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医療費控除の交通費はどこまで対象?明細書の書き方や確定申告のポイントも解説

最終更新日: 2024年06月28日

確定申告の医療費控除は治療費だけでなく交通費も対象です。

医療費控除の対象となる交通費は、「医師による診療を受けるために、直接かつ通常必要なもの」と決まっています。たとえば公共交通機関での移動は対象ですが、車のガソリン代や駐車場代は対象外です。

確定申告する方が「これは医療費控除の対象になるの?」と迷わないように、医療費控除の対象になる交通費やならない交通費から、明細書の書き方、申告するときのポイントまで詳しく解説します。

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

この交通費は医療費控除の対象になる?ケースごとに解説

電車を使って病院へ向かう女性
領収書のない交通費は区間や金額などの内訳をしっかりメモしておきましょう

医療費控除の対象となる交通費は「患者自身が通院するに際して必要なものに限る」とされています。疑問の多い具体的なケースにあてはめながら詳しく見ていきましょう。

  • 電車・バスの交通費は往復で控除の対象
  • 付き添いの交通費は「患者1人で通院できない場合」に限り対象
  • 車のガソリン代や駐車場代は対象外
  • タクシー料金は急を要する場合以外、対象外
  • 医師が訪問診療するための交通費は対象
  • 遠方の医療機関を受診するため飛行機や新幹線を使った場合は対象
  • 里帰り出産の帰省に要した交通費は対象外

電車・バスの交通費は往復で控除の対象

バス停でバスを待つ男性

病院で診察を受けるために公共交通機関(電車・バス)を利用した場合、往復運賃が医療費控除の対象です。

公共交通機関の運賃については領収書がないため、医療費の領収書の内容と整合性がとれるよう内訳を整理しておき、明細書を作成する際に金額を転記するようにしましょう。

転記する際は個別に転記する必要はなく、1年間分をまとめて転記することができます。

交通系ICカードを利用しても控除の対象

SuicaやPASMOなど交通系ICカードを利用した場合も医療費控除の対象です。まとめ方や記録の付け方は、一つ前の段落で説明した公共交通機関利用時と同様です。

交通系ICカードの場合は、券売機で履歴を印字しておくと、内訳を作成する際に参照できます。

なお、印字できる履歴には条件や期間があるため注意しましょう。「まとめて印字しよう」と思った時には、期限切れになっていることがあります。

たとえばSuicaの場合、下記のような条件があります。

  • 履歴印字は、直近のご利用分最大100件まで行うことができます。
  • ご利用から26週間を超えた履歴は印字できません。

通勤・通学定期分の経路の交通費は対象外なので注意

通勤・通学定期分の経路の交通費は対象外となるため注意しましょう

たとえば、A駅からB駅を通過してC駅の医療機関へ通院するとします。A駅〜B駅間に通勤定期券を使った場合、その区間の交通費は医療費控除の対象外です。

患者の付き添いにかかった交通費は対象になる場合とならない場合がある

親の通院に付きそう笑顔の女性

患者の通院費だけでなく、付添人の交通費も医療費控除の対象になるのは「患者の年齢や病状から判断して患者1人で通院させることが危険な場合」です。

【医療費控除の対象になる例】

  • 親が子に付き添った場合
  • 高齢の親に子が付き添った場合
  • 大人でも自分一人では通院できないような重い病状にある場合

患者の年齢や病状から考えて1人で通院できる場合は、付き添いにかかった交通費を医療費控除の申請に含めることはできません。何となく心配で家族が付き添ったようなケースは控除の対象外です。

またそもそも患者が通院をしていないケースは控除対象に含まれません。たとえば入院中の患者のお見舞いに行くときにかかった費用は控除の対象外です。

中学生の付き添いは対象になる

中学生の通院に付き添う際の交通費は医療費控除の対象です。

中学生は金銭的に自立している年齢とはいえず、治療を受ける際の事前説明なども十分に理解できない可能性があります。そのため中学生の通院に際しては保護者の同伴が必要と判断され、保護者の交通費も医療費控除の対象と認められています。

参考:患者の世話のための家族の交通費 | 国税庁

車のガソリン代や駐車場代は対象外

駐車場に停められた車

医療費控除の対象になる交通費は、電車代やバス代のように「人的役務の提供の対価」として支出されるものに限られます。自分で車を運転して通院したときのガソリン代や駐車場代は、医療費控除の対象になりません。

付き添いで家族を病院に送るためにかかったガソリン代や駐車場代も対象外です。

タクシー料金は原則として対象外

タクシーのドアを開ける女性ドライバー

タクシー料金は、原則として医療費控除の対象外です。

ただし病状からみて急を要する場合や、電車・バス等の利用ができない場合はその全額が医療費控除の対象になります。「タクシーを使うと楽だから」といった理由では控除の対象にはなりません。

たとえば「電車やバスが動いていない夜間に症状が悪化して急遽タクシーで病院にいった」「突然の陣痛のためタクシーを利用して病院に向かった」ケースなどは対象になります。

なおタクシーの利用を余儀なくされた場合、タクシー代の中に高速代が含まれていれば高速代も医療費控除の対象です。

医師の訪問診療の交通費は対象

訪問診療で訪れた医師に看てもらっている女性

訪問診療で、医師や看護師が訪問するための交通費を患者が負担する場合は、医療費控除の対象になります。医療費控除の対象になる「医師等による診療等を受けるため直接必要なもの」に該当するからです。

訪問診療や往診では交通費がかかる場合とかからない場合がありますが、診察費用とは別に交通費を請求された場合、医療費控除の計算に含めるようにしましょう。

遠方の医療機関を受診するため飛行機や新幹線を使った場合は対象

新幹線車両

遠方にある医療機関を受診する場合、その病院でなければ治療ができないという相当の理由があれば、自宅と医療機関の間の旅費は医療費控除の対象になります。

主治医の指示を受けて遠方の病院で治療を受けるようなケースでは、飛行機代や新幹線代を医療費控除に含めて構いません。逆に自宅の近くの医療機関でも治療できる場合などは控除の対象外です。

指定席やグリーン席は対象外

遠方にある医療機関を受診する必要がある場合でも、指定席やグリーン車の利用費は医療費控除の対象になりません。

医療費控除の対象となるのは、あくまでも治療を受けるために直接必要になる費用とされています。指定席やグリーン車の利用は治療を受けるために必ずしも必要でないものと判断されるため、医療費控除の対象外です。

宿泊費用は対象外

宿泊費用に関しても治療に直接関係するものとはいえないため、医療費控除の対象にはなりません。

交通費は遠方の医療機関を受診するために必須の費用といえますが、宿泊費用は医療機関とは直接関係しません。そのため宿泊費はいかなる理由があっても医療費控除の対象にはならないとされています。

里帰り出産の帰省に要した交通費は対象外

里帰り出産で実家に帰省した女性

里帰り出産するにあたり、帰省に要した交通費は、医療費控除の対象外です。現在住んでいる場所と実家の間を行き来するための交通費に過ぎず、病院へ通院するための費用とはいえません。

ただし出産費用そのものや、定期健診のための通院費は医療費控除の対象です。

出産にはさまざまな費用が伴います。医療費控除の対象になるものとならないものを混同しないように注意しましょう。

関連記事:出産費用で医療費控除の対象になるのは?

医療費控除の確定申告のやり方【明細書の記載例あり】

明細書に記載する金額を電卓で計算する男性
国税庁が用意しているフォーマットを利用できます

医療費控除を受けるためには「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告で提出する必要があります。交通費は「医療費の明細」の箇所に金額を記入し、「その他の医療費」にチェックを入れましょう

確定申告の必要書類

確定申告を医療費控除を申請したい方が、用意しておくべき書類は以下です。

  • 医療費控除の明細書
  • 医療費の額が記載されたお知らせ(医療費通知)や領収書、交通費の記録
  • 確定申告書
  • 源泉徴収表(会社員の場合)
  • マイナンバーカード、またはその他の本人確認書類

確定申告書や、医療費控除の明細書の用紙は国税庁のサイトからダウンロードできます。なお電子申告の場合、これらの書類を紙で用意する必要はありません。

1年分の医療費が記載された通知書は、翌年の1月ごろに届くのが一般的です。

本人確認書類としてマイナンバーカードがない場合には、写真付き身分証明書などを用意しましょう。

確定申告の流れ

  1. 医療費控除の明細書を作成する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 確定申告書と医療費控除の明細書を所轄の税務署に提出する
  4. 還付金を受け取る、または納税する

医療費控除を受けたい方は、「医療費控除の明細書」で医療費控除の金額を計算した後に、確定申告書第一表に転記しましょう。なお確定申告書作成コーナーを利用すれば、「医療費控除の明細書」と「確定申告書」を同時に作成できるのでおすすめです。

提出は「税務署に持参または郵送」「e-Taxで電子申告」で行ないます。

確定申告書を税務署に持参または郵送して提出する場合、「医療費控除の明細書」の添付を忘れないようにしましょう。

e-Taxを使って確定申告する場合は、医療費控除の明細書を別途郵送する必要はありません。

「医療費控除の明細書」の書き方と記入例

医療費控除で交通費を申請したい場合の、医療費控除の明細書の書き方を具体的に見ていきましょう。

医療費控除の明細書の記入例 出典:国税庁(一部加工)
  1. 医療費通知に記載された事項

まず健康保険組合などから届く医療費通知(医療費の額が記載されたお知らせ)がある場合は、通知に記載された医療費の額を記入します。通知が複数ある場合には全て合計した額を記入しましょう。

なお医療費通知として使えるのは次の6項目すべての記載がある書類です。

  • 被保険者等の氏名
  • 療養を受けた年月
  • 療養を受けた者
  • 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
  • 被保険者等が支払った医療費の額
  • 保険者等の名称

項目がひとつでも記載がない書類は、医療費通知として使えません。その場合は2の「医療費(上記1以外)の明細」に記入します。

  1. 医療費(上記1以外)の明細

上記の1で記入した以外の医療費について、領収書などを確認しながら以下の項目を記入していきます。

  1. 医療を受けた方の氏名
  2. 病院・薬局などの支払先の名称
  3. 医療費の区分(該当区分にチェックを入れる)
  4. 支払った医療費の額
  5. 生命保険や社会保険などで補てんされる金額

交通費を記入したら、「3.医療費の区分」で「その他の医療費」にチェックを入れます。領収書1枚ごとに記入するのではなく、医療を受けた人ごとや病院ごとにまとめて記入して構いません

たとえば〇〇病院に△△バスを使って年4回通院し、いずれも治療費3,000円・交通費340円かかった場合は、記入例のように4回分の治療費12,000円と交通費1,360円を記入します。

3控除額の計算

2で医療費の合計の欄を記入したら、「3控除額の計算」にそれぞれ当てはめて計算していきます。

最後に、算出できた医療費控除額(G欄)を、確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」の医療費控除欄に記入しましょう。

なお確定申告書第二表には、医療費控除の記入欄はありません。

付き添いの交通費は医療を受けた人の交通費に上乗せして記入

付き添いの人の交通費は医療を受けた人の交通費に上乗せします。医療を受けた人と付き添いの人の氏名をそれぞれ記入する、といった書き方をする必要はありません。

医療を受けた本人に必要だった費用として、医療費控除の明細に記載しましょう。

関連記事:【確定申告】医療費控除の書き方|必要書類や書くべき内容を押さえてスムーズな申請を

医療費控除で交通費を申告するときのポイント

各自で「医療費控除の明細書」を作成します

医療費控除を交通費を含めて確定申告する際には、普段からかかった費用を記録しておくことが大切です。また申告する際には、所得の多い方の控除に宛てると節税の幅が大きくなりお得でしょう。

交通費はごまかさずに申請しよう

公共交通機関の利用などでは、領収書なしでも申請を行なうことができます。

しかし交通費を多く申告したり、偽装を行なったりすることは当然ながら禁止です。税務調査が行なわれれば必然的にばれることになるので、このような行為は絶対に行なわないようにしましょう。判明した場合には、以下のような罰則が与えられます。

【過少申告加算税】

本来申告すべき納税額よりも少ない税額で申告を行った場合に課される加算税です。本来納めるべきだった額を追加で納税する際に、その額の10%を追加で納税することになります。

【重加算税】

申告の際に仮装や隠ぺいを行なった場合に課される加算税です。本来納めるべきだった額を追加で納税する際に、原則としてその額の35~40%を追加で納めるという非常に重い税が課されます。

【延滞税】

期限までに納税を行なわなかった場合に課される税です。税務調査によって上述したような加算税を納める場合には、それに付帯して延滞税を納めることが一般的です。

このようにごまかしや偽装行為が発覚した場合には、非常に重い税が本来納める税金に追加して課されます。医療費控除の申告にあたっては、このような行為は絶対に行なわないようにしましょう。

かかった交通費は日頃からエクセルなどに記録しておく

診察代や交通費がかかったら、その都度メモを残したりエクセルに入力したりして記録を残しておきましょう

確定申告の時期になってから医療費の領収書の整理や、交通費の金額の計算をしても構いませんが、後からまとめて作業をすると記憶をたどる必要があり大変です。医療にかかる度にエクセルやメモに記録する癖を付けておけば、確定申告の直前に慌てることもなくなります。

また領収書などを箱やクリアファイルに入れておく際には、日付順にしてクリップなどで止めておけば、乱雑になることがなく確認がしやすくなりおすすめです。

集計には国税庁の「医療費集計フォーム」がおすすめ

「医療費集計フォーム」をダウンロードできます
「医療費集計フォーム」をダウンロードできます

エクセルを使って医療費を管理する人には、国税庁の医療費集計フォームの活用がおすすめです。エクセルファイルは以下のサイトからダウンロードできます。

医療費集計フォームを使えば自分でエクセルのフォーマットを作成する手間がかかりません。確定申告で医療費控除の適用を受けるまでの流れは次のようになります。

  1. 医療費を集計する(医療費集計フォームを活用)
  2. 医療費明細書を作成する(医療費控除額を算出する)
  3. 確定申告を行う(医療費控除の明細書を添付する)
医療費集計フォームの記入例
医療費集計フォームの記入例

医療費集計フォームでは、医療費控除の明細書と同じ項目を管理できて日付を入力する欄も用意されています。医療費を支払う度に日頃から入力しておけば、日付順に記録が残って後から確認がしやすくなるので便利です。

確定申告書作成コーナーの選択画面
確定申告書作成コーナーの選択画面

さらに確定申告書作成コーナーを使って確定申告書を作成する場合には、医療費集計フォームのデータを読み込んで医療費控除の明細書を作成できます。確定申告で必要になる明細書の作成まで含めてスムーズに終えられるので、医療費集計フォームを活用して普段から医療費を記入・管理しておくと良いでしょう。

医療費控除は家族でまとめ、所得が多い人の控除にするとお得

そもそも医療費控除は、年間の医療費で10万円を超えた分、または年間総所得の5%を超えた金額で大きい方を課税所得から控除できる制度です。

そして生計を一にする配偶者や親族は、医療費控除をまとめて申請できます。そのため家族で一番収入が多い人、つまり所得税が多い人の控除にまとめて申請すると、節税できる金額が大きくなりお得です。

なお医療費が合計200万円を超える場合には、別々に申請したほうが良いでしょう。夫婦を例に挙げて、それぞれの具体例を解説します。

医療費の合計が10万~200万円なら合わせて申請する

2人の医療費の合計が10万円以上200万円以下の場合には、合わせて申請したほうが得になります。

年間所得が200万円を超えている場合、医療費控除は10万円を超えた分が対象となり、10万円以下の医療費は医療費控除の対象になりません。2人別々に申請を行なう場合、それぞれの医療費の10万円に満たない額が医療費控除対象外となってしまいます。

【例:2人とも30万円の医療費を払っている夫婦】

<別々に申請した場合>

夫婦2人分に換算すると、医療費控除対象額の合計は20万円×2=40万円となります。

1人あたりの計算:

30万円-10万円=20万円

(医療費)ー(医療費控除対象外の金額)=(医療費控除対象額)

<合わせて申請した場合>

夫婦で合わせて申請した場合の医療費控除対象額は50万円になり、別々に申請するよりもお得です。

2人分の計算:

60万円-10万円=50万円

(夫婦の医療費30万円×2)ー(医療費控除対象外の金額)=(医療費控除対象外の金額)

医療費の合計が200万円超なら別々に申請する

夫婦の医療費控除額が200万円を超える場合、別々に申請したほうが得なります。医療費控除の上限額は200万円であるため、それを超過した分の額は対象外となるためです。

【例:それぞれが310万円の医療費を支出している夫婦】

<合わせて申請した場合>

合わせて申請した場合、410万円が医療費控除の対象外となってしまいます。

2人分の計算:
(620万円-10万円)-200万円=410万円(10万円を超過した医療費)-(医療費控除対象額の上限)=(医療費控除対象外の金額)

<別々に申請した場合>

別々に申請した場合、以下の計算が夫婦2人分になるため、200万円が医療費控除の対象外となります。

1人当たりの計算:

(310万円-10万円)-200万円=100万円

(10万円を超過した医療費の合計)-(医療費控除対象額の上限)=(医療費控除対象外の金額)

それぞれが310万円の医療費を支出している夫婦の例では、別々に申請を行なったほうが「210万円」医療費控除対象額が増える結果となりました

医療費控除は全額返金ではないことに注意

医療費控除は医療費が全額返金されるというものではありません。医療費による負担を考慮して税額を調整するという趣旨のもと、税金を再計算するものです。加えて計算の際には年間総所得が200万円以上か否かによってその計算方法が変わります。

年間の総所得が200万円以上の場合

年間所得が200万円以上の場合、医療費控除対象額は医療費が10万円を超過した額になります。

【例:年間総所得250万円、医療費総額30万円の場合】

30万円-10万円=20万円

(医療費)-(医療費控除対象外の金額)=(控除額)

年間の総所得が200万円未満の場合

年間所得が200万円未満の場合、医療費控除対象額は所得の5%の額を超過した額になります。例えば年間総所得が100万円の場合、その5%である5万円を超過した分が医療費控除対象額になります。

【例:年間総所得100万円、医療費総額20万円の場合】

20万円-5万円=15万円

(医療費)-(医療費控除対象外の金額)=(控除額)

医療費通知を利用した場合は原本を添付する

医療費通知に記載された事項を明細書に記入し、紙で確定申告する場合は、通知書の原本の提出も必要です。

健康保険組合から医療費通知を受け取っている場合、健康保険組合がe-Tax用の医療費通知データを提供していれば、添付書類データとして確定申告書と一緒に送信できます。しかし健康保険組合がe-Tax用のデータを提供するかどうかはあくまで任意です。提供されていない場合は、医療費通知の書面を税務署に別途郵送するなどの対応が必要になります。

領収書は添付不要だが5年間は保存を

「医療費控除の明細書」に、領収書の添付は不要です。しかし、5年間は自宅などで保管する必要があるので、破棄しないよう注意しましょう。

なぜ保管が必要かというと、「医療費控除の明細書」の記載内容を税務署が確認する必要があるときに、医療費の領収書の提出又は提示を求めてくるためです。

医療費控除の明細書に記載した数字の根拠を提示できるよう、領収書はしっかり保管しておきましょう。

関連記事:確定申告の医療費控除は領収書の提出不要!明細書の入手方法や書き方も解説|ミツモア

過去5年分まではさかのぼって申請できる

医療費控除は5年までさかのぼって申請することが可能です。また確定申告をしているか否かで行なう手続きが異なります。

確定申告を行なっていない場合は、納めすぎた税金を返してもらうための「還付申告」を行ないます。確定申告を行なっている場合は、税務署に申告した額の訂正を求める「更正の請求」を行ないます。

これらは両者とも5年までさかのぼって行なうことができます。ただし申告できる医療費控除は各年1年間分ずつです。

関連記事:確定申告の医療費控除は忘れてもさかのぼって申告できる!過去分申告のやり方を解説!

監修税理士からのコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

医療費控除を適用する際に従来の領収書に代えて「医療費のお知らせ」を利用することができます。「医療費のお知らせ」は、その年の10月分までしか記載されていませんので、残りの期間は別途領収書を保管しておきましょう。

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この記事の監修税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。