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出産費用は確定申告でいくら戻ってくる?医療費控除で節税するやり方

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最終更新日: 2024年01月05日

家族が出産をした年は、ぜひ医療費控除の検討をしてみましょう。

出産費用は高額な医療費となるため、確定申告することで税金が還付されたり、節税できたりする可能性が高いです。

どういった条件を満たせば税金還付の対象になるのか、詳しくみていきましょう。

出産費用は確定申告で戻ってくる?

医療費控除の仕組みを解説する税理士
医療費控除の仕組みを解説します

「医療費控除」という言葉を一度は耳にされたことがあると思います。1年間に支払った医療費が高額になると、税金が還付される制度のことです。

医療費は、病気や怪我の治療費用ばかりでなく、出産に要した費用も対象になります。どうすれば、この医療費控除を受けられるのか説明をしていきましょう。

医療費控除とは?

医療費控除とは、本人及び生計を共にする家族が各種医療機関で要した費用が、一定の金額を超えた場合、所得から控除される制度です。確定申告をすることで、税金が還付されます。

医療費控除が申告できる条件は?

医療費控除は誰もが申告できるわけではありません。その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が10万円を超えた場合が対象になります。

また生計を共にする家族単位で考えるので、家族に対する医療費の合計が10万円を超えれば医療費控除の対象になります。

なお、年間の総所得が200万円以下の人については、総所得の5%を超えれば医療費控除の対象になります。

病気や怪我で医療費控除の対象になる費用は?

まず一般的な医療費である病気や怪我で医療費の対象になるものをみていきましょう。主に次のような費用が医療費控除の対象になります。

  • 病院の治療費
  • 治療や療養に必要な医薬品購入費
  • 通院費(公共交通機関の交通費)
  • 入院の際の部屋代や食事代

出産費用で医療費控除の対象になるのは?

同じ医療費控除でも、出産に伴う費用は病気等とは事情が少し異なってきます。出産費用で医療費控除の対象になるのはどんなものがあるのかみていきましょう。

出産にかかる医療費のうち、次のようなものが医療費控除の対象になります

  • 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用
  • 妊娠と診断されてからの通院費(バス・電車代)
  • 出産で入院する際に、やむを得ずタクシーを利用した場合の料金
  • 分娩費
  • 入院費
  • 入院中に病院が用意した食事代

これらの費用は領収書などで支払った金額を証明する必要があります。ただしバス・電車などの公共交通機関については、家計簿などに通院日と整合がとれる記録があれば認められます。

医療費控除が認められないものは?

病気や健康と関わりがあるものであっても、次のようなものは医療費控除の対象にはなりません。

  • 健康診断の費用
  • 医師等に対する謝礼金
  • ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金
  • 自家用車で通院した際のガソリン代、駐車場料金
  • 入院に際し購入した寝巻きや洗面具
  • 入院中に出前した食事代や外食代
  • 自己都合により個室を選んだ場合の差額ベッド代

医療費控除には確定申告が必要!

会社員の場合、税金は毎月の給料から天引きされて、最終的に年末調整で清算をします。しかし医療費控除に関しては、本人あるいは家族が確定申告をしない限り医療費控除の手続は行われません。この点が生命保険料控除等の他の控除との大きな違いです。

年またぎで出産したら医療費を払った日で判断

確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの所得を対象に行う手続きです。妊娠から出産までの出来事は当事者にとっては一連の流れですが、税務上は年単位で支出を考えます。実際に支払いが行ったのが何月何日かによって、今年の確定申告と翌年の確定申告に分かれるのです。

このため、たとえば通算で17万円の医療費がかかったのに、年をまたいだことによって今年分8万円、翌年分9万円となり、まったく医療費控除が受けられないということもあり得るのです。

セルフメディケーション税制との併用はできないので注意!

本来医師の処方箋を要した医薬品が、安全性に問題がないとして市販の医薬品になったものをスイッチOTC医薬品といいます。国はこのスイッチOTC医薬品を促進する観点から、購入代金が1万2千円を超えた場合は、税金を控除するセルフメディション税制を設けています。

医療費控除は、このセルフメディケーション税制を適用したものは対象になりません。

医療費控除で出産費用はどれくらい戻る?

出産が近い夫婦
出産費用は医療費控除で還付されます

それでは、医療費控除を利用して確定申告をすると、出産費用がどれくらい還付される(戻ってくる)のかをみていきましょう。

出産費用の医療費控除の計算式

まず医療費控除額の計算からしていきましょう。医療費控除額は次の数式から算出します。

  • 医療費控除額=支払った医療費の合計額-補助金等-10万円

最後の10万円は、所得が200万円以上の人に適用します。所得が200万円未満の人は、所得の5%を差し引きます。たとえば所得が100万円であれば、5万円ですから、医療費が5万円以上から医療費控除の対象になります。

具体的に計算をしてみましょう。

出産費用が57万円かかったが、出産育児一時金が42万円出たケースでは次のようになります。

  • 57万円-42万円-10万円=5万円

これにより5万円が医療費控除額になります。

このケースで同年に歯科や内科にかかっていればこれらの金額は合算できます。

  • (57万円+歯科2万円+内科1万円)-42万円-10万円=8万円

このケースでは、8万円が医療費控除額になります。

医療費控除でいくら戻る

医療費控除額は所得額から差し引くため、所得額が下がった分だけ税額が安くなります。つまり元の税額と下がった税額との差額に税率を乗じた金額が還付されることになるのです。

したがって「医療費控除額×所得税率」が還付される額になります。

たとえば課税所得額が500万円の人だと所得税率は20%ですから、5万円が医療控除額の場合は、5万円×20%=1万円の計算から、1万円の税金が戻ってくることになります

確定申告は所得が高い人がした方がお得

医療費控除は、生計を一にする人の医療費はまとめることができるので、それぞれの家族が支払った医療費代が10万円に満たなくても、家族全員の医療費を合計して10万円以上になれば、医療費控除を受けることができます。

ところでその場合、誰が確定申告者になればいいのでしょうか。そこで還付される税額のことを振り返ってみましょう。還付される税額は「医療費控除額×所得税率」の数式で算出されます。

つまり所得税率が高い人が申告をすると還付額も大きいということになりますから、家族の中で一番所得の高い人が確定申告をすると、最も効率のいい節税になるのです。

ただし中には医療費の安い病院もあり、出産育児一時金が交付されると、支払った医療費が10万円に満たないケースもあります。その場合は、所得が200万円に満たない家族が確定申告をすると、医療控除を受けられる可能性があります。

出産した年は他の治療とまとめればお得に!

医療費控除は生計を一にする家族の医療費を、まとめて確定申告をすることができます。このため出産などで多額の医療費の出費があった年は、歯科などで治療を受けると確実に還付の対象になります。

たとえば歯科で年間5万円の治療費を要した場合、通常の年であれば医療費控除の対象にはなりません。ところが出産で医療費が10万円を超えた年に治療を行い、所得税率20%の人が確定申告を行うと、歯科分だけで確実に1万円の税金が還付されるのですから、この差は大きいのです。

このように緊急を要さない治療は、出産のあった年に行うと節税効果があります。

確定申告はどこでする?必要なものは?

確定申告の税理士
確定申告の必要書類や方法を解説!

医療費控除を受けるためには確定申告が必要なことは分かりました。それでは確定申告をするためには、いつ、どこに行って、どんな手続が必要なのでしょうか。

ここでは確定申告のやり方の概要のみご紹介。具体的な手順は以下記事で詳しく解説しています。

関連記事:確定申告書のわかりやすい書き方! 会社員・パートの記入例【確定申告書A・Bは廃止】

確定申告は税務署か郵送、e-taxで

確定申告をする場合、最も確実な方法は所轄の税務署に赴いて、担当窓口に確定申告書を提出する方法です。確定申告書の最終チェックを現地でしてから提出できるので、ミスを防止できる可能性が高いでしょう。所轄の税務署の所在地は、国税庁のホームページで検索できます。

また、確定申告書の提出は郵送でも可能です。確定申告書の内容に不備なく書き込めるのであれば郵送でも問題はありません。確定申告書作成コーナーを利用すれば、案内に沿って入力していくだけで確定申告書が完成します。

近年はe-taxで電子申告する方も多いです。利用には「利用者識別番号の取得」といった事前申請が必要なため、早めの準備を心がけましょう。詳しい手続きは以下の国税庁のサイトを参考ください。

参考:e-tax ご利用の流れ(国税庁)

確定申告に必要な書類

確定申告書第一表
確定申告書第一表

出産費用に関する医療費控除を受けるための確定申告で、必要な書類は次のとおりです。

  • 確定申告書(確定申告書作成コーナー利用の場合は不要)
  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカード
  • 申告者名義の預貯金口座番号が分かるもの
  • 印鑑

確定申告書及び医療控除の明細書は国税庁ホームページでプリントアウトすることができます。

医療費控除の明細書
医療費控除の明細書(見本)

医療費にかかる領収書の提出は平成29年分からは不要になりましたが、確定申告の翌日から5年間の保管義務がありますので大切に保管しておきましょう。

また、確定申告は過去5年間遡って申告することが可能です。ただし平成28年分以前の確定申告をする場合は領収書の添付が必要です。

2024年(2023年分)の確定申告の期間

確定申告には申告期間があります。原則的に期間外は確定申告ができません。

2024年の受付日は、2月16日(金)~3月15日(金)

毎年提出期間は2月16日前後~3月15日前後までです。税務署の閉庁日である土曜日、日曜日との兼ね合いで毎年受付日は変わるため注意しましょう。

出産した年は確定申告をしよう

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確定申告の税理士はミツモアで

出産は、出産育児一時金が支給されるとはいえ、大きな出費を伴うことには変わりありません。家族の医療費を合計すると、さらに医療費は大きくなりますので積極的に確定申告を行いましょう、

会社員の方は確定申告とは無縁なために、つい億劫になりがち。そこで、源泉徴収票の金額を書き写していくと、案外簡単に確定申告書に記載することができますよ。

書き込み内容や添付書類がほぼ間違いないという確信がもてれば、郵送で申告をすればいいのですから、わざわざ休暇をとって税務署に出かける必要もありません。

出産をした年は、ぜひ確定申告をして医療費控除を受けましょう。

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