに応じてカスタマイズが可能で、新人からベテランまで効率的に業務ができるように
- システムの柔軟な調整によって、提案のタイミングや営業の進捗管理が改善
ホテル業界にCRMを導入してより良い宿泊体験の実現を
CRMをホテルに導入して効果的に利用すれば、業務の効率化やサービスの向上を目指せます。ひいてはリピーターの増加や、顧客満足度のアップにつながり、売上の増加を見込むことができるでしょう。
CRMを選ぶ際は、機能や使いやすさ、サポート・セキュリティ体制の確認が重要です。人気システムの特徴や魅力をチェックし、自社に合ったツールを導入してみましょう。
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