猫は環境に左右されやすい動物です。特に引っ越しで住まいが変わったとき、猫は食欲を失ったり、攻撃的になったりして大きなストレスを与えてしまう可能性があります。
ストレスを与えないようにするには、引っ越し当日にキャリーケースやケージなどに入れて振動や騒音で猫に恐怖心を与えないように工夫することが大切です。
引っ越しで猫を連れていく際に注意すべきポイントについて紹介します。
引っ越しで猫にストレスを与える2つの影響
慣れ親しんだ住まいから新しい住まいへ引っ越すことは、猫に大きな負担がかかってしまいます。新しい環境に慣れるまで時間がかかるため、引っ越しで下記2つの影響を受けると猫にストレスを与えてしまうので注意しましょう。
1.慣れ親しんだ場所から離れてしまうこと
猫は縄張り意識が強く、生活環境を大切にする動物です。現在の住まいは長年暮らしてきたこともあり、猫にとっても安心して暮らせます。
新居へ引っ越してしまうと、猫にとって慣れ親しんだ場所やお気に入りの寝床を失ってしまうほか、間取りや家具の配置といった変化が積み重なることでストレスを感じてしまうのです。
2.騒音や振動による恐怖心を与えてしまうこと
人間と比べて聴覚が敏感で、大きな音を嫌がるのが猫の特徴です。引っ越しの荷造りでダンボールに荷物を梱包する際の騒音や、家具・家電を運ぶ際に生じた振動は、猫を怖がらせてしまいます。
加えて引っ越し業者やガス会社の作業スタッフといった見知らぬ人が家に出入りするのも猫にストレスを与えてしまう要因です。自分の安全が脅かされていると感じ、恐怖心を抱いてしまいます。
引っ越しで猫にストレスを与えない5つの対策
引っ越しで新居に猫を連れていくにあたり、荷造りをはじめとした作業中にストレスを与えないように、下記5つの対策をとることが大切です。
1.最寄りの動物病院を探しておく
引っ越しの直前や直後に猫が体調不良を起こしたときに備えて、かかりつけとなる動物病院を早めに探しておきましょう。
経験豊富な獣医師が在籍する動物病院や、深夜でも対応してもらえるところなど、2か所探しておくと安心です。あわせてネットで評判について確認しておきましょう。
2.一部屋を猫のスペースとして確保する
引っ越しの荷造り中に大きな音がしたり、引っ越し業者が出入りすると、猫は不安になりがちです。
加えて、家具・家電の配置が変わることも猫にとっては大きなストレスになるので、少しでもストレスを軽減できるように「人が入ってこない場所」を作ってあげましょう。スペースに余裕があるときは、猫専用の部屋を用意しておくのがおすすめです。
ただしバスルームは高温多湿になりやすく、猫にとって悪影響を与えるため、あまりおすすめできません。
3.ケージに入っていてもらう
猫専用のスペースや部屋を用意できない場合、猫をケージに入れて安全に保護しましょう。ケージに入れる際、お気に入りのおもちゃや毛布を入れておくと、より落ち着いて過ごせます。
ただし1日中猫をケージに入れておくとストレスを与えてしまうため、荷造りをする間の数時間だけにしておくなど、時間に注意しましょう。ケージがないときは、専用のキャリーバッグを用意するのもおすすめです。
4.できる限り家具を買い替えずに済むか考えておく
猫は自分の匂いがついていないものが多いと、ストレスを感じることがあります。
カーテンやマット、キャットタワーなど、猫の匂いがついている家具はなるべく買い替えないようにしましょう。新居に引っ越した後も自分の匂いがついている家具が残っていれば、猫も安心して暮らせます。
5.短期間ペットホテルに預けておく
猫にとって快適な環境を準備するまでに数日かかる場合、ペットホテルに預けるのも選択肢のひとつです。食事やトイレ、ブラッシングといった手厚いサービスを提供しており、一時預かりはもちろん、宿泊も1泊4,400円から預かってもらえます。
ただし猫にとっては大きな環境の変化を与えるので、ペットホテルに預ける場合、引っ越し前後の2日間など、短期間にすることを心がけましょう。
引っ越し当日に新居へ猫を移動させる4つの手順
新居へ猫を移動させたいときは、引っ越し当日に下記の手順で行いましょう。
1.引っ越し業者に猫がいることを伝えておく
引っ越し当日、専用の部屋やケージの中に猫を避難させましょう。
引っ越し業者が自宅に到着した後、荷物の搬出作業を始める前に作業スタッフに猫がいることを伝えます。作業中、猫がいる部屋を開けないように注意しつつ、たまに様子を見ながら声をかけてあげましょう。
2.猫のグッズを一番最後に積み込む
食器や衣服などを梱包したダンボールや、家具・家電を搬出した後、一番最後に猫のフードボウルやトイレ、おもちゃなどが入ったダンボールを積み込みましょう。
新居に到着した後もすぐに使うため、ダンボールに「猫用」とわかりやすく書いておくとすぐに開梱できます。
3.ケージに入った猫と一緒に新居へ移動する
搬出作業が終わったら、ケージに入った猫と一緒に新居へ移動しましょう。
主な移動方法は、下記のとおりです。
自動車を利用する
引っ越し先に猫を連れていくうえで安全で負担の少ない移動方法です。移動前にトイレを済ませておいたり、猫が嫌う芳香剤を取り除いたりして、猫に合わせて最適な車内環境を作ったうえで移動しましょう。
運転中、エアコンで適切な温度を維持したり、1〜2時間ごとに休憩したりして、猫のストレスを軽減することが大切です。
あわせて猫が車酔いしないように、猫が入ったケージを抱えておくほか、酔い止めの薬やウェットティッシュを用意しておきましょう。
電車やバスなどの交通機関を利用する
電車やバス、タクシーなどの交通機関を利用する場合、ケージに布カバーを付けたり、猫に専用のアイマスクで目隠しをしたうえで移動しましょう。
猫は多くの人や音、揺れなどに敏感に反応するため、電車やバス内の混雑は、大きなストレスを与えてしまうからです。
始発や終電といった人の少ない時間帯で移動できないときは、なるべくラッシュの時間帯を避けるのとあわせて、周囲の人に迷惑をかけないように猫の鳴き声を含めて配慮しましょう。
なお、動物を持ち込めるサイズや重量に限りがあることに加え、別途切符の購入が必要な公共交通機関があります。JR東日本の規定は、下記のとおりです。
- タテ・ヨコ・高さの合計が120cm以内の、動物専用のケースに入れる
- ケースと動物を合わせた重さが10kg以内
- ケース1個につき290円の「普通手回り品きっぷ」を購入する
飛行機を利用する
飛行機で引っ越し先へ移動するとき、座席に座らせることができず、荷物として航空機内の貨物室に預ける必要があります。航空会社によって猫を含むペットの預け入れ条件や手続きが異なるため、引っ越す前に確認しましょう。
具体的には「健康診断書」や「ワクチン接種証明書」の提出が求められるほか、預け料金を支払うケースがあります。
ただし航空会社によっては、猫の預かりを実施していないところもあるため、航空機で猫の輸送ができる専門業者に依頼するのもおすすめです。
ペット輸送の専門業者に依頼する
猫をはじめ、犬やウサギなどのペット専門で引っ越し先まで運ぶ業者に依頼するのも検討しましょう。空調や送風孔を完備した車両で猫が入ったケースを運んでもらえます。
引っ越し業者の中にも、ペット輸送に対応できるところがありますが、別途オプション料金がかかる点に注意が必要です。
4.新居で猫の避難先を用意した後に搬入作業を行う
引っ越し先に到着した後、猫が入ったケージを寝室などの部屋に避難させたら、引っ越し業者に搬入作業を行いましょう。搬出作業前と同様、猫が怖がらないように音や振動に配慮してもらうように依頼します。
搬入作業が終わったら、猫の匂いがついたマットやご飯などが入ったダンボールを開梱した後、ケージから猫を出しましょう。
荷ほどき中は部屋内を自由に散策させた後、片付けが終わり次第、ほかの部屋を連れていくようにするのがおすすめです。
引っ越し先で早く猫が慣れるように必要なこと
1日も早く猫が引っ越し先の環境に慣れてもらえるように、下記3つのことを行いましょう。
1.引っ越す前に新居の環境に慣れさせておく
新居に引っ越す前に猫を連れて行き、環境に慣れさせておくことがおすすめです。個体差があるものの、猫が新しい環境に慣れるのに数週間から数か月かかるといわれています。
ただし長時間滞在すると、かえって旧居の環境でストレスを与えてしまうため、最初は滞在時間を短くし、徐々に時間を延ばしていきましょう。
加えて引っ越し直後の猫は、物陰に隠れたり、ケージに引きこもったりするなど、見慣れない環境を警戒する動きをします。少しずつ新居の環境に興味を示して探検するようになるので、慣れるまでは猫のペースに任せましょう。
2.普段使っている食器やおもちゃなどを用意しておく
新居に引っ越した後も猫が安心して食事やトイレができるように、普段使っている食器やトイレ用品を持っていきましょう。
猫の好みに合ったサイズや材質の食器を選んだり、習性に合ったトイレ用品を用意しておくと、ストレスを軽減できます。
あわせて猫がお気に入りのおもちゃを並べたり、愛用していた毛布やベッドを用意すると、新しい環境に早く馴染めるようになるでしょう。
3.猫のにおいつけを手伝う
猫は「におい」によって、縄張りを把握します。新居にはまだ自分のにおいが付いていないため、においつけを手伝って、猫の縄張りであるということを覚えてもらいましょう。
柔らかい布を使って、猫の頭部を優しくなでてあげた後、その布に付いた臭いを部屋の壁やいすの脚、ソファなどにこすりつけます。
引っ越し後に注意したい猫のストレスサイン6選
飼い主が気をつけていても、猫はまったくストレスを受けないということはありません。下記6つのストレスサインの症状が見られたら、注意しましょう。
1.食欲がない
普段と比べて食欲がなかったり、水を飲まなかったりする場合、ストレスを感じている可能性があります。何らかの病気が隠れている可能性もあるため、これらの症状が見られた場合は動物病院に相談しましょう。
2.元気がなくなる
猫の鳴き声の回数が減ったり、眠っている時間が極端に長かったりする場合も注意が必要です。好きなおもちゃで遊ばなくなったほか、押入れの隅やベッドの下など、飼い主の手がとどかないところに隠れてしまった場合、ストレスを感じていると判断しましょう。
猫と戯れる時間を増やすなど、ストレスを軽減させる行動をとることが大切です。
3.トイレ以外で排泄する
決まっているトイレ以外の場所で、排泄をしてしまうケースがあります。この場合、ストレスが原因でスプレー行為をしていると考えられるので注意しましょう。
とくに、「今まではちゃんとトイレで排泄できていたのに」というケースは気をつけましょう。遊ぶ時間を増やすなど、猫のストレスケアに努めるのがおすすめです。
4.毛づくろいの回数が減る
猫はきれい好きな性格です。自分の体を舐めて「毛づくろい」することで、自身を清潔な状態に保とうとしています。
新居に引っ越した後、毛づくろいの回数が減ったり、反対に極端に増えたりする場合は注意が必要です。加えて自分の体を噛むような行動が見られる場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
5.真空行動を行う
真空行動とは、本来は運動不足の猫が起こす行動です。急に家中を走り回ったり、何もないところに飛びついたりする行動が見られた場合、ストレス発散を目的におこなっているので、注意しましょう。
6.攻撃的になる
威嚇をしたり、飼い主に引っかく・噛みつくなどの行動をしたりする場合も、ストレスが原因と考えられます。猫が攻撃的になるのは不安を感じているときが多いため、なるべく早く不安を取り除きましょう。
引っ越し先で猫を飼い続ける際に必要なこと
新居に引っ越した後、猫を飼い続けるために必要なことは、以下のとおりです。
マイクロチップの住所変更
猫が迷子になったり、逃げ出したりしてしまった場合に備えて、飼い主は猫にマイクロチップの装着や登録が義務付けられています。
新居の住所が変わったら、速やかにマイクロチップの管理団体にオンライン、または電話で住所変更の手続きを行いましょう。
住所変更をしないと、万が一脱走してしまった場合、新居の住所が見つからず、引き取れなくなる可能性があります。
猫の脱走防止対策を徹底する
飼い主は家の外から猫が逃げ出して迷子にならないように、脱走防止対策を徹底して行うことも大切です。
窓やドアのすき間から猫が外に出ないようにしっかり閉めるほか、ベランダにペットゲートや脱走防止ネットを活用しましょう。万が一に備えて、首輪に名前と連絡先を記載しておくのもおすすめです。
猫の引っ越しができる業者を探そう
猫と一緒に引っ越しをするとき、新居の環境や荷造りの作業状況によっては大きなストレスを猫に与えてしまう可能性があります。必要な対策を行わないと、ストレスが原因で猫が脱走したり、病気にかかったりするリスクがあるため、注意しながら引っ越し作業を進めることが大切です。
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