単身者が引っ越す場合、引っ越し業者は通常の単身向け引っ越しプランとは別に「単身パック」を提供しています。引っ越しの時期や移動距離によって異なりますが、単身プランよりも安い料金で引っ越しができる一方で、運べる荷物量に上限があるため注意が必要です。
今回は「単身パック」で引っ越しをするとお得なのか、料金相場や運べる荷物量などのポイントを踏まえて解説します。
引っ越しの「単身パック」とは?
「単身パック」とは、単身向け引っ越しサービスのひとつで「コンテナボックス」と呼ばれる専用の台車を活用して荷物が入る分だけ運びます。引っ越し業者によって異なりますが、コンテナボックスのサイズは一般的に高さ130㎝〜180㎝、奥行き74㎝〜105㎝、横幅104㎝〜108㎝です。
通常の単身向け引っ越しプランは1台のトラックを貸し切って新居へ荷物を運びますが、単身パックは1台のトラックに複数のコンテナボックスを積んで運搬します。その分荷物量や作業員の数を抑えられることから、通常の単身向け引っ越しプランよりも安い料金で提供できるため、荷物量が少ない単身者に最適なサービスです。
引っ越し単身パック利用時のメリット・デメリット
引っ越しの単身パックを利用する際のメリットやデメリットは下記のとおりです。
<メリット>
<デメリット> |
メリット①:繁忙期でも4万円~5万円程度で引っ越せる
単身パックを利用するメリットのひとつが、引っ越しの件数が多い繁忙期(2月〜4月)でも4万円〜5万円程度で引っ越せる可能性がある点です。通常期(5月~1月)と(2月~4月)で比較した単身パックの料金相場は下記のとおりです。
移動距離 | 通常期(5月~1月) | 繁忙期(2月~4月) |
~15km(同市区町程度) | 30,800円~ | 39,600円~ |
~50km(同都道府県程度) | 33,000円~ | 41,800円~ |
~200km(同一地方程度) | 34,100円~ | 42,900円~ |
~500km(近隣地方程度) | 39,600円~ | 48,400円~ |
500km~(遠距離地方程度) | 42,900円~ | 51,700円~ |
※単身パックの料金相場は日本通運「単身パックL料金検索」をもとに算出(コンテナ1台分、各種割引やオプション適用はなし。繁忙期は日通の単身パックLの3/20~4/5までの期間+8,800円(税込)を加算)
時期や移動距離、荷物量などによって変わりますが、引っ越し料金の相場は通常期で3万円〜4万円程度、繁忙期で4万円〜5万円程度と1万円〜2万円程度しか上がりません。通常の単身向け引っ越しプランと比べても数千円〜数十万円以上の差があるため、新居への移動距離が遠いほど単身パックのほうが安く引っ越せます。
メリット②:訪問見積もりなしで引っ越し料金が出せる
単身パックは基本的に電話や自宅への訪問見積もりはなく、Webで完結できます。通常の単身向けプランとは異なり、運べる荷物の量がコンテナボックス単位で決まっていることから、電話や訪問で見積もりを取る手間がかからず、スムーズに引っ越し準備が進められます。
メリット③:荷物の破損や紛失のリスクが軽減できる
自宅から新居まで荷物を運ぶ際、荷物の破損や紛失リスクも軽減できるのもメリットのひとつです。コンテナボックスは金属製で頑丈なものが多く、滑車がついていることから荷物が壊れる可能性が少ないほか、紛失の心配もほとんどありません。
デメリット①:運べる荷物の量に制限がある
単身パックは1台のコンテナボックスに載せられる荷物のサイズや量に制限があります。引っ越し業者によって異なりますが、1台のコンテナボックスに載せきれなかった場合は追加で手配する必要があり、その分追加料金が発生するので注意しましょう。
たとえば日本通運の「単身パックL」では、荷物量の目安としてMサイズのダンボール(540×340×320mm)のみで30箱分、家財として300リットル以下の冷蔵庫を載せられます。
またサイズにもよりますが、ベッドや食器棚、冷蔵庫といった大きめの家具や家電を運んでもらえない可能性があります。引っ越し業者によって細かなルールが異なるので、申し込む前に確認しておきましょう。
デメリット②:新居へ荷物が到着するのは翌日以降になる
通常の単身プランでは引っ越し当日に荷物が受け取れる場合が多い一方で、単身パックは移動距離が近くても、基本的に翌日以降に荷物が到着するケースがあるため注意しましょう。
なおオプションサービスとして当日受け取りが可能な引っ越し業者もあるので、早めに荷解きの作業をしたい人は事前に確認することをおすすめします。
デメリット③:無料で梱包資材がもらえない
単身パックはダンボールやガムテープ、緩衝材といった梱包資材を無料でもらえない場合が多いです。提供してもらえる引っ越し業者もありますが、その分料金がかかります。自分たちで用意する場合は、早めに近所のホームセンターで購入して準備をしましょう。
あわせて荷物を開梱した後、資材を回収したい人は有料で引き受ける業者が多いので、確認することをおすすめします。
単身パックがおすすめな人とは?
単身パックの利用がおすすめな人は下記のとおりです。
- 初めて一人暮らしをする人
- 家具や家電付きの住居へ引っ越す人
- シェアハウスへ引っ越す人
運べる荷物量に制限があるため、新居へ運ぶ荷物量が少なく、大型の家具や家電を運ぶ予定がないことから上記にあげた人は単身パックのメリットを活かせるでしょう。
なお、荷物量が多くて大型の家具または家電を持っていきたい人は、通常の単身向け引っ越しプランをおすすめします。
単身パックを提供する大手引っ越し業者7選
単身パックを提供している主要な引越し業者を7つ紹介します。業者によってコンテナの大きさや料金設定が少しずつ異なるため、自身に合った業者を見つけてみてください。
業者名 | サービス名 | コンテナサイズ(容量) | 料金 | 対応エリア |
日本通運 | 単身パックL | 108×104×175cm
(1.96m³) |
30,800円~ | 全国(一部対象外のエリアあり) |
ヤマトホームコンビニエンス | わたしの引越 | 104×104×170cm
(1.83m³) |
23,100円~ | 全国(一部対象外のエリアあり) |
サカイ引越センター | 小口便引越プラン | 105×75×144cm
(1.13m³) |
40,000円~(近距離は対象外) | 全国(一部対象外のエリアあり) |
ハトのマークの引越センター | 小鳩パック | 105×105×180cm
(1.98m³) |
23,100円~(片道200㎞~) | 全国(一部対象外のエリアあり) |
福山通運 | 青春引越便 | 110×110×190cm
(2.29m³) |
要見積もり | 全国(一部対象外のエリアあり) |
三八五引越センター | シングルパックMサイズ | 80cm×110cm×150cm
(1.3㎥) |
要見積もり | 北海道、東北、関東(一部対象外のエリアあり) |
プロスタッフ | 単身引越しパック | 大物家具4点
+小物20点程度 |
16,500円~ | 関西、関東、福岡(一部対象外のエリアあり) |
日本通運「単身パックL」
ヤマトホームコンビニエンス「わたしの引越」
ヤマトホームコンビニエンスが提供する単身パックです。荷物は集荷日から7日間まで指定でき、15時までに申し込みを完了すれば、最短で翌々日に集荷できます。専用のコンテナは家財量にあわせて最大2台まで使うことができ、「らくらく家財宅急便」というプランを別途申し込めば、大型の荷物も運べます。
サカイ引越センター「小口便引越プラン」
ハトのマークの引越センター「小鳩パック」
ハトのマークの引越センターが提供する単身パックです。サイズによって異なりますが、冷蔵庫やテレビ、衣装ケースといった家電や家具を運べます。ただし、新居までの移動距離が片道200kmを超えないと申し込めないので注意しましょう。
福山通運「青春引越便」
広島県福山市に拠点を置く引っ越し業者が提供する単身パックです。コンテナ数や配送エリアをもとに引っ越し料金を計算できます。Webサイトや電話で問い合わせができるほか、切符や宿泊の予約ができるオプションサービスも提供しています。
参考:福山通運「青春引越便」 |
三八五引越センター「シングルパックM」
青森県八戸市に本社を置く引っ越し業者の単身パックです。北海道や東北、関東を中心にサービスを提供しており、新居が遠いほど料金はお得になります。また荷物を業者に預けた後、1週間は保管中の手数料はかかりません。
プロスタッフ「単身引越しパック」
関西を中心に関東や福岡を拠点に引っ越しサービスを提供する業者です。大手引っ越し業者のサービスよりも約2倍の荷物を積み込めるほか、3月から4月の第2日曜日までを除いて、土日祝日でも追加料金なしで引っ越せます。
単身パックの引っ越しで工夫するポイント
単身パックで引っ越しをする際、荷物量が多い影響で別途コンテナを手配した分、追加料金が発生しないように工夫するポイントは下記のとおりです。
1.積み込めるサイズを確認する
各引っ越し業者が単身パックで使用するコンテナのサイズを確認しましょう。コンテナのサイズは引っ越し業者によって異なりますが、一般的に横幅104cm~105cm、奥行き74cm~105cm、高さ130cm~180cm程度です。
実際に荷物を載せられるか知りたい人は、日本通運の「単身パック積載シミュレーション」を使ったり、スマートフォンのアプリまたはメジャーで運びたい家具や家電のサイズを測っておくといいでしょう。
2.不用品を処分して荷物の量を減らす
引っ越しを機に、不用品がないか確認したうえで処分するのもおすすめです。オプションで不用品回収ができる引っ越し業者もありますが、別途追加料金がかかります。もしも料金を抑えたいと考えている人は、不用品回収業者への依頼やリサイクルショップの売却、フリマアプリでオークションに出品するといった方法があります。
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3.積みきれない荷物を宅配便で輸送する
コンテナに載りきらない荷物がある場合は追加でコンテナを手配せず、載らない荷物を宅配便をはじめとした別の手段で運んでもらうことも選択肢に入れましょう。追加でコンテナを手配すると引っ越し料金はほぼ倍になりますが、宅急便を利用することで数千円で収まる可能性があります。
参考:宅急便運賃一覧表:全国一覧|ヤマト運輸 |
4.複数の引越し業者から見積もりを取る
1社だけでなく、複数の引っ越し業者から見積もりを取るのもおすすめです。地域密着の引っ越し業者を中心に移動距離が長距離でも、大手より安い料金で見積もりを出してもらえる場合があります。また家具や家電の取り扱いといった要望も細かく聞いてもらえる業者もあるので、選択肢の幅を広げてみましょう。
関連記事:単身向け引っ越し見積もりが安い業者20選!料金を抑えるコツも解説 |
荷物が多い人は単身プランも検討しよう
単身パックを利用すれば、通常の単身プランよりも引っ越し料金を抑えられる可能性があります。しかし、荷物の量や移動距離により、場合によっては高くつく恐れもあるため、注意が必要です。できるだけコストを抑えたい方は、単身パックだけでなく中小の引っ越し業者も検討してみるといいでしょう。
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