「転勤で東京から北海道に移動する」
「家族で福岡から大阪へ引っ越す予定」
「就職にあたり青森から東京へ引越しが決まった」
県や地域が変わるような長距離引越しをするとき、気になるのは引越し料金でしょう。長距離引越しは作業日数が長く、ガソリン代なども増すため費用が高くなりがちです。
長距離引越しの相場や高くなる理由、お得に引っ越すコツ、おすすめプランについて紹介します。
長距離引越しの費用相場
長距離の引越しとは移動距離が県や地方を超え、数100kmにもなる引越しを指します。東京から名古屋、東京から仙台以上の移動を長距離引越しとして、400km、500km、800km、1000kmの引越し費用相場をそれぞれ紹介します。
移動距離別の費用相場
- 400km(東京~名古屋/東京~仙台):86,500~161,800円
- 500km(東京~大阪):103,800~212,500円
- 800km(東京~広島):142,200~251,100円
- 1,000km以上(東京~福岡/東京~札幌):166,500~310,800円
調査期間:2022年5月~2023年4月
移動距離:400km(東京~名古屋/東京~仙台)の費用相場
移動距離400kmの引越しの例は東京~名古屋間、東京~仙台間の引越しです。荷物の輸送には平均して2~3日かかります。
通常期(5~1月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 86,500円(東京~名古屋) 92,600円(東京~仙台) |
2人家族 | 124,400円(東京~名古屋) 125,700円(東京~仙台) |
3人家族 | 161,200円(東京~名古屋) 161,800円(東京~仙台) |
繁忙期(2~4月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 101,000円(東京~名古屋) 106,800円(東京~仙台) |
2人家族 | 128,700円(東京~名古屋) 125,700円(東京~仙台) |
3人家族 | 133,400円(東京~名古屋) 161,800円(東京~仙台) |
移動距離:500km(東京~大阪)の費用相場
移動距離500kmの引越しの例は東京~大阪間の引越しです。荷物の輸送には平均して2~3日かかります。
通常期(5~1月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 103,800円 |
2人家族 | 124,600円 |
3人家族 | 166,600円 |
繁忙期(2~4月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 111,300円 |
2人家族 | 159,600円 |
3人家族 | 212,500円 |
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移動距離:800km(東京~広島)の費用相場
移動距離800kmの引越しの例は東京~広島間の引越しです。荷物の輸送には平均して3~4日かかります。
通常期(5~1月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 162,200円 |
2人家族 | 142,200円 |
3人家族 | 161,500円 |
繁忙期(2~4月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 153,500円 |
2人家族 | 237,600円 |
3人家族 | 251,100円 |
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移動距離:1,000km以上(東京~福岡/東京~札幌)の費用相場
移動距離1,000km以上の引越しの例は東京~福岡間、東京~札幌(北海道)間の引越しです。荷物の輸送には平均して4~7日かかります。
海路を利用する場合は波や風の状況次第で荷物の輸送ができないことがあります。
通常期(5~1月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 207,900円(東京~福岡) 166,500円(東京~札幌) |
2人家族 | 257,000円(東京~福岡) 185,800円(東京~札幌) |
3人家族 | 291,200円(東京~福岡) 190,300円(東京~札幌) |
繁忙期(2~4月)の引越し費用相場
世帯人数 | 料金相場 |
---|---|
単身 | 255,500円(東京~福岡) 181,200円(東京~札幌) |
2人家族 | 310,800円(東京~福岡) 245,200円(東京~札幌) |
3人家族 | 294,100円(東京~福岡) 277,700円(東京~札幌) |
長距離であればあるほど引越し料金は高くなりやすい
基本的に引越しの料金は長距離になればなるほど高くなります。「どうしてこんなに高いのか」と不思議に思うかもしれませんが、引越し料金の算出方法には一定のルールがあります。
引越し料金の算出方法は、基準運賃、料金、実費、付帯サービス料の合計です。それぞれの概要を簡単に表にまとめました。
概要 | |
---|---|
基準運賃 | 時間制と距離制のどちらか ※100km以上の引越しでは距離制が適用 |
料金 | 依頼者都合で発生した駐車料金や割増料金など |
実費 | 人件費や有料道路利用料など |
付帯サービス料 | 「オプションサービス」のこと |
基準運賃は国土交通省が定めたガイドラインを基準にして算出されるので、必要以上に高額な請求にはなりません。
長距離引越しの料金が高くなりやすい要因は「実費」です。スタッフの人件費やガソリン代、高速道路など有料道路利用料金など、引越しにかかる費用がまとめて「実費」になります。
長距離引越しでは複数日にわたって作業をするので、作業員の拘束時間やガソリン代がかさむことが多いです。その結果、引越しの作業料金が高額になります。
長距離引越しで少しでも安く引っ越す方法6選
高額になりやすい長距離以上の引越しでも、できるだけ費用を安く抑える方法を6つ紹介します。
相見積もりをとってから予約する
引越し費用は業者によって大きく異なります。400km以上の引越しになると、A社は15万円、B社は30万円など10万円レベルで費用に差があるケースも多いです。
複数社から見積もりをとって、納得できる料金の業者に依頼しましょう。3~5社から見積もりを取ると、おおよその相場がわかるためオススメです。何社かの費用がわかると、値段交渉もしやすくなります。
長距離移動となると「安全に荷物を運んでくれるか」も気になるところです。料金以外にも口コミを見て、信頼できそうな引越し業者を選びましょう。
不用品を処分して荷物量を減らす
運ぶ荷物量が多い、運搬するトラックのサイズが大きいほど引越し費用は高くなります。なるべく安く抑えるために、不要な家財は処分しておきましょう。
まだ使える家電は買取業者に買い取ってもらえば、売れた費用を引越し代に当てられます。買取金額はたとえば冷蔵庫で1000~5万円など商品に寄りますが、処分費用がかかるよりはお得でしょう。
引越し業者によっては不用品回収も同時に依頼が可能です。大手引越し業者のオプションサービスは少々高くつく可能性があるため気を付けましょう。
引越し予約は早めに済ませる
長距離引越しは引越し会社の予定も抑えておく必要があります。直前に予約すると料金が割高に設定されている可能性があるため、なるべく早くに業者を予約するようにしましょう。
目安は引越し日の1カ月以上前です。予約までは行わなくとも、早めに見積もりをとっておけば、複数社を念入りに比較でき選択肢の幅が広がります。
見積もりをとった後の交渉時間も確保できるため、引越しが決まった時点で業者への問い合わせは行っておきましょう。
荷物は自分で梱包する
荷物の梱包がオプションサービスの場合、自分で梱包すれば費用を浮かせられます。梱包材も自分で調達すれば、引越し業者から買うより安いです。たとえば1人暮らしの引越しで必要な段ボール10箱程度なら2000~3000円で購入できます。
ただし長距離引越しとなると輸送される距離が長いことから、運搬時に荷物も傷つきやすいです。大事な家具や、ガラス製品などの壊れやすい品がある場合は、十分注意する必要があります。
荷物の破損が心配な人は、梱包もプロに任せるのがオススメです。
日程に余裕があるなら「混載便」などお得なプランを利用する
いくつかの引越し業者では長距離引越しをする人に向けて「混載便」「コンテナ便」といったお得なプランを用意しています。いずれも複数の荷物を同時に運ぶことで輸送代を抑えたプランで、利用者は割安で依頼できます。
到着日を指定できなかったり、到着に日数がかかったりする場合が多いので、引越し前後のスケジュールに余裕がある人は利用すると良いでしょう。
詳しい内容や実際のプランは「長距離引越しでも安く引っ越せるプラン・業者」で解説しています。
荷物量が少ないなら宅配便を使う手も
初めて1人暮らしを始める人や、家具や家電をすべて買い換える人は、宅配便で荷物を送るのも良いでしょう。
たとえば東京から大阪の単身引越しは、通常プランで10万円前後、こののち紹介する単身パックで4万~5万円かかります。
一方、荷物が160サイズの段ボールに収まれば1箱2000~3000円、10箱送っても2万~3万円です。詳しい料金例は以下の記事で紹介しています。
長距離引越しでも安く引っ越せるプラン・業者
長距離引越しでリーズナブルに引っ越せる方法も用意されています。以下4つのプランは、長距離でも割安の料金設定です。
なおいずれのプランも長くて2週間ほどの日数がかかる、到着日が読めないといったデメリットがあるため、スケジュールに余裕がある場合にのみオススメです。
スピーディに安く引っ越すなら、引越し業者の通常プランを相見積もりして安いところを選びましょう。
混載便
「混載便」は1つのトラックを複数の利用者でシェアして荷物を運ぶ引越し方法です。配送料を利用者で分割できるので、通常プランよりも割安で利用できます。
日通の「単身パック」を代表に、専用ボックス・コンテナを使って家財を運ぶプランが多いです。荷物量が多いと1つのボックスに収まらない場合がある点に注意しましょう。
サカイ引越センターの「ご一緒便」やアーク引越センターの「長距離プラン」のように、専用ボックスやコンテナを利用しない混載便プランもあります。
いずれも出発日や到着日を指定しにくい点、荷物の破損・紛失リスクが高い点がデメリットです。
引越し会社・プラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
日通「単身パックL」 | 専用ボックス1本あたり 東京~大阪:41,800円 東京~札幌:58,300円 |
・家電・家具はスタッフが梱包 ・荷物の一時保管が可能 |
ヤマトホームコンビニエンス「わたしの引越し」 | 専用ボックス1本あたり 東京~大阪:33,000~59,400円 東京~福岡:44,000~70,400円 |
・到着日を選べる ・段ボールは自分で用意 |
サカイ引越センター「小口便引越プラン」 | 要問合せ | ・梱包資材は別途有料 |
サカイ引越しセンター「ご一緒便」 | 要問合せ | ・不用品の買取、ピアノ輸送も依頼できる |
アーク引越センター「ミニ引越し長距離プラン」 | 要問合せ | ・段ボールが最大50枚無料 ・家電・家具を梱包してくれる ・不用品の買取、ピアノ輸送も依頼できる |
帰り便
「帰り便」とは、新居への搬入作業を終えて空になったトラックを利用して運搬する引越し方法です。チャーター便の復路を利用するため、ドライバーの人件費やガソリン代を節約し配送効率が高くなります。
一方で、対応できるトラックがなければ利用できず、引越し日は選べません。大手業者の場合はそもそも空便が発生しないよう配車計画を立てていることがほとんどのため、帰り便を利用できる可能性は低いです。
タイミングよく帰り便が募集されているときのみ、利用できるでしょう。帰り便を案内している会社をいくつか紹介します。
引越し会社・プラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
共立トランスポート | 要問合せ | ・東京・大阪・名古屋・福岡への引越しに利用可能 ・365日依頼を受け付けている |
ムーバーズ北海道 | 要問合せ | ・関東(首都圏)~北海道(主に札幌)にて荷物積み合わせで依頼可能 |
博多引越本舗 | 要問合せ | ・福岡への引越し時に便があれば利用可能 |
コンテナ便
コンテナ便ではトラックだけでなく船や鉄道を利用して荷物を輸送します。船や鉄道を利用すれば、1度に大量の荷物を運べます。
混載便で載せきれない荷物量であっても安価に引っ越せる点が魅力でしょう。荷物の輸送期間が長くなりがちな点、利用可能エリア・日時が限られている点はデメリットです。
引越し会社・プラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
日通「海上コンテナ輸送」「トラック輸送」「鉄道コンテナ輸送」 | 要問合せ | ・荷物量に応じて輸送方法やサイズを選べる ・鉄道コンテナ輸送では荷物の一時預かりが可能 |
アリさんマークの引越社「長距離SDGs便」 | 要問合せ | ・荷造りから荷ほどきまで対応 ・ピアノの輸送も依頼できる |
フリー便
フリー便は引越し日のみを設定し、当日に作業時間帯を決定する引越し方法です。引越し業者にとって当日に空きが出た時間帯を有効活用できるため、費用が安く設定されています。
引越し業者のスケジュールを優先することで料金は確かに安いものの、作業開始時間が当日にならないと分からない点がデメリットです。
作業が数日間に及ぶ長距離引越しにはあまりオススメできませんが、費用を安くするための1つの選択肢として考えておきましょう。
長距離引越しの注意点と対処法
長距離引越しをするときに知っておきたい注意点は4つです。
このうち長距離引越しをする全員に当てはまる注意点は、「日数がかかる」と「荷物の破損リスクが高い」です。それぞれの注意点の詳細を確認しましょう。
日数がかかる
長距離引越しでは荷物の輸送に時間がかかるので引越し完了までに最低でも2~3日かかります。800kmや1000kmの移動だと1週間かかることも。1日で引っ越すなら200km以内の移動がぎりぎりでしょう。
とくに混載便で引っ越す場合、トラックがいっぱいになるまで出発しないためスケジューリングには注意が必要です。
そのため新居の入居日を決めるときは、運搬にかかる日数・日程を考慮しましょう。万が一荷物が届かず生活できない場合は、一時的にホテルなどに宿泊する必要が出てきます。
引越し前に荷物が届いてしまうときは、荷物の一時預かりサービスを利用すると良いでしょう。
荷物の破損リスクが高い
引越し業者は荷物が破損しないように配慮してくれるものの、長距離を移動するときは破損リスクがどうしても高くなってしまいます。
荷物の破損を防ぐためには梱包をしっかり行うことが重要です。
とはいえすべての荷物の梱包を厳重にすることは現実的ではありません。衝撃に弱い液晶やガラス製品、とくに大切な家財などを優先して、厳重に梱包しましょう。
ペットの輸送は別料金がかかる
引越し業者のトラックに限らず、貨物運送用トラックの荷台はあくまで「モノ」を運ぶものです。生き物の輸送には適していません。
自宅の車があれば、車で連れていきましょう。小型犬や猫など比較的小型のペットならケースに入れて、手回り品として電車や新幹線の車内へ持ち込めます。
大きなサイズのペットと引っ越すにはペット輸送専門業者を利用しましょう。ペットの輸送代は1匹5万~6万円が相場です。
ペット輸送業者を選ぶときは、実績数と対応したペットの種類のチェックが重要です。ペットを輸送した経験が多ければ多いほど、その業者の手腕が良いということになります。
自動車・バイクの陸送はオプション料金がかかる
隣の県に引っ越す程度の移動距離であれば、自動車やバイクに乗って新居まで移動できます。しかし数100km離れた場所に引っ越すときには現実的ではありません。
長距離引越しで2輪車を運ぶ時は、引越し業者のオプションサービスを利用するか、自転車やバイク輸送専門の陸送業者に依頼します。
輸送料は自転車やバイクのサイズによりますが、小型なら2万~3万円、大型だと5万円ほどでしょう。
引越し時のバイク陸送は、以下の記事で詳しく説明しています。
長距離引越しは計画的に進めよう
荷物を運ぶ距離によって、引越し料金の基本運賃が変わります。引越し先が遠くなるほど料金が上がるので、混載便やコンテナ便などの安く運べるプランの利用も検討しましょう。
長距離の引越しでは日数を多めに見ておく必要があるほか、自分の到着が荷物の搬入に間に合わないこともあります。
早めに計画を立てて日程を調整した上で、希望をかなえられる業者を探しましょう。