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【税理士監修】所得税を医療費控除で減らそう!対象医療費と申告書類をチェック

最終更新日: 2019年11月06日

サラリーマンで年末調整後の確定申告をされる方は、医療費控除か住宅ローン控除の適用が多いかと思います。

実際に何度か申告したことがあっても、年に一度のことなので、制度の中身を確認する間もなく申告することとなった方もいるのではないでしょうか?医療費控除で、実際にどれだけ返ってくるのか、また、制度を利用する上での注意点などを整理します。

この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

大手監査法人で多様な業種、規模の上場企業、非上場企業の監査業務に従事。併せて、同じ監査法人でコンサルティング業務(決算早期化支援、内部統制構築支援、システム導入支援等)を実施してきました。その後、大手監査法人を退所、独立開業。独立開業後は中小企業、個人事業主を中心に税務に関して全般的にサービスを提供しています。

医療費控除で所得税を減らす

所得税を減らそうと悩む男性
医療費控除で所得税を減らそう!

医療費控除とは、1年間に多くの医療費を支払った場合、所得控除が受けられ、結果として所得税や住民税が安くなるという制度です。

医療費控除制度とは病気やケガなどの不可避的な支出を所得から差し引くことによって、経済的所得だけでは測れない個人的事情も考慮した課税を実現するために、昭和25年度の税制改正で設けられた伝統ある制度です。この医療費控除について詳細に見ていきましょう。

医療費控除とは

医療費控除とは、自己又は自己と生計を共にする配偶者やその他の親族ために医療費を支払った場合、その支払った医療費が一定額を超えるときに所得控除を受けることができる制度です。

所得税の確定申告で医療費控除を適用すると、年末調整で納税が済んでいる方は所得税が還付され、住民税については、翌年6月から医療費控除の結果が反映されます。

どれくらい控除されるの?

医療費控除によって、実際にどれくらい控除されるのでしょうか?

例として、収入600万円のサラリーマンの家庭で、年間37万円(本人16万円、妻16万円、息子5万円)の医療費を支払ったとした場合の計算をしてみます。

医療費控除では、所得金額が200万円以上の場合は10万円を超える医療費分を、所得金額が200万円未満の場合は所得金額の5%を超える医療費分を所得から差し引くことができます。

収入600万円の給与所得控除後の所得金額は426万円となり、これは200万円を超えています。そして、家族全員の医療費の金額が37万円なので、

370,000円-100,000円=270,000円

となり、27万円が医療費控除として所得から控除できます。

ちなみにこの場合の所得税の還付額は、65,400円(=355,800 – 290,400)となります。

これらは自分で計算して確定申告する必要があります。詳しくは国税庁のサイトを参照ください。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

医療費控除の対象期間は?

医療費控除の対象期間とは、その年の1月1日から12月31日までとなります。

医療費控除については、制度の選択や誰からの所得控除にするかなど検討の余地があること、さらに、会社の年末調整は11月から準備にかかりますので年末調整で終わらせるには、時間的に無理があります。

したがって、納税者自身が確定申告によって、払い過ぎた税金を取り戻す手続きをすることになります。

また、医療費控除は根拠資料が揃っておれば、5年以内であれば申告可能ですので今回の所得税の確定申告期限を過ぎても問題ありません。

医療費控除の併用について

医療費控除の注意点として、ふるさと納税及びセルフメディケーション税制との併用を挙げておきます。

ふるさと納税とは、地方自治体(都道府県、市区町村)に寄付をすると、寄付金控除により所得税と住民税が還付ないし控除される制度です。限度額の範囲内であれば、2,000円を差し引いた金額がほぼ還付又は控除され、それぞれの自治体の特産品などのプレゼントもあるため、考え方によっては2,000円で特産品を購入しているとも言えます。

このふるさと納税では、一定の要件のもと確定申告が不要になる「ワンストップ特例」が受けられます。

しかしながら、医療費控除を受けるためには確定申告が必須であるため、ふるさと納税でワンストップ特例を使っても無効となってしまいます。医療費控除の予定があるのであれば、ふるさと納税も確定申告で行いましょう。

また、後述しますセルフメディケーション税制も医療費控除との選択適用となりますので注意が必要です。

医療費控除の対象

医療費控除とは
医療費控除の対象

大きな病気やケガがあった場合に、その治療に向けてさまざまな費用が発生します。入院のための日用品の購入、家族の交通費、食事代、テレビレンタル代、差額ベッド費用からお世話になった病院への謝礼も発生します。しかしながら、これらのすべてが医療費控除の対象になるとは限らないのです。

どのような費用が医療費控除の対象となるのかを整理してみましょう。

「治療を受けるために必要な費用かどうか」が判断基準

医療費控除の対象となるのは、実際にかかった治療費と、その治療のために必要な費用となります。

この「治療のために必要な費用かどうか」という判断が非常に重要になります。

例えば、美容のための歯科矯正、シミ取りの費用などは、病気やケガの治療ではありませんので対象外ですが、子どもの歯科矯正やインプラント治療、レーシック手術などは対象とされています。

そして、医療費控除の対象となる医療費には、実際にかかった治療費以外にも、通院のための交通費、入院中の食事代、部屋代などが含まれます。

しかしながら、健康診断や病気の予防のための費用や健康増進のための購入費用などは対象外となります。

医療費控除に申請する金額は一般の常識の範囲で

医療費控除の範囲を考える上では、一般常識から判断して治療に付随しない費用、余分な費用は対象外と考えましょう。

例えば、公共の交通手段で十分なときにタクシーを使った場合、入院時に敢えて割高の部屋に移った時の差額ベッド代、医師や看護師への謝礼金、専門家以外に支払った介助費用など、本来の病気やケガの治療費用からかけ離れていれば、医療費控除の対象とはなりません。

しかし、出産で入院のためのタクシー代は、通常の交通手段によることが困難なために対象となります。

要するに、その費用のための行為が「治療目的」なら対象となりますが、予防、健康増進、美容などのための費用は対象外となります。

同様に、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師などに支払った費用についても、「治療目的」であれば医療費控除の対象となります。

健康診断は医療費控除に含まれない?

前述しましたように病気の予防費は医療費控除の対象とはなりません。例えば、人間ドックの費用は予防費なので対象外ですが、治療すべき病気が見つかった場合はその人間ドック費用も含めて医療費控除の対象となります。病気の発見は治療の一環だと捉えるからです。同様に、妊娠判定の健診代についても妊娠の確認が取れない場合は健康診断と同様ですが、妊娠の確認が取れた場合については、妊娠判定以降の医療費は医療費控除の対象となります。

しかしながら、人間ドックや職場の定期健康診断を受診したという結果通知は、後述しますセルフメディケーション税制を適用するときの添付資料として活用できます。

したがって、人間ドックや健康診断で異常がなかったときでも、領収書や結果通知は確定申告の時期まで保管しておきましょう。

具体例:医療費控除の対象

ここで、医療費控除の対象になるもの、ならないものについてまとめておきます。

参考:手順3 所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する|国税庁

医療費控除を受けるための書類作成

書類作成の画像
医療費控除のための書類作成

実際に確定申告において、医療費控除を適用する場合にどのような書類がいるのでしょうか?

医療費控除として所得控除できる最高額は200万円とされていますので、書類不備で還付が遅れることのないように注意しましょう。

必要書類は「明細書」「確定申告書」「源泉徴収票」「医療費通知」

医療費控除のための必要書類は、「明細書」「確定申告書」「源泉徴収票」「医療費通知」の4点となります。

この中には、医療機関の領収書は含まれていないのは、平成29年の税制改正によって医療費に係る領収書の提出が不要となったからです。

医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。これら必要書類については、次のような書類となります。(明細書の記入は次項で解説します)

「明細書」「確定申告書」「源泉徴収票」「医療費通知」の画像
「明細書」「確定申告書」「源泉徴収票」「医療費通知」の説明

出典:医療費控除の明細書、確定申告書(第一表及び第二表)、源泉徴収票:国税庁

医療費のお知らせ:鳥取市公式ウェブサイト

  • 医療費控除の明細書:必要事項を記入します。(次項参照ください)
  • 確定申告書:医療費の記載は確定申告書の第一表と第二表にそれぞれ記載します。

確定申告書は第一表にも第二表にも⑪医療費控除という欄があります。

確定申告書

(第一表記載欄)

(第二表記載欄)

医療費控除の明細書にて控除額の計算をしますので、その結果を確定申告書に記載することとなります。

  • 源泉徴収票:会社で交付されます。紛失したら再発行してもらいましょう。
  • 医療費のお知らせ:各健康保険組合等から送付されてきます。医療費のお知らせを利用せず、すべて医療費控除の明細に転記しても問題ありません。表題は医療費通知書等いろいろとあります。

「明細書」の書き方

それでは、医療費控除の明細書の記入方法を見ていきましょう。

  • ① 保険組合等から送付されるお知らせにある「自己負担の合計額」を記入します。
  • ② 上記①のうち、年内に支払いが完了した金額を記入します。年末時点で未払いのものは含めません。
  • ③ 受取った保険金や高額治療費などの給付があった場合はその受けた金額の合計を記入します。
  • ④~⑦ 医療費のお知らせ以外の明細について領収書等を参照して記入します。

医療費の区分についても診療・治療、医薬品購入、介護、その他等該当するものをチェックします。

  • ⑧(医療費のお知らせ以外の支払医療費)の合計額を記入します。
  • ⑨(⑥のうち、受け取った保険金等)の合計額を記入します。
  • ⑩ 明細書の式(ア+ウ)が示すとおり、ここに年間支払った医療費の総合計額を記入します。
  • ⑪ 同様に、ここには年間に受け取った保険金等の総合計額を記入します。

明細書下段のA~Gについては、その右の欄に詳細が記載されていますが、次の点に注意ください。

A:         上記⑩の金額と同じ金額です。確定申告書第二表の「支払医療費等」に転記します。

B:         上記⑪の金額と同じ金額です。確定申告書第二表の「保険金などで補填される金額」に転記します。

C:         ここで0以下になったときは、医療費控除は受けられません。再度明細をチェックしましょう。

D:        確定申告書第一表の所得金額」欄の合計額を記入します。

給与のみの方は、源泉徴収票の給与所得控除後の金額になります。

F:         所得が200万円以上の場合は、10万円となります。(所得が200万円未満の場合はE欄で計算)

G:         この金額が所得から控除される「医療費控除額」となります。

確定申告書第一表の医療費控除欄にGの金額を転記します。

注意:領収書は捨てない

健康保険組合等からの医療費のお知らせは添付書類として提出しますが、医療費の明細欄に記載した病院や薬局等で受領した領収書は提出しません。しかし、領収書は捨てずにとっておきます。

国税庁の手引きに「確定申告期限から5年間、税務署から領収書の提示又は提出を求める場合がありますので、領収書はご自宅等で保管してください」とあるように、根拠資料として保管するわけです。

また、医療費控除については、昨年の治療費を今年に支払った場合は、今年の還付申告の医療費となります。逆に、今年に治療は受けたけれど支払いはまだの場合には、今年の医療費控除明細に含めることができないので、医療費の領収書は必ず保管しておきましょう。万が一捨ててしまった場合は、再発行が可能かどうか病院に相談してみましょう。

セルフメディケーション税制を活用する

セルフメディケーション税制の画像
セルフメディケーション税制とは

医療費控除は家族単位で適用できるのですが、最近は単身世帯が増える中、年間の医療費が10万円までいかない方も多いかと思います。

このような時には、医療費控除の特例として2017年から始まった「セルフメディケーション税制」が適用できる場合があります。この制度も生計を一にする家族で適用できますが、普段はあまり病院にはかかっていないが、健康維持増進のために薬を買う方に所得控除の機会が与えられる制度です。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは、定期健康診断などを受けており、市販薬のうち指定の医薬品について年間1万2,000円を超えて購入した方が、所得控除を受けることができる制度です。

この指定の医薬品をスイッチOTC医薬品と呼んでおり、厚生労働省で対象となる医薬品目を確認することができます。なお、控除の対象となるのは1万2,000円を超えた部分の金額となり、上限金額は8万8,000円です。また、医療費控除の一環ですので、所得税と住民税に反映されます。

参考:対象の医薬品目一覧|厚生労働省

期限は2021/12/31まで

セルフメディケーション税制は、租税特別措置法に基づく税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)であるため、現在のところ、2021年12月31日が適用期限となっています。

したがって、要件を満たす方が2021年12月31日までに購入した医薬品で指定のものについては適用されます。

ドラッグストア等で対象となる医薬品を購入した際、領収書を受け取りますが、セルフメディケーション税制の申請には、次の5項目が明記されていることが必要となります。

  • 1,商品名、2,金額、3,その商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨、4,販売店名、5,購入日

このうち、3については、例えば明細に★印をつけ、★印はセルフメディケーション税制対象商品であることが明記されている等の方法でもよいとされています。なお、添付する領収書は原本となります。

指定する健康診断を受けている必要がある

この税制適用の要件として、健康の保持増進、病気の予防に取り組んでいることの証明が必要となります。ここで定期健康診断等を受診したという結果通知がその証明となりますが、有効となる証明書は次のとおりです。これらのうち、一つあれば証明として使用できます。

  • 健康保険組合、市町村国保等が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
  • 市町村が健康増進事業として行う健康診査(骨粗鬆症検診等)
  • 予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)

・  特定健康診査(いわゆるメタボ健診)又は特定保健指導など

なお、添付する証書はコピーでよいとされています。

注意点としては、これらの健康診断費用は医療費控除と同様、控除の対象とはなりません。あくまでも証明書としての利用となります。

注意:医療費控除と併用できない

セルフメディケーション税制の適用を受ける場合には、従来の医療費控除の適用を受けることができません。

したがって、どちらも適用可能な場合は選択に悩むところですが、おおよその目安としては、1万2千円以上10万円までの医薬品購入については、セルフメディケーション税制のほうが有利となりますが、10万円以上19万円ぐらいまでは2つの制度を比較して控除が大きい方を選ぶのがお得となります。

思わぬ医療費は「医療費控除」を利用する

医療費控除を使いお金が節約できた画像
思わぬ医療費は「医療費控除」を利用する

出産などは妊娠期間中に準備が可能ですが、日常生活で思わぬ医療費が発生することがあります。

前に述べましたように、医療費控除は5年間猶予期間がありますので、今回提出を忘れても次回の確定申告時に申請すれば問題ありません。大きなケガや手術があると、その対応のみにとらわれてしまいますが、病院の領収書などは保管しておくことをお勧めします。

申告漏れをなくす

一口に医療費といっても例えば、介護関連の費用等は多岐にわたります。

介護保険制度において、介護サービス事業者から要介護者等が受ける居宅サービスなどのうち、療養上の世話の対価に相当する部分の金額は医療費控除の対象とされています。

しかし、個々のサービスについて何が医療費控除の対象となるのかを判断するのは煩雑な上、受けるサービス内容も常に同じわけではありません。

このように医療費控除の対象となるかどうかについて、迷ったら税理士に相談してみましょう。

そして、極力医療費控除の申告漏れをなくすように努めましょう。

参考:No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価|国税庁

健康に気を使うなら「セルフメディケーション税制」を検討する

セルフメディケーションとは、WHO において「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義されています。

セルフメディケーションを推進していくことは、国民全員の自発的な健康管理や疾病予防の取組を促進することはもちろん、医療費の適正化にもつながるとされています。

病院に行かなくても、日頃の健康の維持管理が少しでも節税につながるのであれば、セルフメディケーション税制の存在意義は大きいと言えます。

まとめ

医療費と言っても非常に広範囲をカバーするこの医療費控除制度は、医療費の範囲を見極めることが最も難しいと言えます。医療費控除は通達課税と呼ばれ、法令ではなく通達によってその対象範囲を広げていることは問題とされているところでもあります。

しかしながら、払い過ぎた税金は還付されるべきですので、不明な点は面倒でも税理士や税務署に確認して解決しましょう。

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