「転勤で東京から大阪へ家族で引っ越すけど、いくらかかる?」
「都市圏から地方へ移住予定。スケジュールや費用が知りたい」
移動距離が100kmを超えたり、都道府県をまたいだりするような長距離引越しは、作業日数が長く、ガソリン代なども増すため費用が高くなります。
荷物量にもよりますが、たとえば500kmの移動で10万~20万円、1000kmで16万~31万円と高額です(※)。一方でプランや方法を工夫すれば料金を節約できます。
長距離引越しの料金相場や安くする方法、おすすめの引越し業者、長距離ならではの注意点について紹介します。
※ミツモアの引越し見積もり価格(2022年5月~2023年4月)
引越しは長距離であるほど料金が高くなる
引越しの料金は、基本的に長距離になればなるほど高くなります。
たとえば単身引越しの場合、県内の移動なら料金は3万円程度です。一方で県外への引越しとなると5万円、東京から鹿児島県など1000kmにもなると15万円程度かかります。
2~3名の家族引越しでも、県内なら5万~6万円ですが、1000km以上の移動となると18万円~30万円が平均価格です。
長距離の引越しが高くなる理由は?
長距離引越しでは複数日にわたって作業をするので、作業員の拘束時間やガソリン代がかさむことが、引越し代が高額になる理由です。
引越し料金は一般的に、基準運賃、実費、付帯サービス料、割増料金の合計で決まります。
概要 | |
---|---|
基準運賃 | 時間制か距離制で国土交通省が規定 ※100km以上の引越しでは距離制が適用 |
実費 | 人件費や有料道路利用料など |
付帯サービス料 | 荷造りサービスや家具組立、エアコンクリーニングといった「オプションサービス」のこと |
割増料金 | 依頼者都合で発生した駐車料金や、繁忙期の割増など |
基準運賃は国土交通省が定めたガイドラインを基準にして算出されます。たとえば関東運輸局の2tトラックの運賃は10kmで15,790円、200kmで50,270円です。基準値が決まっているので必要以上に高額な請求にはなりませんが、距離が長くなると料金も増します。
「実費」はスタッフの人件費やガソリン代、高速道路代、駐車料金などのことです。たとえば東京~大阪の高速道路では2万円程度かかり、引越し代に上乗せされます。また1日で終わる近距離の引越しと異なり長距離引越しでは2日~10日ほどかかることがあるため、その分人件費も高いです。
こういった理由から、引越し距離が延びるほど料金が高くなります。長距離引越しの料金を抑える方法は、「長距離引越しで少しでも安く引っ越すプラン・方法」で解説します。
安くて信頼できるおすすめ業者は「長距離引越しが得意で安いおすすめ業者5選」で紹介しているので参考にしてみてください。
長距離引越しの費用相場
長距離の引越しとは一般的に、旧居から新居までの距離が数100kmにもなる引越しを指します。
ここでは「東京から名古屋」「東京から仙台」など400km以上の移動を長距離引越しとして、400km、500km、800km、1000kmの引越し費用相場をそれぞれ紹介します。
移動距離別の費用相場
- 400km(東京~名古屋/東京~仙台):86,500~161,800円
- 500km(東京~大阪):103,800~212,500円
- 800km(東京~広島):142,200~251,100円
- 1,000km以上(東京~福岡/東京~札幌):166,500~310,800円
調査期間:2022年5月~2023年4月
移動距離:400km(東京~名古屋/東京~仙台)の費用相場
移動距離400kmとは、東京から名古屋や仙台、愛知から岡山、静岡から大阪間の引越しが目安です。荷物の輸送には平均して1~2日かかります。
400km引越しの料金相場は単身で8万~10万円、2名家族で12万~13万円です。3名以上の家族は、15万円以上を見込んでおきましょう。
世帯人数 | 通常期(5~1月) | 繁忙期(2~4月) |
---|---|---|
単身 | 86,500円(東京~名古屋) 92,600円(東京~仙台) |
101,000円(東京~名古屋) 106,800円(東京~仙台) |
2人家族 | 124,400円(東京~名古屋) 125,700円(東京~仙台) |
128,700円(東京~名古屋) 125,700円(東京~仙台) |
3人家族 | 161,200円(東京~名古屋) 161,800円(東京~仙台) |
133,400円(東京~名古屋) 161,800円(東京~仙台) |
移動距離:500km(東京~大阪)の費用相場
移動距離500kmとは、東京から大阪や石川、愛知から広島、宮城から新潟間の引越しが目安です。400kmの引越しと同じく、荷物の輸送には平均して1.5~3日かかります。
500kmの引越し料金は、単身なら10万円前後、2名なら15万円前後が相場です。3人以上のファミリー引越しの場合、繁忙期で20万円を超えることもあります。
世帯人数 | 通常期(5~1月) | 繁忙期(2~4月) |
---|---|---|
単身 | 103,800円 | 111,300円 |
2人家族 | 124,600円 | 159,600円 |
3人家族 | 166,600円 | 212,500円 |
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移動距離:800km(東京~広島)の費用相場
東京から大阪や石川、愛知から広島、宮城から新潟間が、移動距離約800kmの目安です。荷物の輸送には平均して2~4日かかります。
800kmを越える引越しとなると、単身でも15万円以上が目安です。繁忙期の場合、2名家族で23万円、3名家族で25万円は見ておく必要があります。
世帯人数 | 通常期(5~1月) | 繁忙期(2~4月) |
---|---|---|
単身 | 162,200円 | 153,500円 |
2人家族 | 142,200円 | 237,600円 |
3人家族 | 161,500円 | 251,100円 |
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移動距離:1,000km以上(東京~福岡/東京~札幌)の費用相場
移動距離1,000km以上は、東京から福岡や札幌(北海道)、鹿児島から京都間の引越しが該当します。荷物の輸送にかかる日数は2~5日が目安で、運搬手段によっては1週間以上見ておきましょう。
1,000kmの引越しの場合、単身でも16万~25万円、2人以上の家族で18万~30万円かかります。海路を利用するケースもあり、波や風の状況次第で荷物の輸送ができない場合に注意が必要です。
世帯人数 | 通常期(5~1月) | 繁忙期(2~4月) |
---|---|---|
単身 | 207,900円(東京~福岡) 166,500円(東京~札幌) |
255,500円(東京~福岡) 181,200円(東京~札幌) |
2人家族 | 257,000円(東京~福岡) 185,800円(東京~札幌) |
310,800円(東京~福岡) 245,200円(東京~札幌) |
3人家族 | 291,200円(東京~福岡) 190,300円(東京~札幌) |
294,100円(東京~福岡) 277,700円(東京~札幌) |
長距離引越しで少しでも安く引っ越すプラン・方法
高額になりやすい長距離以上の引越しでも、できるだけ費用を安く抑える引越しプランや方法を紹介します。
長距離に限らず使える引越し費用を安くする方法は、以下でも詳しく紹介しています。
荷物量が少なめなら「混載便」を使う
「混載便」は1つのトラックを複数の利用者でシェアして荷物を運ぶ引越し方法です。単身者や、少ない荷物量で利用できる「単身パック」も混載便の一種です。
配送料を利用者で分割できるので、通常プランよりも割安で利用できます。
混載便のプラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
日通「単身パックL」 | 専用ボックス1本あたり 東京~大阪:41,800円 東京~札幌:58,300円 |
・家電・家具はスタッフが梱包 ・荷物の一時保管が可能 |
アートセッティングデリバリー「わたしの引越し」 | 専用ボックス1本あたり 東京~大阪:33,000~59,400円 東京~福岡:44,000~70,400円 |
・到着日を選べる ・段ボールは自分で用意 |
サカイ引越センター「小口便引越プラン」 | 要問合せ | ・梱包資材は別途有料 |
サカイ引越しセンター「ご一緒便」 | 要問合せ | ・不用品の買取、ピアノ輸送も依頼できる |
アーク引越センター「ミニ引越し長距離プラン」 | 要問合せ | ・段ボールが最大50枚無料 ・家電・家具を梱包してくれる ・不用品の買取、ピアノ輸送も依頼できる |
混載便では専用ボックス・コンテナを使って家財を運ぶプランが多いです。荷物量が多いと1つのボックスに収まらない場合がある点に注意しましょう。
サカイ引越センターの「ご一緒便」やアーク引越センターの「長距離プラン」のように、専用ボックスやコンテナを利用しない混載便プランもあります。
いずれも出発日や到着日を指定しにくい点、荷物の破損・紛失リスクが高い点がデメリットです。荷物量が少なめで、到着日のスケジュールに余裕がある人におすすめできます。
荷物量が多いなら「コンテナ便」を使う
コンテナ便ではトラックだけでなく船や鉄道を利用して荷物を輸送します。船や鉄道を利用すれば、1度に大量の荷物を運べます。
混載便のプラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
日通「海上コンテナ輸送」「トラック輸送」「鉄道コンテナ輸送」 | 要問合せ | ・荷物量に応じて輸送方法やサイズを選べる ・鉄道コンテナ輸送では荷物の一時預かりが可能 |
アリさんマークの引越社「長距離SDGs便」 | 要問合せ | ・荷造りから荷ほどきまで対応 ・ピアノの輸送も依頼できる |
コンテナ便のメリットは混載便で載せきれない荷物量であっても安価に引っ越せる点です。一方で荷物の輸送期間が長くなりがちな点、利用可能エリア・日時が限られている点はデメリットです。
長くて2週間ほどの日数がかかる場合があり、到着日が読めません。こちらもスケジュールに余裕がある場合にのみオススメです。
タイミングが合えば「帰り便」を使う
「帰り便」とは、新居への搬入作業を終えて空になったトラックを利用して運搬する引越し方法です。チャーター便の復路を利用するため、ドライバーの人件費やガソリン代を節約し配送効率が高くなります。
引越し会社・プラン名 | 料金例 | 特徴 |
---|---|---|
共立トランスポート | 要問合せ | ・東京・大阪・名古屋・福岡への引越しに利用可能 ・365日依頼を受け付けている |
ムーバーズ北海道 | 要問合せ | ・関東(首都圏)~北海道(主に札幌)にて荷物積み合わせで依頼可能 |
博多引越本舗 | 要問合せ | ・福岡への引越し時に便があれば利用可能 |
一方で、対応できるトラックがなければ利用できず、引越し日は選べません。大手業者の場合はそもそも空便が発生しないよう配車計画を立てていることがほとんどのため、帰り便を利用できる可能性は低いです。
タイミングよく帰り便が募集されているときのみ、利用できるでしょう。
柔軟に対応してほしい場合、複数社で見積もりをとる
引越し費用は荷物量や距離のみでなく、業者によっても大きく代わります。400km以上の引越しになると、A社は15万円、B社は30万円など10万円レベルで費用に差があるケースも多いです。
複数社から見積もりをとって、納得できる料金の業者に依頼しましょう。3~5社から見積もりを取ると、おおよその相場がわかるためオススメです。何社かの費用がわかると、値段交渉もしやすくなります。
長距離移動となると「安全に荷物を運んでくれるか」も重要です。料金以外にも口コミを見て、信頼できそうな引越し業者を選びましょう。
段ボールに収まる荷物のみなら「宅配便」を使う
初めて1人暮らしを始める人や、家具や家電をすべて買い換える人は、宅配便で荷物を送るのも良いでしょう。宅配便は繁忙期でも値段が変わらず、配送距離が長くても料金が大きくは上がりません。
たとえば東京から大阪の単身引越しは、通常プランで10万円前後、こののち紹介する混載便の「単身パック」で4万~5万円かかります。
一方、荷物が120サイズの段ボールに収まれば、長距離で10箱送っても2万~3万円です。詳しい料金例は以下の記事で紹介しています。
長距離引越しが得意で安いおすすめ業者5選
- 500km前後の引越しを4万円代から対応
- ペットがいる人も依頼できる
- 損害保険に加入済みなので安心
ドラゴンハウスは、単身引越しを専門に、格安で引越しサービスを提供しています。大手引越し業者での15年の経験と、中長距離の大型トラックドライバーとしての10年の経験があり、関東から全国まで対応が可能です。
- タイミングがあえば格安で長距離引越しが可能
- 引越し前日に荷物を預けられる
- 貨物保険に加入、安心して依頼できる
- スタッフの実力は責任者レベルなので長距離でも安心
- 3~4名の家族引越しにも対応
- 引越し作業を丸ごと任せたい人におすすめ
- 1000km以上の引越しをリーズナブルに対応
- 作業スピードが早く、スケジュールも柔軟に相談可能
- 2tトラック分の荷物を輸送OK、家族引越しにも利用できる
- 「安くて信頼できる」と口コミで好評
- 荷物の一時保管が可能、引越し先にすぐ入居できない人も安心
- 夜間や早朝の作業もOK
長距離引越しにかかる日数とスケジュール感
長距離の引越しは何日もかかるため、精神的負担も大きいものです。スケジュール感を把握しておき、引越しのストレスを軽減しましょう。
搬出から荷物が届くまでにかかる日数
長距離引越しをするときに、かかる日数の目安はの通りです。
- 400km:1日~2日
- 500km:1.5日〜3日
- 800km:2日~4日
- 1000km:2.5日〜5日
長距離引越しにかかる日数は交通状況や搬出開始時間によっても変動するため、あくまで参考として確認しましょう。混載便を利用する場合、1週間~10日ほどかかる場合もあります。
長距離引越しのスケジュール例
長距離引越しをするときのご自身や引越し業者の動きはイメージが付きにくいかもしれません。1000km(東京~福岡など)の引越しを例に、スケジュールを紹介します。
引越し当日 |
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翌日~2日目 |
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3日目 |
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荷物の輸送をしている間、引越し依頼者は自家用車や飛行機などで移動します。引越し業者よりも早めに着く場合には、車中泊をしたり、ホテルで一泊をしたりして待ちましょう。道中で観光をするのもおすすめです。
長距離引越しの注意点と対処法
長距離引越しをするときに知っておきたい注意点は4つです。
引越し完了まで日数がかかる
長距離引越しでは荷物の輸送に時間がかかるので引越し完了までに数日かかります。
とくに混載便で引っ越す場合、トラックがいっぱいになるまで出発しないためスケジューリングには注意が必要です。800kmや1000kmの移動だと1週間かかることもあるでしょう。
新居の入居日を決めるときは、運搬にかかる日数・日程を考慮しましょう。万が一荷物が届かず生活できない場合は、一時的にホテルなどに宿泊する必要が出てきます。
引越し前に荷物が届いてしまうときは、荷物の一時預かりサービスを利用すると良いでしょう。
荷物の破損リスクが高い
引越し業者は荷物が破損しないように配慮してくれるものの、長距離を移動するときは破損リスクがどうしても高くなってしまいます。
荷物の破損を防ぐためには梱包をしっかり行うことが重要です。
とはいえすべての荷物の梱包を厳重にすることは現実的ではありません。衝撃に弱い液晶やガラス製品、とくに大切な家財などを優先して、厳重に梱包しましょう。
新居で必要な生活用品は別途用意しておく
長距離引越しでは、荷物が届くまでに時間がかかることがあります。とくに鉄道便や船便を利用する場合は、荷物が届くまでに数日から1週間程度かかることも。そのため、新居での生活に必要な物品は、あらかじめ別途用意しておくことが大切です。
具体的には、以下のような物品を用意しておきましょう。
- 寝具(毛布、枕、シーツなど)
- 洗面用具(歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプーなど)
- 着替え(数日分)
- 食器(お皿、コップ、箸など)
- 調理器具(鍋、フライパンなど)
- 家電製品(スマホの充電器、ドライヤーなど)
こうした物品を事前に用意しておくことで、荷物が届くまでの数日間を快適に過ごすことができます。
自分自身の移動手段の確保を忘れない
長距離引越しの場合、自分自身の移動手段の確保を忘れてはいけません。引越し当日は荷物の運搬や新居での作業で忙しくなるため、自分の移動手段を手配することを忘れがちです。
以下のような移動手段を事前に確保しておきましょう。
- 飛行機や新幹線などの交通機関の手配
- レンタカーの予約
- 引越し先までの道順の確認
- ガソリン代や高速道路料金の予算確保
とくに飛行機や新幹線などの交通機関は、早めに予約することで、安い料金で利用できることがあります。レンタカーも、事前予約が必要な場合があります。
また引越し先までの道順を事前に確認し、所要時間や経路を把握しておくことで、スムーズに移動することができます。
ペットの輸送は別料金がかかる
引越し業者のトラックに限らず、貨物運送用トラックの荷台はあくまで「モノ」を運ぶものです。生き物の輸送には適していません。
自宅の車があれば、車で連れていきましょう。小型犬や猫など比較的小型のペットならケースに入れて、手回り品として電車や新幹線の車内へ持ち込めます。
大きなサイズのペットと引っ越すにはペット輸送専門業者を利用しましょう。ペットの輸送代は1匹5万~6万円が相場です。
ペット輸送業者を選ぶときは、実績数と対応したペットの種類のチェックが重要です。ペットを輸送した経験が多ければ多いほど、その業者の手腕が良いということになります。
自動車・バイクの陸送はオプション料金がかかる
隣の県に引っ越す程度の移動距離であれば、自動車やバイクに乗って新居まで移動できます。しかし数100km離れた場所に引っ越すときには現実的ではないでしょう。
自転車やバイクといった2輪車は、一般的に他の荷物と一緒に運べません。長距離の引越しで運搬してもらう場合、引越し業者のオプションサービスを利用するか、自転車やバイク輸送専門の陸送業者に依頼しましょう。
輸送料は自転車やバイクのサイズによりますが、小型なら2万~3万円、大型だと5万円ほどです。引越し時のバイク陸送は、以下の記事で詳しく説明しています。
長距離引越しは計画的に進めよう
荷物を運ぶ距離によって、引越し料金の基本運賃が変わります。引越し先が遠くなるほど料金が上がるので、混載便やコンテナ便などの安く運べるプランの利用も検討しましょう。
長距離の引越しでは日数を多めに見ておく必要があるほか、自分の到着が荷物の搬入に間に合わないこともあります。
早めに計画を立てて日程を調整した上で、希望をかなえられる業者を探しましょう。