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【給与計算を税理士にアウトソーシング】選び方と社労士との違いは?

最終更新日: 2023年03月11日

事業が軌道に乗って、従業員を雇うことになった! 個人事業主にとっては嬉しいことですね。

それに伴い発生する業務の一つが給与計算。やってみると意外と複雑なので、給与計算をアウトソーシングする人が増えています。

この記事では、給与計算を依頼する税理士や社労士の選び方について、そのメリットやデメリットなどを踏まえて解説します。

給与計算の方法

給与計算には会計ソフト・税理士・社労士などの方法があります
給与計算には会計ソフト・税理士・社労士などの方法があります

多くの事業所では、給与計算をどのような方法で行っているのでしょうか。大きく分けると方法は3つ。自社で給与計算ソフトを使う社会保険労務士に依頼税理士に依頼、です。

給与計算ソフト(会計ソフト)で行なう

給与計算を専門とする会計ソフトもさまざま。中小企業では、ソフトを使って自社で給与計算を行っているところも少なくありません。

最近では、パソコンにインストールするタイプではなく、クラウド上にあるソフトをインターネット上で利用するクラウド型ソフトが一般的になりました。利用料は従業員の人数に応じて月々かかりますが、法制度などに応じたバージョンアップのたびに、ソフトを購入する必要がなく、アップデートが自動的に行われるのが魅力です。

経費などを入力する会計ソフトと連動しているものも多いので、一緒に利用すれば、社内のお金の流れが一つにまとめられるというメリットもあります。

社会保険労務士(社労士)に依頼する

給与計算を外注する場合は、社労士か税理士に依頼するのが一般的です。これは、給与計算業務に関連するその他の業務が、社労士または税理士の独占業務だからです。

社会保険労務士は、労働保険や社会保険の手続き代行など、人事や労務管理のプロです。そのほかにも、労働者名簿や賃金台帳、就業規則の作成も依頼できます。これらの業務は社労士の独占業務なので、他の士業や資格を持たない人に依頼することはできません。

税理士に依頼する

税理士は税のプロ。確定申告や消費税の申告書作成や申告の代行などが、税理士の独占業務です。給与計算に関わる所得税の計算から、従業員の年末調整の手続きなどが、まとめて依頼できます。

給与計算をアウトソーシングしたときの費用相場

給与計算の依頼費用は、従業員数で変わります
給与計算の依頼費用は、従業員数で変わります

給与計算をアウトソーシングする場合は、依頼する内容に応じた月々の費用が必要です。税理士と社労士、それぞれどのくらいの金額が相場なのでしょうか。

税理士に依頼したときの費用相場

税理士に給与計算を依頼した場合の月額費用は、一般的に、基本料金+従業員の人数で計算されます。

  • 基本料金 1~2万円
  • 人数単価 500~1,000円/人

従業員の人数が多くなると、月々の作業量も増えるため、基本料金を高く設定している税理士事務所もあります。

また、最初の依頼時には、初期設定料が必要な場合もあります。

  • 1人当たり 1,000~2,000円

給与計算以外に確定申告や年末調整などを依頼する場合は、別途費用が加算されます。

社労士に依頼したときの費用相場

社労士に給与計算を依頼する場合の月額費用相場も、一般的に、基本料金+従業員の人数で決まります。

  • 基本料金 1~2万円
  • 人数単価 500~1,500円/人

社労士に依頼する場合も初期設定料が発生する場合があります。

  • 1人あたり 500~2,000円

従業員の入退社手続き、社会保険料の変更手続きなど、社労士業務を一緒に依頼する場合は、その費用が加わります。

給与計算を税理士に依頼したときのメリット・デメリット

給与計算を外注する場合、税理士、社労士、それぞれに依頼した場合のメリット、デメリットを知って選び方を考えたいものです。まずは、税理士に依頼した場合について説明します。

税理士に依頼するメリット

税理士に給与計算を依頼する場合のメリットは、税理士の独占業務である「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」についても依頼できるという点です。

・年末調整までまとめて依頼できる
税理士に給与計算を依頼する最も大きなメリットは、年末調整までまとめて依頼できるという点。年末調整は1人ひとりの状況にあわせた処理や書類が必要な上、1年間の給与額などのデータが必要です。

給与計算を税理士に依頼していれば、従業員の毎月の給与額や控除額はすでに、税理士の手元でデータ化されています。さらに、自治体への申請も税理士なら電子申請が可能。楽に手続きができます。

・節税対策のアドバイスが受けられる
消費税や法人税など、事業所にかかる税金はさまざま。税の知識があれば、これらの税金を節税できる方法はたくさんあります。

税法に関する知識を活かした節税対策のアドバイスは、税理士の得意分野。給与計算と一緒に月々の会計業務も依頼すれば、会社に関するお金の情報をまとめてみてもらえ、効果的な節税対策についてアドバイスしてもらえます。

・経営アドバイスをしてもらえる
税理士の中には、経営に関するコンサルティングが得意な人もいます。会社のお金の流れを見てもらうだけでなく、今後のことも考慮した事業展開のタイミングや融資申請の支援など、数字の面から経営アドバイスが期待できます。

税理士に依頼するデメリット

給与計算に関する業務には、社会保険に関する手続きや入退社の手続きなど、税理士が携われない業務もあります。給与計算業務を税理士に依頼する場合は、この部分を社内で行なう必要があります。

給与計算を社労士に依頼したときのメリット・デメリット

給与計算を社労士に依頼する社会保険、入退社手続きも依頼できます
給与計算を社労士に依頼する社会保険、入退社手続きも依頼できます(画像提供:PIXTA)

給与計算を社労士に依頼した場合には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

社労士に依頼するメリット

給与計算を社労士に依頼する場合のメリットは、社労士の独占業務である「提出代行」「社会保険関連書類の作成代理」「事務代理」を一緒に依頼できる点です。

・社会保険関係の手続きをまとめて依頼できる
社労士に依頼する場合の大きなメリットは、社会保険関係の手続きを一括管理できる、という点です。社会保険に関する手続きは、年度ごとの労働保険の更新や社会保険の月額変更届・算定基礎届の提出など給与計算以外にたくさんあります。加えて、従業員の入退社があれば、それに伴う手続きも加わります。

社労士に依頼すれば、これらの業務はまとめて依頼できるので、手続きにかかっていた時間の節約になり、スピードもアップします。

・労務関係の書類作成などが依頼できる
社労士の独占業務には従業員名簿や就業規則の作成も含まれています。状況に応じて更新が必要なだけでなく、届出も必要なので、依頼しておくと安心です。

・人事関係のトラブルに対応してもらえる
人事関係のトラブル対応など、労働関連の法律に詳しいのが社労士。労働監督署への対応や、従業員との交渉など、必要な部分を支援してもらえるのは、経営者にとって心強いメリットです。

・保険給付や助成金の提案が受けられる
従業員が病気やケガをした場合、労災などの給付金がでます。ところが、これらは申請制のため、手続きを忘れたりすると給付金は受け取れません。

社労士に給与計算を依頼すれば、従業員の勤務状況などから、給付金申請手続きについて教えてもらえます。さらに、従業員の入社時期や出産に係る休暇取得など、状況によっては助成金がもらえることも。社労士であれば、受けられる助成金の提案もしてもらえるので、経営がよりスムーズになります。

社労士に依頼するデメリット

社労士に給与計算を依頼するデメリットは、税理士の独占業務にあたる部分が依頼できないこと。年末調整を依頼できないだけではなく、自治体への申請も社内で行なうか、別に税理士に依頼する必要があります。

給与計算は税理士と社労士どちらに頼むべき?

従業員が少ない小規模事業者は税理士に依頼するのがおすすめです
従業員が少ない小規模事業者は税理士に依頼するのがおすすめです

給与計算を外注する場合、税理士と社労士、どちらに頼むのがよいのでしょうか。選び方のポイントは、従業員の数と依頼したい業務の範囲を検討することです。

顧問税理士がいるor従業員が少ないときは税理士

一般的に、中小企業が給与計算を依頼する場合、税理士が選ばれることが多いようです。これは、ほとんどの中小企業が顧問税理士と契約しているためです。月々の会計処理や確定申告業務について契約しているのであれば、単独で依頼するより安く、給与計算もアウトソーシングできます。

また、従業員が少ないため、入退社や社会保険の手続きもそれほど煩雑ではありません。そのため、税理士に依頼して、年末調整などの手続きまでしてもらうほうがメリットが大きいのです。

社会保険料や労働時間をしっかり管理したいなら社労士

規模の大きな会社の場合では、1人ひとり異なる社会保険料の計算に時間がかかるため、社労士に依頼するのがおすすめです。入退社手続きも多く発生する可能性があり、そこまでまとめて依頼すれば効率的です。

中小企業でも、社会保険料や労働時間の管理を正確に行ないたい場合は、社労士へ依頼するのが安心。社労士の専門分野なので間違いのない計算をしてくれます。

給与計算に強い税理士の選び方【6項目】

信頼して依頼できる税理士か、見極めて選びましょう
信頼して依頼できる税理士か、見極めて選びましょう

小規模事業者が給与計算を依頼するのは税理士がおすすめです。この場合、どのように税理士を選ぶとよいのでしょうか。給与計算に強い税理士の選び方のポイントは6つです。

 仕事の実績を確認しよう

税理士は、税に関する業務を行ないますが、その業務内容は幅広く、税理士によって得意とする分野も異なります。給与計算を依頼しようと思ったら、税務のコンサルティングがメインでやったことがなかった、ということもあります。

また、企業規模による作業量の違いなどが、スムーズな業務の進行に影響することもあります。自社と同じくらいの企業規模の給与計算についての実績が豊富な税理士であれば、これまでの経験や知識を十分に活かしてもらえます。

ホームページなどに実績を記載している税理士もいるので、事前に確認しておきましょう。

税務コンサルタントではなく会計業務専門の税理士がおすすめ!

顧問契約を結んでいる税理士に給与計算を依頼しようと考えた場合は、会計業務もやってくれるかどうかの確認が必要です。税務コンサルタントをメインにしている税理士の中には、給与計算をやってくれない税理士もいます。

会計業務を専門としている税理士なら、毎月の決算業務に加えて、給与計算をやってくれることも。確定申告まで一括して、ワンストップで依頼できるというメリットもあります。

会計ソフト(給与計算ソフト)に詳しい税理士を選ぼう

少しでも給与計算の費用を抑えたい、という場合、給与計算専門の会計ソフトに出勤状況等を入力し、そのデータを税理士に渡して確認してもらう、ということも可能です。積極的に会計ソフトを活用している税理士もいて、情報提供がスムーズにできるよう取り計らってくれます。

最近のクラウド型給与計算ソフトの動向などに詳しい税理士なら、会社の規模や状況にあったソフトの選び方を教えてくれることもあります。事前に、質問してみましょう。

税理士報酬の安さで選ぶのは危険!

インターネットなどで税理士を検索していると、予想以上に安く報酬を設定している税理士もヒットします。安いからと依頼したら、求めている業務が含まれていなかった、対応が遅かった、などのトラブルが発生したという人も少なくありません。

給与計算業務の費用は、業務料と業務範囲によって決められています。何をどこまでやってもらえるのか、きちんと確認した上で、適正な費用を提示してくれる税理士を選びましょう。

担当者が税理士資格を保有しているか確認しよう

税理士資格は、税理士試験に合格した後、実務経験を積んで、日本税理士連合会に登録することで認められます。名簿に掲載されていない税理士は税理士資格を保有しない、いわゆる「にせ税理士」です。

実は、国税庁のホームページに「にせ税理士に注意」という注意喚起が掲載されるほど、税理士資格を持たない人による税理士業務代行事例が増加しています。税理士資格を持っていない人が作成した税務書類はすべて無効。それどころか、脱税の疑いがかけられる事例もあります。

税理士資格を保有しているかどうかは、日本税理士連合会が発行する税理士証票で確認できます。また、日本税理士連合会のホームページでも登録が確認できますので、必ず、チェックしましょう。

●日本税理士会連合会のホームページ

コミュニケーションがしっかりと取れる、信頼できる人を選ぼう

毎月の給与計算業務は、勤務日数の確認など1人ひとりの状況に関する情報が重要です。スムーズに業務を行ってもらうために欠かせないのが、コミュニケーションがしっかり取れる税理士かどうか。きちんと話を聞いてくれ、必要な情報を提供してくれる人でなければ、かえって手間がかかってしまうこともあります。

契約前に必ず一度は面談して、信頼できるかどうかを確認しましょう。税理士としての知識や経験だけでなく、人として信頼できる相手であれば、給与計算以外にも会社の経営について相談できるでしょう。

一緒に会社のことを考えてくれるアドバイザーを探す。そんな心づもりで税理士を探してみるのがポイントです。

税理士を探す方法

税理士探しはマッチングサイトがおすすめです
税理士探しはマッチングサイトがおすすめです

給与計算を依頼する税理士を探す場合、どんな方法があるのでしょうか。効果的な選び方ができるおすすめの方法をご紹介します。

電話・インターネットで自分で探す

事務所がある地域に近い税理士を探すのであれば、電話帳やインターネットで検索するのが簡単です。

近いところにいる税理士であれば、すぐ面談でき、実績や人柄が確認できます。インターネットにホームページが開設されていれば、得意分野や実績も事前に確認した上で、税理士が選べます。

知人からの紹介

すでに税理士と契約している人が周囲にいる場合は、その人から紹介してもらうのも、効果的。ホームページや電話でいろいろな情報を確認する時間をかけることなく、税理士を見つけることができます。

どんな仕事をしている、どんな税理士なのか、事前に他者の視点で確認できるのもメリット。面談やホームページの情報だけでは判断できない税理士の人柄や仕事ぶりを知ることができます。

税理士のマッチングサービスを利用

税理士が開設しているホームページの情報だけでは判断できないし、税理士を知っている知人もいない、という場合は、税理士のマッチングサービスを利用するのがおすすめです。全国の税理士が登録しているマッチングサービスでは、希望する業務の範囲や地域などを設定すれば、ニーズにあった税理士を紹介してもらえます。

事前に見積もりがもらえたり、チャットやメールなどでやりとりができるサービスもあり、想定している金額でやってもらえるか、信頼できる相手か、なども判断できます。

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税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

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