引越しをするにはまとまった費用がかかるので、なかなか気軽にできませんよね。
国や各自治体は、経済的に苦しい方の支援や地方の活性化などを目的として、引越しに対して様々な支援制度を用意しています。条件に当てはまれば、給付金を受け取って引越しの費用負担を減らせるかもしれません。
引越し時に利用できる補助金・給付金制度をまとめて紹介します。
引越しの補助金・給付金の対象になりやすい世帯の特徴
引越し関連の補助金や給付金は制度の目的に応じてさまざまな条件があります。多くの補助金制度で対象になっているのは、以下のような世帯です。
|
たとえば、新婚・子育て世帯は自治体にとって未来の納税者増加につながるため、長く住んでもらえるように助成金を交付する場合があります。
地方自治体は、移住者を増やして地域の活性化を図りたいと思っているため、引っ越しの給付金が手厚い傾向があります。
自治体独自の制度は公式サイトで確認
自治体による住まい関連の支援制度は、各地域によってさまざまです。支援内容だけでなく、支援対象となる条件や申請受付期間も異なります。
情報を正確に把握するためにも、自治体の公式サイトで制度を確認するとよいでしょう。詳細を知りたい場合は、役所に電話したり訪問したりして問い合わせるのがおすすめです。
申請しても必ずもらえるとは限らない
給付金や助成金は、年齢や収入、年数の制限が設けられていることがほとんど。基本的には金銭的な余裕がなく、住宅費に生活が圧迫されるおそれがある人や、住宅の確保が難しい人に向けた制度なので、当てはまらない方は給付金以外の方法で引っ越し費用や家賃を抑えましょう。
制度にもよりますが、申請しても必ずもらえるとは限りません。応募の上限数に達していれば、支援を受けられない可能性もあります。そのため早めに申請した方がよいでしょう。
また申込期間も限られています。支援の事実を知っていても、申請を後回しにして期間を過ぎてしまえば受けられなくなってしまうのです。
さらに申請者は、国や自治体から提示された条件を満たさなければなりません。対象年齢に当てはまらない人や、家賃滞納の経歴がある人は支援を受けられない可能性があります。
新婚/子育て世帯向けの給付金
最近結婚したばかりの人や結婚を考えている人、小さな子どもがいる人向けの給付金があります。
結婚新生活支援事業
結婚新生活支援事業は、新しく夫婦になる世帯に対して住宅取得費用や住宅賃貸費用、引っ越し費用の一部を負担する制度です。
一般コースと都道府県が主導するコースがあり、都道府県のコースの方が上限額が多くなっています。
一般コース
対象年齢 | 夫婦ともに39歳以下 |
世帯年収の条件 | 世帯年収が約540万円未満 |
補助率 | 補助率1/2(上限30万円) |
都道府県のコース
対象年齢 | 夫婦ともに29歳以下 |
世帯年収の条件 | なし |
補助率 | 補助率は2/3(上限60万円) |
都道府県が主導するコースは、全国で実施しているわけではありません。どこの自治体が支援を実施しているのかは、各都道府県のホームページで確認しましょう。
次世代育成転居助成
自治体によっては、同じ市区町村内で引っ越しをする世帯を支援する「次世代育成転居助成」という制度があります。
新宿区を事例に説明します。新宿区は、子どもの成長に伴い、家を変えたい世帯に向けて給付金を出しています。
対象者 |
|
条件 |
|
給付額(例) |
|
以下のリンクをクリックすると新宿区の制度に関する詳しい説明に飛びます。
住宅を借りる方向けの支援制度
家を買ったり、新しく家を借りたりする人に向けた給付金があります。引っ越しは初期費用がかかるため、給付金を上手く活用しましょう。
特定優良賃貸住宅
特定優良賃貸住宅とは、品質のよい住宅をリーズナブルな賃貸料金で借りられる公的賃貸住宅のことです。
対象者 | 日本国籍/特別永住者資格を持つ人 |
条件 |
|
利用期間 | 15~20年間 |
入居者が負担する賃貸料金の一部を自治体が補助してくれるため、家賃負担が軽減されます。補助額は入居者の収入によって異なり、入居してから毎年一定率で減少します。
他にも敷金・礼金ゼロや、更新料無料、保証人不要などのメリットもあるのです。
ただし入居するためには収入額や入居年数などの条件があり、各自治体によって異なります。詳しい条件は自治体のホームページを確認してください。
民間賃貸住宅の家賃助成
公的賃貸住宅だけでなく、民間賃貸住宅に対する家賃補助制度もあります。主に家賃の高い東京23区などの各自治体で実施されています。
対象者になりやすい人 | 一人暮らしの学生や社会人 |
よくある利用条件 |
|
ファミリー向けの家賃補助や、高齢者向けの制度などもあります。
家賃補助の募集は毎年決まった月に行われ、随時募集がほとんどされていません。倍率は高くなりますが、利用できれば生活の負担を軽減できます。
住宅を購入する方向けの給付金・補助制度
マイホームの購入を考えている方向けの給付金や補助制度もあります。
すまい給付金
すまい給付金は、新築や中古住宅を取得する際に給付される制度です。
対象者 | 住宅を持つ人 |
条件 |
|
実施期間 | 令和4年12月31日まで |
最大給付額 | 50万円 |
消費税10%への引き上げに伴い、国民の負担を軽減するために設けられました。給付額は収入額などによって異なります。
参考:すまい給付金|国土交通省 |
住宅ローン減税
以下に記載する条件を満たす住宅を購入またはリフォームするときに、払わなければならない税金が軽減される制度です。
ほかの支援制度と比べて収入の要件がゆるいので、一般的な世帯であればほとんど対象になり得ます。
対象者 | 住宅を購入・リフォームする人 |
条件 |
※新築の場合。中古住宅は条件が異なる |
補助上限 | ローン残高の0.7%(最大35万円) |
適用期間 | 原則13年間 |
申請方法 | 年末調整または確定申告で必要書類を提出する |
なお住宅ローン減税の制度は2022年に一部見直されました。2021年まではローン残高の1%が控除され、適用期間は原則10年間だったのに対し、控除額は減りましたが適用期間は伸びています。さらに収入要件も引き下げられました。
地方に移住する方向けの給付金
東京都から地方に移住する場合、給付金が支給される制度があります。
地方創生移住支援事業の移住支援金
東京23区に住んでいる人、あるいは通勤している人が地方に引っ越す場合、「地方創生移住支援事業」の補助金を受けることができます。
対象者 | 23区に住んでいる、または通勤している |
条件 |
|
申請期間 | 転入後3カ月以上1年以内 |
支給額 | 一世帯100万円以内、単身60万円以内 |
移住支援金の申請は、転入後3ヶ月以上1年以内でなくてはなりません。その間、一旦自費で引っ越し費用を支払わなければならないことに注意しましょう。
なお、この場合に「東京圏」と呼ばれるのは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川圏の一都三県です。
経済的に生活が苦しい方向けの給付金
失業や家庭の問題で経済的に苦しい方に向けて、自治体が生活を立て直しや自立を支援する「生活困窮者自立支援制度」というものがあります。
その制度のなかに、住まいの維持を支援する「住居確保給付金」や、安定した住まいがない方に一時的な衣食住を提供する「一時生活支援事業」があります。
住居確保給付金
住宅確保給付金は、生活に困窮する人を支援する制度です。市区町村ごとに定められた金額を上限に、家賃の3カ月分を支給してくれます。
対象者 |
|
条件(例) |
|
給付額(例) |
|
上限額は市区町村ごとに定めた、生活保護制度の住宅扶助額です。延長は2回まで可能とし、最大9カ月分の支援が得られます。ただしいくつかの条件を満たせば、期間は最大12カ月に延ばせます。
現在、住居確保給付金の再申請の期間が、2022年3月まで延長となりました。詳しい情報は各自治体に問い合わせてみましょう。
一時生活支援事業
直接的な引っ越し支援ではありませんが、特定の住居をもたない方や、ネットカフェ宿泊・知人宅や深夜営業の店舗などを渡り歩く不安定な居住状態にある方を対象として、宿泊場所や衣服、食事の提供をする制度です。
緊急度の高いケースが多いので、条件を厳密に定義しすぎず、深刻な状態にある人をすぐに支援できるように制度がつくられています。
現在の住居に住み続けることも難しく、引っ越したら生活が立ち行かなくなってしまうという方は、市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
対象者 |
|
期間 | 原則として3か月 |
支援内容 | 宿泊場所、衣食の提供 |
窓口 | 市区町村の生活支援課 |
参考リンク | 一時生活支援事業(居住支援含む)|生活困窮者自立支援全国ネットワーク |
生活保護
資産や労働、支援すべてを合わせても最低限度の生活を維持するのに必要な費用が足りないと判断された場合に受けられる国の支援制度です。
申請をすると審査が行われ、保護が必要な状態だと認められる必要があります。申請すれば必ずしも受けられるわけではありませんが、まずは窓口に相談に行くと良いでしょう。
対象者 | 「預貯金やその他の資産」「労働による収入」「年金やその他手当」「親族からの援助」をすべて生活に充てても最低限の生活費に満たない方 |
条件 | 生活保護申請を行い、審査を通ること |
支援内容 | 生活保護費の支給(居住地域や世帯人数、年齢などによって金額が決まる) |
窓口 | 居住地域の福祉事務所 |
参考リンク | 生活保護制度|厚生労働省 |
家賃支援給付金(現在は受付終了)
※現在は申請受付を終了しています。(申請期間は2020年7月14日~2021年2月15日まで)
家賃支援給付金は、コロナウイルスの影響で売り上げが大きく減った事業者を対象にした救済措置です。
対象者 |
|
条件 |
|
補助対象 |
|
給付額 |
|
東京23区でもらえる住宅給付金の例
東京23区は比較的引っ越し関連の給付金の制度が少ないイメージですが、区によっては条件を満たせば助成を受けられることがあります。おもに収入の少ない子育て世帯向けの制度が多いです。
新宿区の助成金制度
東京23区内でも、新宿区は住宅費用の助成制度が豊富です。現在募集を受け付けているのは、主に子育て世帯や介護世帯に向けた制度です。
助成を受けられる世帯数は限られており、応募数が上回った場合は抽選になります。申請すれば必ず助成金が入るとは限りませんが、条件に当てはまった場合は応募してみるとよいでしょう。
民間賃貸住宅家賃助成:子育て世帯向け
新宿区への定住促進を目的として、子育て世帯を対象として助成を行っています。
1年に1回、限られた世帯数で募集があります。令和3年度は、募集50世帯に対して210世帯の応募があり、4.2倍の倍率でした(抽選で決定)。
条件 |
その他家賃の滞納がないこと、他の給付金を受けていないことなどの条件あり |
助成額 | 月額3万円 |
助成期間 | 最長5年間 |
過去には学生・一人暮らし世帯向けにも助成を行っていましたが、2019年(令和元年)で募集が終了しました。
次世代育成転居助成:子育て世帯向け
子どもを育てている世帯が新宿区内で住み替えをする際に、家賃の差額や引越しの実費を一部援助してもらえる制度です。
条件 |
その他家賃や住民税の滞納をしていない、ほかの助成金を受けたことがないなどの条件あり |
助成額 |
|
助成期間 | 家賃の差額補助は最大2年間 |
多世代近居同居助成:子育て・介護世帯向け
子ども世帯と親世帯がどちらも新宿区内に住む、または同居する際の住宅費用を助成する制度です。近居または同居を推進し、介護や子育てを助け合って行う環境づくりを図ることを目的としています。
こちらは賃貸だけでなく住宅を購入する場合にも応募できます。
条件 |
|
助成額 | 引っ越し代、礼金、仲介手数料、不動産登記費用などの合計額(複数世帯最大20万円、単身世帯最大10万円) |
助成期間 | 一括支給 |
北区の助成金制度
北区には子どもを複数人育てる世帯への助成金制度があります。
ファミリー世帯転居費用助成:子育て世帯向け
18歳未満の子どもがいる世帯が北区内で転居する場合の引っ越し費用を負担してもらえる制度です。子どもの成長に伴い手狭になった住宅を住み替えるときに役立ちます。
こちらは転居後に申請する制度なので、一度自分で負担しなければならないことには注意しましょう。
条件 |
他に家賃や住民税の滞納がないこと、過去に同助成を受けていないことなどの条件あり |
助成額 | 礼金・仲介手数料の合計(最大30万円) |
助成期間 | 一括支給 |
申請期限 | 転居日から1年以内 |
豊島区の助成金制度
豊島区の助成金は、子育て世帯が区内で転居した際の家賃補助制度です。
子育てファミリー世帯家賃助成制度:子育て世帯向け
収入の少ない子育て世帯が豊島区内の住宅に引っ越した場合に、基準家賃との差額を負担してもらえる制度です。
ほかの区の助成期間は年数で決まっているところが多いのに対し、豊島区では子どもがある程度大きくなるまで補助を受けられます。また区内の移動でなくても、他の区から豊島区へ引っ越した場合も対象となります。
条件 |
その他、家賃や住民税の滞納がないこと、他の助成を受けていないことなどの条件あり |
助成額 | 最大月額25,000円(4年目以降は2分の1) |
助成期間 | 子どもが15歳に達する年の年度末まで |
申請期限 | 転居日から1年以内 |
引っ越し業者選びは相見積もりで比較を
引っ越し代を少しでも安くするためには、給付金を活用するのがいいでしょう。しかし、それだけではなく、あらかじめ安い費用で引越しを行ってくれる業者を探しておくのも重要です。相見積もりを取って、適した引っ越し業者選びをしましょう。
質問に答えるだけで最大5社から見積もりが届く
スマホやパソコンからかんたんな質問に答えると、自動で条件にぴったりのおすすめ事業者から最大5件の見積もりが届きます。
手作業で条件や日程が合う事業者を1件ずつ探す必要はありません。
料金・口コミ評判を比較して選べる
見積もりの料金を比べられるのはもちろん、過去にミツモアでお仕事を依頼した利用者からの口コミ評価も確認できます。
口コミからはサービスの質や人柄などがうかがえることが多く、金額以外の判断材料も得られるので安心です。
チャットで事前に仕事内容の相談ができるので安心
契約前にサイト内のチャットで事業者と直接メッセージのやり取りをすることも可能。事前に見積もり内容に関する質問や相談ができるので、不安を解消した上でお仕事を依頼できます。